ホーム > インタビュー&レポート > dustbox、MO'SOME TONEBENDER、RAZORS EDGE! 初の東名阪ツアーとして年明けに開催されるロックイベント 『となりのバンドマン』に先駆け、3バンドのメインボーカル Suga、百々和宏、KENZI RAZORSによるスペシャル対談を実施!!
KENJI「一回行っとこ! マジで」
Suga「そうですねー」
百々「ずっと痛いの?」
Suga「一ヵ月以上……」
KENJI「だってSugaちゃんカレー好きやもんね」
百々「カレー関係あんの?」
――あのー……すいません。もう始まってるという認識でよろしいでしょうか?
KENJI「いいんじゃないですか?」
百々「あんまり堅苦しくてもね」
Suga「よろしくお願いしまーす」
――ちなみに今は何の話を?
KENJI「Sugaちゃんが背中が痛いっていうから、一回病院行ったほうがいいよって」
――そう言えば何年か前にKENJIさんも体壊しましたもんね。
KENJI「そうそう。酒止められるほどね」
百々「今だから言えるけど、俺らが大阪でライブやったら観に来てくれて、打ち上げにも来てくれるんだけど、病気をやってからは、まぁ~楽しくない人間になってたよね(笑)」
一同「ハハハハハ」
KENJI「みんなに言われた」
Suga「俺がKENJIさんに出会ったときってまさに――」
KENJI「ちょうど酒が飲めなくなった時期やね」
Suga「何で飲まないんですか?って訊いたら、体壊してるって」
KENJI「だって打ち上げの席でごはんとみそ汁と水をセットやからね! 刺激物一切ノーでしたから(笑)」
Suga「最初話しかけてくれた時すげぇ嬉しかったんですけど、俺、年下だと思っちゃったんです」
百々「ハハハ! 背もちっちゃいし」
KENJI「それよく言われる(笑)。お客さんとかにも“KENJIさんって実は何歳ですか?”て訊かれて答えると“えぇ!?”って。あとダイブとかすると“軽っ!”って下から言われる」
一同「ハハハハハ」
――(笑)。ちなみにモーサムとdustboxはどこで知り合ったんですか?
百々「一緒にライブをやったんだけど、実は知り合う前から音だけはいつも聴いてて、というのもジャケットのデザインをしてくれる人が同じだったんですよ」
Suga「あのイラストレーターの人?」
百々「そう。ウエキくん。モーサムもずっとウエキくんで、もう仕事っていうよりも仲間みたいなものなんだよね、家でデザインを一緒に考えたりするから。それでウエキくんがやった仕事をいろいろ見せてもらってる中にdustboxのジャケがあって、“これヤバイね”って(笑)」
一同「ワハハハハ」
百々「何だこの猛毒は!って」
KENJI「表ジャケはいいけど、中開けてみるとアララみたいな(笑)」
Suga「でも聴いたら結構さわやかな感じで」
百々「そうそう」
――ちなみに今回のイベントのチラシもウエキさんです。
(右記参照。※クリックで拡大)
百々&Suga「ほんとだ」
KENJI「知らんかったんかい!」
RAZORS EDGEが’96年、MO’SOME TONEBENDERが’97年、そしてdustboxも’97年頃に結成(現メンバーで定着したのが’99年)と、ほぼ同時期に大阪、福岡、埼玉でそれぞれ活動を始めた3バンド。話はバンド黎明期から各バンドのスタイルへと移っていく。
Suga「バンドやり始めたばっかりの頃って、ライブのフライヤーに自分の電話番号載せてませんでした?」
KENJI「住所も載せてた」
Suga「あれ、今考えると危ないですよね」
百々「今じゃ考えられない」
Suga「知らない番号からかかってきて、“ライブ行きたいんですけど”みたいな。ああいいよ~って(笑)」
KENJI「その頃から電話番号変わってなかったらアツいよね」
Suga「実は俺、変わってないんです」
百々「俺も変わってない」
KENJI「ええ!」
