もがき続ける30代男の叫びを痛快ロックンロールに乗せて
ネモ(COOL DRIVE)率いるNemotroubolterが贈る
4年ぶりのアルバム『ネモトラボルタ2 ~EASY LIFE~』!
結成から感動の新作秘話までを語り尽くすロングインタビュー
甘く切ないメロディに彩られた名曲『スーツケース』をはじめ、多くのポップソングを世に残し、'05年に活動休止したCOOL DRIVE(ex. cool drive makers)。そのフロントマンであるネモ(vo&g)が'08年に立ち上げたジャンプ・ブルース・ロックバンドが、Nemotoroubolter(ネモトラボルタ)だ。跳ねるリズム、躍動感溢れるビートをロールさせるドライヴィンなロックミュージックを痛快にかき鳴らすライブで、今まさにバンドとして蜜月を迎えようとしている彼らが、満を持して4年ぶりとなる2ndフルアルバム『ネモトラボルタ2 ~EASY LIFE~』をリリースした。結成当初はネモのソロプロジェクトの様相を呈していたNemotoroubolterだが、この4年の間にギタリスト兼共同ソングライターのニコラス・ケイ(g)、サポートからメンバーに正式加入したハルー・ポッタ(b)が合流。よりパワフルに、よりアグレッシブに、よりグルーヴィーに、昂ぶるギターリフが先導する骨太のバンドサウンドに、“ちょいエロワル”な(笑)詞世界とソウルフルな歌声が刺さりまくる全12曲には、ドラマーにPE'Zの航(ds)も参加しボトムを支えている。ザラついた音の雨に打たれながら、男の本音もダメさ加減も包み隠さず吐露した30代男たちが、あがきまくって、のたうち回って、生み出す熱きメッセージ。結成から新作にまつわる感動のエピソードまで、稀代のソングライター・ネモと転がり続けるバンドの過去~現在~未来を紐解くNemotoroubolterロングインタビュー。まだ諦めたくないって、ココロはしぶとく思ってないか? このテキストを、もがき続ける全ての人に捧ぐ。これがバンドだ。
胡散臭さ抜群のケイ(g)に注目(笑)の仲良し動画コメント!
――日本の音楽シーンにおいて、4年という時間はやっぱりスパンとしては長いじゃないですか。そこまで時間が掛かったのには何かあったのかなと。掛かったのか、掛けたのか。
ネモ(vo&g)「何かね、まず1stの『ネモトラボルタ1』('08)、間に『ROCK RUN』('10)っていうライブ盤も出したんですけど、とにかくそこでネモトラを知ってもらうための活動をずっとしていたというか。だからむしろまだ出さなくていいっていう気持ちでもいたんですよ。でも、最近は集客も増えてきたし、今ここで出すべきじゃないかって気持ちが盛り上がってきた。そうなるのに蓋開けたら4年も掛かっちゃったっていう(笑)。いざ出してみると、こうやってリリースタイミングでキャンペーンも出来るじゃないですか。あ、コレも手だなって思ったよね(笑)」
――やっぱり音源を出すことで周りの環境が動いて、知ってもらえるキッカケになるというか。
ネモ「それに気付くのが、ちょっと遅かったです(笑)」
ハル(b)&ケイ(g)「アハハハハ!(笑)」
ネモ「いやほら、COOL DRIVE(cool drive makers)のときはもう、1年に2枚とか3枚出してたから。いい1枚が出来たから、それを広めるんだってひたすらライブをやってきたんで、それはそれでよかったなと思いますけどね」
――逆に言うと、出せない焦りがあったわけじゃないんですね。
ケイ「『ネモトラボルタ1』が出たときはまだハルくんとまだ出会ってもなかったし、その辺の“バンドとして練ってる時間”もあったというか。だから1stより、やっぱり今回のアルバムの方がバンドとして出す意識で作ってますね」
ネモ「お前参加してないもんな!」
