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痛みに光を灯せ――
音楽に生かされ、音楽と生きていく
結成から2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』までの道のりを語る
KIDSロングインタビュー&動画コメント

 昨年3月に1stミニアルバム『LとL』でメジャーデビュー。奥野(vo&g)が描くどこか陰を帯びた歌声、切なくも儚いメロディと詞世界、バンドサウンドをドライヴさせるライブで培われた確かなパフォーマンス。奈良から着実にその名を全国へと知らしめるロックバンド・KIDSが、昨年11月リリースの2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』を経て、デビューからちょうど1年後となる3月7日(木)、心斎橋BIGCATにて自身最大のワンマンライブをいよいよ開催する。そこでその大いなる挑戦に向け、バンド結成から最新作『奇跡の軌跡』に至るまで、運命に導かれた4人の歩みをたどるインタビューをお届け。疾走感溢れるロックチューンから刹那のダンスナンバー、ピュアな感動を呼ぶ美しいバラードetc、『奇跡の軌跡』に装填された6発の弾丸は、あなたの胸を貫くのに十分なポテンシャルを秘めている。リラックスした空気の中で、バンドのヒストリーと変化、そして未来を語った、KIDSロングインタビュー。出会いと別れが、このバンドを前に進ませる。

メンバー勢揃いのKIDSからの動画コメント!

――何か、片貝くん外人っぽいですね。

 
片貝(ds)「たまに言われます。僕の住んでるところの 向かいにインド料理屋が出来て、その店長さんが会う度にやたら優しく微笑んでくれるんですよ。同じ出稼ぎ組やと思われてるのかなぁと(笑)。分かるで~みたいな感じでめちゃ優しい笑顔くれるんで、僕も返すんですけど(笑)」
 
――ちなみに今回の2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』のプロデューサーでもある、森山(公一)さんから事前に聞いていたメンバーの印象は、奥野(vo&g)くんは“何か持っとるぞアイツは”(笑)。
 
植田(g)「ざっくりしてるなぁ(笑)」
 
――で、藤村(b)くんは“男前やけどそれを活かし切れてない”。
 
片貝「間違いない!(笑)」
 
植田「的確や!」
 
――で、植田くんは“アイツと下衆い話してるときめっちゃ楽しいねん”。
 
(一同笑)
 
――で、片貝くんは、“何かヤラしいことしたそうやのに、周りから止められてそう”って言ってました(笑)。
 
片貝「ちょっとちょっとぉ~!!(笑)」
 
(一同爆笑)
 
片貝「うーわ! 怖ぁ~(笑)」
 
――っていう分析を受けてたんですが(笑)、昨年11月に『奇跡の軌跡』が出て、しばらく経ちましたけど反応はいかがです?
 
奥野「とりあえず1stミニアルバム『LとL』のときよりも反応が良くて。そこを最初のハードルとして思ってたんで、ちょっと安心してます。自信のある作品が出来たし、それがちゃんと伝わってることがまた自信になって次につながると思うんで。モチベーションはスゴい上がってますね」
 
片貝「今回はよりバンド感が出るようにレコーディングの仕方もガラッと変えて。一斉に同じブースに入ってドン!って録ったりしたんで、自分らしさとか、ライブバンドとしてのKIDSの音が収録されてると思うし、納得いく作品にはなってますね。だからそれがお客さんにも伝わったのかも」
 
藤村「前作で悔しい想いをして出来なかったことにもいっぱいチャレンジ出来て。出来ることは詰め込められたし、それでまた次が見えてくる。次につながる作品になったなと」
 
――前作では出来なくて悔しかったこと、そして今回は出来たことって何なんですか?
 
