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ニューシングル『slow dance』で魅せた
エンディングテーマとスネオヘアーのイイ関係
デビュー10周年のアニバーサリーイヤーをしれっとやり過ごす(笑)
スネオへアーの胸中に迫るインタビュー&動画コメント

 アニメ『荒川アンダー ザ ブリッジ』シリーズにおける『逆様ブリッジ』『赤いコート』、自身が主演も果たした映画『アブラクサスの祭』を皮切りに、にわかに加速し始めたスネオヘアーとアニメ、そして映画とのイイ関係。10月24日にリリースされたニューシングル『slow dance』は、累計370万部を突破する人気アニメ『好きっていいなよ。』のエンディングテーマに、さらにカップリングの『ユニバース』も、自ら劇中音楽を担当&出演した沖縄発の映画『ハイザイ~神様の言うとおり~』のエンディングテーマに起用され、映像を喚起させるメロディの匠としての仕事ぶりは、主題歌において、特に物語の幕引きのエンディングにおいてその本領がいかんなく発揮されている。そこで、映像と自らの音楽との親和性、そして何気に今年でデビュー10周年を迎えた(祝!)スネオヘアーにインタビュー。今だかつて、ここまで穏やかな10周年を迎えたアーティストがどこにいただろう?(笑) 飛び交う会話にも“らしさ”が満ちた、これぞスネオヘアーの真骨頂、いざ!

スネオヘアーからののほほん動画コメント!

――アルバム以来のインタビューということで、近況を知るためにブログを見たらマクド食い過ぎでしょ(笑)。

 
「もうCMやらせてください!っていうくらい(笑)。チキンクリスっていうのが今年100円マックに入ったんですけど、あの価格でアレはウマいっすね! もうパキッとしたチキンです。味も割とドライな。飽きがこない味って言うんですかねぇ」
 
――(笑)。それにしても毎日食えるモノなんですね。
 
「いやホントに…何か入ってるんじゃねぇかなって思うくらい(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――まぁ(笑)スネオヘアー自身のアイテムとしては、今年はこのシングル『slow dance』だけですよね。なのに実はデビュー10周年だ!って気付いてビックリしたんですけど(笑)。
 
「そうそう。でも10周年ってそういうもんかなって(笑)」
 
――何だこの煽りのなさは!?って(笑)。普通10周年って言ったらベストが出たり、トリビュート盤が出たり、アニバーサリーライブしたりとか、もっと大々的にいろいろやるじゃないですか。
 
「ないんですよねぇ。まぁ来年の5月までは10周年イヤーで引っ張れるなっていうのは、スタッフ的にはあるみたいですけど」
 
――にしても、もうそろそろやっとかないとダメじゃないですか?  10周年のアニバーサリープロジェクトみたいなことは何かあるんですか? 
 
「僕も知りたいです(笑)。多分年末くらいにちょっとみんなで呑むんじゃないですか?」
 
(一同爆笑)
 
――ささやかなね(笑)。もうお客さん巻き込まずに身内で(笑)。まぁでもメジャーで10年やってきたのはやっぱりスゴいですよ。
 
「ありがたいですよねぇ。同期もいっぱいいましたけど、やっぱりなくなってるグループも多いんで。まだやれてるのはホントにありがたいなと思います」
 
――それで言うと、何かこう気付けば10年経っていた、みたいな感覚に近いですか?
 
「そうですね。やっぱりいいライブやりたい、いい曲書きたい、その積み重ねで10年っていう感じですかねぇ」
 
――活動の中で転機みたいなものはありました? 考え方がガラッと変わったり、もしくはもう辞めようかとか思ったことあるんですか?
 
「辞めちゃおうかなっていうのは、やっぱり前のレーベルから今のレーベルに移籍するまでの合間ですかね。やりたいことがないならやる意味もないし、ちょうど映画『アブラクサスの祭』(‘10)に主演させてもらって、これからどうしよっかなぁみたいな切り替わりの時期でしたね。そう考えても映画はやっぱりデカかったですね。1回音楽からちょっと離れて俯瞰で見れたというか。サントラをやってた大友(良英)さんとか、劇中で一緒に演奏したアイゴン(會田茂一)とか中尾憲太郎くんとかで出会って、そういう関わりでまた同じ音楽を別の角度から新鮮に見られて、やっぱ音楽やりてぇなぁって思ったんですよね」
 
