神々しい歌声と新世代のサウンドスケープが結実した
1stアルバム『HEAVENSTAMP』!
世界照準の轟音ギターロックバンド・Heavenstampの
インタビュー&動画コメントが到着
‘08年、観客として訪れた『FUJI ROCK FESTIVAL』で観たマイ・ブラッディ・バレンタインのライブに衝撃を受け結成。以降、UKギターロック、ディスコ、パンク、シューゲイザーetcをポップに消化した新世代のサウンド、キャッチーなメロディを轟音ギターでコーティングした鉄壁のアンサンブルで、シーンで熱い注目を集めるロックバンド、Heavenstamp。‘11年5月に『Stand by you-E.P.+REMIXES』でメジャーデビュー以来、ブロック・パーティやアニマル・コレクティヴをはじめ、国内外を問わぬクリエイターと刺激的な作品を世に送り続けた彼らが、待望の1stアルバム『HEAVENSTAMP』をリリースした。そこで、現在はそのリリースツアー真っ最中、10月13日(土)梅田クラブクアトロでのワンマンライブも控えるHeavenstampの美しきフロントマン・Sally#Cinnamon(vo&g)をキャッチ。今作に至る道のりから制作秘話、意外な(?!)大阪の印象etcまでを訊いた。
キュートです! Sally#Cinnamon(vo&g)からの動画コメント
――遂にメジャー1stアルバム『HEAVENSTAMP』が遂にリリースされましたね。
「リリース当日にライブをしたんですけど、みんなホントに割れんばかりの歓迎をしてくださって。踊ってくれたり楽しそうに歌ってくれたりて…やっぱり私たちが自信を持って作ってきた曲は間違いなく届くんだっていう自信になりましたね」
――このときの会場は、10年に初めてワンマンライブをした渋谷Cladだということでしたが、久々に古巣のステージに立ってみてどうでした? 見える風景だったりステージ上での感じ方も変わったと思いますけど。
「もう本番になってしまえば楽しくて、以前のことを思い出す余裕は全然なかったんですけど(笑)、リハーサルのときは一番キましたね。あぁあのときこんな気持ちでリハーサルしてたなぁとか、いい意味で随分変わったなぁとか。メンバー間の信頼関係もそうですし、それなりの道のりを歩んで来たなぁって。感慨深かったです。あと、当時インディーズで1枚出したばかりのときよりは、やっぱり曲の浸透度も盛り上がり方も全然違ったので、そこは素直に嬉しかったですね」
――Heavenstampは昨年デビューしてからじっくりと活動してきたイメージもありますし、ちゃんと時間を掛けて曲を練ってリリースして、ここに辿り着いた感じはありますけど、1stアルバムを見据えたテーマみたいなものはあったんですか?
「基本的に作曲はTomoya.S(g)なんですけど、Tomoyaの頭の中で曲が出来たとき、もしくはメンバーで曲を合わせたときに、これはアルバムだなぁとか、この曲はカップリングの方がいいとか、そういう曲の持つ役割が自然と彼の中でもあったみたい。私たちも、“だよね”って(笑)、満場一致で納得することも多かったので。いわゆる今までのHeavenstampの“ダンスロック”と“シンフォニック”という2つの大きな軸はあるんですけど、すごくミニマムなラップだったり、シューゲーザー・サウンドを敢えてこのタイミングでやったりとか、そういうHeavenstampのいろんな側面、やりたかったことが、一番いい形でアルバムに納まった感じはしますね」
――2つの軸があるということでしたが、前半がいわゆるクラブミュージック寄りの“ダンスロック”サイド、後半がファンタジックでスケールのデカい“シンフォニック”サイドみたいな世界感の棲み分けを感じたんですけど、これはどこから来たアイディアだったんですか?
「みんなで曲順を話し合ってる段階で、自然とそういう流れになったんですよね。『Stand by you』(M-2)が前半に来るのは当然だなって思っていたし、でも『Magic』(M-1)はここだなとか、そういう風に組み替えていったら、自然と最初の方はドカーン!と踊って踊って、段々と最後に向けてシンフォニックになっていくのが気持ちいいよねっていう感覚だったと思います。もちろんTomoyaの中では、上り詰めて行くコード感とかもっと綿密なモノがあったとは思うんですけど」
――レコーディング時の肝みたいなものはありました?
