100秒1本勝負の『絶対的な関係』から、“たったひとつの
きっかけに日々生かされている”情景を描く『きっかけ』、
槇原敬之の涙腺崩壊名曲カバー『遠く遠く』まで
バンドの重要作を語る赤い公園全員インタビュー&動画コメント
ザッピングからネットサーフィンまでを掻い潜り、耳をつんざくへヴィなサウンドがトータルタイム100秒瞬殺で耳から脳へと伝達する、ドラマ『ロストデイズ』主題歌『絶対的な関係』、極めてパーソナルな情景を描くアンビエントな静寂からノイジーな衝動を爆発させる『きっかけ』、そして、感動的なまでにイノセントなあの槇原敬之の涙腺崩壊名曲カバー『遠く遠く』。エキセントリックでキュート、ダークでスウィート、クリエイティブでポップな新世代最強女子4人組、赤い公園から、3曲3様の新境地を見せるシングル『絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く』が届いた。前作『風が知ってる/ひつじ屋さん』と2ヵ月連続リリースとなった今作は、彼女たちの底知れぬ才能と失われずにいる純度を刻んだ重要な1枚だ。強烈なバンドサウンドを鳴らし切るプレイヤーとしての手腕とは裏腹に、その作品を言葉にする姿は、まるで友達4人が部屋で思い思いに話すように微笑ましい。今作に伴い行った全員インタビューで、想いを確かにする。この音楽があなたに届くまで、このきらめきが、いつまでも消えないように。
赤い公園のシングルとしても機能しないと意味がない
――曙ブレーキ(※)の発掘映像、観ましたよ(笑)。
(※)マネージャー・ミッツ氏がかつて組んでいたバンド。前作『風が知ってる/ひつじ屋さん』の初回限定盤DVDに、そのドッキリ映像が収録。
津野(g&p)「ヤバいヤバい!(笑)」
――ググっても、“曙ブレーキ工業”とかガチの企業しか出てこなくて(笑)。よく見付けたなって。
津野「いやぁ~“レッドパーク”っていうファンがいるんですけど、その人の検索網がヤバくて(笑)」
(一同笑)
歌川(ds)「普段は(マネージャーを含めた)5人のLINEがあるんですけど」
津野「4人だけのLINEをわざわざ作ってね(笑)。いや~もう完全に初めてのグルーヴが生まれてましたね(笑)」
――その前作『風が知ってる/ひつじ屋さん』に続いて2ヵ月連続リリースとなった今作のリード曲『絶対的な関係』(M-1)は、ドラマ『ロストデイズ』の主題歌でしたけど、劇中でも物語の展開を誘う役割を果たした曲になっていましたね。今回はドラマ用に書き下ろしたとのことですよね。
津野「書き下ろし自体初めてで、どこまで踏み込んでいいか分からなかったんですよ。割と素直で従順なので(笑)。最初はもうこのドラマ以外には使えないみたいなところまで踏み込んでしまって。でも、やっぱり赤い公園のシングルとしても機能しないと意味がないし、そこはやっていく内に折り合いを付けてっていう感じでしたけど、すごく楽しかったですね。“一緒に旋風を巻き起こそうぜ!”みたいな感じで誘っていただいたんで」
藤本(b)「サスペンスとは聞いていたんですけど、最初はもっとラブコメみたいな話だと思っていて。あんなにドロドロした内容になるとは思ってなかったんですけど(笑)、最終回を観たときにはバッチリじゃないかぁ~って」
津野「遅っ!!(笑) 事前に資料を読んだら、“大学生の卒業旅行中に…”って、まさに同じ歳ぐらいの設定で。それならそれで出来ることがあるなぁって。同世代のバンドだと一聴して分かるモノでなければならない、老け込んでてもいけないし、若過ぎてもいけない。こういう世代の人たちが好きな“ヘンなもの”。その“ヘン度合い”というか。今こういう世代の人が何を考えているのかを、想像するのも楽しかったですね」
みんながみんな本当にズルしないで、いいものを作った感じですね
――今の発言でもそうなんですけど、今流行っているものというか、J-POPのメインストリームで求められているビートであったり刺激的な部分を、ちゃんと意識してトライする感覚がおもしろいなと思ったんですけどね。
津野「今まではずっと、それこそアンダーグラウンドに見られていて、それなのにポップなことをやっているよって言い張っていたんですね。それがメジャーデビューして1年ぐらい経って、自分たちが望んでいたことなんですけど逆にポップな存在に少しずつなれてきたときに、人が何を求めるかっていうと、アンダーグラウンドなもので(笑)」