ケイ「そう、俺『ネモトラボルタ1』ではギター弾いてないから(笑)。もうそこら辺からの話だから(笑)」
――ハルくんはサポートからの途中加入だから仕方ないけど、ケイくんも1stアルバムには参加してなかったっていう事実(笑)。
(一同笑)
ケイ「だから意外とそういう時間も必要だったのかなぁみたいなのはある」
――でも、当時からアー写には一緒に写ってた。けど。
ネモ「弾いてない(笑)」
――でも今はケイくんはメンバーであり、ハルくんもあれだけいろんなバンドでベースを弾いてるけど、ネモトラにおいては正式メンバーなわけで。だからやっぱりネモさん自身も変わったってことですよね、この4年で。
ネモ「変わった。スゴく変わった。何かね、こういう音楽ならバンドにしちゃった方が良くなるんじゃないかっていう意見がイッパイあったんですよ。俺は全然ピンとこなかったんですけど、でもやっててドンドン楽しくなったのは事実で。不思議とね、何かストレスないわと思って。それまでいろいろあったから(笑)」
(一同爆笑)
ハル「大変だったんだね~!(笑)」
ケイ「アハハハハ!(笑)」
ネモ「ね(笑)。ストレートに自分の音楽がやれる現場だったので、これはバンドにした方がいいなって思い始めて。で、ちょっと口説きに走って。“どう?”みたいな、ちょっとソワソワ系で(笑)」
(一同笑)
ケイ「俺は嬉しかったけどね。やった!と思いましたよ。これだけモテる人から言われるとね」
ネモ「アハハハハ!(笑) 多分ケイがPVに出演させられちゃったのがキッカケなんだよ。そこからオモシロいじゃんって、とりあえず2人はマストな感じに徐々になっていって。話し合いはないですね」
――何か事実婚みたいな感じですね(笑)。
ネモ「アハハハハ!(笑)」
ケイ「事実婚!(笑) そうですね、カミがない(笑)」
ハル「まさに(笑)。そういうのって実は話し合うことじゃない、バンドが出来ていく自然な流れだよね。ホント若い頃にイチからやるバンドみたいだったよ」
“ちょっと売れてたヤツってこんな感じか~”みたいな(笑)
――ネモさんがブログに書いた今回の“NEWアルバムの思い出”を読んで…コレは感動的でしたね。ケイくんハルくんはもちろん、それこそ今回のアルバムに参加したPE'Zの航(ds)さんのことも書いていて。メンバーからしたら、ちょっと嬉しくなかったですか?
ネモ「……読んでないでしょ? 俺のブログ(笑)」
(一同爆笑)
――マジで!? これ読んでないの? 読んでないんや…。
ハル「今読んでいいスか?(笑)」
ネモ「ホントそういうバンドなんですよ!」
ハル「アハハハハ!(笑)」
ネモ「俺もね、言わないから。何か恥ずかしくて」
――これでケイくんが、昔ラバーソウルダックっていうバンドをやってたんだとか。
ケイ「略してLSDね(笑)」
――音大でクラシックやってたのを知って。ビックリしましたね。しかもネモさんもケイくんをスゴく褒めてる。
ケイ「あ、それは見ない方がいいですね。何か気持ち悪くなっちゃうから(笑)」
ネモ「おい!!(笑)」
ハル「アハハハハ!(笑)」
――スゴく古いんですね、付き合いが。
ケイ「頻繁に会ってたわけではないんだけど、cool drive makersの頃に出会ってますしね」
――でも、今一緒にバンドやってるってことは、やっぱり気になる存在じゃないですけど。
ネモ「俺はずっと気になってたんですけど、ケイはこういう性格だからフラフラしてて。こっちもCOOL DRIVEが終わってフラフラしてたから、まぁフラフラ同士でちょっと曲作ろうよ、時間もあるしって」
――ハルくんは最初はサポートから入ったわけやから、サポートのラインを超えてきて欲しいっていうことでの誘いだったと思うんですけど。最初は何がキッカケでサポートを?
