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極上の音楽のプレートを召し上がれ
京都発のインストバンド・Nabowaがもてなす
2年半ぶりのアルバムにして最高傑作『Sen』の世界
メンバー全員参加の裏話満載インタビュー!

 今年も『FUJI ROCK FESTIVALL’12』『20th Sunset Live 2012』、そして『朝霧JAM2012』など、全国各地の野外フェスを渡り歩いた京都発のインストゥルメンタルバンド、Nabowa。前作『DUO』では、Port of Notes、岩﨑慧(セカイイチ)、次松大助(MaNHATTAN/ex.The Miceteeth)、小池光子(ビューティフルハミングバード)、長谷川健一らゆかりあるボーカリストを招き、歌とインストの幸福な化学反応を魅せてくれた彼らが、待望にして2年半ぶりの3rdフルアルバム『Sen』をリリースした。本作では一転、ゲストミュージシャンは一切なし。ギター、ベース、ドラム、そしてバイオリンの4人のみで丹念に練り上げられたグルーヴと楽曲は、Fishmans、BOREDOMS etcとの仕事で知られる共同プロデューサーzAkの手により、さらにブラッシュアップ。上質な素材をこだわりのシェフたちが料理するかのような極上の音楽のプレートは、豊潤にして美しい旋律であなたをもてなしてくれる。そこで、前作に引き続き行われた合宿形式でのプリプロから、zAk所有のスタジオ・ストロボにて行われた目から鱗のレコーディング秘話まで、4人のチームワークとキャラクターが存分に味わえる全員インタビューを敢行。最高傑作の呼び声の高い『Sen』の世界を、たっぷりと召し上がれ!

メンバー勢揃いのなかよし動画コメント!

――前回はボーカリストとフィーチャリングしたアルバム『DUO』('11)の話を聞かせてもらいましたけど、あの『DUO』の経験があって、今回の『Sen』に向かっていったはじまりを聞かせて頂きたいなと。

 
景山(g)「前作の時点で、今回のアルバムをふまえながら作ってたような感覚もあって。プラス『DUO』を録ってみて、“なるほど、歌心ってこういうことか”ってちょっと勉強出来たというか。そういう新しい刺激をもらいつつのスタートだったんで、今までみたいにアイデアが全く出て来ないっていうわけではなくて(笑)、逆にアイデアが出過ぎて定まらへんぐらいのアルバムになりましたね」
 
堀川(b)「やっぱりいろんな人と共演したんで、そのいろんなフレーズを他の人からもらったり。もらったりってその、パクったわけじゃないですけど(笑)」
 
(一同笑)
 
堀川「何かインスパイアされて、作曲するときにはいろんなアイデアが浮かんでましたね」
 
――2年半ぶりってことは、その間にいろんな人に会ってライブもしてますもんね。
 
川上(ds)「特にこの2年半はホントにいろんな場所でライブして、本数も結構スゴいことになってると思うんで」
 
――Nabowaをライブに誘う時点で、相手も普通のバンドじゃない気もするしね(笑)。
 
(一同笑)
 
景山「アハハ!(笑) 変なヤツ。ハイ、そうですね(笑)」
 
川上「まぁ一癖二癖あるような」
 
山本(vl)「誰かと一緒にライブしたら、もうその次のスタジオ練習で何かしらの変化が現れることも多くて。例えば(景山)奏くんがある人のギターをそのまんまコピってたりとか(笑)」
 
景山「あくまでインスパイアされてるんです!(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――それこそここ2年はフェスも多かったですし、共演者もそうですけど、お客さんにしてもいろんな人に観てもらって、そこから受けるエネルギー、刺激もありますもんね。
 
山本「あとは活動も長くなってきたんで、やりたかったことが技術的にようやく可能になってきたような気もします。こんなんしたいけどどうやってやんねん? 出来るわけないやん!みたいなことが、ちょっとずつですけど消化出来てきた。まぁあれだけライブやってればスキルも上がりますし、そういう経験もあるんでしょうね」
 
