ホーム > インタビュー&レポート > 京都発~南堀江経由~世界行きの新星NOKIES!が 完全セルフプロデュースのデビューフルアルバム 『BETWEEN THE BLINKS』を携えいよいよツアーへ! バンドの覚醒の息吹を感じるインタビュー&動画コメントが到着
――では、初めてインタビューさせてもらうこともあり、バンドのこれまでの道のりも簡単にお伺いしたく思います。
Yusuke Kume(vo&g)「最初はビートルズのコピーバンドから始まった、サークル内での適当な趣味バンドって感じだったんです。それでも段々、ライブとかもやるようになってメンバーが代わったりしていくうちに、音源(前作『7 songs E.P.』/2011年2月リリース)を出す話になって。それで今のメンバーに落ち着いた感じですね。まだ(バンドとしては)2年も経ってないかな」
Atsuya Kose(ds)「『7 songs E.P.』をレコーディングして、活動もちょっと燃え尽きた感じがあったんです。“いい思い出できたな~”みたいな(笑)。責任感も何にもない感じで。そうしたら、ベース(Kotaro Matsumoto)が音源をFLAKE RECORDSに持っていってくれてて」
Kume「そこからは結構急展開でしたね」
――じゃあ、逆にそれまでは音楽で食べていくっていう考えは…。
Kume「そうですね、全然なかった」
――自分たちにプロになる能力があるなんて思ってなかったとか?
Kume「いや、世界一カッコいいと思ってました(笑)。でもそう思いながらも何かあればいいな…ぐらいで」
――それまでは受身だったと。
Kume「そうですね、(プロになるには)どうすればいいかわからんっていうのもあったんですけど。でもそれも初めて音源出したことで意識が変わっていったのはありますね。予想外にいい反応があったから」
――『7 songs E.P.』で、バンドがやっとスタート地点に立った感じですね。それからは怒涛のライブデイズが始まると。去年が60本くらいということで、もしライブ筋なんてものがあるなら、相当鍛えられたんじゃ?
Kose「今、その頃を思い返すとフワフワしてましたね。まだ甘かった。ちょっと浮かれてたというか、立ち向かうっていう気持ちではなかったな。ライブを重ねていくうちに対バン相手の凄まじさとかがわかってきて、いろんなことを勉強させてもらって…。今になってやっといろいろ気付き始めたくらいですね。試行錯誤しながら」
Kume「結成した当初の目標が、8ottoと対バンすることだったんですよ。何にも媚を売ったりしないというか、芯が通ってるし。音はもちろん、そういう活動の仕方含めて大好きで」
――昨年2月には早々に対バンが実現してますね。
Kose「本当に夢が叶ったなと。その時のライブは本当にヤバかった…」
Kume「今はいいやん、反省会せんでも(笑)」
――そっちのヤバいですか(笑)。他に2011年で思い入れあるライブは?
Kume「フジロックに出られたのは大きかった。ちょっと認めてもらえたなって感じましたね。僕らフジに出た時に備えて曲も書いてましたから(笑)。それぐらい出たかったので本当に嬉しかった。ライブ自体は決して100点満点じゃないですが、すごくいい経験になりましたし。泥だらけで外国のお客さんが踊ってくれているのを目の当たりにしたり」
――さらに、今年に入っても『サウス・バイ・サウスウエスト』への出演やUS/UKを廻るツアーなども経験されていますよね。
Kume「めちゃくちゃいい経験になりましたね。海外の人たちは音楽がすごく生活に密着してる感じ。それぞれ別のものじゃなくて、生活自体に音楽も含まれているというか。そりゃ生まれてくるサウンドもちがうよなぁって。年齢関係なくみんな楽しんでたので、そういう所がすごく刺激になったなと。観てくれていたお客さんが“楽しい夜をありがとう!”ってビールを持ってきてくれて乾杯したり、距離感も近いんですよね」
Kose「音楽が鳴ってる場所への向き合い方が根本的に違う。場を楽しむというか。チケット代も安いですしね。真剣に観ている人もいるけど、人としゃべったり飲んだりする場に音楽が鳴ってるっていう、日本とは逆の捉え方じゃないかなと」
――なるほど。アーティストが偶像ではなくてみんなフラットに楽しんでる、いい意味で音楽を特別視してない状況なんですね。それにしても、これまでザッと振り返っただけでも、すごいスピードで夢や目標を叶えてきてますよね。