ハル「元々MALCOのみん(ds)ちゃんがまずネモトラのサポートに誘われて。みんちゃんから俺が呼ばれたんですよ」
――それこそブログによると、ハルくんはネモさんの第一印象がスゲェ悪かったと。
ハル「スーゲェ悪かった! 何だコイツ!? みたいな。もう全然目も合わしてくんないし」
(一同笑)
ネモ「いや、それには理由があるんですよ」
――お! 何それ?
ハル「いや、ちょっと…」
ケイ「あぁ~(笑)」
ネモ「知り合いに“ハルってベースどうなの?”みたいな話をしたら、ちょっとヤンチャな噂話が出てきて(笑)」
(一同爆笑)
ネモ「コイツはイケすかねぇなぁと(笑)」
ハル「アハハハハ!(笑)」
――ベースはさておきね(笑)。
ネモ「そうそう(笑)。ベースのプレイじゃなくて」
――仕事に支障きたしてるじゃねぇか!(笑)
(一同笑)
ハル「ホントだよ~(笑)」
ネモ「会ったらこんな調子だし、もう先入観があったから、舐められたらマズいなと」
――それを見たハルくんも“何だアイツは?”ってね。お互いそのことは知らんもんね。
ハル「知らない知らない。だからこっちも、“ちょっと売れてたヤツってこんな感じか~”みたいな(笑)」
(一同爆笑)
ネモ「ハルは元々はスゲェドライな人間だと思うんですよ。けど、徐々にバンドに入り込んできてくれた。でも、そのドライなところも好きだったんです。だから、まぁぶっちゃけて話して。今はこうやってバンドの窓口までやってもらったりしてね」
ハル「だいぶネモトラの中での職種が変わってきましたね(笑)」
――ハルくんはバンドを駆り立てるというか、バンドを活性化するサポートが出来る人ですよね。でも、最近はハルくんが大人っぽいプレイをすると、周りから物足りねぇと言われる、みたいな話が(笑)。
ハル「アハハハハ!(笑) 俺ももう大人だからさぁ」
ネモ「大人っぽいプレイしてるんですか? 他の現場で?」
――割とバンドによってね、ちゃんと仕事してるんですよ(笑)。
ハル「するよそりゃあ(笑)。仕事だもんだって」
――それで言うと、Nemotroubolterでは、最初に見たときのハルくんの強烈な印象が残ってる。正式メンバーだからこそ出来るのかもしれないですけど、ハルくんのベーシストとして旨味であるドライブする感じ、ぶっ壊す感じがちゃんとあるから。
ハル「ネモトラの曲ってさ、俺のそういうドライブ感も出せるし、最近身に付いてきたこう粛々と弾く感じとか、いろんな表現が引き出されるんですよ」
――それはやっぱりネモさんの曲の受け皿の大きさでしょうね。幅の広さというか、彩りの多さというか、どっちかだけじゃない。
ネモトラの役割って、ちょっと娯楽に近いというか
そうであるべきだと思ってるんです
――今まで話してきた空気もそうだし、このアルバムを聴いていたらバンドとして今が1番いい状態なんだろうなって。cool drive makersからのキャリアも含めて、僕は今のネモさんの表現が1番好きですね。
ネモ「ホント!? やったぁ」
――だからアルバムとしては4年ぶりだけど、今出そうとなったのはこういうことか、聴いて納得みたいな。いざアルバムを作るぞって言われたときは、2人はどう思いました?