 
僕らは全然タイプの違う4人が集まってるバンドなんですよ
 
 
――前回は(福井県)敦賀のロッジに合宿形式で寝泊まりして、布団が横に敷いてあるようなところでRECして(笑)。それが制作にスゴくいい風に作用したと聞きましたが、今回も合宿形式で、でも録りではなくREC前のプリプロの場所として使ったみたいですね。これは、前回の手応えあっての話ですよね。
 
川上「そうですね。1つの曲をどういう風に捉えるかをウマく共有出来るというか。週に1回スタジオに集まって進めていくのだと、やっぱり認識がある程度個々のモノになっちゃうんで。そういうときに作ってしまうと、何かメロディに説得力がなかったり」
 
堀川「1月、2月に各2週間ずつ行ったんですけど、そこからレコーディングの6月頭ぐらいまで寝かせて考えることも出来たんで、いらんところを抜いたり省いたりすることも出来て。結構濃厚なモンが出来たんじゃないかな」
 
――ひと晩寝かせたカレーはウマいみたいな(笑)。時間を空けることで、やっぱり変わるモンですね。
 
景山「これダサッ!! みたいなことも、ちょいちょいありました(笑)」
 
――アハハ!(笑) そこまで変わる!?
 
川上「90%出来てるんですけど、あとの10%を引き出すのにものスゴく時間が掛かって揉めて、結局最終的には0になってもう1回最初からとか(笑)」
 
景山「前までは作ってすぐ、ハイ! 曲出来た、じゃあもう録音、OK! 次の曲っていう感じで、あんまり熟成期間なかったので。ある程度客観的に見られたのはスゴい大きかったと思いますね」
 
――家が近いとか一緒に住むとかって、活動において案外大事なことなんやなって思いますね。でも一方で、2週間ぐらいの共同生活やからいいのかもしれないし。
 
川上「終わりが決められてるっていうのが、スゴいデカイです(笑)」
 
景山「アハハハ!(笑)」
 
――それが1年とかなってきたら、いいことだけじゃないいろんなことが(笑)。
 
山本「僕らは全然違うタイプの4人が集まってるバンドなんですよね。日常生活でこだわる部分も全然違いますし。アレが2ヵ月やったら、また話が変わってきたかも分かんないです(笑)」
 
――場所は前回と同じですよね?
 
川上「ただ、今年の方が雪が積もってたんで…」
 
山本「最初に雪掻きから始めたもんね(笑)。今年はホントに雪がスゴかったですね。もう見渡す限り真っ白みたいな。寒かったなぁ…」
 
――普段とは別の場所に来てるっていう気分の高まりも、制作に集中出来る要素ですね。
 
景山「もうせざるを得ない環境というか」
 
山本「他にすることないですからね(笑)」
 
――(笑)。飯食うか、音楽やるか、みたいな。
 
 
料理ってスゴくいろんなモノに通じてるなぁって
これを音楽とリンクさせたら、もしかしたらスゴく効率的に作れるかも
 
 
――そんな中でみんなで曲出ししていく中で、メンバーの変化を感じたりしました?
 
山本「例えばちょっとしたことなんですけど、(景山)奏くんが実家を出たんですよね。そこが前回とは違うところで、料理がちょっとウマくなってたりとか」
 
堀川「そこ!?(笑)」
 
山本「でもコレって、楽曲作りにおいて結構大事なところというか」
 
景山「ホンマに今まで料理を全くしたことなくて。やってみたら瞬時に2つの鍋を見たり、スゴい頭使うじゃないですか? ヤバいヤバい! 焦げるー!! みたいな(笑)。あ、でもこっち茹で…あ~麺がもう柔らかい…みたいな」
 
(一同爆笑)
 
