ホーム > インタビュー&レポート > Who is MAYA VIK!? ノルウェーのスーパーレディのマルチな才能が爆発! 7/14(土)心斎橋Pangeaで遂にファイナルを迎える マヤ・ヴィクの初のジャパンツアー初日をレポート!!
マヤ・ヴィクというノルウェーの女性アーティスト。ずばり述べてしまうと、日本におけるこの人の一般的な知名度は決して高いものではない。例えば、彼女がモンティというバンドのベーシストであることや、そのバンドが本国ノルウェーで大変な人気を誇っていることは、一部の音楽ファンだけしか知らない事実だったりする。じゃあ、日本におけるマヤ・ヴィクは熱心な音楽ファンにしか伝わらない存在でしかないのかというと、そうとは全く思えない。というか、むしろ逆。現在展開中のジャパンツアーの初日となった7月10日、東京・新代田FEVERでのパフォーマンスを目撃したことで、そう強く感じたのである。
そもそも、マヤ・ヴィクは非常にキャッチーな人だ。それはどういうことかと言うと、スタイルであり、ルックスである。彼女が『COSMOPOLITAN』といった有名ファッション誌の表紙を飾った過去はつまり、この人は十分にファッション・アイコンとして成立するヴィジュアルの持ち主だからであり、新代田FEVERのステージに真っ赤なジャケットとパンツで現れた彼女の佇まいは、まさにスーパーと呼ばれるモデルのそれで、あるいはセレブと呼ばれる映画スターとしてのそれだった。それは、とてもキレイだったということである。とても可愛かったということである。とても品がよかったということである。同性にも異性にもしたたかにアピール出来る不思議かつ絶対的な美しさが彼女にあるのは確かで、では、肝心の音の方はどうだったのか?
今回の来日は、バンドのモンティとしてでなく、今年の4月に発表した初のソロアルバム『シャトー・フォー・クープ』を引っ提げたマヤ・ヴィクとしてのもの。そしてこの作品、実は彼女がたった1人で完成させたもので、歌はもちろん、全ての楽器も担当しているのだ。ゆえに、この人ヴィジュアル的なことも含めいったいどんだけ才能があるんだよ、と思わずツッコミたくなってしまうわけだが、生のパフォーマンスは、どんだけスゴいんだよ、とさらにツッコミたくなるほど見事で、クールそのものだった。編成はステージの真ん中にベースを持ったマヤ・ヴィク、その両側にキーボードとドラムを配置した3ピース。リズム隊の2人はとりわけ派手なプレイをするわけでもなく、但し安定感は抜群で、的確で、要するに巧い。ベースもドラムも静かにキメまくるところが何ともクール。そして、そのプレイを彩ったのが、キーボードの様々な音色と、マヤ・ヴィクの艶やかなボーカル。但しこちらもリズム隊と同様、決して過剰なものとして存在させずに、あくまでもダンスミュージック、そしてポップミュージックとしての機能を優先させたサウンド・プロダクトだったのは明らかだった。この間口の広さ、聴きやすさもマヤ・ヴィクのキャッチーなるところで、通なリスナーを唸らせるフレーズやプレイを盛り込みつつ、しかしサウンドを絶対にマニアックにさせない彼女のバランス感覚と冷静な客観性は、今後より多くのリスナーを獲得する大きなきっかけを秘めているように思う。
最後に、サウンドのことについてもう1つ。マヤ・ヴィクのサウンドは、ファンク、R&B、ソウル、ジャズ、フュージョン、ヒップホップ、エレクトロといったあらゆる“素”が巧妙にミクスチャーされたもので、結果そうしたことで生み出されたものは確かにダンスミュージックだが、いわゆるアッパーなそれではなく、同時にAORの響きやムードを持っている。それは、きっと40代以上の人にとってはある種の懐かしさを感じるものがあるだろうし、若い世代の人にとっては新鮮に映るかもしれない。とは言え、70年代のあのAORをそのままトレースしたものなんかではないのは、以降のヒップホップやエレクトロといった要素を採り入れているところからも明白である。マヤ・ヴィクは様々なアメリカ音楽の影響を受けたアーティストだが、その解釈は例えばイギリス人や日本人とは違う。ひょっとしたらノルウェー人独特のものなのか、はたまたマヤ・ヴィク独特のものなのか。つまり、彼女のクリエイティビティにはまだまだ大きな可能性があるということである。キレイで、可愛くて、品があって、楽器が巧くて、誰もが楽しめるキャッチーな音楽を生み出す才能を持った女性。何だか、存在として無敵のような気さえしてしまう。何かをきっかけに、日本でもあっという間にブレイクしてしまうかもしれない。マヤ・ヴィク、ぜひ名前だけでも覚えておいて欲しい。
(2012年7月12日更新)
Album
『シャトー・フォー・クープ』
発売中 2200円
FLAKE SOUNDS
FLAKES-053
<収録曲>
1. ゲットロウ
2. ショップリフター
3. オスロ ノウズ
4. エブリ シングル デイ
5. カム ランニング
6. ソー マッチ ラブ
7. ナッツ アット ジ ウェディング
8. デイドリーミング
マヤ・ヴィク…ノルウェーの国民的ロックバンド、モンティのベーシストであり、そのスーパーモデル級のスタイルとルックスで、世界的ファッション誌『COSMOPOLITAN』等様々な雑誌の表紙を飾りH&Mとコラボをするなど、ファッションアイコンとしても絶対的な支持を得るマルチミュージシャン。4月11日にリリースされたソロデビューアルバム『シャトー・フォー・クープ』では全ての楽器を手掛け、グラミー賞を4度受賞した伝説のプロデューサー/エンジニアのジミー・ダグラスをミックスに招聘。ミネアポリスファンクに敬意を払いつつ、70年代のジャズ/フュージョン、90年代HIP HOPを独自に昇華したメロウでクールなサウンドを展開するなど、その才能をいかんなく発揮している。
マヤ・ヴィク オフィシャルサイト
http://mayavik.com/
『MAYA VIK JAPAN TOUR 2012,
TONE FLAKES Vol.38』
チケット発売中 Pコード170-562
▼7月14日(土)18:00
心斎橋LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング3500円
[共演]ジャミール/UNCHAIN/Czecho No Republic/NOKIES!
LIVE HOUSE Pangea■06(4708)0061