突き動かされるエネルギーと感覚に従え――
音楽の信頼を勝ち取る2ndフルアルバム『POWER OF NOISE』
名もなき道を行くSEBASTIAN Xの快進撃のパワーの源を語る
永原真夏(vo)インタビュー
約2年ぶりとなったフルアルバムだが、その間も昨年は配信限定シングル『GO BACK TO MONSTER』『春咲小紅』の2曲に3rdミニアルバム『ひなぎくと怪獣』、そして今春には1stシングル『ヒバリオペラ』と畳み掛けていた。もちろん、ライブ活動も止まってはいない。その流れで生まれたSEBASTIAN Xの2ndフルアルバム『POWER OF NOISE』は、1曲目の『POWER OF VITAL』から痛快過ぎて嬉しくなってしまう会心の作品だ。とにかく、その名の通りパワーがみなぎった、真っ直ぐで気持ちよいアルバム。どうして、ここまで開き直って爆発出来たのか? そして、その土着性を、東京は上野で開催された主催イベント『TOKYO春告ジャンボリー』を踏まえた上で語ってもらった。永原真夏(vo)の力強い言葉を、是非とも汲み取って欲しい。
誰もいない道を見付けた感じ
――フルアルバムとしては約2年ぶりですが、この2年間の経緯や変わった点を教えてもらえますか?
「1stアルバム『FUTURES』(‘11)はシリアスというか、内に入って作ったアルバムなんですね。部屋でうんうん唸って作ったし、メンバーとも密で話をしたし。物語的な内容でポップなアレンジだったんですが、『JACCS あなたの夢の応援歌』という企画で『GO BACK TO MONSTER』を作ったときに、爆発力がみなぎる感じが必要だと思って。メッセージ性というより、とにかく湧き上がってくる感じというか。ライブの動きも圧倒的に変わって、湧き上がる衝動をテーマに去年3rdミニアルバム『ひなぎくと怪獣』を作って、この春の1stシングル『ヒバリオペラ』の頃にはライブハウスと密になる感じがあったんです。お客さんに対して能動的になれて、そこから湧き上がってくるエネルギーでやってこれて…だから今回のアルバムはエネルギーやパワーをエネルギーやパワーで表現出来ている。今まではテーマやアイコンがあったけど、今回は用意せず、突き動かされるものがあったので。最初の頃からパワーや生命力、エネルギーと評して頂くことが多かったんですけど、何か後ろめたさもあって。私自身もそういう言葉にピンとこなかったし、どこかいつも“生命力という言葉で逃げられた”とも思っていたので(笑)。人を疑い過ぎていたところがあったんですけど、今回は長所と向かい合っていこうと。今までは生命力しかないと言われてると思っていたのが、今回は、その言葉を受け入れた感じですね」
――タイトルがズバリ『POWER OF NOISE』ですもんね。
「パワー以外のところもあるよと今までは思っていたんですけど、今回はパワーです。フラワーカンパニーズの鈴木圭介さんと対談する機会があったんですけど、ONとOFFがない人で、それくらいフラットでいいんだなと思えたんです。自分の持っているパワーというものを受け入れられて、地続きで解放するというのはシンプルですよね。装飾もないですし、何かしら足していく発想よりは1つの魅力を磨いていく方がいいなと。なので、タイトルに“POWER”と付けるのは気持ちよかったです。誰もいない道を見付けた感じというか。この感覚の道筋で良いんだろうし、何にもぶつからない感じが楽しいですね。今までは考え過ぎていたのかなと。21とかで初めて音源を出したときは可能性が∞だし、根本的にパワーがあったんです。ネガティブさもありましたけど、そんなに重要視はしてなくて。だからこそ、そのバランスを気を付けていたんですね。ポジティブにはネガティブがないといけないと思っていたので。でも、今回はパワーを出して突き抜けちゃおうと。今は音楽家というより、唄歌いとして信頼されたいんだなと。もし今“何を勝ち取りたいですか?”と聞かれたら、“信頼”と答えると思うんです。高田渡さんにある安心感とか信頼感みたいな。信頼されたいんだなと思ったときに、じゃあパワーを出すしかないっしょみたいな。時間がかかっても信頼されたいし、その道を選びました。割かし好き嫌いが激しいので、他に合わせられないんです。湧き上がるものでしか作れない。そんな中で、信頼で素直に支えられたいなと思いました。とにかく、規模も小さくならず、やりたい形になったアルバムですね」
