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境界線を飛び越え、先入観をぶっ壊せ!!
前代未聞の全公演“ニコ生”配信ツアー中のheidi.に問う
徹底的にメロディアスな2年ぶりのアルバム『アルファ』
義彦(vo)&ナオ(g)インタビュー&動画コメント

 様々なカテゴリーが存在する音楽シーンにおいて、メタルから歌謡曲などジャンルを越えた幅広い音楽性を持ち、個性的なアーティストが揃っているヴィジュアル・ロックシーン。その中でも“歌”と“メロディ”にこだわった良質な楽曲を届けているのが4人組バンド、heidi.(ハイヂ)だ。’06年の結成以来、精力的なライブ活動を展開し、これまでシングル8枚、アルバム4枚、ミニアルバム2枚を発表。その全てをセルフプロデュースで行ってきた。そんな彼らが昨年9月にリリースした2年ぶりのニューアルバム『アルファ』では、初めてプロデューサーを招聘。アメリカでミックス作業を行うなど新たな試みを行っただけでなく、取材時にナオ(g)が「アルバムも全曲無料配信してもいいんですけどね」と語ったように、YouTubeにて全曲フル視聴を展開。また、このニューアルバムを携え、昨年11月にスタートしたバンド史上最多本数の全国ワンマンツアー『+α』でも、全公演を“ニコ生”配信。何がheidi.にそこまでさせるのか。今やヴィジュアルのカテゴライズを越え、独自の立ち位置から着々と音楽シーンをロックオンしつつあるheidi.のリーダーでありメインコンポーザーのナオ、そしてフロントマンである義彦(vo)に、挑戦を続ける理由を訊いた。

意外と緊張してる!? 素顔の義彦(vo)&ナオ(g)から動画コメント!

――ぴあ関西版WEB初登場となるheidi.ですが、バンド名をなかなかストレートに“ハイヂ”とは読んでもらえなさそうですね。

 
義彦(vo)「“ヘイディ”って読まれたりします(笑)。そう言われると、ヘイディもカッコいいかな?って思ったんですけど(笑)」
 
――バンド名の由来は?
 
ナオ(g)「ノリと響きで。意味とかは全くないですね。覚えやすさと1回聴いたら忘れないかなって。そもそも歌モノのバンドをやりたいところから始まって、とにかく歌の良いバンドにしたいっていうので結成して。それは今も変わってないし、これからも変わらないと思うんですけど、それを一番に伝えていきたいのが根本にあります」
 
――だからheidi.の曲にはシャウト系が少ないんですかね?
 
義彦「昔はそういうのが好きでやっていたんですけど、メロディアスな曲の方が好きだなって気付いてからは、もういいかなって。やっぱり“歌”を意識して、このバンドに入ったので。メンバー3人がボーカルを探しているときに自分が後からポンと入って、heidi.は結成されたんです。本当は自衛隊への就職が決まってたんですけど(笑)、メンバーがメロディをスゴく大事にしていたので、“自分でよければ、よろしくお願い致します”って」
 
ナオ「曲はオレが作ることが多いんですけど、ポップスが好きなんですよね。そういうキャッチーなメロディだとか、親しみやすさを自分のバンドにも盛り込めていけたらいいなぁ…って思ってるので、そこが軸になっているのはあります」
 
――ちなみにポップスで言うと、どんな音楽を聴いていたんですか?
 
ナオ「今も聴いているんですけど、LINDBERGやユニコーンが好きで。それと並行してヴィジュアル系を聴いていたんですよ。音楽を聴き始めた頃、J-POPは“バンド”というよりは“歌手”という認識で、バンドサウンドを意識し始めたのがヴィジュアル系を聴いてからだったんで、自然とヴィジュアル系をやるようになったんです。バンドを始めようと思ったきっかけは黒夢さんで。今思えばオレ、学校のお昼休みにタブーな曲を流してた気がする(笑)。当時先生に怒られましたから(笑)」
 
――過激なタイトルの楽曲が結構ありますもんね(笑)。
 
ナオ「当時はそういう猟奇的なものが好きだったんですよね。ただ、ベクトルは違っても、J-POP、ヴィジュアル系、どちらもメロディが良いことには変わりがなかったんで。1つは音楽的な要素、もう1つは視覚的な要素っていう感じで、それが融合したのがheidi.だと思ってもらえれば」
 
――それはheidi.の音楽を聴いたことのない人にとっては想像しやすいかも。それにしても、ヴィジュアル系って音楽性が広いですよね。
 
義彦「いろいろあるなって毎回思いますね。何か面白いヴィジュアル系が出てきた!とか」
 
ナオ「自由なジャンルだとは思うんですけど、それだけに難しいなとも思います。本当にいろんなバンドがいるよなぁ…ってちょっと人ごとみたいに言いましたけど(笑)」
 
――heidi.の音楽性だったら、ヴィジュアル・ロックを聴かない人でもイケるなと思います。
 
ナオ「他ジャンルの人とは結構対バンしているんですよ。去年は特に自分たちの主催で呼んだり、呼ばれたりっていうことも多くなってきて。だんだん自分たちの中でもジャンルを超えてみようか、みたいな気持ちも大きくなってきてます。やっぱり刺激も大きいので良いところはどんどん吸収して、自分たちの限界を超えていこうと」
 
――そう思ったきっかけはあるんですか?
 