――じゃあ結果、音楽活動的にも映画出演のタイミングはスゴくよかったんですね。
 
「そうですね。あのとき映画も何もなかったら、ただスケジュールが空いてどうなってたのかな?って思いますね」
 
 
積み重なっていった先に何かが少し開けてくるとか
光が射してくるとか、逆にもうダメになるとか
そういう方が好きですね
 
 
――今回の出演作品『ハイザイ~神様の言うとおり~』なんかもそうですけど、映画とスネオさんの関係性みたいなものが出来始めてますもんね。
 
「まぁ着かず離れずみたいな感じで、まだ距離を探ってるような気もしますけどね。どうなんだろう? 実のところみたいな。正直にムチャクチャやるとか、正直に大人しくとか丁寧にとか優しくとか…正直にやるしかないんじゃないですかね」
 
――それこそ『ハイザイ~神様の言うとおり~』では映画音楽も手掛けていて。自分の曲を作るのとはまた違って、映画音楽はさっき話に出た俯瞰の作業に近いと思うんですけど、どういった感覚なんですか?
 
「元々映画音楽は興味があってやりたいことだったんですね。昔ちょっと演技をやってたときは、映画が好きですごい観たりしてて。映画に対して鳴ってくる音楽の役割はやっぱり大きいですし、1つの作品の中に自分自身の音楽も刷り込んで入っていけるっていうのはスゴく興味があったし、スリリングですけど楽しい作業ですね」
 
――シーンによっては歌があったりメロディがあったりということでもないですし、普段の曲作りとはどう組み立てていくかが違いますよね。
 
「そうですね。何か素材の音響さんじゃないですけど、抽象的な単音だけを鳴らしたり、音楽的じゃない音楽みたいなモノも作ったりするんで。でも、そこに音を鳴らすだけでやっぱ意味が出てくるんで、それがシーンを邪魔し過ぎないように寄り添いながら、監督の意図の方向により引っ張ってあげるというか。最後の隠し味みたいな感じですもんね。その塩梅がやっぱり難しい。でも、そういうところがオモシロいなぁと思って」
 
――それって、割と映像が出来上がった状態で話をもらうんですか?
 
「今回の『ハイザイ~神様の言うとおり~』に関しては、何もないところでやりました(笑)。監督の口頭でちょっと聞いてみたいな」
 
――かなり探り探りの部分がデカいですね。しかも、割と短い時間で一気に撮影されたみたいで。
 
「そうそう、撮影自体は1週間ぐらいで撮ってたんじゃないですかねぇ。だから依頼を頂いたときは完成した台本もないし、キャストの相関図のイメージだけで、とにかく監督の口頭(笑)。色味とか温度感みたいなものを聞いてそれでもうバババ!って」
 
――それって作業としてはムズカしいですよね。
 
「そうなんスよ。何も音が鳴ってない映像ってすごい静かなんですよ。ホントに役者さんの台詞のやり取りと生活音ぐらいですかね。でもそこに音楽が付くことで、ちょっとコメディになったり非常に悲劇的になったり、楽しくなったりするんで。そこに当てていく作業が映画音楽の醍醐味なんですけど、今回はそうじゃない(笑)。逆にどの辺にハメてもらってるかなぁ?みたいなところはありましたね(笑)」
 
――言わば素材提供する感じですもんね。音がハマった絵を観たときにどう思われました?
 
「やっぱ意図通りだなっていう、自分が狙ってイメージしてたのとハマったヤツと、“あ、なるほど。分かりました…”っていう」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「重ねるね~! 音で逃げたなぁ~!みたいな(笑)。デカイ役割を俺に持ってきたな、みたいな感じとか」
 
(一同笑)
 
「いろいろ感じましたけどね」
 
――それはそれでオモシロいですね。委ねたねぇ~みたいなのもあるんですね(笑)。
 
「フフッ(笑)。でも、エンドロールのときはやっぱカッコいいなって、劇場でバシッときましたね」
 
――僕も確かにエンドロールを観たとき、映像とのマッチングみたいなところで言うと、スネオさんって映像との相乗効果がスゴいある人だなって思いましたね。今回の映画やアニメもそうですけど、映像と一緒になったときの増幅力がスゴい。
 
「曲単体でも例えばライブの絵が見えてくる曲とかもありますけど、ドラマのエンディングとか映画のワンシーンに対して曲を印刷すると、大概ドラマティックに転がっていくと思ってるんですよ。その中でも、“エンディング”はスゴく興味があるところなんですよね。終焉というか物事のこれまでを受けてのおしまいというか、その先というか…スゴく魅力的なポイントだなぁと。自分も人生とか命とか長い摂理が終わっていくことに関して興味があったりするんで、エンディングをやらせてもらうのはスゴく嬉しい。自分の他の曲でも、はじまりというよりはエンディングで流れるのを意識する気持ちが何か強いんですよね。それは抽象的で個人的なものですけど、曲がスーッと流れてきて、グッとくる何か、というか」
 