藤村「前作はレコーディングの時間がなさ過ぎて。ないなりに出来ることはあったんですけど、もっと出来たのになって思うこともあったし、ちょっとしたわだかまりみたいなんもあって。今回はそれを全部乗り越えた上で、また新しいレコーディングの方法も試して、話し合いとかも結構出来たんで」
 
――前作はメジャーデビューの喧騒感みたいなものもありますからね。
 
植田「結構バタバタしてたもんなぁ」
 
片貝「あんまり実感が湧かんかった、最初」
 
――でも久々に関西で、ちゃんと地道にやってきたバンドがデビューした気がしましたね。
 
全員「ありがとうございます!」
 
片貝「今の言葉が何よりも嬉しいです」
 
奥野「1番変わったんはやっぱ覚悟というか。バンドに対して、音楽に対しての姿勢やったり、今までボンヤリと見てた自分の未来予想図の1番上にやっぱ音楽があるようになったんで、それが1番大っきいですかね。それにつながって全部が変わってきてる。CD出すことに対しての責任感、ライブ、普段の生活からも、やっぱりバンドが1番にある生活になったんで。前作のツアーの最後ぐらいからもう制作に入って、前作の反省会みたいなのもちゃんとして、悪かったところは非を認めて、しっかり話し合い出来たので。そういうのをちゃんと解いていく時間がありました」
 
――思ったよりもいろいろあったんですね、1stのときは。
 
片貝「何でやねーん! って何回言ったか分からないです(笑)」
 
奥野「ありましたねぇ(苦笑)。ホンマに全てのことが急に決まったんで。時間に追われたら精神的にも細くなってしまって。でも、今作に向かう中で出したい曲もたくさんあったんで、こっちからちょっとプレゼンというか、“配信じゃなくて次もミニアルバムでいきたいんですよね”とか、“夏にイェー!って言えるバンドじゃないんで、秋ぐらいに出しましょう”とか(笑)」
 
片貝「(奥野)涼がホンマにちゃんと大人の人にキチンとプレゼンしてくれましたねぇ」
 
――シッカリしてますよね。話してても23歳とかの感じがしない。めっちゃ落ち着いてるし。
 
奥野「ホンマですか!? ありがとうございます(照)。でも、普段は6歳ぐらいです(笑)。機材車乗ったらマズいかもしれないです」
 
――スイッチオフになる(笑)。
 
藤村「出来るだけ見せたくないです(笑)」
 
片貝「全然違いますねぇ(笑)」
 
 
今までバンドとして生きてきたことを伝えたかった
 
 
――今作の内容的に何かテーマはあったんですか?
 
奥野「タイトルにも関わってくるんですけど、デビューしたからといって全然変わってへん部分もあるし、変わっちゃいけない部分もある。今までバンドとして生きてきたことを伝えたかったのもあって、新旧問わずいろんな曲が幅広く入ってるんで、バランスはスゴいよくなって。ただの歌モノっていうよりも、昔やってたパンクの要素は逆に武器やったりもするし、昔から今まで自分らが歩いて来て見つけたモノを、結構いろんなところに入れましたね」
 
――KIDSはメロコアからスタートしたのに歌モノバンドになっていったのは、スゴくおもしろいですよね。
 
奥野「ですよね(笑)」
 
――メロコアと歌モノってメロディの良さとかエモーショナルな部分で通じるところはありますもんね。まあそれが言ったらKIDSの貯蓄じゃないけど。
 
奥野「僕らの中ではメロコア=ライブ、ライブがカッコ良かったら=いいバンドっていうイメージやったんですよ。どんだけ盛り上がるか、みたいな。そういうところから入ってるんで、そういう経験をしてない歌モノバンドよりもお客さんとぶつかり合うことは得意かもしれない。それは結構強みというか、メロコアやっててよかったなぁって思える、少ない理由の1つです(笑)」
 
(一同笑)
 
――多くはない(笑)。
 
奥野「どっちかって言ったらもうちょっと早く歌モンやったらよかったなぁって(笑)」
 
藤村「まぁ打ち上げは鍛えられたよな」
 
片貝「あと、あういう場が好きなんですよね。僕らはデモ音源出してツアーにも行ってたんですけど、やっぱその打ち上げ大事にしてて。どこに行ってもその場を楽しませたいし、逆にめっちゃ飲む人がいたら負けたくないなっていう(笑)。富山に仲良いバンドがいるんですけど、そいつらと会ったら絶対日本酒が出て来て、もう記憶飛ぶまで飲むんで。富山行く前はちょっと身体作っていかなあかん」
 
――ツアーに向けての調整がどんなベクトルやねん(笑)。
 
片貝「ホンマ酷いですよ、富山帰りは(笑)」
 
 
ちょっとした不倫関係みたいな(笑)
 
 
――あと、ぴあ関西版WEB初登場ということでさかのぼって聞いておきたいんですけど、そもそも最初に出会ったときってどういう関係性だったんですか?
 