「1曲1曲に向かうときの神経の尖らせ方っていうのは、特に歌のときは大いにありましたけど、今回のアルバムに関しては録った時期もすごくバラバラなんですね。なので昔の声もごく最近の声も入ってるんですけど、最近になるにつれて、自分の中でこう歌いたい、表現したいっていう欲がどんどん増えてきて。今聴いてみたらもっと出来たなとか、だからライブではもっとこうやろうとか…どんどんそういう気持ちにはなってますね。常に自分との闘いというか、歌に関してはそういうのありましたね」
――E.P.をコンスタントにリリースすることで、逆にレコーディングに制作にとずっと緊張感が続く部分もあったと思うんですけど、それはどうでした?
「確かに全くないとは言えないんですけど、その代わりライブも並行しながらやってたので、レコーディングでちょっと内に入ることがあったとしてもライブで爆発出来たので、すごくバランスは取れたかなぁと思います」
――今回の制作中にメンバーの脱退もありました。
「大きな要因としては、ツアーが終わってまだまだやらないと! もっと進まないと!って感じたメンバーと、現状に満たされてしまったメンバーに別れてしまって。お互いが良くなるためを一番に考えて、という感じでしたね」
――それによって、今作にはストレイテナーのひなっち(b)も参加したりと、逆に新しい風が入ることで自分たちを知ることもあった?
「大いにありましたね~。1曲目の『Magic』で弾いて頂いてるんですけど、レコーディングの僅か数時間のことだったんですけども、もうあまりにも刺激的で。目の前でスゴいことが繰り広げられてるのに私たちも触発されて、いい作品にしようって改めて思いましたし、すごく刺激になりました。特にMika(ds)なんかはリズム体っていうことで、すごく覇気があったというか(笑)、すごくプラスになったと思います」
−−他に参加されてるミュージシャンの方とかはいるんですか?
「ベースに関してはほとんど録り終えていたので、あとは最後の『Ω』(M-14)のみTomoyaが弾いてるんです。あとは、プログラミングとかシンセ、エンジニアで参加して頂いてるROVOの益子樹さん、エフェクトとかでDub Master Xさんにもお手伝いして頂いてます」
――今名前が上がった方然り、E.P.を作っていく中でリミックスで参加してくれた海外のアーティスト然り、キャリアと実力のある方々とのレコーディング・セッションは振り返ってみてどうでした?
「もう目に見えて新しい風はありましたし、リミックスに関しても、特にアニマル・コレクティヴが一番刺激的だったんですけど、私たちの曲が全く違う世界感に生まれ変わって、アニコレの新曲みたいな感じになったりだとか。音楽ってホントに自由なんだなぁって改めて、各界の重鎮の方々、世界中のアーティスとの方から学びましたね」
――作品を作る上で心掛けていることはありますか?
「歌詞に関しては、それぞれキャラクターが違うんですね。『Dreaming about you』(M-4)と『Stop!』(M-7)って書いた時期が全く一緒で2曲同時に取り掛かったんですけど、全く違う歌い方、全く違う世界感になってる。もちろん産みの苦しみはあるんですけど、そういう部分もある種楽しみながら、自分の中から生まれた自分の分身が、世界中の誰かとリンクするように、絶対に独りよがりにならないでいたいって、常に意識していますね」
――Heavenstampのサウンドっていうのはハイセンスで洋楽的でもあるんで、音楽リスナーからしたら刺激的で興味深いと思うんですけど、今回は詞の部分でグッと近付いた気がして。
「歌詞は、本当にその曲に合う人物を探していくというところから始めるんで、よりその曲たちに近付けるようのになったのかもしれない。私が特に思うのは『Ghost』(M-9)とか『Killer killer』(M-6)なんですけど、もうホントに自分にないくらい『Killer killer』ではイカれた人になってやるというか(笑)、イキ切ってやろうっていう気持ちがあって、その真反対の『Ghost』ではとことん内に籠ってやろうとか。そういう風に曲に極限までに寄せていく気持ちは、以前より、より強くなったなと改めて思いますね。あと、『Ω』から受けたインスピレーションは“銀河”と“桜吹雪”っていう」
――銀河と桜吹雪(笑)。
「だから“小宇宙”とか“花霞”っていう言葉を入れたんですけど。完全にマスタリングまで終わった後に気付いたのが、『Ghost』と『Ω』の人は一緒なんだなぁって。例えば『Ghost』は冬の人なんですけど、冬の人を最後の最後で何とか春の人にしてあげようっていうのがあって『Ω』なのかなって。アルバム全体としても、ここが終わりではなくてここからが始まりだと思わせたかったのかなっていうのは、私の中であります」
――自分がいろんなキャラクターを生み出していって、自分が予期しないところで気付かされるみたいなことが。
「多かったですね。ビックリしました。自分が書いたのに、歌詞を読んでて、え? あれ!? みたいな感じで(笑)」
――今回のアルバムが出来上がったときはどう思いました?