ナオ「何でしょうね…ヴィジュアル系が嫌いになったとかではなくて、ヴィジュアル系っていうだけで聴いてもらえないのはもったいないなって。そもそも、いろんな人たちに聴いてもらいたい意識はあったんで」
 
――対バンライブの反応はどうです?
 
ナオ「そこは、お客さんの反応を気にしながらやるのは良くないので、普通に自分たちのライブをやってますね。それでダメならダメでいいし、っていう」
 
――昨年のheidi.は本当に攻めましたよね。夏に出したシングル『曇り空には恋模様』はリリース前に無料フルダウンロード…何がここまでさせるのでしょうか?
 
ナオ「単純に聴いてくれる人が増えたら、と思って。聴いてもらわないと始まらないので。ツアーも全公演“ニコ生”配信しますし。今はやったことのないことを思い付く限り全部やってみようっていう感じなんですよね。まずは“ニコ生”で見てもらって、その内実際にライブに来てもらえればなって。ライブとパソコンの画面じゃ全然違いますけど、それはやっぱり生のライブに来て欲しいっていう想いでもありますし、単純にプロモーションとしても面白いかなって。これが吉と出るか、凶と出るかは分からないので、期待半分、不安半分っていうのはあるんですけど、やってみないことには分からないので」
 
 
6年やってきて間違いないと思ってきたことも
一気に逆の発想にされることが結構あった
 
 
――やってみないと分からないと言えば、最新アルバム『アルファ』では、初めてプロデューサーを招聘して。
 
ナオ「ずっとセルフプロデュースでやってきたんで、プロデューサーを入れて1から制作したことがなかったんですよ。それもさっき言ったことと一緒で、やったことがないからやってみようって、そういうノリで。それによって自分たちの作品にどう影響があるのか、自分たちがどう思うのか。それを踏まえた上で、この先どうしていくのか…何か見えるものがあるかなって。やって良かったと思います」
 
――いったいどういうところが?
 
ナオ「オレは曲を主に作っているので、曲の聴かせ方だったり、録り方だったり、今まで自分だけでは分からなかった点が見えてきたのは収穫かなって」
 
義彦「今まではAメロはこう、Bメロはこう歌おうって決め打ちでレコーディングに臨んでたんですけど、例えば『青の世界』(M-6)とかはフワフワした感じの曲なので、逆にAメロはパキっと強く歌い出した方がいいのかなって思ってたんですけど、“そこは柔らかく歌って欲しい。セクシーさを出して欲しい”って言われて…それって自分が出したことのない声なんですよ。だから、出来上がるまではずっと違和感があって。でも、最終段階の音を聴いたとき、こういう手法もあるんだなって納得出来ましたね。今回は、6年やってきて間違いないと思ってきたことも、一気に逆の発想にされることが結構あって、自分の新しい引き出しが開いたアルバムなのかなって。プロデューサーさんは本当に歌を大事にする方だったし、いろいろと挑戦出来たのでプラスになったなと思います」
 
――前作『閃光メロウ』に比べたら、収録曲の幅も広がった気がします。
 
ナオ「選曲段階でプロデューサーも絡んでて、オレらだったら絶対に入れないっていう曲も今回はありました。そういう意味でも、第三者的な目での振り幅も出たと思います。最初はもうちょっと激しめのアルバムにしようかって話をしてたんですよ。前作はどちらかというとバランスの良いアルバムだったので、今回は狭く深いものを作ってみようかって。でも、プロデューサーが入ってきてドーンと間口が広がったみたいな(笑)」
 
義彦「結局バランスが良くなったもんね(笑)」
 
ナオ「幅広くやれるのは自分たちの武器だと思うので全然いいんですけど、正直、最初はとまどいみたいなものはありました。狭くて深いアルバム作りたかったのになぁ…って(笑)」
 
――深く狭くいこうとしたのに、逆に間口が広がったとは(笑)。ちなみにタイトルの由来は?
 
ナオ「今回のツアー名が『+α』なんですけど、自分たちとお客さんとで“+α”、初めてプロデューサーを立てたということで“+α”みたいな。αには物事の始まりっていう意味もあるし、ベストアルバムで一旦区切りを付けたので、また新しいheidi.を…という想いを込めて付けましたね」
 
 
すでにファンの子から、“行けないところは“ニコ生”で観ますね”
っていう手紙ももらってるので、遠征組は減るかなと(笑)
 
 
――このアルバムを携えての全国ツアーも始まっています。バンド史上最多の31本で2月まで続くので、前半と後半ではまた魅せ方が変わってきそうですね。
 
ナオ「初めて行くところも結構あるので、それは楽しみですね」
 
義彦「自分が行けない箇所は“ニコ生”で観てもらってね。すでにファンの子から、“行けないところは“ニコ生”で観ますね”っていう手紙ももらってるので、遠征組は減るかなと(笑)。だから、動員面ではちょっと怖いんですけど、観てくれるんだったらいいかって(笑)」
 