――RAZORS EDGEが活動を始めた90年代後半の大阪って、とにかくものすごい数のバンドがいたような気がしますが。
KENJI「たくさんバンドいて。いろんなハードコアもあったし、オルタナティブとかノイズとか、その辺の境目もあんまりなくて、みんな自由で俺はお前と違う、俺はこれや! みたいな人らがバンドをやってましたね。だから、メロコアがイェ~! ハードコアがイェ~! とかあんまりそんな感じが全然なくて。俺もライブハウスでバイトしてたっていうのがあるから、メジャーからアンダーグラウンドなものまでいろんなもの観てて、決め付ける感じが自然になくて。だからいいものは何でも聴くって環境でやれてたから、多分RAZORS EDGEってハードコアがベーシックにあるけどポップだったり、ちょっと変なところのあるバンドになったんやろなって」
Suga「RAZORS EDGEはポップですよね」
百々「ポップポップ」
KENJI「俺、すごい分かりやすい音楽やってるなーって、最近になって気付いたりして(笑)」
――モーサムは成り立ちからすでに雑食ですよね。
百々「最初にじゃあ曲を作ろうかって言ってできたのが、勇(藤田勇)が持ってきたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと、俺が持ってきたジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンがごちゃ混ぜになった曲で、これ1つのジャンルに入れるの無理だわって思って。でもそのよく分からない感じがすごいよかったというか。当時、分かりやすいバンドが多過ぎると思ってて、そういうのが嫌だった。短パンにTシャツ着てステージ上がるとメロコア、スーツ着て上がるとガレージ、みたいな。どんな音出すのか分からんバンドの方がおもしろいじゃないって思ってたし、わりかし福岡はまわりもそんなバンドばっかりだった。でもそれでメジャー行ってから苦労しましたけどね(笑)」
一同「ハハハ」
百々「自分らで説明出来ないってこんなに面倒くさいんだ!って(笑)」
Suga「それ、すっごく分かるなー。僕らもメジャーに一回行って苦労したから(笑)」
――(笑)。そうなんですか?
Suga「メジャーのスタッフはバンドを世間に浸透させるために必死でこのバンドはこういうバンドだっていうのを作り上げようとするんだけど、そんなの自分では分かんないんですよね。口で言えないっていう。ただやりたいことをやってるだけだから」
――メロコアでしょって言われても……。
Suga「単純にそういうわけじゃないんで(笑)。結構入りがハードロックとかからで、その後にパンクとかオルタナとかグランジとか、いろんなものが好きで。結局何がしたいのか分からなかったんですけど、ちょうど結成するときにメロコアっていう音楽が一番自分の好きな要素がいっぱい入ってるかなって気持ちが寄っていっただけで、要はいろんな音楽のスパイスを全部入れたいだけなんですよね」
KENJI「入れたくなるよね」
百々「ハードロックって聞くと、あ~やっぱりねって」
KENJI「リフを大事にしてる(笑)。リフだけでどんだけ燃えさせてみせるかっていうこだわりが見える(笑)」
Suga「一瞬メタルね(笑)。新しいの今作ってるんですけど、多分KENJIさん好きな、めちゃくちゃスラッシュな感じとかあるんですよ」
一同「いいねぇ~」
Suga「でも超ポップです(笑)」
どうして俺たちはバンドをやるのか――? たぶんそんなこと考えたことすらないかもしれない根っからのバンドマン3人に、敢えてぶつけてみました。なーんかいい話になりそうで……そうはしてくれない、で、最後はやっぱりそんな感じなのね(笑)。
――長くやってるじゃないですか、みなさん。続いてるじゃないですか、バンドが、紆余曲折ありながらも。辞めてやらーってなことはありましたか?