奥野「僕と藤村が高校一緒なんですよ。僕らが3年生を送る会のときに組んだバンドと、(藤村)倫も同じようなバンドを組んでて、一緒に郊外のライブハウスに出演したときに植田に出会った感じですね。植田も同い年っていうこともあってすぐに仲良くなって、それぞれ違うバンドのリーダーやったんで、大っきく言えば同じような」
 
藤村「バンドでぶつかり合ってた意見とか、悩みとかも相談して」
 
奥野「リーダーならではのね(笑)」
 
――率いてたんや、みんなそれぞれのバンドを。
 
奥野「そうなんですよ。3人で大阪の十三峠に行って、夜景見ながら頑張ろうなぁ、絶対天下取ろうぜみたいな感じで話をしてて(笑)。ずっと仲良くて、常にその3人はいるみたいな。ライブのときは、お互い観に行ったりスタッフしたりみたいな関係でしたね。で、片貝もそこにフッといるみたいな。でも、コイツがあんまバンドやってなかったんですよ。バンドしてないのにその場にいる、オモロいけどドラムをやってるみたいな不思議なヤツやったんですよ」
 
片貝「この3人をずっと見てたんで、僕もそうなれたらいいなぁと思っとったんですよ。でも、高校卒業ぐらいのときに組んでたバンドが解散しちゃって。もうバンド出来へんのかなと思っとったら、(奥野)涼が声を掛けてくれて」
 
――じゃあまあメンバーが抜ける度に、1人2人入れ替わって集ってきて。
 
奥野「でもギターに関しては、(植田)隼人だけは特殊でした。ずっと隼人のギターが好きで、隼人がKIDSに入るねんやったら俺はギター持たんと、ピンボーカルでもいいって思えるぐらいやったんで。ギターが抜けたから隼人を誘ったんじゃなくて、ギターがいる時点から、ずっと隼人に入ってって言ってたから」
 
植田「逆に僕も前のバンド組んでるときから、ずっと一緒にはしたいなぁと思ってて」
 
奥野「ちょっとした不倫関係みたいな(笑)」
 
――ホンマやなぁ(笑)。
 
植田「だからもう僕のバンドが解散したその日にKIDSに入りましたからね(笑)」
 
奥野「僕のところのギターもそのときの彼女と結婚するかも、就職するかもみたいなのも同時に重なってて、隼人んとこのドラムは、就活みたいな。お互いのバンドが先行き不安やったんで、隼人が入ることによって、全部が上手くまとまって。全然後味悪い感じやなかったんですけど。次にうちのドラムも辞めるってなって、誰呼ぼうかぁってなって考えてたら、何かダンボ(=片貝)が頭ん中に浮かんで。そんときにはもう何かね、上手さよりも雰囲気やったりオモロさ基準やったんで(笑)。でも、ダンボに1回振られたんですよ」
 
――えっ…!? マジで!?
 
片貝「そうなんですよぉ(笑)」
 
奥野「俺もまさかと思って。だって今バンドやってないやん!って(笑)」
 
――何で断ったんですか?
 
片貝「そのとき実はもう1バンドから誘われとって、そのバンドは幼なじみの子らがやっとったんで、そっちでやろうかってなったんですよ。でも、“サポートでもいいから来てくれ”って言ってくれて…」
 
奥野「結構ムカッてくるところもあったんですけど(笑)、とりあえずここでガチで言ったら逃げられると思ったんで、“楽しくやろうや”と。とりあえず自分の範囲内にコイツを入れて、様子を見てたんですよ。ある日、雨の日にコンビニの前で2人で煙草吸ってたんですよね。ほなダンボが“俺、もう1個のバンドあかんくなったわ。KIDSに呼ばれてなかったらまた1人になってたわぁ”ってウルウルし出して、こっちはキター!って(笑)。そこから正規メンバーになって。隼人の後に結構すぐ入ったんですよ」
 
――でも藤村くんからしたら、そうやって盟友関係のバンドのリーダーたちが集まって、バンドやってて楽しそうって何か複雑じゃないですか?
 