――映像に合うっていうのはありますけど、その中でもとりわけエンディングテーマにマッチしてるのかもしれないですね。“エンディング職人”というか、幕引きのときに前に出過ぎず、でもちゃんと確かに鳴ってる存在感があるというか。今回の『ハイザイ~神様の言うとおり~』主題歌の『ユニバース』(M-2)なんかも、ある意味そんなに大きな起伏が曲の中にあるわけでもない。さっきの人生の話じゃないですけど、人生山あり谷ありって言ったってジェットコースター・ムービーみたいなことは実際にはそんなに起きないわけじゃないですか。楽曲に脈打つある種のループ感みたいなモノが、人生において小さな凸凹が繰り返されていく感じとスゴくマッチしてるなぁって。
 
「淡々と平行線を辿るような中でも、少しずつ少しずつアガッていく。そういうメロディーの盛り上がり方、好きですね。他の曲とかでもアウトロが長いっていうのは曲の傾向としてあるかもしれないですね。そこににまさかの展開が待っている。でも、だいたいラジオとかだと途中で切られちゃって、“というわけで…”って喋りが乗っかってくるんですけど。乗っかんじゃねぇよ! これからなんだよ!みたいな(笑)」
 
(一同笑)
 
「ある程度時間費やした先にというか…その“ある程度”っていうのが大事なんじゃないですかね。ド頭からハンマーで頭を殴るような衝撃っていうのもあるとは思うんですけど、それよりも積み重なっていった先に何かが少し開けてくるとか、光が射してくるとか、逆にもうダメになるとか。そういう方が好きですね」
 
――今回の曲もそうですけど、スネオさんの楽曲が持つ根本的なところにそんな感覚がある気はしますね。
 
「そうっスねぇ…でももうちょっと、ド頭にいきなり盛り上がるみたいなこともしないとダメですかね?(笑)」
 
――(笑)。今回の『ユニバース』自体は、映画ありきで作られた曲なんですか?
 
「そうですね。何か洋楽っぽいというか、ミニマルな中で繰り返し盛り上がって大きくなっていくみたいな感じでやりたいなと。説明的じゃなくて無国籍で無機質なモノっていうのが監督のオーダーだったんで、それと今やりたい音がピッタリだったんですよ。あんまり歌詞の意味合いだったりが飛び込んでこないヤツがいいなと。そういう意味では、スゴくタイミングがよかった」
 
――タイトルの『ユニバース』はどこから来たんですか?
 
「タイトルはいつも後から付けるんですけど、人間の相関図というか関係性、その広がりの無限な感じが宇宙的だなって。『ハイザイ~神様の言うとおり~』は、何か覗きしてるみたいな映画だと思ったんですよね。スゴい高いところからの神様の目線みたいな。同じ時間の中にいろんな人たちが暮らして、その中で細かく喜怒哀楽があったり、ドラマとまではいかないまでも、それぞれに物語=人生があるわけじゃないですか。それ自体がスゴく宇宙的だなぁって思ったんですよね」
 
 
誰が歌ってるかどうかというよりは、単純に曲として“いいね”と言われたい
 
 
――今回はWタイアップということで、表題曲の『slow dance』(M-1)はアニメ『好きっていいなよ。』のエンディング曲で。そういう意味でも今回はエンディング職人としての手腕が発揮された1枚ですよね。同じ映像でも映画であったりアニメであったりで、何か感覚が変わるものなんですか?
 
「ベーシックは変わらないですね。映画に関しては主題歌だけやらせてもらうこともあって、それももちろんありがたいんですけど、自分が映画を観てても、エンドロールで全然関係ない曲が流れたりするような、何かビジネスライクな匂いがプンプンするものはあまり好きじゃないので。監督さんも映像だけじゃなくて音に対してもこだわりがあるハズじゃないですか? そういうビジネスライクなタイアップで、映画自体の作風は変えたくない。誰が歌ってるかどうかというよりは、単純に曲として“いいね”と言われたいとは思ってますね」
 
――それで言うと、『slow dance』に関しても、きちんとアニメ『好きっていいなよ。』の世界観を想定して書き下ろしたということで。このPVもオモシロいですよね。
 
「PVでは10周年っていうのを若干意識したところはありますね。10年前にシングル『アイボリー』でデビューしたとき、PVで“死にたい、殉職したい”って言って(笑)、そういう筋書きで絵を作ってもらって。今回で10年なんで“また死にたいっス”って(笑)」
 
――なるほど、そこでつながってるんや(笑)。
 
「10年前のPVに出たゆうたろうさんにもまた出てもらって。『太陽にほえろ!』のショーケンさんのオマージュだったんですけど、ああいう凝り方は今回はホントは全然必要ないんですけどね(笑)」
 
――すでにちゃんと物語があるアニメに、全然違う世界観を上塗りしてますからね(笑)。年内はこのシングルが出て、10周年に関わるアイテムを製作中とか企み中のことはあるんですか?
 