KENJI「うーん……。ちっこいので言えば何回もあるけどね」
Suga「でもバンドを辞めようって思ったことはないかな~」
KENJI「音楽はずーっとやりたいって常に思ってるんだけど、たとえば曲作りで詰まりすぎて、全部嫌になったなー、辞めようかなーって思ったことはいっぱいある」
百々「制作中は多いよね。違うスイッチが入るっていうか」
KENJI「ネガティブな方に行くと、なんてセンスがねぇんだ俺はっていうところから始まって(笑)」
百々「曲作りバッドトリップ(笑)」
Suga「いい方向に行けばいいんですけどね」
百々「でも、何だかんだ言いながら最終的にはみんな納得するものになったら、あの時真剣にやり合ってよかったなって笑える感じになるんだよね。マジでムカつく! 辞めたろか!って思うことがあっても踏みとどまれるんですよ。なんかちょっと売れたら解散するバンドとかさ、ちょっと売れなくなったら解散するバンドとかさ、多過ぎるよ」
――そこの違いって何なんですかね。解散するバンドと長く続くバンドの。
百々「俺は売れてないから、売れて解散するバンドのことはわかんないけど、聞いたところによると金だってみんな言ってますね(笑)」
一同「ハハハハハ!」
KENJI「ハハハ! だったら売れんで良かったわって(笑)」
百々「ギリギリこんちくしょう感がバンド内に向かうときはネガティブで険悪になるけど、最終的には外に持って行ける。やっと出来たんだから、これ外に向けようや、みたいな」
Suga「それで反応が返ってきたときの瞬間が忘れられないしね」
百々「そういうことそういうこと。ほれ見ろっていうのを経験してるから、絶対もう一回あれやろうって。ステージ上がってあれやろうっていう気分になるもんね、最終的に」
Suga「だからたぶん険悪なムードになってるときって、この曲が求めてるものが分からないときというか、この曲がどこに向かえばいいか分からないときなんですよね」
――みんながバラバラ。
Suga「そう。どうするかをみんなが分かってないと――」
KENJI「曲のパワーが半減するもんね。分からへんようになるもんね」
百々「でもみんなのベクトルがピッタリ一緒になったらね」
Suga「あのときすんごく仲良くなるじゃないですか(笑)」
百々「楽しい~! みたいなね(笑)。ロックの神様降りてきた~、みたいな感じのときもあるよ」
KENJI「その回数が多いバンドほどやりたいことが出来てる感じなんやろね。たまにあるけど、まだまだ少ないもん。悩んでたりもがいてる方がバンドって多いから。ほとんどそうやからね」
Suga「あとは長くやってますから、簡単には終われないっていうのもありますよね」
――そういう責任も一方では出てくるんですね。さっきのKENJIさんの“金でもめるくらいなら売れん方がええわ”っていうのにも、単純に負け惜しみじゃなくて――。
KENJI「極論やけどね(笑)」
百々「いや、でもそれはね、バンドを続ける1つの真理というか」
――そこに何かあるような気がしますね。
百々「俺はそう思いますね。ようやく負け惜しみなんかじゃなく思えるようになったね。だってさー、バンド組んだ頃に、40になってこんなにハングリーだとは思わないわけですよ(笑)」
一同「ダハハハハ!」
――自分自身が(笑)。
百々「自分が(笑)」
KENJI「いや~、ホンマそうやね(笑)」
Suga「ね(笑)」
KENJI「次の1枚でどうにかしてやろう!って、ずっとね(笑)。それって次の曲でダイブしてやろうって思ってるキッズと一緒やもんね。次で次でって」
百々「だってケンちゃんのライブとか観てて思うけど、常に大ケガするような状態のライブをアラフォーまで続けて、だんだん関節なんかも固くなってきていつか大ケガするなって思うけど」
KENJI「すると思う、俺(笑)」
百々「でもなんかそのスリルとか、それでもやってしまうアツい感じとか、年取るごとに若い頃とは違う感じで見てしまうというか。なんかグッとくるよね」
KENJI「いやでも、アラフォーになってライトセーバー持ってる人(※MO’SOME TONEBENDERベース・武井靖典のこと )の方がだいぶグッとくるけどね(笑)。どこに行きたいんやろう、じゃなくて、どっか行ってるんやって(笑)。ほんま今のモーサムを見て欲しいよね。ライトセーバー持って腹括ってる感じを(笑)」
Suga「どんどん自由になってる感じを(笑)」
百々「自由って言ったらカッコいいけどね(笑)」
KENJI「フリーダムの穿き違いですよね(笑)」
一同「アハハハハ」
KENJI「でもSugaちゃんと打ち上げで話してても“すげぇ名曲作りたいです!”ってまだ言ってるからね(笑)。“今までの曲ひっくり返るような曲書きたい!”って」
百々 「イントロ鳴った瞬間にブワッてくる感じね」
Suga「イントロをパッと聴いたら泣いちゃう、みたいな。そのバンドの定番名曲みたいな。自分の好きなバンドを観に行って、その曲をパッと聴いたときに“うわっ!”ってなる感じの曲を作りたいですね」
百々「ちょっと今すごいいいこと言ったような気がするけど(笑)」
一同「ハハハハハ」
――では最後に、このイベントに向けた抱負なんぞを頂きつつ締めたいと思いますが。
百々 「何かね、俺思ったけど、dustboxとRAZORS EDGEのお客さんはちょっとかぶってたりするよね?」
KENJI「かぶってるところはあるかもね」
百々「たぶんうちらが一番アウェーだと思うので、2バンドのファンがモーサムすごかった、あれおもしろい!ってモッシュが起こるようなライブにしたいなと。最高の結果はサークルモッシュやね」
一同「ハハハハハ!」
百々「何とかね、dustboxとRAZORS EDGEを解散に追い込むくらいのライブをやって(笑)。“かなわんな~”みたいなやつを。サークルモッシュ、もうモーサムにあげますわって言われるくらいのやつをやります」
KENJI「そんな俺らもMO’SOME TONEBENDERを解散に追い込む!(笑)」
Suga「ちょっとバチバチやっちゃいますか!」
こいつらがやった後には草木一本残らない――。きっとそんなイベントになること間違いなし! つづきはライブハウスで! おかわりはナシよ!