藤村「ていうかその全部のタイミングに僕もいてたんです(笑)。ドラムが抜けたときも1回誘われてるんですよ」
 
――そうか! 元々ドラムやもんね。
 
藤村「でも、もうバンドはやらんつもりやったんで。やらへんやらへんみたいな」
 
片貝「よかった~! そんなことあったんかマジで…」
 
奥野「アハハハハ!(笑)」
 
――そこで藤村くんが入ってたら…。
 
片貝「俺、今頃公務員なってたわぁ~」
 
(一同爆笑)
 
――じゃあ藤村くんは初め、もうステージに立つ側じゃなくてもいいかなぁっていう感じやった?
 
藤村「音楽はやりたかったから、ツアーとかも自分のバンドを辞めてから着いて行ってましたけど」
 
奥野「運転手でな(笑)」
 
藤村「何してたんやろ?って今思いましたけど(笑)。メンバーおらんから出来ひんわって諦めて1回辞めました。もうピタッと」
 
奥野「就職する言うてたもんな」
 
――最終的にKIDSに入ったのは? しかもベースで。
 
奥野「ホンマ仲良過ぎるんですけど、バイト先も一緒やったんですよ。植田は昼間の仕事もやってたんでたまになんですけど、僕は名ばかりの店長をそのとき任されてて、一緒にラスト作業をやってて。前のベースが流石に長男やし、家のこともあるし家庭の事情で辞めるってなってどうしようかなぁと思ってて、トモ(藤村)にその話をしたんですよ、洗い物しながら(笑)。“誰かベースおらんかなぁ?”って。結構トモは素直じゃないというか頑固なんで、あんまり正面から行ってもよくないと思ったんで。それを仕切りに言ってたら、トモが“ベースって4弦のヤツやんな?”みたいなテンションになってきて」
 
――知ってるやろ自分(笑)。
 
奥野「“ギターより簡単やで”みたいな話してたら、“KIDSの曲ってルート弾きばっかやから簡単なん?”“やってみる?”って、その日そのまま俺ん家に泊まって、曲流してコード教えて、褒めちぎって。“そんなに初めから弾けるヤツおらん!”って(笑)」
 
(一同笑)
 
藤村「全部コイツの掌の上で転がされたんです。策士にやられた(笑)」
 
――ホンマやねぇ(笑)。
 
藤村「しかも“俺が教えるから”とか言って全く教えへん」
 
片貝「あと、“しばらくライブせーへんから”って言うてたのに、1~2ヵ月で速攻」
 
奥野「大阪でライブ(笑)」
 
藤村「騙された…今思えばよかったと思うんですけどね。やっぱすぐにライブを経験したんは絶対プラスになってると思うし」
 
奥野「イケると思ってん、お前やったら」
 
 
『四季』がなかったら、こういうミニアルバムにはなってなかった
 
 
――今回の『奇跡の軌跡』の成り立ちを聞いていきたんですが、『四季』(M-3)がキッカケになって始まったと。
 
奥野「いい曲って考え過ぎずに結構すぐ出来るじゃないですか。コレは完全に次のエースになるなぁと思って歌詞を書き始めたんですけど、メロディに対してめっちゃ“痛み”を感じたんで、それをもっと出したいなぁと思って、初めて女性目線で書いて。ベタなんですけど、最初は1枚で四季を感じられるようなものを作りたかったんですけど、そこはいろいろ話し合って変わっていったんですよね。でも『四季』がなかったら、こういうミニアルバムにはなってなかったなぁと。いいキッカケにはなりましたね」
 
植田「イントロもすぐパッて出てきたし」
 
奥野「あのリフが出来て、やろかって」
 
――やっぱり不倫関係でもバンドに入って欲しいと思うギタリストだけあって(笑)、ギターが肝になってる曲が多いですよね。『ミラーボール』(M-2)に関しても、やっぱりあのリフが楽曲を1ランク上げてるというか、ただの切ないダンスチューンじゃなくて、ギターが描いてる絵から伝わるモノがスゴく大きいというか。
 