――パスタね(笑)。
 
景山「そう(笑)。それを毎日やることによって、例えばスゴい寝ぼけた頭も、まず料理してから作業とかしたら、全然効率が違って。なるほどなと。これはボケ防止にもなる」
 
――まだ早いから(笑)。
 
景山「何か料理ってスゴくいろんなモノに通じてるなぁって。これを音楽とリンクさせたら、もしかしたらスゴく効率的に音楽が作れるかもと。効率よく作らんとドンドン時間が掛かるじゃないですか。まぁそんなん言ってますけど僕も効率悪いんですけど、料理をやるようになってからの変化はスゴいあると思います」
 
――生活環境が変わって、それによる刺激もあったと。
 
川上「あとは2年目やったし最初のとっつきが全然違って、去年に比べたらもう何倍も作業が早かったですね。最初の2週間で7~8曲くらい出来たんで」
 
堀川「初期段階からある程度どういう感じの曲を作るか話し合って、グラフを書いたんです。早い、遅い、まろい、激しいみたいな(笑)」
 
――よくある十字の分布図みたいな(笑)。
 
堀川「そうそうそう。それまでは出来た曲を録るって感じやったんですけど、今回は“この辺の曲ないし、1曲作ろう”みたいに、もっとバランスよくやりたいなって。そういう意味でも早かったですね」
 
――全体の設計図みたいなモノがあったと。例えば、盛り上がる曲が必要っていう1つのお題があるから、ある種曲も作りやすい。さっきの料理で言ったら、前菜とデザートが決まってて、ここで肉出すからその間に入れるの何がいいやろ?みたいな。
 
景山「ホンマにそんな感じです(笑)」
 
――あんま濃いモンが続いても、とかね。あと、今回は全13曲とボリューム的にも聴き応えがあったなぁと。
 
川上「これでも結構削ぎ落としたんですけど、元々は1曲だったものを全然違う曲調にして2つに分けたりもしたんで、ちょっと曲数は多めになっちゃったんですけど」
 
山本「逆にライブではまたそれをくっつけたりしてるんですよ。ライブはライブでまた全然違ったアプローチが必要なんで。もう1回再利用みたいな感じでやってますね」
 
――今回はある意味、アルバム全体でじっくりじっくり時間を掛けてアゲる作用がスゴくあるなぁって。
 
川上「やっぱ13曲全体のストーリー性というか、1つのアルバムとしての雰囲気は持たせたいなって。そこは結構大事にしてて」
 
山本「インストって短編集になりがちなんですよね。確かに短編でも読める話やけど、ちゃんと全部がつながって、1つの物語っていうのは今回スゴく意識したかもしれないです」
 
――え、それで『Sen』?
 
景山「うん(笑)」
 
(一同笑)
 
川上「今回のコンセプトとして、ゲストのアーティストを呼ばずに4人で録音するっていうのがあったんで、“4人だけ”っていう最小単位の意味合いのタイトルを付けたかったんです。そういう単語をいろいろ考えていく内に、(堀川)達が“点とかどうですか?”って。点やったら4つ集まったら“線”やし、『Sen』でいこうみたいな」
 
山本「さらに今回の作品を作って、“次につなぐ”みたいな感覚がしたんですよ。全部出し尽くしたけど、いろいろとヒントも出て来た。これはやっぱり共同プロデューサーのzAkさんが新たに加わって得た部分かもしれないですね」
 
 
もう楽しいヤツとしか、一緒にいないことにしてるんです
その方がいろいろと高まっていくのかなって
 
 
――今回は4人がある程度プリプロで煮詰めたモノを、zAkさんのスタジオで改めてレコーディングしたわけですけど、きっかけは何があったんですか?
 
川上「今作の曲作りの前に、レコーディングやMIXを今まで通り自分たちでやるのか、外部の人に頼んでみるのかを結構悩んだんですけど、最終的にはやっぱり新しいことにドンドンチャレンジしていきたいっていうところで、zAkさんにお願いした感じですね。エンジニアの候補もいろいろ挙げさせてもらったんですけど、4人の中で1番しっくりきたのがzAkさんだった。お願いしたらすぐにいいよって言ってくださって(笑)。まさか一緒に出来るとは思ってなかったんですけど」
 
――面識はあったんですか?
 