――なるほど(笑)。グラフが逆転していく感じというか。
津野「ただ、CDを聴いたときにハッとして欲しくて、『きっかけ』(M-2)を入れようと。3曲全体でより策略的に作ることが出来ましたね」
――ポップミュージックには3分間の美しさがありますけど、『絶対的な関係』は100秒(=1分40秒)とそれを大幅に短縮するもので(笑)。この短さってちょっとクセになるというか、かえって何度も聴くなと思いましたね。
津野「めちゃくちゃ嬉しいです。それも独自の調査結果なんですけど(笑)。やっぱり流行ってるものと社会的な状況を照らし合わせると、今は飽き性ですぐに手に入るものがいいんですよ。そんなに長い時間を音楽を聴かないんです。TVで聴けたら、ネットで聴けたらそれで十分で。そういうところに憤りを感じたって、一発でひっくり返すことは絶対に出来ないので、そういう人を1人でも多く味方に付けたいなぁと思って。とにかく情報量が多い曲。ボカロとかを結構意識しましたね」
――やっぱりこの尺だったら聴けますもんね。聴かざるを得ない(笑)。にも関わらず、ミュージックビデオの撮影は今までで一番時間がかかった、みたいな。
佐藤(vo&key)「かかった~! 24時間丸1日使いましたね」
――すごく凝ったミュージックビデオですよね。
津野「CGも使ってないんで。1~100までの数字が100コマ分あるんですけど、ちーちゃん(=佐藤)の口の中に入る大きさだったり、私たちが演奏してる脇にスタンドで立てる数字だったり、もういろんな大きさがあって。それをカメラが引いたり寄ったりすることで画面上で全部同じ大きさにする作業に、相当時間がかかってましたね。美術さん、制作チームが本当に大変そうで、私たちは24時間で終わりましたけど、あの人たちは全然終わってないですから」
津野「『風が知ってる』はデビュー当時からずーっと撮ってくださっていた監督で、意味が分からない安っぽい加工とかも平気でする人なんですよ(笑)。ただ、『風が知ってる』のときはホントに素材に命を懸けて、お金も本当に降らせて。お金1枚1枚、花びら1枚1枚、すごい量を撮影してるんです。そのいいところを繋ぎ合わせるっていう、すごく古典的なやり方で。みんながみんな本当にズルしないで、いいものを作った感じですね」
――今って自宅でそこそこ音も作れる時代ですけど、プロフェッショナルな人たちと一緒にものを作る面白さってやっぱりあるなって。
津野「『絶対的な関係』は、ベースとドラムとギターをせーので録ったんですけど、さらにアンプを鳴らしてるブースの扉も開けて、もう完全に練習スタジオ状態。だからドラムのマイクにもベースとかギターが入りまくってる。まぁ直せないんでちょっとイヤだったんですけど(笑)、エンジニアさんが“この音の方がカッコいいなぁ!”って(笑)」
(一同笑)
歌川「やっぱり、みんなでせーのでやる方が、何だか分からないけど気持ちが入りますね。1stフルアルバムの『公園デビュー』(‘13)を録ったときも、『くい』っていう曲をせーので録ったときにも、何か違う気分でガッと入り込めたんで、その感覚はすごくあります」
藤本「“バンドだなぁ”って思いました、すごく。いつもは見守られつつ録るのが好きなんですけど(笑)、一番ビックリしたのは自分たちにこんな音を出せるんだって驚きました。“マッチョサウンド”っていう感じ。新しい音だよね」
――声に関しても、前作の『風が知ってる/ひつじ屋さん』も『絶対的な関係』もそうですけど、同じ人間でここまで声が変わる=曲のイメージが変わる。それが他のバンドにはないところだと思うんですよね。
佐藤「やったー!」
津野「フフフフフ(笑)」
佐藤「デモの段階で曲のイメージがガッチリ来るので、それに合わせるのが好きで。だから、曲によってボーカルが違う人になる、みたいな感じが理想ですね。声も結構意識して変えてますね」
――赤い公園が持っているポップな要素とアンダーグラウンドの要素の出入りする場所の広さ、ルールのなさ、多重人格性みたいなものは、やっぱり声が大事な役割を担っているなぁって感じますね。
佐藤「ほぇ~嬉しい(照笑)」