「デビューが決まってからと考えると、このアルバム出るまでは長かったので…。このアルバムを出すまでは何としても死ねない!!っていうのがあってですね(笑)」
――アハハハハ!(笑)
「ひとまず完成させられてよかったっていうのは(笑)、大きかったですね。あと、これまでのE.P.だと表現し切れなかったHeavenstampを、ここでやっと解放出来たのはあるので。この先に向かって行ける、一つの道標になってると思います。これをみんなに届けられるのが、何より嬉しかったです」
−−今回のツアーに向けては何かありますか?
「これまでライブで披露出来てなくて、ウズウズしたところがあったので、満を持してようやくっていう感じですね。この曲たちがライブで活きてくるのは私たちも楽しみですし、そういった意味では未知のワクワクも楽しんで頂けると思います。そのワクワクを私たちも共有したくてライブをやってるので」
――それこそ冒頭で、2年前に初ワンマンをしたステージに再び立ったとき、その頃とは違うメンバー間の信頼や成長を感じたというのありましたけど、そういう何かが変わった、乗り越えたみたいな感覚はあります?
「もう日々ですね。お互いが叱咤激励しながらやってきて、これだけのアルバムを出すにあたってのある種の責任感というか、私たちがちゃんとそれに見合うライブをしないといけないっていうのは、すごく強くあったので。だからこそみんなで高め合って来れたのかなぁって」
――10月13日(土)には梅田クラブクアトロでワンマンライブもあります。大阪ではデビュー時にBIGCATで招待ライブがあったりと縁ある場所ではありますが、大阪のイメージとか何か印象だったりはあります?
「ふふ(笑)。皆さん音楽詳しそうです」
――そう?(笑)
「えぇ。玄人っぽい方が(笑)、結構どっしりしてらっしゃるなっていうのはあるので。そこを何とかこっちの世界に引きずり込めたらいいなっていうのはありますね。今度のツアーでは」
――最初はちょっと様子見みたいな感じやからね。
「そうそう(笑)」
――でもシャイな人が多いと思いますよ。一回解放してあげるとドンと来るけど、最初は恥ずかしがってる。
「そうなんですね。照れ屋さん?(笑) じゃあこちらから心を開けば、きっと届くかな。なるほど。いいことを聞きました(笑)」
――お客さんは意外に緊張してるんです(笑)。
「アハハハハ!(笑)」
――失敗したりトチッたりするとすごく喜ぶというか(笑)。そういう素の部分を見せてくれると。
「そういえばこの間もね、野外イベントに出たときはちょっと盛り上がれた。噛み倒してしまって(笑)」
――Heavenstampのサウンドでビシッと決められたら、近寄れない孤高の存在にに思えてしまうけど、その中に人間を見たとき…今回のアルバムでも特にそれが感じられるし、その血の通った部分がより人を惹き付けるというか、そういう感じはしますね。
「じゃあ今度も噛み倒します!(笑) クラブクアトロって言えなくて、三回位言い直して(笑)」
――アハハハハ(笑)。こりゃ今度もいいライブになりそうです。本日はありがとうございました!
「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2012年10月11日更新)
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