川上「1度だけ、中華料理屋で(笑)」
 
――またメシの話(笑)。中華料理屋でたまたま会った?
 
山本「たまたま(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) それスゴいな。
 
川上「フェスで一緒だったんですけど、夕方ぐらいに終わってご飯食べに行ったらそこにいらっしゃって。そのときにはちょっとご挨拶したぐらいで」
 
山本「後から聞いたら、zAkさんがそのフェスで僕たちのライブを観てくれてたらしいんですよ」
 
――僕もzAkさんご自身のインタビューを読んだこともありますけど、スゴく芯のある方やなぁって。また、zAkさんのスタジオがめちゃくちゃ評判がいい。
 
景山「もうこだわり抜かれてるというか」
 
川上「空気が違うんですよ。炭が何百キロと置いてあるお陰なのか、外よりも空気がいい(笑)。普通地下にあるスタジオって、空気が淀んでるじゃないですか。全くそんな感じじゃなくて、まるで屋上にでもいるような…それには結構ビックリしました(笑)」
 
――じゃあやっぱり炭って効果あるんやね。
 
堀川「めちゃめちゃ置いてはるらしいですからね」
 
山本「400kgとか言うてはったんかなぁ。あとは毎朝ホワイトセージか何かを炊いて。ネイティヴ・アメリカンの方とかがやるらしいんですけど、空気を清める作用があるらしくて、まず朝スタジオに来たらその匂いがするんですよ。あれはちょっと集中力が上がる気がするね」
 
景山「何日目ぐらいからかもう、パブロフの犬みたいな」
 
山本「そうそうそう!(笑)」
 
――あの匂い嗅いだらスイッチ入る(笑)。
 
景山「くんくん。ハイ、やろう! みたいな(笑)」
 
(一同爆笑)
 
川上「アハハハハ!(笑) でもホンマにそんな感じやった」
 
山本「しかもご飯がまた美味しかったんですよ(笑)」
 
――作業するときのご飯は、実は大事ですからね。
 
川上「zAkさんも言うてたもんな。音楽と料理は表裏一体やって」
 
山本「今日は蕎麦がいい? それともイスラエル料理? インド料理? みたいな感じでケータリングを頼むんです。zAkさんは完全に野菜しか食べない方なんですけど、僕らはご飯も肉も食べて。昼はサクッと食べれるサンドイッチか何かで済ませて、夜は結構ガッツリ食べるみたいな」
 
――空気といい食事といい、音を録る上での環境作りが大事なのを知ってるんでしょうね。ブースの中だけじゃなくて外のロビーとか、そういうところも含めて音楽に作用する。
 
堀川「美味しいモン食べてモチベーション上げて、気合い入れてやって、夜はちゃんと寝る、みたいな」
 
川上「ものっスゴい規則正しい生活でしたね」
 
山本「いい気分でいるっていうのはスゴく大事やなぁと、レコーディングしててもよく思いますね。美味しいモンを食べるのもアリやし」
 
――知り合いのミュージシャンで尊敬する人が言ってたんですけど、やっぱ音楽をやる人って、どうしても自分が音楽に出ちゃうと。逆に言うと、普段の自分が出てもいいように、普段の自分をよくするというか、気持ちよく活動出来る環境を作るのがスゴく大事なんやと。それが音楽に出るからって。なるほどなって。
 
山本「スゴい分かります。もう一緒にいて楽しいヤツとしか、一緒にいないことにしてるんです。何かその方がいろいろ高まっていくのかなって」
 
堀川「これからも一緒にいてくださいね」
 
(一同笑)
 
山本「いてるやんけ! めっちゃ(笑)」
 
――1年後のインタビューでね、3人になってたりして(笑)。
 
(一同爆笑)
 
山本「自然体でいられるのが1番大事ですね。やっぱ普段からいい気分でいられるような仲間と一緒にいるっていうのは、スゴく大事なことなんかなぁと。それでお互いがプラスに働いたらそれが1番いいですし」
 
 
全部が“それっぽい”じゃなくて、“まさにコレ!!”になってた
 
 
――実際にzAkさんのその素晴らしいスタジオで作業してみてどうでした?
 