ケイ「やっと弾けるのかなぁ?とは思った」
(一同爆笑)
ケイ「今回は弾いていいのかなぁ?みたいな(笑)。一応アンプ…準備して」
――前のことがあるからね。RECはちょっと…って言われたりして(笑)。
ケイ「PVのときだけ来てよ、みたいな(笑)」
――怖い(笑)。事実婚の怖さそこだった(笑)。
ケイ「俺自身ギタリストとしてはコレがデビュー作みたいな人間だし、ライブを一緒に重ねてきたから、それを音源にしたい気持ちは結構前からあったんで、嬉しかったですね。成功させたかったし、愛聴盤にしたかった。それが出来たと思うし」
ハル「ネモさんとRECするのも、ケイさんとRECするのも初めてで。今までネモトラでの活動を分かりやすくCDっていう形にしてこなかったから、今回はホント楽しみだった」
――30も半ばを過ぎた大の大人たちが“楽しみだ”って思えることって、減ってきてるというか。もうこの歳になったら、音楽で楽しくないことなんてやりたくないもんね。
ハル「ホントだよ! キツいもん(笑)」
ネモ「最近はね、ライブの本番とかレコーディングは、自分へのご褒美だと思います。それ以外がキツいことばっかだから(笑)」
――多分それって、聴く人もそうだと思うんですよね。普段それぞれがいろんな仕事をしてると思うけど、ライブハウスに足を運ぶその30分は、この夜だけは…っていう人は絶対に多いと思う。日々幸せでライブも最高!って言うよりは、生きていくためにやらなきゃイケないこともイッパイある。
ネモ「だからある意味ネモトラの役割って、ちょっと娯楽に近いというか、そうであるべきだと思ってるんです。例えば“自分の世界を表現するんだ”っていうアーティストさんもいるじゃないですか。でも、俺たちが今やるべきことはそうじゃない。そういう頭でいるし、それが出来たし、レコーディングもそういう状況でしたね」
俺が言うホントに10秒ぐらい前に
向こうから同じことを言ってきたんですよ
――あとね、そのレコーディングにはもう1人ドラマーとしてPE'Zの航さんが参加されてますけど、これもまた、感動的なエピソードがブログに…。
ネモ「…読んでねぇな?」
ハル「読んでない(笑)」
ケイ「アハハハハ!(笑)」
ネモ「ホントヒドいバンド(笑)。俺はチェックしてるんですよ! ハル、ブログ更新してねぇなぁとか」
ケイ「ハゲ散らかした(笑)」
ネモ&ハル「アハハハハ!(笑)」
――ドラマーのチョイスとしてもいろんな方がいたと思うんですよね。今までにサポートしてくれた方もそうだし、今メインサポートの山口美代子(detroit7)さんもそうですし。その中でPE'Zの航さんに頼んだ理由を、ネモさんの口から聞きたいなと。
ネモ「航さんとはいつか一緒にやりたいなって思ってたんで。いろいろ選択肢もあったし悩みましたけど、今回は男臭く、男だけでっていうテーマでやってみたいのもあったし。お願いしたら、2つ返事で“Yes!!”みたいな。あの人Yesとかしか言わないの(笑)」
(一同笑)
ネモ「ホントにリハなんか2回くらいしか入ってないのに、もうアメイジングですよ! 考えられないことをしてくる。僕がPE'Zのアルバム『OH! YEAH! PARTY!!』('12)を共同プロデュースをしたのもあって、いいところも分かるし、コミュニケーションも取れてたんで、やりやすかったですね」
――しかも毎度毎度そのアメイジングなフレーズを叩き出してくるわけでしょ?
