音楽から生まれる人間の生命力とバンドの哲学を宿した
美しき合唱×ロック×シンフォニー!
摩天楼オペラの2ndアルバム『喝采と激情のグロリア』
苑(vo)とAnzi(g)インタビュー&動画コメントが到着
ロックとシンフォニーを融合させた激しくも美しいサウンドを響かせる5人組バンド、摩天楼オペラの音世界がより深く、多彩で、ドラマティックなものへと進化している。昨年10月に“喝采と激情のグロリア”というテーマを掲げた彼らは、シングル『GLORIA』、『Innovational Symphonia』でクワイヤを起用。“合唱”という手法を取り入れ、よりシンフォニックなサウンドへと足を踏み入れた。その集大成となるのが、3月6日にリリースされたニューアルバム『喝采と激情のグロリア』だ。“グロリア(栄光)”と“合唱”をキーワードに作り上げられた渾身の作品から、彼らの目指す“グロリア(栄光)”を探る――。
苑(vo)とAnzi(g)による動画コメントはコチラ!
――前作『Justice』から1年で、随分サウンドが変わりましたね。
苑(vo)「今回はちょっと特殊で、“合唱”を取り入れたのでだいぶ変わりましたね。前作をリリース以降、僕たちのライブがオーディエンスとぶつかり合うような、人間味溢れるライブになってきていて。その印象を曲にしたいと思ったんですよ。どうやったらそれが出来るかな?って考えたとき、合唱って声の集合体じゃないですか。そういう“人間の力”を表現出来たらいいなって」
――と言うことは、アイデアはライブが発端だと。
苑「でも実は、中学校の頃からこういう合唱のある曲が好きだったんですよ。昔からどこかでやりたいなと思っていたんですけど、これは今だ!って」
――“喝采と激情のグロリア”というテーマはどのタイミングで生まれたんですか?
苑「合唱を取り入れると決めてからですね。『GLORIA』(M-2)が最初に思い浮かんだ曲なんですけど、あのサビが自分の頭の中で出来たとき、ホントに何となく“グロリア”って言葉だけがメロディに乗っかってポッと浮かんだんですよ。そこから同じく先行シングルの『Innovational Symphonia』(M-9)、そして今回のタイトル曲『喝采と激情のグロリア』(M-12)の3部作でストーリーを作って」
――今作はメロディやサウンドがスゴく残るアルバムですよね。壮大なシンフォニックサウンドにボーカルが負けていない。
苑「激しい音楽が好きな人でも、J-POPみたいな聴きやすいメロディが好きな人でも、きっと聴いてもらえるアルバムだと思うんですよね。ボーカルは合唱に負けない存在感で、高いキーでも下のトーンをなるべく出すようにとか、いろいろと考えて歌いましたね。あと、『CAMEL』(M-6)『Merry Drinker』(M-7)みたいなロックな曲では、ちょっと歪みをかけたり、ハスキーにしてみたりして。『Merry Drinker』はAnziの作曲なんですけど、“ライブで歌っているときのような、少し荒々しいハードロックな感じで”とのオーダーだったんで、ノドを痛めつけるように歌いました。頑張ったよね?(笑)」
Anzi(g)「まぁね(笑)。僕はハードロックが好きなので、ニュアンス勝負のボーカリストが大好物で。『Merry Drinker』ではその感じがどうしても欲しかったんで。苑はカラオケが好きで長々6~7時間歌っているんですけど、4~5時間経ったくらいにいい感じにしゃがれてくるんで(笑)、その辺の“ガナリ感”が欲しいなって」
――あと『CAMEL』や『Merry Drinker』には逆に合唱が入っていないですよね?
Anzi「アルバム全編通してそうしてしまうとクドイというか、合唱を聴かせたいところも立たなくなってしまう。スタンダードな曲が入ることによって両方引き立つようにメリハリを付けて。料理でも何でもそうですけど、主役だらけだと逆にどれが主役か分からなくなるじゃないですか。そういうバランスって大事だと思うので」
苑「あと、今回は全員が作曲に参加しているアルバムなんですよね。それがしっかりとまとまったので、みんなの自信になっているんですよ」
――全員の曲が収録されることは、今までなかったんですか?
苑「今までは僕と彩雨(key)が多くて次にAnziくん。たまに燿(b)と悠(ds)って感じですね。今回は合唱が入ったことで新たな摩天楼オペラの一面が出せたし、ちょっと深みが増したというか。バンドが大人になったなって感じます」
Anzi「以前、苑が“前作は無骨だった”と言っていて」
苑「言った! 前作は“ロック少年”みたいな感じというか」
Anzi「僕は今回その無骨さに、アートが加わったと勝手に思っています」
――確かにそれはあるかも!