Text by 谷岡マサヒロ
Photo by HayachiN
(2012年11月30日更新)
モーサム・トーンベンダー…メンバーは百々和宏(vo&g)、武井靖典(b)、藤田勇(g&ds)の3人。MO'SOME TONEBENDERというバンド名は、百々(モー)と藤田勇(サム)の名前を合わせて友人が名づけた。後に百々がTONEBENDERを語尾に付加し完成されたもの。'97年に福岡県にて結成。'01年、メジャーデビュー。その後、フジロックフェスティバル、ロックインジャパン等の大型フェスを経験。'11年3月にはアメリカ計7都市で初のツアーを実現。
MO'SOME TONEBENDER
オフィシャルサイト
http://www.mosome.com/
ダストボックス…'96年に埼玉で結成。'99年以降、Suga(vo&g)、Reiji(ds)、Joji(b&cho)の3人で活動を続ける。数々のイベント、FESに参加しつつも、バンド結成から変わらず、ライブハウスでの活動を中心に'09年には123本ものライブを行う。年々ライブパフォーマンスに磨きがかかり、'10年、現メンバーでの10周年を迎え6枚目となるアルバムのレコーディング前には10th Anniversaryと題した単独公演を新木場スタジオコーストにて行う。
dustbox オフィシャルサイト
http://www.dustbox-web.com/
レイザーズ・エッジ…'96年に大阪で結成されたハードコア・パンクバンド。PIZZA OF DEATH RECORDS所属。メンバーはKENJI RAZORS(vo)、TAKA BEEF(g)、MISSILE(b)、KRASH(ds)の4人。初期からの超スピーディーで荒々しいハイテンションなハードコア・サウンドも健在ながら、作品のリリースごとに様々な音楽性を取り込みスラッシュ・ハードコアの可能性を広げてきた。'11年10月には15周年記念盤『FUCKED UP!』リリースと同時に全国ツアーを開催。
RAZORS EDGE オフィシャルサイト
http://www.razorsedgejapan.com/
発売中
【名古屋公演】
Pコード185-181
▼1月13日(日)18:00
名古屋クラブクアトロ
3200円
ペアチケット2800円(1名分)
[出演]dustbox/MO’SOME TONEBENDER/
RAZORS EDGE/avengers in sci-fi
※ペアチケットは、2枚単位での販売。
ジェイルハウス■052(936)6041
【大阪公演】
Pコード185-367
▼1月14日(月・祝)17:30
心斎橋BIGCAT
シングルチケット3200円
ペアチケット2800円(1名分)
[出演]dustbox/MO’SOME TONEBENDER/
RAZORS EDGE/N'夙川BOYS
※未就学児童は入場不可。ペアチケットは2枚単位(合計5600円)での販売。
GREENS■06(6882)1224
【東京公演】
Pコード185-590
▼1月17日(木)19:00
赤坂BLITZ
1Fスタンディング3200円
1Fペアチケット2800円(1名分)
2F指定3200円
[出演]dustbox/MO’SOME TONEBENDER/
RAZORS EDGE/HUSKING BEE
※3歳以上はチケット必要。1Fスタンディングペアチケットは2枚単位での販売。ドリンク代別途必要。
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※動画左上のタイトルをクリックすると
大きい動画が見られます。