ネモ「そう。だからあの人はホント1発目が勝負なんですよ。ディレクションをしっかりして、1回でいきましょうと。それ以降はドンドン変わってくるから。前と違うフレーズ録らないと意味がないでしょ?っていう、ホントのプロなんですよ。やっぱスゴいなっていうのはありましたね」
――それこそブログを見て思ったんですけど、同じ事務所なのに10年喋らないこととかがあるんですね。
ネモ「ありますあります。やっぱ現場がまず違うし、うちの事務所って何か男臭い事務所で、馴れ合いとかがあんまりなかったんですけど、ホント'12年に入ってようやくアーティスト同士が…時代もあるでしょうけど、みんなでやろう!みたいな」
――それって、同じ事務所のメリットですからね。
ネモ「いろいろ遅いですよね、気付くのが(笑)」
――それもあって今回、航さんと10年前の約束が果たせたっていうね。
ネモ「アレはねぇ…俺もビックリしました」
――まあブログを読んでない人のためにね、説明しますけど(笑)。
ネモ「アハハハハ!(爆笑)」
ハル「一応ね(笑)」
ケイ「アハハ(笑)」
――デビュー前のPE'Zをネモさんが観に行ったときに、楽屋裏とかステージ裏とかで、“いつか一緒にやりたいな”って言ったネモさんに対して、航さんが“やろうやろう!”みたいに返した、まあよくある口約束を、どっちも覚えてて。それが遂に実現して。
ネモ「レコーディングが終わってもどっちもそのことを言わなくて。でも、俺はホントに帰りかけの最後の最後に、航さんに“覚えてたぜ”って一言言おうと思ってたんです。そしたら、俺が言うホントに10秒ぐらい前に向こうから同じことを言ってきたんですよ。それにはビックリしましたね」
――ちょっと鳥肌ですよね。でもこの2人は…。
(一同爆笑)
――同じところにいたけど、すぐ近くでそんなドラマがあったけど…。
ハル「ボーッとしてた(笑)」
(一同笑)
ハル「あと、パスタが少ねぇとか言ってましたね(笑)」
ネモ「こういうバンドなんです(笑)」
ハル「でもレコーディングのときのネモさんの料理が、超よかった~」
ケイ「美味かったね~。アレでやっぱりちょっと気分転換になるというか、エンジニアさんと話したり、航さんともコミュニケーションを取る時間になって、ドンドン馴染んできて。明日が楽しみだなぁって、スゴくいい感じに」
――メシとかって、結構メンタル的に大事ですからね。
ネモ「そうなんですよね。でも誰か雇いたいな(笑)。ディレクションしながら料理作るのって大変なんだよね」
ハル「いや、俺はネモさんの方がいいなぁ」
ネモ「アハハ!(笑)」
やっぱりネモの音楽には激しさと同時に明るさがあるというか
パーティー感があるんですよ
激しくてパンクじゃなくて、激しくてエンタテインメントのロック
ヘッドバンキングよりモンキーダンスみたいな
――去年の春に、オールタイムベスト的なアコースティックライブが大阪であったじゃないですか。あのときにcool drive makers時代から今の曲までをまとめて聴いて、そこで本当に俺の中でも上書き更新されたというか。やっぱこの人のソングライティングや歌い回しは他にないし、ちゃんと目を注がなきゃいけないソングライターだなって、改めて思ったというか。
ネモ「ありがとうございます!」
――今回のアルバムなんかは、今改めて充実期を迎えているネモさんの曲がイッパイ入ってますよね。改めて盤にすることで顧みるというか、改めて発見することや感じることがみんなにあったと思いますけど。
ケイ「今まではネモが曲とかフレーズを渡してくれても、ネモの表現の何が魅力的なのかを整理出来てないところがあったのかもしれない。ライブだけで長い間やってくると、オリャアー!って攻撃的ではあるけど、表現がどうかとかは(ライブ中は)そこまで関係なくなっちゃうんで。自分はネモを置いてけぼりにするキャラなんで余計に」
ネモ「キャラって言っちゃったよ(笑)。素じゃねぇのか(笑)」
ケイ「いや、違う違う! ちょっと待って(笑)。元々俺は何のためにネモトラを始めたのかなぁ?って振り返ったら…やっぱりCOOL DRIVEの中でも『スーツケース』が好きなんだけど、作曲する自分としても、当時あの曲を聴いたとき、これは認めてやってもいいかなって思ったんですよ(笑)」