僕たちがいなくなっても、音楽だけは残していきたい
――あと、曲もさることながら『喝采と激情のグロリア』の歌詞、“ここで生まれて ここで命を落とすの”というフレーズもスゴく印象的でした。
苑「今回の『喝采と激情のグロリア』の中で、一番強く言いたいところですね。死へ向かうのって、どうしても暗いイメージになりがちじゃないですか? でも僕は、今を生きた証があれば、ヘンな話もうこの世からいなくなってもいいっていう考え方なんですね。=全力で生きようっていうメッセージにもなってくるんですけど」
――これまでだったらなかなか出てこなかったテーマですよね。
苑「そうですね。バンドも6年経ってライブも変化してきましたし、音楽への向き合い方がちょっと変わってきたのかもしれないです。歌詞も今までは恋愛モノだったり、映画や小説に影響を受けてその主人公に成り切って書いてみたりっていう感じだったんですけど、やっぱり今音楽をやる理由とか、そういう方向にどんどん意識が向かってますね。僕たちが音楽をやっていることで、少しでも救われている方がいるんだっていう実感は、震災のときに確かにありましたし。そういう経験があったからこそ、今音楽で生と死に向き合っているのかもしれないです」
Anzi「僕は歌詞を書く人間じゃないのでそこまで深く考えることはないですけど、日々全力で“ギターはカッコいいんだ!”って、ギターという楽器をプロモーションしている感じですね(笑)。本来バンドって、ボーカルがいてそれぞれのパートがトゲトゲしく立っていて、音でケンカしているんだけど、5人であれば1×5=5じゃなくて100になるのがバンドだと思うんですよ。それぞれがぶつかって、訳の分からないエネルギーが生まれる。そういうオモシロさを全力で訴えかけていきたいというか、そうしたらバンドシーンが盛り返してくると思うんですよ。どこかでアナログな行為が一番人の心を揺さぶるんだっていうことに気付くと思います。やっぱりファンレターの手書きは嬉しいですもん。人となりが見えるし、“この子、切手を貼ってポストに投函しているんだ!”っていう絵を思い浮かべたら、キュンとしちゃうんですよ(笑)」
――あと、今回のアルバムの特設ページにある、“経験した過去から未来への希望を描いた物語です”っていう一文も気になったのですが。
苑「僕個人の話で言うと、X JAPANに出逢ってバンドを始めて、ちゃんと自分たちでライブが出来るようになって、CDが出せるようになって…っていうこの道筋が最終的に栄光にたどり着くのであれば、その後に僕たちがいなくなっても、音楽だけは残していきたい。そういう未来への望みみたいな感じですね。やっぱり僕たちが今栄光が何だと言ってもよく分からないと思うんですよ。それが東京ドームでライブが出来たからなのか、100万枚売れたからなのかは分からないですけど、周りからの評価が得られたときこそが栄光だと思います」
Anzi「僕はどっちかと言うと、僕らがこの世からいなくなるときは必ず訪れる。でも、僕らの産み落とした音楽がその先も愛されていたなら、それが栄光なんじゃないかって思いますね。現状チャートで1位の売れているアーティストがいたとして、100年後にその音楽が聴かれているかどうかは分からないじゃないですか。でも、例えばバッハやモーツァルトは、この先何年経ってもずっと聴かれると思うんですよ。時代に関係なく、ずっと教科書に載っているような存在。それが僕の目指す栄光かなと。昨今のエンタテインメントと言われる芸能全般の傾向で、いわゆる一発屋が当たり前になってきて、その瞬間のインパクト勝負でその時代のその年は輝いていたけど、ポッと出てポッと消えるのが繰り返されている。ただ、本当にいいものは絶対に残ると思うし、僕はダウンタウンさんの大ファンなんですけど、ダウンタウンさんはいつまで経っても、“あの時代にこういうお笑いコンビがいたんだ”っていう影響力が続くと思うんですよね。それだけのインパクトと実力を兼ね備えている方なので。僕らもお笑いで言うとダウンタウンのようなバンドになりたいんです(笑)」
摩天楼ってそこに人がいるから輝いているわけじゃないですか
その命を輝かせている一員なんだって感じてくれたら嬉しい
――このアルバムを通じて何を感じで欲しいですか?