Kose「でも、いいことばっかりってわけでもなくて、怖さとかもありましたね。正直ぺーぺーだし、他のバンドに比べたら下積みも薄い。それでもDAWAさん(FLAKE RECORDSの店長)が押してるバンドだからってことで、どないなもんや?って観に来てくれるお客さんもいますし…。そういうのも見えない敵と戦ってる感じでしたね。1年経っていくうちに徐々に慣れていきましたけど」
Kume「常に勝負じゃないですか。僕らはまだ年齢としてもこれからだし、人間的にも未熟で、学ぶことがいっぱいある。だから人間的にも揺らぐ…揺らいじゃうんですよ。その結果として、楽曲に幅広さが出たりとかもあるんですけど。揺らいでいいのかなっていう不安はありますね。何かを試行錯誤するのにしても、相当覚悟がいるなと。それが怖かったですね」
――プロの洗礼じゃないですけど、より本物になっていく過程にいるんだろうなって思いますね。その中で、8月には初のフルアルバム『BETWEEN THE BLINKS』をリリースされました。完全セルフプロデュースということもあり、かなり時間をかけて作られたと思うのですが。
Kume「そうですね。結構長いスパンで作りました。例えば『Oslo』は1年くらい前からやってたし。この曲のそもそもの原型はセッションから生まれたんですけど、歌詞とかどうしようかなってふっと見たのがオスロの写真集だったんです。それでいい街やな、この街の歌にしようって」
――ノルウェーに行ったことは?
Kume「実際に行ったことはなくて。写真から得ていくイメージから生まれたことが逆に大事だと思うんですよね。曲作りには想像力が一番の核だと思ってますから」
――確かに。ノルウェーの街を知らない私にも景色が共有できるような、聴く側のイマジネーションも掻き立てられるものがありますね。他に曲作りで意識したことってありますか?
Kume「曲の展開自体には新鮮さとか新しさを探したいなとは思ってるんですけど、突き放すのは嫌いで。あくまでポップさを大事にしたいので、メロディの親和性は意識したりしますね。そのバランスはかなり気をつけてます」
――それは、対お客さんを意識して?
Kume「そういう気持ちもありますね。それこそバランスにもよりますけど。やっぱり結局は広まってほしいじゃないですか。それを前提に作るので、メロディをよくしたら広まるなって思ったらわかりやすくしますし、必要なかったらしない」
Kose「展開を何パターンも考えたりするんですけど、そこはもうセッションっていうノリじゃなくて、かなり神経質に突き詰めたりしますしね」
――数学的にじゃないけど、かなり1曲1曲を磨き抜いて詰め込んだ印象ですね。
Kose「どの曲にもいえるんですけど、最初の段階と最終的な状態が全然違うんですよね」
Kume「最初に合わせた時は、めっちゃイイやん!シングルきた!って盛り上がるんですけど、後日改めて聴くと何か違う…?ってなるんですよね、絶対」
Kose「ボツ!って」
Kume「全部そんな感じなんですよ、曲を作ってる時は。スタジオでひと通りやった帰り道とかは、俺らはやっぱ天才や!組むべくして組んでるな~みたいなことを言いながらご機嫌で帰るんですけど、次スタジオへ集まった時は速攻であの曲は違うやろ、何がよかったんかと(笑)」
Kose「『BETWEEN THE BLINKS』では、曲を作らないと!っていう意識で作ってたので、結構苦しい思いが多かったんですよね。それまでは気楽にやってきたんで。初めて、CDを出すことを前提に曲を作ってたから」
――“生まれる”と“生もうとする”では、かなり違いますもんね。作り方としては、一旦寝かせないと納得できないことが多いんでしょうか。
Kume「いや、曲によるんですよ。何かほんまに一発でバンってできるものもあるんですけど。7曲目の『The Morning』とかほんまクセもので、地獄の日々でした…」
Kose「最初は踊れる感じで、ちょっとエロい感じのかっこよさがある曲だったんです」
――確かに全然違いますね(笑)。今はザラっとした大人っぽいムードの曲ですし。
Kume「“何か違う病”が出てきちゃうんですよね~。没になる寸前だったんですけど、たまたまテンポ落としてみたらうまくいったっていう、試行錯誤の末の1曲です」
Kose「飽き性なのかな。いい意味でも悪い意味でも。僕らは例えば5枚アルバムを作っても、全部同じ感じとかはありえない。いろんな方法をどんどん追求しちゃうと思う。それで言うと、聴いている人たちを置き去りにしてしまうかもしれないという危機感もありますね。そのバランス感覚が難しいなと思ったり」
