世の中と自らを繋ぐ生命線たる名曲『やさしい嘘』
痛みと愛を宿した1stアルバム『キメラ』を引っ提げ
全国ワンマンツアー中の小南泰葉の波乱の音楽人生を回顧する
撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着!
小南泰葉の1stアルバム『キメラ』を聴いていると、彼女がこれまで歩んできた決して器用とは言えない人生と、昨年のメジャーデビュー以降ギリギリのバランスで繋いできた1年に、想いを巡らさずにはいられない。同作には、既発の2枚のミニアルバムのリード曲『嘘憑きとサルヴァドール』『「善悪の彼岸」』や、映画『アシュラ』主題歌となったシングル『Trash』、さらには『世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄』『藁人形売りの少女』『Soupy World』といったインディーズ時代の名曲群を網羅されているが、その最後の1ピースと言えるのが、長年CD化が望まれてきた落涙必至の名バラード『やさしい嘘』だ。彼女はこの曲を、世の中と自らを繋ぐ最後の生命線だと思っていたかもしれない。また彼女は、このアルバムをゴールだと言った。だが、果たしてそうだろうか? 現在は全国ワンマンツアーの真っ只中にいる彼女が、決死の想いでたどり着いた『キメラ』までの怒涛の道のりを、小南泰葉の紆余曲折の音楽人生を回顧する、撮り下ろしインタビュー。闇と光、絶望と希望、愛と痛み…彼女の楽曲の全てにつきまとう感情は、誰もがきっと心の奥底に持っている。話してくれて、ありがとう。
『キメラ』について解説! 小南泰葉からの動画コメントはコチラ
恥辱プレイみたいになってました(笑)
――よく考えたら、去年はめっちゃ曲書いたね。『勧毒懲悪』『嘘憑キズム』『121212』のミニアルバム3枚と、『Trash』のシングル1枚と。そこからのストーリーも含めて、今回の『キメラ』は言わばベスト盤みたいな感じもあって。今回はリリース時に『キメリカルカフェ』という全国プレツアー的アコースティック招待イベントも各地であったけど(右記レポート参照)、いざやってみてどうだった?
「恥辱プレイみたいになってました(笑)。まだまだ私を知らない人が多い中でやると、最初は気付かれないことも多くて、髪型(黒髪おかっぱ)ってすごいトレードマークだったんだなって。お客さんたちが帰っていくときに“あっ! …ごめんなさい! 大好きです!”って、手のひら返しがすごく面白かったです(笑)。大阪は昔からヅラをかぶってライブもしてたし、ホームなんで自信があったんですよ。でもそんなことはなかったですね、半分ぐらいの人はスルーしてました(笑)」
――今回はビジュアルも結構ガチッと作り込んでるもんね。
「そうなんですよ。大阪でこれだったらどこも無理だわと思って(笑)。あのツアーで心強くなりましたよ、私(笑)」
――泰葉は自分の音楽を聴いてくれる人と、こういう近しい場所で会う機会を割とちゃんと持っているよね。
「そうですね。特に大阪って“はじめまして!”って自分をアピールする場所とは全然違うから、“帰ってきたよ!”感があるじゃないですか。みんなに会いたかったし、“ちゃんと私、頑張ってますよ東京で!”って伝えたくて。延々喋ってましたね、ライブが30分しかないのに20分くらい(笑)」
――それもこれも『キメラ』に伴うものということで、このアルバムが世に出た今、改めて振り返ってみてどう?