苑「やっぱり人は1人で生きているんじゃないってことですね。摩天楼ってそこに人がいるから輝いているわけじゃないですか。その命を輝かせている一員なんだって感じてくれたら嬉しいです。ライブで同じメロディ、同じ歌詞をその場のみんなで歌えば、1人じゃないって思えるじゃないですか」
Anzi「音楽の聴き方は人それぞれで、僕は洋楽を聴いて育っているので、正直歌詞とかの意味を調べたりしないんですよね。音で気持ちいいかどうかを判断してきた人間なので。今作は、そういう判断をしてもらっても全然楽しんでもらえるアルバムだと思うし、そこからどういうことを歌っているんだろう?って掘り下げてもらっていいと思う。本当に好きなように楽しんでもらえたらって思います」
――このアルバムのツアーもいよいよスタートしています。
Anzi「このタイミングで僕らを知る方もたくさんいると思うんですけど、ツアータイトルの『GLORIA TOUR -scene III-』っていうのを見て、“あれ? I、IIがあったんだ? 私出遅れた?”みたいに思わなくても大丈夫なので(笑)。どこから来てもしっかり楽しんで帰ってもらえるライブをしますので、観に来て頂けたら嬉しいですね」
――合唱出来る曲もありますし、ライブでも歌う方が増えそうですね。
Anzi「僕らは早い段階で海外ツアーを経験して、そこで無条件にお客さんが歌を覚えていて、好きなようにノって歌いたいときに歌うのを体験したんですよね。海外のアーティストのライブを観ていてもそんな感じでカッコいいなぁって思うので、あんまりノリを強要したくないんですよ。日本のシーンってしっかり曲を聴いてくれるというか、いわゆるマナーが良いので逆におとなしかったりするんですよね。だから、むしろライブ中に歌いたかったら歌ってもいいんだよっていう意志表示のために、先行シングルで『GLORIA』を出しておいたんで。その効果もあって、今では他の曲だったりでも歌う人がチラホラ出てきたりして。最近、ロックなライブが出来てるな~って感じですね」
――最後に、そのライブに向けた意気込みをお願いします。
苑「一連の『GLORIA TOUR』を始めて、ライブ中に笑顔になる瞬間がスゴい増えてきていて。僕とかもう序盤で嬉しくて緩んじゃっているくらい(笑)。カッチリ決める曲とかもあるんで、ちょっと気を付けなきゃいけないなって。たまーに緩んじゃって、楽しい~!!って(笑)」
Anzi「彼の悪いクセなんですよ(笑)」
――メンバーの楽しい気持ちも伝わっているのかもしれませんね。
苑「そうかもしれないですね。今は単純に音楽が楽しい! バンドが楽しい!って思えるライブなので。最後にお客さんもメンバーもバンザイして笑顔みたいな、そういう嬉しい変化が起きているので当日はきっと楽しいでしょうし、幸せな気分になると思うのでぜひ遊びに来て欲しいです」
Anzi「6月8日(土)Zepp Tokyoでツアーはグランドフィナーレを迎えますけど、そこで俺たちが終わりなのかって言ったらそうじゃなくて。もっと広い会場でこのライブを見たら、どういう景色とか感動が生まれるのかな?って、そういう妄想をお客さんが抱いてくれるようなライブが出来たらいいなと思ってます。今、ニコニコ動画の方で番組をやらせて頂いてるんですけど、以前ライブ映像を抜粋して流したときに、“このライブを武道館で見てみたい、ドームで見てみたい”っていうコメントが結構あったんですよ。そういう風に想像して頂けるのはスゴく嬉しいし、この先が見える、明るい未来が見えるライブにしたいですね」
Text by 金子裕希
(2013年4月27日更新)
Check
Release
ジャンルを越え支持され始めた躍進作
合唱を取り入れた2ndアルバム完成!
Album
『喝采と激情のグロリア』
発売中 2800円
キングレコード
KICS-1883
【初回プレス盤】
※アナザージャケット1種ランダム封入(全5種)
※特殊パッケージ仕様
<収録曲>
01. -overture-
02. GLORIA
03. Plastic Lover
04. 悪魔の翼
05. Freesia
06. CAMEL
07. Merry Drinker
08. SWORD
09. Innovational Symphonia
10. 永遠のブルー
11. Midnight Fanfare
12. 喝采と激情のグロリア
【通常盤】
<収録曲>
同上
Profile
まてんろうオペラ…写真左より、彩雨(key)、悠(ds)、苑(vo)、燿(b)、Anzi(g)。’07年に苑と悠を中心に結成され、同年12月より現メンバーで活動を開始。翌年には、日本国内ツアー前にヨーロッパツアーを大成功に収め、ミニアルバム『GILIA』を日本とヨーロッパで同時リリースするなど、大きな飛躍を果たした。その後もコンスタントに作品のリリースとライブ活動を重ね、結成3年目の’10年12月にリリースされたミニアルバム『Abyss』でメジャーデビュー。昨年10月からは“喝采と激情のグロリア”というテーマのもと、2枚のシングルを経て今年3月6日にはメジャー2ndアルバム『喝采と激情のグロリア』をリリース。また、昨年9月からは、地上波バラエティ並のクオリティで送る初の冠番組『摩天楼オペラdeナイト』がニコニコ生放送でスタート。ギターバトルにロケ企画など、サウンドとのギャップ、メンバーの素顔が楽しめる内容は一見の価値アリだ。
摩天楼オペラ オフィシャルサイト
http://matenrou-opera.jp/
Live
人気上昇中の5人が向かうツアー
注目の関西公演は毎月開催!
『GLORIA TOUR –scene Ⅲ-』
チケット発売中 Pコード190-713
▼4月28日(日)17:30
umeda AKASO
▼5月31日(金)19:00
神戸VARIT.
▼6月1日(土)17:30
京都MOJO
オールスタンディング3675円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※3歳以上は有料。
チケットの購入はコチラ!
Column
闇を切り裂く重低音の
ロックシンフォニー!
人にとっての正義とは?
バンドのヒーロー像とは?
前作『Justice』インタビュー