山本「もう毎日スタジオに行くのが楽しくて楽しくて。例えば僕らにとってのレコーディングって、まずスタジオに入って荷物下ろして、スタンド立ててマイクセッティングして、いろいろ微調整してさぁ録るぞ!の前にちょっと休憩みたいな(笑)。今回はエンジニアさんがいて、自分たちの技術を遥かに越えたところでそれをやってくれるっていうのは、もう“マジック”みたいな。スタジオに行ったらちゃんと環境が整ってて、僕たちはとにかく演奏に集中することが出来たんで」
 
川上「あとはzAkさんの人柄かなぁと思いますね。結構大御所な方じゃないですか。だから、僕らも最初はスゴい緊張してて。でも、1曲目を録る頃には全然リラックスして出来たんで。もちろん音作りは勉強になったんですけど、やっぱあの人柄が僕らをスゴいリラックスさせてくれたから、納得のいく音で録れたんじゃないかなぁと思います」
 
景山「今までは自分たちで全部録ってたんで、言ったら見よう見真似みたいな感じやったんですけど、zAkさんのとこでやってみて、イメージしてた音はその日の内にバッ!!と出来るし、またそれのさらに上をいくエフェクトの処理を、何も言わずともやってくれてる。全部が“それっぽい”じゃなくて、“まさにコレ!!”になってたんで、結構ビックリしましたね。多分zAkさんがいろいろ感じ取ってくれてて、それを僕が内心スゲェなぁ~!と思ってたら、ニヤッ…みたいな人です(笑)」
 
(一同笑)
 
――プロって感じですね~。
 
景山「ホンマにそうですよ。しかも職人は職人なんですけど、ただの職人じゃなくて、半分アーティストというか」
 
川上「閃きが違うんですよ」
 
堀川「ホンマに何が起こってるか分からんかったしね(笑)。アレ? アレ? みたいな」
 
景山「一瞬の内に音がきらめくじゃないですけど、ウワ~ッ!!って感じる瞬間がもういっぱいあって。僕ら4人だけでは絶対出来ひんかったなぁって」
 
堀川「一応、自分らでプリプロも録ってベストな状態なものを持って行ったんですけど、zAkさんが“ココ要らんのじゃない?”って言った部分を抜いて聴いてみたら、ホンマにめっちゃスッキリしてたりとか、そういう驚きはかなりありましたね。プリプロではバイオリンを10本重ねて録ってたのに、とある機材を使えば1本で済んで、しかもそっちの方がいいみたいな」
 
山本「バイオリンを変則チューニングまでして10 本ぐらい重ねたんですけど、zAkさんに“バイオリンっぽくなくしたいんですけど”って伝えたら、“ちょっとコレ使ってみる?”ってその機材につなげはって、聴いてみると…“まさにコレですわ!”って(笑)」
 
堀川「ある意味、僕ら以上に僕らの曲を分かってくれてはった感じはします」
 
山本「100%を120%に伸ばしてくれるみたいなところがありましたよね。他にも、zAkさんに“これクリックとズレてる気がするんですけど”って言ったら、“お客さんはクリック聴いてないから”とか、“それぐらいのミスは全然分からへん。気にしてるのは自分だけやで”とか、そう言ってくれたのもありがたかったし発見でしたね」
 
川上「今回は5日間で13曲録ったんで、1~2テイクぐらいでもう“ハイ、コレでいこう!”っていう感じで、よっぽどのことがない限りオーバーダビングしなかったんですよ。今までのアルバムでは結構してたんで、後で何回も聴いてたらどうしてもいろいろ発見するじゃないですか。後悔しちゃいますよね。でも今回は、そういう1人1人のミスみたいなものは結構あるんですけど、それよりも4人のグルーヴ感だったり持ち味みたいなものが、今までと比べたら断然詰まってる。だからそういうことが全然気にならないというか」
 