いいものを作ろうと思ったら、絶対にうやむやには出来ないはずだと思うから
――前作に引き続き、今作では亀田誠治さんがプロデュースで参加されていますね。
津野「私は亀田さんの作品ずーっと聴いてきて尊敬してるんで、作業中ずーっと隣に座って凝視してたんですけど、亀田さんは自分のテンションがバッと上がった瞬間を自分で忘れないというか。私たちの方が、意外と大人ぶっていたんだなっていうことに気付きました。モノを作るということに対して、ないと思っていたプライドも結構あった気がするし、柔らかいと思っていた頭もだいぶ凝り固まっていた気がするし。逆に亀田さんが、音楽を始めたての喜ばしい気持ちでの判断みたいなものを、教えてくれたような気がします。 “音が気持ちいい!”とか“歌のリズムがハマった!”とか、それだけでもう“ヤッター!”って喜ぶんですよ。ホントに赤ちゃんみたいなときがあるもんね?(笑) あと、奇跡的なのが、一緒にワーキャーしてくれるんですよ(笑)」
佐藤「自分たちの良さを損なわずに、新しい可能性を見せてくれるみたいな」
藤本「心の加湿器だね、亀田さんは」
――キャッチフレーズまで付けた(笑)。
藤本「何か亀田さんがいると、室内の温度が上がるよね?」
佐藤「そうだね。心の温度も上がるよね」
藤本「空気を綺麗にしてくれる」
佐藤「うん。もういいよ!」
――アハハハハ!(笑)
津野「あと、私がどうこう言える空気をまず作ってくださって。私は割と“ここイヤです”とか簡潔に言うんで、そういう意見もちゃんと聞いてくれて、感覚的に一緒に悩んでくれるというか。お互いに後ろめたいところを1つでもなくしたいというか…いいものを作ろうと思ったら、絶対にうやむやには出来ないはずだと私は思うから。みんなで楽しい空気を守りつつ、守るって言っても努力しているわけではない。ホントに楽しいんですよ。守りつつ、油断しないというか。“いいもの作ってるなぁ今”っていう実感がありましたね。亀田さんと作っていくと不透明な部分が1つもなくて、自信が湧いてくるというか」
――藤本さんにとっては、亀田さんは憧れのベーシストでもあったと思いますけど。
藤本「一番最初にちゃんと話したのって、雑誌の取材で対談させてもらえる機会があってそのときだったんですけど、もうヘンな汗が止まらなかった(笑)。ホントにもう、初めて会ったときからすごく純粋な人で、こんな私にでも対等に話をしてくれて。私が学びに行ったのに亀田さんは、“もうひかりちゃんから今日はいっぱい学んだ。ありがとう!”って言ってくれて。いやもうホントに、うわぁ~ってしばらく放心状態でした」
津野「国宝級の音楽ファンですから、亀田さんは。そういう人がいるだけでありがたいし、希望が湧いてくる。あと、人伝いに亀田さんから伝言も承って。“未来の音楽のバトンは渡したよっ!”って(モノマネしながら)」
――文字でこの似てる感伝えるのムズい(笑)。いい経験が出来ましたね。
藤本「ホントに」
自分がどういう心境であれ、毎日が誰かの誕生日で、どこかに命が生まれてる
――さっき話に出た『きっかけ』は、いろんな要素が入り乱れる赤い公園の表現の中で、ふと見せる素の部分というか。“たったひとつのきっかけに日々生かされている”というフレーズがありますが、人間ってホントに些細なことで生きようと思うし、逆に言うと些細なことで死のうと思う。必要最低限の言葉で、物語がすごく伝わってくる曲で。
津野「これは結構前に作った曲なんですけど、ずっとデモのまんま置いてあって。『風が知ってる』を作ったとき、“あ、もう出来るな”って思った。出す時期としても春がいいなと何となく思っていたので。これを冬に出すのと春に出すのとでは、ホントに紙一重で絶望の曲になるか希望の曲になるかみたいに、それぐらいの差があると思っていて。この曲は、もうダメだって思った夜に、三角コーナーの生ゴミがいっぱいになっていて、このまま私が死んだとして、コンコンコンって警察入って来たときに虫が湧いてたらどうしよう?って…まぁそこまで考えなくてもいいんですけど(笑)。そのときに燃えるゴミの日が明日だって気付いて、“じゃあ捨てなきゃ、明日の朝に”っていうことで、とりあえずその夜を生き延びることが出来る。いつも歌詞を書くときは、リアルを“リアルっぽいフィクション”にするための作業があるんですけど、ここでは一番些細なことを書きたかったんで、何も飾らないように、そのまんまでいいなぁと思った。で、2番の歌詞を考えているときに誕生日っていう言葉が出てきて、誕生日って一番よどみのないポジティブだなって(笑)。自分がどういう心境であれ、毎日が誰かの誕生日で、どこかに命が生まれてるってことを歌いたかったんですよね」