奥野「ジャムって出来る曲は、基本リフ聴いてイメージするんですよ。やっぱリフで世界変えてくれるというか、曲の雰囲気が見られるんで。いいリフですね、彼の」
 
植田「ありがとうございます!(照)」
 
(一同笑)
 
――どの楽曲も1曲1曲に独立して物語があるし、あとは“君と僕”の歌というか。あなたという言葉がスゴく出て来るし、書く上でも意識しているところなのかと。
 
奥野「デモ音源のレコーディングのときに、エンジニアさんにそれを指摘されたことがあって。言われてみればと、そこから使わない曲も作ってみたんですけど、どうしてもエゴっぽくなってしまって、バンドでやる意味ないなぁって。メンバーがいるからバンドが出来てるし、聴いてくれる人がいるから、その人を君、歌うのは僕っていう関係は崩したくなかったんですよ。伝えたい人がいるから“君と僕”が出てくると思うんですよ」
 
――他のインタビューでも、「エゴだけで曲を書いてはいけない」みたいなことをよく言うてますよね。
 
奥野「専門学校時代にボーカルの授業を受けてて、みんなの前でカバー曲を発表するみたいな機会があって。そのときに先生に全然感情が入ってないって言われて。でも僕からしたら入るわけないやん、俺が書いてないしって。それでその授業がスッゴイ嫌いになって(笑)。バンドでやるときに、自分のこうこうこうだ!っていう想いを全部歌詞にしてみんなに弾いてもらっても、結局俺にしか伝えられないと思うんですよ。でも、ちゃんと全員が共有出来る、なるほどなって思う言葉が1つでもあればみんなで伝えることが出来るし、KIDSの音になると思うんですよね。そういう面で今回『ヒーロー』(M-5)も超個人的に書いたんですけど、それぞれ仲良い友達がおるから出来た曲やし」
 
――俺は結構ね、エゴも好きなんですよ。スゴく個人的な思い出を歌ってくれてもいい。そこに鈴木が出て来ても、聴く人にとっての佐藤や山田に置き換えると思うし。それよりも、腹を割って伝えてくれたことに対して、粋を感じるというか。
 
奥野「自分1人のときは、極論言ったら佐藤1人のために歌うってくらいの方が好きなんですよ。でも、バンドでやるなら、せっかく同じ空間にいて、同じ時間を過ごして、同じ苦労をしてるんやったら、4人が1つのメッセージを伝えた方がパワーは強い。歌詞を作ってるんで中心に僕がいるのはもちろんなんですけど、それを後ろでちゃんと支えてくれてなかったら、バンドとして成り立たないんで。俺が伝えてみんなは演奏してるだけなら、KIDSじゃなくて奥野涼バンドでいい。それはイヤやったんで」
 
片貝「どの曲も自分の中にホンマにスッと入ってくるし、涼が作ってきて、涼の気持ちを歌ってるはずなのに、僕もめっちゃ分かってる。多分メンバー全員そうやと思うんです。だから僕は自分のバンドの曲がスゴい好きですね」
 
 
アイツの夢でもあった音楽を、ちゃんと背負って叶えていきたい
 
 
――あと、全体を通じて強烈な喪失感みたいなモノがある。多分それが音楽をやる1つの原動力でもあると思うんですけど、コレはいったい何なのかなって。
 
奥野「1番大っきいのは『祈り』(M-6)で。あんだけ言っといてアレですけど、この曲は1人のために書いたんです。後輩が交通事故で亡くなったんですけど、バンド間でスゴいかわいがってたというか、スゴい懐いてくれてたんですよ。彼のバンドが1回休止して、また活動再開して、僕らのイベントで一緒にライブしたんです。その2日後に交通事故で亡くなって。打ち上げで“今まで休止してたけど、コレからホンマに頑張ってKIDSの背中追って行くんで!”みたいな話をしてたのに…何かスゴいやるせなくて、いろんな感情が出てきて、当たり前のことなんですけど生きてる幸せも感じたし、もっと言ったら音楽が出来る幸せを感じた。アイツの夢でもあった音楽を、ちゃんと背負って叶えていきたいなって。『film』(M-1)でもそうですよ。ちょいちょいろんな曲でヤツが出て来ますね」
 