山本「4人で音楽やってる凝縮感みたいなものは、スゴいあると思います」
 
 
もう8本の手で出来る限界まで、今回のツアーではやってやろうかなぁと
 
 
――今回の楽曲の中でタイトルで引っ掛かったのが、『No violin,No Nabowa』(M-6)で(笑)。
 
(一同笑)
 
川上「この曲ってバイオリンが入ってないから、もう完全に皮肉ってるだけなんですけどね(笑)。『DUO』のときも1曲だけバイオリンが入ってない曲があったんですけど結局違うタイトルになったんで、またそういう曲が出来たらこのタイトルを付けようと。今回は遂にそれをやりました(笑)」
 
山本「曲が出来る前にタイトルが決まってるのはまぁ珍しいんです。僕らの曲名って最初はメチャクチャで、例えば『pulse』(M-5)はずっと『ワッショイ』って呼んでましたから」
 
――アハハハハ!(笑)
 
川上「神輿を担ぐみたいな曲にしたかったんですよ」
 
――『ワッショイ』から何で『pulse』にいったんかって気はしますけどね(笑)。
 
景山「『ワッショイ』も90%くらいまで作ったんですよ。それも1回壊して、次の日またご飯食べたらダサなって」
 
川上「アハハハハ!(笑)」
 
景山「そういうのを繰り返して最終的に研磨していったら、コレは『ワッショイ』ではない! どうやら『pulse』や!って(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――『ワッショイ』かと思って作ったけど、『ワッショイ』やと90%をどうしても越えられへんと(笑)。
 
山本「『Loop of curtain fall』(M-10)とかは、最初『クラップ』って呼んでたんですよ。これこそ、ほぼ99%までいってたのに、-50%ぐらいまで下がった曲」
 
景山「誰に聴かせても、ダサい!!っていう(笑)」
 
――それやったらもはや、原型すらないんちゃうん?(笑)
 
堀川「最初言った分布図の話で言うと、当初欲しかった曲と全然違う曲作ってもーたみたいな」
 
(一同笑)
 
山本「最終的に結果オーライというか、まぁウマいことまとまってよかったよね(笑)」
 
――まぁこのアルバムが出来てね、過去最長のツアーも、フェスあり、インストアありみたいな感じで、会場の幅がスゴい(笑)。オートキャンプ場もあればライブハウスはもちろん、美術館もあって。
 
川上「音楽室もあります」
 
――Nabowaは場所を選ばないですね。
 
景山「自分たちらしいかなとは思いますけど(笑)」
 
――だって普通ツアーって銘打つときって、例えばフェスとかインストアは別にするけど、もう全部ツアーに入れると(笑)。コレまた楽しいですね。シチュエーションがここまで変わるのっていうのは。
 
景山「お客さんも全然違うし」
 
山本「スタッフもみんな違うもんね。自分たちでしなきゃいけないことも、ものスゴい変わってくる。何を考えてどういう準備をしていくのかを、毎回考えるのがオモシロいです」
 
――楽しいツアーになりそうですね。大阪はもちろん、今回は地元滋賀U★STONEでのライブもありますね。
 
山本「そういやあったな(笑)。セミファイナルやん! 遂に滋賀でそんなことをする日が…」
 
――滋賀ではライブとかしてないんですか?
 
山本「年に1回あるかないか」
 
――京都が多いってこと?
 