ネモ「上から(笑)」
ケイ「ホントにスゲェなと思ったから。そういうバラードの趣味もちょっと似てたりするし、ネモトラではやっぱりブルースだったり、そういうルーツの音楽をガキのようにやる、みたいな(笑)。何かそこにスゴくゾクゾクしたし、COOL DRIVEを観ててもそういう瞬間があったし」
ネモ「COOL DRIVEのそこだけをピックアップしたい、みたいな感じだったよね」
ケイ「俺はネモの音楽のそこが好きだから。ステージでやるなら、俺はそこを助長する人間でいたい。今回レコーディングするときに思ったのが、やっぱりネモの音楽には激しさと同時に明るさがあるというか、パーティー感があるんですよ。COOL DRIVEの初期もそうだったし、激しくてパンクじゃなくて、激しくてエンタテインメントのロック、ヘッドバンキングよりモンキーダンスみたいな。とにかくそれをこのメンバーでガッチリ固めようと。そういう意味でフレーズとか音色もスゴく整理されたし、いろんな意味でスッキリしていって。それも楽しかったですね」
ハル「ホントそう。何年かやってるとだいたい何でも弾けるようになってくるんですよ。でも、ネモトラでずっと現場対応でやってきたことを今回ちゃんと録るってなって、みんなと馴染むフレーズをチョイスしていく中で、ネモトラってこういうタイム感なんだとか、そういうことが改めてドンドン分かってきた、うん」
ネモ「やっぱりね、ライブで培ったネモトラを出さないとっていうのはあった。今言ってくれた雰囲気をバコン!って詰め込むことへのディレクション、あとは最終的に歌がやっぱり一番であるべきだし、今の俺の歌であるべきだと思ったので、結構楽だったし遊んで歌ってたし。だからもうホントに、昔と比べたら…ってまた出ちゃうけど(笑)」
(一同笑)
ネモ「随分レコーディングも楽」
――前がどんだけ大変だったのかっていう(笑)。
ネモ「あと1番違うのは、キーを下げたんですよ。COOL DRIVEって俺の限界のキーで全曲作ってたんですけど、ネモトラではちょっとだけ下げた。自分の表現をもっと増やしたかったから。今COOL DRIVEの曲を歌うとウーッ!てなっちゃうもん」
――自分の中のちょっとしたギアチェンジがあったんですね。あと、歌詞もスゴくオモシロいというか、この世界観はバンドの個性になってますよね。
ネモ「歌詞はmicci(ミッチー)さんっていう作家の人と一緒に作って。メンバー2人からもよく“ネモはこういうところがだらしないんだよ”って言われるんですけど(笑)、そういう部分も分かってくれてて一緒に書けるって人だったんで話が早い。歌っててもやっぱり楽しいですよね。“俺、こんなんでいいんだ”っていうのも結構あります(笑)」
――僕はね、ネモさんに隙があればあるほど、このバンドはオモシロくなってくると思うんです。昔は踏ん張ってたと思うんですよね。カッコ悪いことは出来ないというか。
ネモ「そうですね。オシャレボーイでいようとしてました(笑)」
(一同笑)
ネモ「オシャレはねぇ~ちょっとキープしたいんだけど、そろそろ出来なくなってきてる(笑)」
――オシャレは大事ですよ。大事ですけどちょっとずつガードが緩んできてるからこその良さがある。ライブの空気もそうだし、それは=たくましさでもあると思うんですよ。
ネモ「まあちょっと音楽の捉え方も変わってきてるんで。さっきも言いましたけど、今自分がやるべきことっていうかやりたいことが、結構娯楽に近いんで。エンタテインメントっていうね」
――若い頃は自分を笑い飛ばすことが出来ないというか。今は歳を重ねるオモシロさみたいなのものがこのバンドにはあるし、もっといいと思うのは、このバンドはまだあがいてる。まだ完全に捨て切れてないところが俺は好きですね。大人が愉しむロックであり、笑い飛ばす痛快さもあるんですけど、その中にやっぱりちょっとオシャレでいたい部分とか、悪あがきというか踏み留まる感じが残っちゃうのがまた人間たるところだし。そこが今回のアルバムの温度だと思います。