――そう考えたら、KIDSが活動していくことで、そいつが曲を書かせてくれてる。
 
奥野「そうです! その部分はありますね」
 
片貝「『祈り』は不思議な曲なんですよ。もちろんむっちゃ特別な曲で、デビューのキッカケになったのもこの曲で。なかなかライブとかでもやらなかったんですけど、このタイミングでこの大事な曲を出せたんは、スゴいよかったなぁと思います」
 
奥野「(リリースと)命日が近かったのもあるし、このことがキッカケでまた本気で音楽やろうと思ったんで。その奇跡の“軌跡”で1番大事な部分やったんで、今回は入れようって」
 
――だからか、今作は全6曲やけどしっかり重みのあるアルバムやなぁって。
 
奥野「自信を持って“コレがKIDSです!”とか、知らん人に“俺こういうバンドやってます!”ってちゃんと胸張って言えるような、今の自分らの全てが『奇跡の軌跡』ではホンマに出せたなぁって思います。例えば今こうやってお話しさせてもらってること、いろんなライブに行ってお客さんと会える奇跡に出会わせてくれたのは、その軌跡があってのことで。今までは奇跡ばっかり見がちだったんですけど、それは今まで生きて来たから、出会ってくれた人がいるから起こったわけやから。どっちにも感謝せなあかんなぁって。コレを聴いてくれるお客さんと僕らにとっての軌跡になればいいなと思いますし、これからもずっとお願いしますって。そういう意味でもこのタイトルが1番しっくりきましたね」
 
――ちなみにKIDSっていうバンド名もなかなかのシンプルさというか。割とよくある名前であり、なかなかバンド名にはしないような気もするし。これはどういう由来で?
 
奥野「3年生を送る会とか文化祭に出るためにバンドを組んで、パンフレットに載せるからとりあえず名前を決めてくれって言われて。僕がKって文字の形がカッコいいと思ってたのもあって。Krevaさんとか、KICK THE CAN CREWさんとかが好きで、それでKが好きなんもあるんですけど(笑)」
 
――どんだけK好きなん(笑)。そんなフェチある!? このKの斜めの角度、めっちゃいいわ~とか?
 
(一同爆笑)
 
――初めてやわ、そんなKに対して思いある人(笑)。
 
奥野「あと、山本“KID”徳郁選手も当時MAX強くて。でも、僕ら高校生ながらちょっと肖像権を気にして(笑)」
 
(一同笑)
 
奥野「KIDはまんま過ぎるし、バレたらマズいなぁって。KIDSやったらベタでいいんちゃうん? 覚えやすいし書きやすいしって、ノリでここまで来てしまいましたね(笑)」
 
 
越えやなアカン壁が遂に来てしまった(笑)
 
 
――今回のアルバムが出て、心斎橋BIGCATでワンマンライブも決まってます。これも1つの挑戦ではありますけど、ここに向けてはどうです?
 
奥野「めっちゃ必死こいて頑張ってるとこなんですけど、結構いろんなことを経験出来たこの1年やったから、確実に成長は出来てると思うんですよ。だからキャパも倍にして…でも行ける気がしたんです。この成長した姿を、この1年をちゃんと見せたいなぁっていうのはスゴいある。一生懸命にやったら必然的に見せられるとは思うんですけど、それ以上のモンを見せたいなぁっていう気持ちで今はイッパイですね」
 
植田「こんなに早くやるとは思ってなかった、正直(笑)。まぁでも自分らの今の位置というか実力を試せるときやと思うんで」
 
藤村「ビビってますけど、やっぱチャレンジですよね。越えやなアカン壁が遂に来てしまった(笑)。でも、そこがあるからその先が見えるんで。やるっきゃねぇって感じっすね。1年前のワンマンに来てくれたお客さんはもちろん、新しいお客さんも両方楽しませるミニアルバムを2枚出してきたんで。今まで出会った人をみんな楽しませてやろうと思います」
 