――そして、それを歌える自分になったわけですね。
津野「いやぁ~作れましたね」
――この曲が出来たことで、いろいろと自由な表現をしてきたバンドだとは思うんですけど、ホントに自由になれた気がするというか。
津野「そうですよね。こういう心境を今までなかなか言葉にしようと思っても出来なかったんで。それでより“歌詞っぽい歌詞”になってきた部分はあって、それをバンドサウンドでやる…意外と制限があったんですよ。今回はそれが素直に言葉に出来たのと、C/Wっていうこともあって、簡単に言うと使う楽器の制限もない。もう一番いい形でパッケージすることが出来た気がします」
――そう考えると、C/Wも悪くないですね。
津野「いや、最高ですよ。C/Wがいいバンドはいいですから」
――津野さんはSMAPにも曲提供をしたりと、ともすれば作家的にもなりがちなところで、これを素直に書けたのは大きいですね。
津野「そうですね。後にも先にもかもしれないですけど、今までで一番、赤い公園でしか出来ない曲だと思います」
――あと、曲の後半に音像が渦巻いて来てカオスになっていく中でも、やっぱり佐藤さんの声が、歌が、残る。だからもう何やってもいいんだなって(笑)。
(一同笑)
津野「全くもって同感で、曲提供をするときとかは“この人が歌うんだー!”みたいな感じで書くんですけど、ホントにかわいそうなことに、ちーちゃんには何やってもいいと思ってるから(笑)」
――そういう意味でも…赤い公園らしいっていうのはそういうことなのかもしれない。
いい歌って何なのかを思い出しました
――C/Wの3曲目には槇原敬之さんの『遠く遠く』のカバーがありますけど、これね、もうね、話してる今もそうなんだけど、何か泣きそうになる(笑)。
佐藤「え~ホント泣いちゃいそう! 泣かないで~!」
津野「仲間がいた~(笑)。うん、これを聴くと泣きそうになる」
――改めてマッキーさんのね、すごさも分かりますし、恐ろしい名曲だと思いましたけど、やっぱりこのアコギが…この曲はギター初心者の佐藤さんが練習して弾いたということですけど、それがもう大成功って感じですよね。
佐藤「嬉しい~!」
藤本「漫喫に泊まってたもんね」
歌川「自分の誕生日も、友達との約束を蹴って泊まってたからね(笑)」
――漫喫で何するの?
佐藤「スタジオに1人で入ってたら終電がなくなっちゃって(笑)」
藤本「翌朝もスタジオがあったんだよね、確か」
――前乗りでもある(笑)。いやぁでもこれ、よく思い付きましたね。初心者の佐藤さんにギターを弾かせようって。
津野「これは大好きな曲なんで、いっぱいカッコいいバンドアレンジが浮かんだんです。でも、この曲はカッコよかったらダメだなぁと思ったんです。すごく強がっている歌詞だと思うし、情けないはずなのにちょっと見栄を張って、いつかみんなに追いつこうっていう覚悟がある、必死な歌。そこまで考えさせられる歌って、もう絶対に無の状態で歌った方がいいし、演奏もなくていいぐらいだと思って。一番情けないけど必死で、心から歌える方法って何だろう?と思ったら、やっぱり弾き語りかなぁって。で、弾き語りでもちゃんと残りのメンバーみんなも一緒の部屋にいる絵が、パッと浮かんで。ホンットに一生懸命、丸1日頑張って覚えて、そこから必死に練習して。レコーディング当日も、その心の揺れみたいなものも大事にしたくて。最初の方のテイクの方はもちろんすごい緊張していて最後まで出来なかったりもしたんですけど、だんだんだんだんやらなきゃならない状況になってきて…まさにこの曲の状況と一緒だなぁって。それが重なってきたときに、もう私も本当に泣いちゃいそうなまま、この音源が出来て。これが私たちが大好きなマッキーさんに見せられる一番の誠意と愛だと思います」
――もう歌い出しからヤバいもん。やっぱり何だかんだ言って、ピュアなものは人の心を動かすなぁって、メチャクチャ思った。もういろんなものを飛び越えるなと思った。