「そうですねぇ…まぁこの先のアルバムを、そろそろ進めていかないとなっていう」
 
――前作ではある種の自分の縛りを解放した話もあったので、この先どうなるのかはスゴく興味深いですね。
 
「そうなんです。次がポイントとしてはスゴくデカイなぁと思って。率先して盛り上がれてるみたいなヤツをやりたいですね」
 
――ここを逃したら、次の周年謳うにはあと5年はやらないとダメですから(笑)。
 
「そうですよね。11、12ってやっていくわけにもいきませんもんね(笑)」
 
――あと、10年続くことは向いてるらしいですよ。仕事でも趣味でも習い事でも、人付き合い、友達関係とか何でもそうなんですけど、10年続くっていうことは何かしらの縁があると言われてるらしいです。だいたい何しても10年は続かないみたいですよ。
 
「そうですか! 向いてるんだじゃあ………分かりました(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――今後のスネオさんの作品も楽しみにしています。本日はありがとうございました!
 
「ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2012年11月20日更新)


Check

Release

10周年を飾るニューシングルは
アニメと映画のWタイアップ!

Single
『スネオヘアー』
【初回限定盤DVD付】
発売中 1600円
キングレコード
KICM-91418

※DVD収録内容
『slow dance』PV
(監督:須藤カンジ)

<収録曲>
01. slow dance
02. ユニバース
03. スコール

※ボーナストラック
04. 鷹の空~ルテルテ主坊~
i-dep feat.スネオヘアー

【通常盤】
発売中 1000円
キングレコード
KICM-1418

Movie

(C)2012「ハイザイ~神さまの言うとおり~」製作委員会

スネオヘアーが音楽を担当&出演!
沖縄発のエンタテインメントムービー

『ハイザイ~神さまの言うとおり~』
▼11月17日(土)~23日(金・祝)
 14:10~15:24
▼11月24日(土)~30日(金)
 18:30~19:44
大阪 十三シアターセブンにて公開
一般1800円 専門・大学生1500円
中・高・シニア1000円
シアターセブン会員1000円
[監督]福永周平/泉尾昌宏
[出演]落合モトキ/ともさかりえ/深水元基/吹田早哉佳/ALISA/MIINA/玉那覇由規/西田幸治/スネオヘアー
大阪 シアターセブン■06(4862)7733
※先着限定で特製ステッカープレゼント。
 

『ハイザイ~神さまの言うとおり~』
 オフィシャルサイト

http://www.haizai-movie.com/

ぴあ映画生活サイト
http://cinema.pia.co.jp/title/159995/


Profile

スネオヘアー…新潟県長岡市出身の渡辺健二によるソロプロジェクト。’02年にメジャーデビュー以降、現在までに7枚のアルバムを発表してきた傍ら、YUKI、新垣結衣、坂本真綾らへの楽曲提供やサウンドプロデュース、サントラ/CM音楽の制作や映画出演などでも幅広く活躍。その独特の存在感は音楽界のみに留まらず、各界のクリエイターや俳優・タレントからも注目を集める。’10年には『聖☆おにいさん』作者の中村光によるTVアニメ『荒川アンダー ザ ブリッジ』主題歌『逆様ブリッジ』を含むミニアルバム、そして『荒川アンダー ザ ブリッジ×ブリッジ』エンディング曲『赤いコート』を含むミニアルバムをリリース。さらに自身の音楽活動に加え、他アーティストへの楽曲提供、映画『アブラクサスの祭』初主演と幅広いフィールドへと活躍の場を広げる。’11年8月には実に3年ぶりとなるオリジナルアルバム『スネオヘアー』、僧侶役で初主演を務めた映画『アブラクサスの祭』のDVDをリリースした。現在公開中の映画『ハイザイ~神様の言うとおり~』では音楽を手掛けたほか、組長役としても出演。

スネオヘアー オフィシャルサイト
http://www.suneohair.net/

Column

レーベルの移籍、映画への挑戦
結婚、事務所の設立…
昨年リリースされた3年ぶりの
アルバムインタビュー!