片貝「やっぱりいろいろ言われるんですよ。“BIGCATなんてヤバない? いけんの!?”みたいな。だから逆に燃えますよね。だって出来たらめっちゃカッコいいじゃないですか。ホンマにKIDSを大事にしてくれてるお客さんがイッパイ来てくれそうなんで、この1日は死ぬほど楽しませたろうと思ってるんです。いつものライブじゃない感じの演出とかもちろんあるでしょうし。何かええ感じに書いといてください!(笑)」
 
(一同笑)
 
――成功を祈ってますよ! 本日はありがとうございました!
 
全員「ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2013年3月 6日更新)


Check

Release

様々なサウンドと物語が見事に成立
グッドメロディが詰まった全6曲

Mini Album
『奇跡の軌跡』
発売中 1800円
YOSHIMOTO R and C co.,LTD.
YRCN-95196

<収録曲>
1. film
2. ミラーボール
3. 四季
4. 流星群
5. ヒーロー
6. 祈り

Profile

キッズ…写真左より植田隼人(g)、片貝直也(ds)、奥野涼(vo&g)、藤村倫(b)。奈良県出身、平均年齢23歳の4人組ロックバンド。’06年、奥野涼を中心に結成。メンバーチェンジを経て’10年現編成に。『OSM High School MUSIC CAMP』『K.U.ROCK FEVER』など数々のオーディションイベントに出場し実績を残す。自主制作の音源を手に精力的に全国ツアーを回り、’12年3月、メジャー1stミニアルバム『LとL』をリリース。収録楽曲のほとんどにテレビ番組や映画のタイアップが決定するなど楽曲の評価も高く、デビュー日にOSAKA MUSEで行ったワンマンライブのチケットは完売。’12年は『SUMMER SONIC 2012 OSAKA』『SHIBUYA LIVE RALLY』『SAKAE SP-RING』『見放題』『KANSAI LOVERS』『MINAMI WHEEL』など数々のフェスティバルやイベントへ出演。11月7日には待望の2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』をリリース。’13年3月7日には、デビュー1周年を記念したワンマンライブを大阪・心斎橋BIGCATにて開催する。

KIDS オフィシャルサイト
http://www.kids-official.com/


Live

挑戦の過去最大ワンマンをはじめ
関西でのイベント出演も続々!

Pick Up!!

『ワンマンライブ“奇跡の軌跡”』

チケット発売中 Pコード184-191
▼3月7日(木)19:00
心斎橋BIGCAT
オールスタンディング2000円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで同時入場可)。

チケットの購入はコチラ!
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『ダイナマイトライブ! in OSAKA Vol.3』
チケット発売中 Pコード194-984
▼3月15日(金)19:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング3000円
[出演]カミナリグモ/KIDS/THE BOHEMIANS
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで同時入場可)。

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『ガリゲル音楽祭 「おとあい2」』
Thank you, Sold Out!!
▼3月23日(土)17:00
なんばHatch
1Fスタンディング2500円
2F指定席2800円
[出演]かりゆし58/九州男/忘れらんねえよ/back number/KIDS/他
GREENS■06(6882)1224
※小学生以上は有料。1Fスタンディングは、小学生未満は入場不可。2F指定席は、未就学児童でもお席が必要な場合は有料。

『宇宙フェス』
チケット発売中 Pコード193-382
▼4月20日(土)昼12:30
服部緑地野外音楽堂
自由/一般-2000円 自由/学割-1000円
[出演]ココロオークション/PURPLE HUMPTY/TearSmilo/THE ORAL CIGARETTES/KIDS/Brian the Sun/Scenarioart/ひらたゆうや/メロディーキッチン/airlie
[オープニングアクト]吉田このみ
※自由/学割は1994年4月2日生まれ以降の方が対象。公演日当日、会場受付にて、必ず本人及び生年月日の確認できる証明書をチケットと合わせてご提示下さい。学生証を忘れた場合は、一般料金との差額分の支払いが必要となります。

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