土地によって音楽があるのは当たり前。東京にも土着性はある
――今回のアルバムで特徴的なのは、土着性を感じるんです。
「土着性は大阪の人から教わりましたね。両親も関西人ですし、『春一番』のコンピCDとか家にあったし。あのガヤガヤしている感じの可能性は感じたし、19歳くらいのときに関西ゼロ世代が流行ったりもして。土地によって音楽があるのは当たり前かな。東京にも土着性はあるし。上野の野外音楽堂で主催イベントをやったんですけど、ヒールでワンピースでいつでも楽しめるイベントが東京流だなと。身近な感じであったり、ぶらぶらと普段着で行ける感じ」
――関西から見るからか、SEBASTIAN Xはその土着性=東京を感じるバンドになっているなと思うんです。
「それは気付きませんでしたけど、もしかしたらそうなのかもしれないですね。それで言うと、上野は自分の思っている東京でしたね。ライブハウスなどがある街は、どうしても情報操作がある街というか。上野は何かを押し出そうとする街で、リアリティがあるんですよ。とにかく、今回はテーマじゃなくスタイルというか、そういうパワーを押し出すことに迷いが本当になかったので」
――1曲目の『POWER OF VITAL』から聴いていてガッツポーズが出るアルバムだったので、本当に今日はじっくりお話が聞けて良かったです。ありがとうございました!
「こちらこそ、ありがとうございました!」
Text by 鈴木淳史
(2013年11月14日更新)
Check
Release
問答無用の音楽のエネルギーに満ちた
2年ぶり無敵の2ndアルバム!
Album
『POWER OF NOISE』
発売中 2300円
we are
WRCA-01
<収録曲>
01. POWER OF VITAL
02. DNA
03. ヒバリオペラ(ALBUM ver.)
04. 三日月ピクニック
05. サマー・ハネムーン・ビート
06. MY GIRL(姫君へ捧ぐ)
07. 光/男/カメラ
08. サマタイム・キル
09. つきぬけて(ALBUM ver.)
10. MIC DISCOVERY
Profile
セバスチャン・エックス…写真左より、沖山良太(ds)、永原真夏(vo)、工藤歩里(key)、飯田裕(b)による男女4人組。'08年2月結成。'09年11月に初の全国流通盤となる『ワンダフル・ワールド』を発表。'10年8月に 2ndミニアルバム『僕らのファンタジー』、'11年10月に1stフルアルバム『FUTURES』、 '12年7月には3rdミニアルバム『ひなぎくと怪獣』をリリースと精力的に活動。8月にリリースされた約2年ぶりとなる2ndフルアルバム『POWER OF NOISE』は、ライブでの衝動性をより感じさせる力強い作品となった。11月17日(日)には、『SEBASTIAN Xツアー2013 POWER OF NOISE』大阪ワンマンが梅田Shangri-Laにて開催される。
SEBASTIAN X オフィシャルサイト
http://sebastianx.info/
Live
レコ発ツアーもいよいよ終盤戦
大阪ワンマンが間もなく開催!
『SEBASTIAN Xツアー2013
POWER OF NOISE
「SEBASTIAN Xワンマンライブ」』
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード204-865
▼11月16日(土)18:30
アポロシアター
前売2800円
ジェイルハウス■052(936)6041
※3歳以上有料。
チケットの購入はコチラ!
Pick Up!!
【大阪公演】
チケット発売中 Pコード204-950
▼11月17日(日)18:00
Shangri-La
オールスタンディング2800円
GREENS■06(6882)1224
※3歳以上は有料。
チケットの購入はコチラ!
【東京公演】
チケット発売中 Pコード204-952
▼11月22日(金)19:00
LIQUIDROOM
オールスタンディング3000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。
チケットの購入はコチラ!
Column
ジャケットの隅々にまで想いを
張り巡らせた1stアルバム
『FUTURES』が堂々完成!
ファンタジックで人肌な
SEBASTIAN Xの音楽の魅力に迫る