「最初はリリース日が来るのが怖かったんですよ。でも、『やさしい嘘』(M-3)はずっと音源化されてなかったし、『やさしい嘘』のためのアルバムと言っても過言じゃないと思っていて。この曲を一番いい形で出せるのはいつか考えたら、メジャーデビューのタイミングじゃないし、1stシングルで切ることでもなくて。“小南は習い事も学校も音楽すら続かないけど、とりあえずこれをゴールにやってみよう”ってチームの1つの目標に掲げたのが、1stフルアルバムの『キメラ』だったんです。こうやって12曲並べても『やさしい嘘』は最初の頃に作った曲で、本当に自分の中にある言葉というか、子どもでも届くような言葉で、ストレートにシンプルに届けられる歌だった。ライブの最後にずっと歌ってきたし、お客さんが泣いているのもすごい見たし、一番涙を含んでいる曲だと思うし、もっともっと分母を増やせる曲だと思うし。自分でもボロボロ泣いて歌えなくなることも1回あったんですけど、この曲に助けられて私は音楽をやってきて。曲は赤ちゃんでアーティストが育てるみたいによく言うけど、私は全く逆で、『やさしい嘘』を親だと思っていて。グダグダのクソみたいなライブをした後でも、どんなに辛かったライブの後でも、最後にこの『やさしい嘘』を絶対に届けて帰るんやと思って歌ってたし、本当に今歌う『やさしい嘘』が、人生最後の1曲になってもいい、いつどこでどんな事故に遭ってもいいと思って歌い続けてきたので。『嘘憑きとサルヴァドール』(M-1)とかエッジの効いた曲と二面性を持っているとは自分でも思うし、どっちも大切にはしてるんですけど、人に届くときって分かるじゃないですか。ステージに立ってたら顕著に分かるから、どんどんその曲に対する想いも変わっていって。この曲に育てられてここまで来たと思いますね」
――ソングライターとして、一生に1曲でもそういう曲が書けるかどうか。『やさしい嘘』を生み出せただけでも、歌い手としては幸福というかね。
「私、よく“『やさしい嘘』以上のバラードは書けません”って弱音吐いちゃうんです。インディーズの頃から『キメラ』を最高のものにすることしか考えてなかったし、この3年間くらいのものを凝縮出来たと思うし、2ndのことを考えると胃が痛くなる(笑)。本当にリリースを迎えた瞬間にゴールテープを切った感覚なので、ホッとしたのもあるし。でも、CDが売れないご時世にどれだけ伝わるか。そうやって結果が出てしまうことも、ずっと怖かったんです」
“こうしなきゃいけない”みたいな自分で作った壁は
きっとこのアルバムで超えられたと思う
――『やさしい嘘』はこのアルバムの核となる曲やけど、それこそ『Drink me』(M-7)とかには泰葉の新しい部分が出ているし、サビのポップさやサウンド的な仕掛けに一見目はいくけど、やっぱり歌詞を見ていたら…。
「後ろ向きでしょ?(笑)」
――いや、全然そうは思わなくて。“いろんなものを見てしまう”って他のインタビューでも言ってたけど、それこそメジャーには、才能に見合ったポジションを獲得出来ている人もいれば、まだまだ全然知られていない人もいる。結果だったり評価だったり、そういうぐちゃぐちゃなものを飲み込んで、それでも自分はやっていくんだっていう…『パンを齧った美少女』(M-8)とかは、この1年が書かせた曲やなって思うし。いろんなものに憧れても、結局は自分であるしかない、っていう。
「奥さん(=筆者)がいろんなインタビュー見てくれてるから、私は今何を喋っていいか分からなくなってきた(笑)。何を言っても絶対知ってるぞって感じが(笑)。そうなんですよね、本当にその通りで。自分の見たくないものも見てきてしまってたし、そういうときに自分がマスクをかぶって取り繕っちゃうから。当たり前なんですけど、ファンの人はいつ入ってきて、いつ出て行ってもいいもんじゃないですか。小南泰葉はもういいとか飽きたとか、ネットとかに書き込んでも別に悪いことじゃない。音楽を押し付けること自体間違ってるし。でも、やっぱりショックだった時期がずーっとあって、それがすごく表れたのが『パロディス』(M-5)だと思うし、自分を振り切って、人生見つめ直して、私はこういう人生を歩いてきたっていうだけの曲が『パン齧』だし。思ってるからそのまま歌詞にする、でもこんなこと書いたらお母さんが泣いちゃうから、よく分かんない感じにパンキッシュでキャッチーでかわいい曲にしようとか(笑)」
――ふふふ(笑)。
「『Drink me』とかでもそうですけど、私の声ってすごく脆くて細いと思ってるから、アコースティックじゃないとやっぱり届かないんじゃないんだろうかっていう想いが、この1年ずっとあったんですね。フルアルバムだからいろんな実験もしたくて、初めてコーラスを入れたり、絶対自分の声には合わないと思っていたダブル(ボーカルの重ね録り)もガンガンやったし。『パン齧』だって、『世界同時』(M-9、『世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄』)でみんなが“いっせーのーせ”ってライブで掛け声を入れてくれるようになったから、“はい残念”とか“はい再生”の部分はみんなが言ってくれる前提でレコーディングしたり…。こうしたらライブがもっと楽しくなるんじゃないかってところまで考えることが出来たので。いろいろやって失敗したらそれでいいと思うし、“こうしなきゃいけない”みたいな自分で作った壁は、きっとこのアルバムで超えられたと思うんですね。『パン齧』はね、最近ライブでもよく歌ってるんですけど、泣いちゃうんです」
――聴いてくれる人じゃなくて、泰葉が泣いちゃうっていうこと?