津野「いやぁ~よかったぁ~。嬉しいね」
佐藤「嬉しいねぇ」
津野「J-POPの有名な曲のカバーって、基本歌が上手い人がやるか、ボサノヴァかハードコアじゃないですか?」
(一同笑)
津野「多分、誰よりも心がこもってるカバーだと思います」
佐藤「あと、いろんな人が赤い公園を知るチャンスになるであろう『絶対的な関係』のC/Wでこれをやるのには覚悟が要ったけど、それにGOサイン出すのにも覚悟が要っただろうし。そういう人たちの愛も詰まっていると思います」
津野「出来たものがもう特別にいい音楽だと思ったので、私は何も怖くなかった。これが知ってもらうきっかけになるCDと言ったら確かにそうで。でも、そこに一番純粋なものを入れなかったら、私たちは必要以上の誤解を生んだまま進んで行ってしまう気がして。まぁ確かに誤解を音楽にしたようなものなんですけど、私たちの音楽は(笑)。私たちがやっているのはバンドとかライブ以前に音楽なんだぞっていうことを、みんな履き違えんなよっていう」
――これから何年後かに振り返って聴いたとき、いろんな気持ちを思い出させてくれるでしょうね。
藤本「自信になりますね」
佐藤「いい歌って何なのかを思い出しました。これに向き合っている期間は」
津野「ホントだね。あと、楽器を弾くっていう責任感(笑)」
藤本「あと、コーラスもおもしろかったよね。最後さぁ、ちょっとみんなで歌うとこ」
津野「ちーちゃんのマイクに近付かないと声を拾わないから、邪魔しないようにそーっと行ったりしてね(笑)」
音楽の真ん中にちゃんとまだ居られてるなって思います
そして、より真ん中に近付いた気がします
――今作が出来上がったときって、それぞれ何か思いました?
佐藤「いやぁ、カッコいいバンドだなぁ~と」
藤本「何か今、アンパンマンみたいになってたね(笑)」
佐藤「(アンパンマンの声真似で)カッコいいバンドだなぁ~」
(一同笑)
佐藤「って思いました。3曲の組み合わせのバランスだったり、覚悟だったり、挑戦が詰まっていると思うので」
歌川「1曲1曲の中でもホントにいろんなことにチャレンジもしたし、いつもと全然違うこともしてるし、ホントに密度の濃い、攻めている1枚だなぁって思いますね」
藤本「何だろう、胸を張って“赤い公園というバンドをやっています”って言える1枚だなぁって思います。3曲どれも自信作です。ね?」
津野「今までも毎回思っていますけど、“ちゃんと音楽をやってるな”って思います。音楽が好きなんだなっていうのも分かりましたし、バンドだって、弾き語りだって、楽器だって好きだけど、音楽の本質をまだ見失ってないぞって思う。音楽の真ん中にちゃんとまだ居られてるなって思います。そして、より真ん中に近付いた気がします」
――音楽をずっと好きでいられたらいいですね。
津野「いや私はもう、それが出来なくなったらホント屍ですから(笑)」
(一同爆笑)
津野「音楽を聴いていて、何かちょっとアレだなぁみたいに思っちゃった瞬間って、怒りよりも落ち込みますもん。これを好きになれない自分、みたいな感じで(笑)」
――そう考えたら自分の作品は鏡ですね。
津野「そうですね、ホントに。そういう気の弛みを許さなかったり、でも気が緩んだところがいいみたいな、そういういろんなものがいつも天秤に掛かっていて、すごくバランスの悪~い状況が好きです(笑)、ものを作っているときは。好き勝手にやって~みたいに言われても、何をしていいか分からないですもん。学生の頃もそうでしたけど、ルールをちゃんと知っているところから、おもしろい音楽が始まっていく気がする。それのどこをどう崩すかとかもそうですし。勉強と実験を止めたら終わりだなって思います」
――この先がどうなっていくのか楽しみですね。
津野「楽しみと不安と(笑)。バランスの悪い状態で、どうなっちゃうの!?(笑)」
――アハハハハ(笑)。いい話がいっぱい聞けました。本日はありがとうございました!
全員「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2014年6月16日更新)
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