ネモ「やっぱね、捨て切れてないですよ。何か難しいんですよ。俺の性格もあるかもしれないですけど、もがいてるもん。もがきまくってますよ、もう何でも。私生活も」
(一同笑)
――だからまだやれてるとも思うんですよね。まだ開き直るところまでいかない。こっそりホームラン狙ってるじゃないけど(笑)。
ハル「アハハハハ!(笑)」
――だからか知らないですけど、『SCHOOL』(M-2)とかもそうですけど、過去を顧りみたモチーフの曲なのに、何かね、スゴくタイムレスな感じがする。今もホントにこの人そう思ってるだろうなっていうのがある(笑)。
ネモ「アハハハハ!(笑)」
――ということは=リアルなわけじゃないですか。モチーフが高校時代だろうが、子供の頃の話だろうが。
ネモ「まさにそうですね。何かもうちょい成長してたんじゃねぇかなぁ?って自分でも思うんですけど、やっぱりまだもがいてる」
ハル「音的には結構オールドスクールで、そんなに斬新なことをやってるわけじゃない。でもやっぱりそこがあるからさ、人生はオモシロい。瑞々しさって結構そういうところから出てくると思う。ケイさんが今回が実質の初音源っていうのもそうだし、そういう初々しさというか…もう放っとくとね、まあまあ枯れててもいい年齢だもん(笑)。だけどね、みんなそうなんだって今話しながら思ってた。あがいてるんですよ、アホなんですよ。まだイケんじゃないかって思ってる。それがあるからここにいると思う」
――コレが出来上がったときって、どう思いました?
ハル「もうね、音録って、マスタリングでドンドンお化粧していくじゃないですか。もうそうする前から良くなるって分かった(笑)。これは大丈夫だって。ジャケも中身もそうだけど、ホントにコレはいい。一家に1枚あったら、日本がちょっと良くなると思う」
ネモ「アハハ!(笑) 大きく言ったねぇ~」
――やっぱ音楽って、その“楽しい”があるから、日々のいろんなモノを踏み留まれる。
ハル「逆にそこを経ないと楽しくならないよね。実際10代とか20代の頃ってもっと軽々バンドが出来てた。何も考えないで、ステージ出たら絶対勝つみたいな。30越えたらみんなの目も厳しくなっちゃって、何してくれんの?みたいなところもあるけど(笑)、そこを越えてやる。俺、30越えてからのライブの方が、実は楽しいんだよ」
“生きろ。テキトーに。”、まさにそれがこのアルバムのテーマかな
――そして今作には、“EASY LIFE”という副題が付いています。
ネモ「『EASY LIFE』(M-4)が出来たのが2年前くらいか。“生きろ。テキトーに。”って帯にも書いてありますけど、まさにそれがこのアルバムのテーマかな。ライブを観て明日から頑張ろうって思ってくれるのが何よりなんで。そういうアルバムにしたかった」
――理想通りにいかなくたって、人生何とかなると。
ネモ「うちらなんて全然何とかなってない部類の人間ですから(笑)」
ハル「そう! どっちかって言うと“こんなんなっちゃった”っていう(笑)」
――俺も最近よく思うんだけど、ヤッベェな~これ金にならない技術を身に付けたって(笑)。
(一同笑)
――今作を経てのライブも楽しみですね。
ネモ「ホントにいつ終わってもおかしくないぐらい精一杯やろうっていう気持ちがある反面、何か最近は…もうちょっと歌っていたい、長く歌っていきたいって思えてきたというか。あんまりね、爺ちゃんになって歌う絵は想像してなかったんですけど」
――じゃあそのためにも次はね、4年と言わず(笑)。まあ2年ぐらいで何とか作品をね。
ネモ「出来れば今年出したいんだけどね。だから曲、作んなきゃなぁ。でもコレが良過ぎたからなぁ(笑)」
――コレが出て、ライブで改めて知る人がいてくれるとも思いますし。まずは今年の関西初ライブ、2月2日(土)ROCKTOWNで会いましょう!
ネモ&ケイ&ハル「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2013年1月31日更新)
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