「あの子になりたい、自分以外だったらネズミでも蛇でもいっそゴキブリでもいいって…実際に歌うとすごい泣いちゃうんですね。そういうつもりで作ってないのに、やっぱり自分は振り切れなかったんだろうかとか。歌詞の世界に入っちゃうと、超悲しいことをすごいポップに歌い上げてるなと思いますね」
吐いてしまったどうしよう、本当にそのまま生み出してしまった
――『やさしい嘘』とかもそうやけど、曲自体が独立して存在しているというか、それと並立する泰葉との関係性が常にあるような気がする。だから、自分の曲でありながら泣かされたり、励まされたり。なかなか自分の曲にそうされることってないような。
「それってやっぱり、自分の中の怪物=キメラがいると思ってるからなんです。人間って勝手だけど、物をなくしたら神頼みするし、困ったときには“神様ヘルプ”って言っちゃう。キメラは日常生活に必要ないときにも出てきて、やっちゃいけないこともやっちゃう。嘘つくのも約束を破るのも全部キメラのせいって私は言ってるんですけど(笑)、ステージの上では最高の瞬間が欲しくて、キメラに降りてきて欲しいと願うし」
――ずるい(笑)。
「曲は夜中に沸騰した状態で作るから、朝起たら小人が靴を作って置いていくような感覚で、自分はこんなことを考えていたのかと、改めて失望することが多くて。どの曲もキメラという毒を含んでいるとは思うんですけど、その中でもこれ以上はないと思ったのが『怪物の唄』(M-10)で。死にたくなったときには、イラクで日本人が殺害された動画を見たりすることで反面的に生きたいと思ったり、そういうことによってギトギトの世界にある1ミリの光を求めて、生と死の狭間を生きていたというか。朝起きて気付いたらキメラがこの曲を生んでて…やっぱり絶望に満ちていたんですね。どの曲もそうですけど、リリースすることにすごく覚悟がいったし、遺族の人が聴いたら、その友達が聴いたらどう思うだろうとか本当にいろいろ考えたけど、それも私の真実で。私は猫が大好きだけど、ペットショップでウン十万出して猫を買う人もいるし、野良猫を拾う人もいるし、捨てる人もいる。ある国ではお鍋に入れて食べる人もいるし、三味線にする人もいるし、毛皮を剥いでアクセサリーにする人もいる。でも人間という生き物は狩猟から始まってるから、それも人間の本質だから間違いではないとか思ったら、もう右も左も前も後ろも天井すらも、どこにも行けないやって。その“どこへ行こう?”っていう、本当にそのままの気持ちを歌ったのが『怪物の唄』で、こんなに小南泰葉的ソングはないと思っていて。吐いてしまったどうしよう、本当にそのまま生み出してしまったって。すごい自分にショックだったんですけど」
――いい意味での諦めというか、出口や答えはない、見付からないと気付けたことがすごく大きなことというか。こっちから見たら幸せなことでも立場が変われば不幸せというか、自分が幸せになると同時に、それによって不幸になる人もいる。それって乱暴に言っちゃうと仕方がないというか、そこで常に真正面からダメージを受けてたら八方塞がりで動けなくなっちゃう。けど、そういうものも全部ひっくるめて、受け入れて、生きていかなきゃいけないっていう気持ちに泰葉がなれて、それを曲に出来たことがめちゃくちゃ大事だと思ったんよね。
「本当に歌詞をよく聴いてもらって、小南泰葉をよく知ってくれてる人は、この世界って全然キレイじゃないよね、醜いよねって、命って全然尊くないよねって歌ってることにもきっと気付いてもらえると思うし、ちゃんと聴いてもらいたいとは思うんですけど、矢面に立っている以上誤解はされちゃうし、叩かれやすいことを歌っていることも重々承知で。それはこの1年で身に沁みるほど分かったので。自分の負のエネルギーを全部ガソリンに、曲に出来る人間になったらいいなって。やっぱり負で生きていると思います」
私がこの1年間ずっと悩んでたのって、バンドライブなんですね
――ここ1年のライブに関してはどう?