――でも、やっぱり会場で観るのと画面を通して見るのとでは、全く迫力が違いますから。
 
義彦「自分のライブをDVDで観て復習するときも、家で冷静に見ちゃうとすごく温度差が出るんですよ。“なんでオレ、こんなに熱くなってんの?”って(笑)」
 
ナオ「それはオレも全く同じだよ。どんなにカッコ良くていいライブでも生じゃないからさ」
 
義彦「“ニコ生”で見られることを想定して冷静にやってもつまらない絵になっちゃうので、そこまで気にせずに」
 
ナオ「どちらかと言うと“ニコ生”はオマケとしてね。1本、1本ちゃんとやっていければ」
 
――ライブが31本もあったら“ニコ生”組もどこかに来てくれるかもしれませんね。
 
ナオ「そうですね。お年玉をもらって後半の動員が増えることを期待しつつ…(笑)」
 
――今のライブの雰囲気はどんな感じですか?
 
ナオ「うちは相当フリーな方だよね」
 
義彦「ああしろこうしろっていうのはなくて、後ろでのんびり観てる方もいますし、個々に楽しめるライブだと思いますよ。ヴィジュアル系…っていう先入観を持ってくると、ギャップがスゴいと思います。うちらユルイから(笑)」
 
――関西での盛り上がりはどうですか?
 
義彦「オレら売れてんのかな?って思うくらいの(笑)元気の良さで、1曲目からテンション上がるんですよね。大阪の人ってあたたかいなって。ただ、シャイな感じで来られると、オレらもシャイな感じになっちゃうんで…そこがオレの弱みで、反応に合わせちゃう(笑)。このツアーはガッツリいきたいです!」
 
――それでは改めて、ぴあ関西版WEB読者にメッセージをお願いします。
 
義彦「新しいアルバムが2年ぶりに出来て、お待たせしましたという感謝の意味を込めて、1本1本ライブを大事にしていきたいですし、いろいろ挑戦出来るツアーなので無駄にしたくない。ボーカルとしてこんなにハードに歌ったツアーはないので不安はあるんですけど、heidi.も2013年で7年目なので、逃げずに最後まで突っ走っていこうかなと。よければ遊びにきてください!」
 
ナオ「今までと比べても攻めの姿勢を全面に出しているので、何か1つでもとっかかりがあればいいなって。ぜひheidi.の世界に触れてみて欲しいと思います」
 
――このツアーが終わる頃には、バンドも強靭になってそうですね。
 
ナオ「そうなっていたらいいですねぇ…」
 
義彦「そうなりましょうね」
 
――ソフトだ(笑)。
 
義彦「MCもこんな感じなんですよ(笑)。だから、MCで急にシーンとなったり。それも勉強していこうかな、このツアーで(笑)。“ニコ生”で“どうした…?”ってコメントが流れそうですけど(笑)」
 
――挑戦だらけのツアー『+α』、楽しみにしています。本日はありがとうございました!
 
 
Text by 金子裕希
 



(2013年1月10日更新)


Check

Release

ヴィジュアルの境界線をK点越え
強烈メロディックロックアルバム

Album
『アルファ』
発売中 3150円
0 market.
MRKT-5006

<収録曲>
01. 衝動
02. 月光ショータイム
03. アナザーフィッシュ
04. リトルガーデン
05. 追憶
06. 青の世界
07. メルト
08. モノクログラデーション
09. ランドスケープ
10. 哀レ廃人
11. 曇り空には恋模様
12. 彼方

Profile

ハイヂ…写真左から、ナオ(g)、桐(ds)、義彦(vo)、コースケ(b)。’06年6月の結成以来、ヴィジュアル・ロックシーンを中心に活動を行い、’08年に味の素スタジアムで行われた『hide memorialsummit』など、大型イベントへ多数出演。また、’10年にはアニメ『会長はメイド様』のエンディングテーマを2クール、’11年は大鶴義丹監督映画『前橋ヴィジュアル系』の主題歌を担当。ジワジワと露出を増やす中、同年2月にリリースした初のベスト盤『回想 heidi. Indies BEST』で1つの区切りを付け、’12年は新章突入として様々なことに挑戦。音速ラインなど他ジャンルとの対バンライブを行うなど、攻めの活動を展開している。

heidi. オフィシャルサイト
http://heidi-net.com/

ニューアルバム『アルファ』特設ページ
※全曲フル視聴可能
http://heidi-net.com/schedule/album_alfa.php


Live

過去最大のツアーも後半戦へ
いよいよ関西エリアへ突入!

『heidi. LIVE TOUR 2012-2013 +α』
チケット発売中 Pコード176-601
▼1月14日(月・祝)18:00
KYOTO MUSE
▼1月30日(水)19:00
神戸VARIT.
▼2月2日(土)17:30
OSAKA MUSE
オールスタンディング3990円
夢番地■06(6341)3525
※未就学児童は入場不可。

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