――でも、そういう苦労もいい意味で見えてこない。いつどんなタイミングで聴いても寄り添ってくれる、ポップの本質を教えてくれるようなアルバムですね。同作を引っさげて10月9日(火)の新代田FEVERからツアーも始まります。
Kose「いつでもどんなライブでも変わらずがんばってはいるんですけど、初めてのアルバムレコ発なんで気合も一層です。SPACE KELLYとの共演もめちゃくちゃ楽しみですね」
――バンドの歴史的にも新しい一歩ですね。最後に、これからの展望を教えてください。
Kume「…どうしよう、もう新しい曲を作りたいです!」
Kose「制作中は全然曲出てこーへん! みたいに悩むんですけど、ちょっと時間経つといろんなアイデアが生まれてくる」
Kume「どんどん、どんどん新しいことをしていきたいですね」
Kose「僕ら、なんだかんだ曲を作るのがめっちゃ好きだと思うので。ゆくゆくは、US/UKツアーで僕らが感じたような音楽の自由さを日本のお客さんにも僕らを通して感じて欲しいし、いずれは変えていきたい。気軽にライブへ来て、僕らのことをブーイングして帰ってもらってもいいです(笑)」
――音楽の在り方を変えていきたいということですね、それは大きい。
Kose「デカい、高い目標ですね」
Kume「後は目の前のライブを全力でがんばるのみです! …高校球児みたいなこと言ってるけど(笑)」
Kose「初心が一番大事!」
――これからの活躍に期待しています! 今日はありがとうございました。
Text by 後藤愛
(2012年10月 5日更新)
Album
『BETWEEN THE BLINKS』
発売中 2200円
FLAKE SOUNDS
FLAKES-060
<収録曲>
1. Hey Folks
2.Something's Coming
3.One Foot On The Ground
4.All Your Trees Grow
5.With All Lights
6.Raindrops Always Let Me Down
7.The Morning
8.Everyone Needs To Be In Love
9.Oslo
10.Let Your Band Sing
ノーキーズ…メンバーは、Yusuke Kume(vo&g)、Atsuya Kose(ds)、Kotaro Matsumoto(b)、Yu Sugano(g)の4人。堀江のレコードショップ・FLAKE RECORDS初の日本人アーティストとして、’11年2月に『7 songs E.P.』でデビュー。稀有なポップセンスと、国内に留まらないワールドワイドな活躍で、じわじわライブシーンで注目を浴びる。バンド名の意味は、「語感重視」(Kume)ながらも、「オーストラリアのスポーツくじを売ってるバーの名称だったり、アメリカではエッチ、スケベ的な言葉に酷似しているらしいんです…」(Kose)と、本人たちの和やかなキャラクターとはいい意味で反する言葉だったと、後ほど判明。
NOKIES! オフィシャルサイト
https://sites.google.com/site/nokiesweb/
『FLAKE RECORD 6th Anniversary
“TONE FLAKES vol. 40”
NOKIES! & SPACE KELLY JAPAN TOUR』
【東京公演】
チケット発売中 Pコード177-966
▼10月9日(火)19:00
新代田LIVE HOUSE FEVER
スタンディング3500円
[共演]スペース・ケリー/totos
FLAKE RECORDS■06(6534)7411
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード177-981
▼10月10日(水)19:00
池下CLUB UPSET
スタンディング3500円
[共演]スペース・ケリー/totos
池下CLUB UPSET■052(763)5439
チケット発売中 Pコード177-814
▼10月11日(木)19:00
心斎橋LIVE HOUSE Pangea
スタンディング3500円
[出演]スペース・ケリー/NOKIES!/totos
LIVE HOUSE Pangea■06(4708)0061