「私がこの1年間ずっと悩んでたのって、バンドライブなんですね。音源は最高のものを作る。みんなはその音源を聴いてライブに来るわけだから期待もするし、やっぱりお金を払って観に来てるから、当然最高のパフォーマンスをすると思ってるじゃないですか。インディーズのときは、ピッチ(音程)がどうとか思ったこともなくて、どうやって今日を楽しもうとか、キメラが出てきてくれるかなぁとかワクワクしながらライブをしてたけど、バンドでのライブ経験がないままメジャーデビューして他のアーティストと一律に並んだとき、自分の能力がついていってない感覚がすごくあって。自己否定もすごいしたし、スタッフがかけてくれる期待値と自分の力が見合ってないんじゃないかって、メジャーデビューしてからずーっと思ってたんですね。歌と声を届けたいだけなのに、でもバンドだとそれが出来なくて、さらに途中でイヤモニ(イヤーモニター)を使うようになってからは、キメラが出てこなくなったんですよ。よりよい環境を作るためにスタッフがどんどん増えていって、ローディーも必ずいて、うちなんかバイオリンとピアノまでいたのに、イベントでこけまくるわけですよ。だから、バンドライブの後は8割1人でホテルに帰って泣く。そうしたら歌を歌うことがすごく辛くなってきて…でもこれって本末転倒だと思ったんですよ。キメラが出てきて欲しい一心でライブしてたのに、イヤモニをした瞬間に生音なんて聴こえない。自分の耳の中にあるのは、のぺーっとした自分の声で、すっごい孤独になったんです。さらに、周りのメンバーを信じないといけないのに、私はひとりぼっちだっていう感覚でライブをしてしまってたから、いろんなチャンスを自分で潰した感もあるんです」
――うんうん。…そんなことが起きてたんやね。
「私の耳の中の環境がいつも違うんで、毎回のライブが運みたいなもんだったんですね。今日はよくありますようにって祈る気持ちでステージに上がってたので、そりゃキメラなんて出てくるわけがなくて。でも、スタッフのみんながそれに気付いてくれたのが嬉しかったし、それで意識がガラッと変わったんですよ。1本1本命懸けで、いつ首を切られても仕方ないみたいな状況だって自分もみんなも自覚してるから、なあなあになっちゃうのは嫌だったので。そこからのバンドライブは楽しくなっていったんですよね」
音楽が一番人が反応してくれて、一番自分を求めてくれる環境だった
そんなことは今までの人生でなかったので
すごく嬉しかったし、命を残したかった
――いざデビューして、いろんな人の期待を背負っていることを感じてのプロ意識…“悔しい”っていう感情はめっちゃ大事やと思ってて。それを自覚することが、インタビューでの発言とか、アルバムに対する作り込みとか、ライブに対する追い込みとかにも出ると思うから。デビューした時点で、実力もキャリアも問答無用でスタートラインには立ってしまうけど、ようやく泰葉もチームもファンのみんなも手を繋いで“行くぞ!”っていう体制が出来た。泰葉は『キメラ』がゴールってよく言うけど、俺はこのアルバムがスタートだと思うよ。
「この世界に入って…自分ってめちゃくちゃ負けず嫌いなんだなって思いました。自分に高得点をつけることも、本当にないし」
――あと、オフィシャルのインタビューでも、“死なないために歌を歌おう”って書いてるけど、“死なないため”の手段=歌って普通は思わない。泰葉には歌があったのは何なんやろうなって。そのアウトプットが何で歌なんやろう?