景山「京都もそんなに多くはないですね」
 
――マジで!? 地元でやらんとどこでやってるん?(笑)
 
(一同笑)
 
景山「そうなんですよ(笑)。どういうことやねん!って話ですけど(笑)」
 
――地の利を全然活かしてないやん。
 
山本「たまに地元の人間に会うと、“えっ!? この辺住んでんねんや”って言われます(笑)」
 
――最後にそれぞれライブに向けて一言ずつ頂ければと。
 
堀川「これはもう言われてしまいそうやから先に」
 
(一同笑)
 
堀川「音源も最高のモノが出来たんですけど、ツアーではアレンジもドンドン変えて、またCDとはちょっと違った感じで聴かせられると思うんで、その辺も楽しみに遊びに来てください!」
 
川上「アルバムもゲストなしの4人でやったんで、今回のツアーも基本的に4人でやりたいなぁと。もう8本の手で出来る限界まで、今回のツアーではやってやろうかなぁと思ってるんで、楽しみにしてもらえたら」
 
山本「ライブではやっぱりそのときにしか生まれない音、今のNabowaが絶対に体験出来ると思うんで。音源よりさらによくなってるはずなんで、期待しててください」
 
――じゃあ最後に。
 
景山「点と点が重なり合って、線になる瞬間を観に来てください」
 
(一同爆笑)
 
山本「締めた! 締めた!(笑)」
 
堀川「もぉ~!!(笑)」
 
――自ら最後を買って出たのは、これがあったんか(笑)。
 
景山「決まったぁ~」
 
川上「アハハハハ!(笑)」
 
――いや、いい締めでした。本日はありがとうございました!
 
「ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2012年11月22日更新)


Check

Release

zAkを迎えた2年半ぶりのアルバムは
オーガニックでノスタルジックな傑作

Album
『Sen』
発売中 2600円
AWDR/LR2
DDCB-12050

<収録曲>
01. きょうの空
02. 続く轍と懐かしき扉
03. Magical Journey
04. So Fat ?
05. pulse
06. No violin,No Nabowa
07. SUN
08. a.k.a.
09. cal<lon
10. Loop of curtain fall
11. tick tick away
12. カルテット
13. chopstick chop

Profile

ナボワ…写真左より山本啓(vl)、川上優(ds)、堀川達(b)、景山奏(g)。京都を拠点に活動している4人組インストゥルメンタル・バンド。現在までに3枚のアルバム、数枚のミニアルバム、シングル、アナログ盤をリリース。’10年5月発売の2ndアルバム『Nabowa』では、ツアーで鍛えられた演奏とノスタルジアをおぼえるオリジナルの世界観が見事に交差し、各方面より大きな反響を得た。リリース後には『FUJI ROCK FESTIVAL ’10』をはじめ大型フェスに多数出演、ライブバンドとしても高い評価を得ている。’11年4月にはシングル『SUN』を発表、夏には2年連続となる『FUJI ROCK FESTIVAL ’11』に出演。同年9月には、数人のシンガーを迎えた非インストゥルメンタル・アルバム『DUO』を、’12年3月には初のDVD『ナボワのライブ』を発表。そして、9月12日には2年ぶりとなる待望の3rdアルバム『Sen』を発表、『朝霧JAM2012』にも出演を果たした。

Nabowa オフィシャルサイト
http://www.nabowa.com/


Live

過去最長のツアーもいよいよ大詰め
大阪公演が間もなく開催!

Pick Up!!

New Album『Sen』
Release Tour

『Nabowa Live』
チケット発売中 Pコード174-322
▼11月25日(日)18:30
梅田Shangri-La
オールスタンディング3000円
夢番地■06(6341)3525

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
a.m.p.m.72 presents
Nabowa new album『Sen』release tour
▼12月7日(金)19:00
奈良spolkadot
open 19:00
前売3000円
cafe polkadot■0744(23)8777

Altero Custom Guitars Presents
『Altero’s Party-Extra edition-』
▼12月14日(金)19:00
滋賀U★STONE
前売3000円
[出演]Nabowa/jizue/tricot
U★STONE■077(531)1770

Column

裏テーマは酒と音楽!?
個性豊かな歌い手を迎えた
コラボアルバム『DUO』
裏話満載インタビュー!