「歌にたどり着くまでに、いろいろ…やっぱり認められたかったんですね。オーストラリアで空手を教わってその道で生きようと思ってみたり、雀士になれると思ってみたり、その世界に飛び込めば誰かが認めてくれるんじゃないかと思っていろいろやったけど、結局音楽に戻ってきた。自分に可能性を見出すことが出来ず、自分って何てダメな人間なんだってずっと思い込んできたし、そういうのも全部音楽に出てますけど、音楽が一番人が反応してくれて、一番自分を求めてくれる環境だった。そんなことは今までの人生でなかったので、すごく嬉しかったし、命を残したかったし、成し得たいというか。どんな気持ちであれ、どんなに非道であれ、曲に落とし込めたら…どう思われてもいい、曲にするということが全てなんです」
――そうやって生み出された音楽に感動してくれたり、“あのとき泰葉さんの曲を聴いて変わりました”っていう人生を、どこかで歩んでいる人がいると思うとすごいことよね。それも泰葉が歌い続けてきたからこそ導き出された縁で、歌い続けてきたからこそ出会ったお客さんやスタッフだと思うし。大事なアルバムを持ってみんなに会いに行く全国ツアー、楽しみにしてますよ!
「はい! ありがとうございました!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 宮家秀明(フレイム36)
(2013年9月28日更新)
Check
『キメラ』リリース時に行われた
招待制フリーライブ『キメリカルカフェ』
大阪編 at 南堀江ZEROをレポート!
開場前から期待に胸膨らませた観客が長蛇の列を成した南堀江ZERO。この日は1stアルバム『キメラ』のリリースを記念し、期間限定オープンした『キメリカルカフェ』大阪DAY。入口では泰葉がメイドとしてお出迎えし、この日のメニューをお渡し。
おどろおどろしいSEと共に現れ、開口一番「こんばんは、皆さん。トチ狂ったメイド、小南泰葉です」と話す彼女は、黒髪おかっぱパッツンのイメージからかけ離れた、まるでお人形さんのような風体。弾き語りで『怪物の歌』をしっとりとスタートさせたかと思いきや「ごめんやり直していい?」と仕切り直し(笑)。とは言え、彼女の歌声、メロディがまじりっ気なしにダイレクトに突き刺さる弾き語り、いざ歌い始めれば、いやが応にも会場はその特異な世界にグッと引き込まれる。
今回のコンセプトである“狂ったメイド”に
「インディーズの頃から歌っているという『世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄』では、いつの間にか“いっせいのーで”の部分をオーディエンスと歌うのが定番となっていたが、今回の『キメリカルカフェ』の某所では、訪れる回数の少なさもあってか声が上がらなかったことに怯える泰葉(笑)。「地元だし空気読めるよね?」と予防線を引いて始まった同曲では、アコースティックでありながら彼女のロックチューンにおける静かなる破壊力と大いなるポテンシャルを感じさせてくれる。
再びMCでは、自身のライブ時に
この日の会場となったZEROが昔まだ違う名前だった頃、ステージに立った思い出を話す泰葉は、最後に「自分の音楽が始まった場所」で、インディーズの頃から歌い続け、最もリリースを待ち続けた『やさしい嘘』を披露。ドラマティックなピアノの音色に乗せて、ギターを置き1つ1つの言葉に想いを込めて歌う。キメリカルカフェの最後を飾るにふさわしい落涙必至の名曲だ。
「マッドティーパーティ『キメリカルカフェ』にご来場ありがとうございました。お嬢様、ご主人様、いってらっしゃいませ」
鳴り止まない拍手の中、『キメリカルカフェ』が閉店。出口で再びお見送りするなど、最後の最後まで泰葉のおもてなしが伝わる一夜だった。
Release
代表曲から新曲までを網羅した
驚異の1stフルアルバム!
Album
『キメラ』
発売中 3000円
EMI Records Japan
TOCT-29122
<収録曲>
01. 嘘憑きとサルヴァドール
02. 善悪の彼岸
03. やさしい嘘
04. Trash
05. パロディス
06. コウモリの歌
07. Drink me
08. パンを齧った美少女
09. 世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄(キメラver.)
10. 怪物の唄
【ボーナストラック】
11. 藁人形売りの少女
12. Soupy World
Profile
こみなみ・やすは…光と影、善と悪…両極に光をあて本質の輝きを掬った歌詞と、攻撃的なロックチューンから弾き語りまで多様なサウンドが紡ぐ世界観で人を惹き付けるシンガーソングライター。10代より音楽活動を始め、その奇才を潜ませながら、挫折、蒸発、引きこもり、音楽活動を中断。’08年より活動を再開すると、その世界観に早耳のリスナーが次々と引き込まれ、瞬く間に話題を集める。’10年には1stミニアルバム『UNHAPPY BIRTHDAY』を発表。関西を地盤に東京でも精力的にライブ活動を続け、’11年4月には初のワンマンライブ『時計仕掛けのざくろ』を開催。同日より会場限定でシングル『藁人形売りの少女/世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄』をリリース(完売)。夏には『FUJI ROCK FESTIVAL '11』に出演。12月に2ndシングル『Soupy World』を大阪地区のタワーレコード12店舗で発売(完売)。同時に2度目の大阪ワンマン『アポロン○×○デュオニュソス ~Birthday of 12月12日』を開催。’12年2月には、iTunesがその年最も活躍が期待できる新人アーティストを発表する『Japan Sound of 2012』に選出され、全国タワーレコード限定発売の2ndミニアルバム『勧毒懲悪』をリリース。3月より札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡にてリリース記念ライブを開催。5月にメジャー1stミニアルバム『嘘憑キズム』リリース、6月には初のワンマンツアー『嘘憑キスト』を東名阪で開催し、全箇所ソールドアウトに。8月には『SUMMER SONIC 2012 OSAKA』に出演。雷雨でライブが2時間遅れる中、観客を倍増させるパフォーマンスを披露。また『SETSTOCK'12』では、即売アイテムとして2年前から自身で作ってきた藁人形が1000体を達成。9月にはメジャー1stシングル『Trash』をリリース。10月には3年連続となる『MINAMI WHEEL 2012』に出演、ライブ前から会場のBIGCATが入場規制に。12月には2ndミニアルバム『121212』をリリース、『COUNT DOWN JAPAN 2012/13』出演。’13年に2月には東名阪ワンマンツアー『コペルニクス的転回』を開催、再び全箇所ソールドアウトに。5月29日には待望の1stフルアルバム『キメラ』をリリース。9月20日より同作に伴うワンマンツアーを全国七大都市にて開催中である。
小南泰葉 オフィシャルサイト
http://kominamiyasuha.jp/
Live
全国ワンマンツアーも中盤戦へ
地元関西・大阪公演が間もなく開催!
※ツアー来場者全員に、現在制作中の新曲やデモ音源が収録された『chimera egg(孵化待ち盤)』をプレゼント!
Pick Up!!
【大阪公演】
『小南泰葉 全国ワンマンライブツアー「キメラ」』
チケット発売中 Pコード199-597
▼9月29日(日)18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング3300円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※未就学児童は入場不可。
【福岡公演】
チケット発売中 Pコード199-486
▼10月4日(金)19:00
DRUM SON
スタンディング3300円
BEA■092(712)4221
※未就学児入場不可。
【広島公演】
チケット発売中 Pコード200-092
▼10月6日(日)18:00
ナミキジャンクション
オールスタンディング3300円
夢番地広島■082(249)3571
※未就学児童は入場不可。
【東京公演】
チケット発売中 Pコード200-674
▼10月11日(金)19:00
CLUB QUATTRO
スタンディング3300円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。
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Column1
インディーズ時代のシングル『Soupy World』
ワンマン、上京、フジロックetc…
激動の1年を語ったインタビュー!
Column2
'11年4月の訪問時に話題を呼んだ
伝説の(!?)ぴあ関西潜入記!