QUATTROは何度でも蘇る!
衝撃のメンバーの脱退・加入を経て、2年ぶりのアルバムにして
最高傑作『4』にたどり着くまでの激動のストーリー
過去最強のケミストリーを手に入れた5人に全員インタビュー!!
抜群のセンスとバランス感覚が生み出すグルーヴィーでピースフルなサウンド、膨大なアーカイヴから昇華した、海外アーティストと見紛うまでの瑞々しいフレーバーをリアルなロックンロールにまぶし、オーディエンスをハッピーにさせる稀有なロックバンド、QUATTRO。前作『WHERE IS THE COCONUTS?...HA?』(‘10)リリース後、21ヵ所にも及ぶ全国ツアーを開催。新たなステップへと躍りだしたのも束の間、中島慶三(b)、佐藤真彦(key)が突然の脱退、後に2人がサポートを務めたThe Mirrazに移籍するという衝撃のニュースは、当時シーンを大いに騒がせた。そんなバンド最大の危機を迎えたQUATTROに光を照らしたのが、ソロアーティストとして活動していたオリジナルメンバー・潮田雄一のまさかの再加入だ。さらに今年に入るやいなや、サポートして帯同しレコーディングにも参加した元riddim saunterの濱田将充も正式加入と、瀕死の状態から過去最強のバンドアンサブルを手に入れ蘇ったQUATTROが、3月7日に2年ぶりのアルバム『4』を遂にリリースした。初の日本語曲や潮田のボーカル曲、ダンサブルでエレクトロなパイロット曲『Last Dance』ほか、意欲的な挑戦と風通しの良い楽曲群が収められた今作からは、今のバンドの健康状態がヒシヒシと伝わってくる。そこで、5月12日(土)大阪城音楽堂での『SWEET LOVE SHOWER 2012 SPRING』を皮切りに、関西圏でのライブパフォーマンスが続く彼らに、全員インタビューを敢行。今だから話せる脱退&再加入の内幕、今作に至るまでの怒涛の2年間、現在進行形のQUATTROを、終始和やかなムードで余すことなく語ってもらった。
ピンクのセーターちら見せカディオ(ds)が司会進行!(笑)
――まずは前作『WHERE IS THE COCONUTS?…HA?』(‘10)以降の話を聞かせて頂きたいんですけど、バンド史上こんなに激動の2年間はなかったんじゃないかと。リリースツアーの頃にはメンバーの脱退劇がありましたけど、バンドの中でそういった予感はあったんですか? それともまるで寝耳に水だったのか?
岩本(vo&g)「ツアーの最中にはもうすっごいムードで」
――前作もいいアルバムだったじゃないですか。あれを作ってのツアーにも関わらず?
岩本「そうですね。あのレコーディングの最中からヤバかったです」
松坂(g)「もう雰囲気は…悪かったよね~」
岩本「そうね~」
松坂「上っ面だけだったよね?」
(一同爆笑)
――ぶっちゃけますね~(笑)。
岩本「いや~あのツアーは結構気ぃ遣ったよね」
潮田(g&vo)「嫌よね~」
――アハハハハ!(笑) なぜ、そうなってしまったのでしょう? 脱退した2人が、The Mirrazのサポートを始めていたのは要因の1つにあったと思いますけど。
岩本「それがデカいよね~」
――ホンマにそれなんですね(笑)。見たまんまというか。
岩本「まぁサポートをやってて、お金をもらったのがデカいっていう」
――バンドのメンバーでいるよりサポートの方が、ワンステージで幾ら、リハで幾らっていう明確なギャラがもらえますからね。
濱田(b)「そうそうそう」
――そうか、濱田さんはQUATTRO加入前にサポートからやってますもんね(笑)。
濱田「全然クッソ違うんですよ、もう額が」
――サポートしてたときはライブするたびに…。
濱田「儲かってたのに…(笑)」
――それで言うと、脱退した2人はサポートプレイヤーとしての経験をすることで、今までバンドでやってきた音楽に対するスタンスとは、違う感覚が目覚めてしまったという。
岩本「元々キーボード(=佐藤真彦)はね、俺らも掴み切れない性格だったんで、どれぐらいの気持ちでバンドをやっていたのかは、ちょっと分かんなかったんですけど。でも、ベースの(中島)慶三は俺の幼馴染だったんで。ある程度の信頼関係だったつもりだったんだけど、結構簡単に抜けました(笑)」
――アハハハハ!(笑)
潮田「俺は(どんなヤツか)知ってたけどね~」
(一同爆笑)
――いい作品を出してライブするバンドたる活動をしていたのに、そういうことでちょっとギクシャクし始めたと。
松坂「(慶三は)“俺はフリーのベーシストとしてやっていく”って」
岩本「とは言ってるんですけど、あの人は結構八方美人なので“辞める”とは言わなくて。QUATTROとThe Mirrazの両方やるけど、向こうのライブのスケジュールにこっちのスケジュールを合わせてくれって言われて。それは意味が分からないと(笑)」
――サポートのスケジュールに本体を合わせろと。
岩本「続けるって言ってみたり、辞めるって言ってみたり、そういうのをグダグダやって。最終的には人づてに辞めるって聞いたり。そのときにはもうこっちも疲れ果てちゃって…」
俺はもう、最初に抜けたときから“戻ってきて欲しい”とずっと思ってた
何かきっかけがあれば声をかけたいと、ずっと思ってた
――メンバーが2人抜け、QUATTROは一気に3人になってしまったわけで。そのときって、バンドを続けていく上でどういう気持ちだったんですか?
岩本「さっきの人間関係で、俺もバンドをやるのがすげぇ疲れる状態になってて。だからソロの音源でも作ろうかなって思ってたんですけど、松坂と話をしていく中で、やっぱりライブは1本もキャンセルしたくないし、今まで通りやりたい気持ちになってきて。元々は潮田と2人で始めたバンドだし、潮田にもう一度声をかけてみようって。そしたら本当に戻ってきてくれたというか、俺が騙した感じで入れたんすけど(笑)」
――脱退したバンドに戻るって、もうウルフルズぐらいしか思い付かない(笑)。
(一同笑)
――解散して再結成は最近多いですけど、抜けた人が再加入するっていうのはあんまりない話だと思うんですけど。
岩本「俺はもう、最初に抜けたときから…多分松坂とかもそうだと思うんですけど、“戻ってきて欲しい”とずっと思ってた。何かきっかけがあれば声をかけたいと、ずっと思ってた」
潮田「それは俺も…1人で活動してるときも、QUATTROを辞めたことについては、ずっと引っかかってましたね」
――そもそも当時は、何が理由で辞めたんですか?
潮田「う~ん…いろいろありますけど、何だろうな…やっぱガキじゃないですか、まだ20歳過ぎぐらいの頃って」
――うんうん。そのときの感情の昂ぶりとか、勢いとかね。
潮田「そうですね、やっぱ人間関係ですから、バンドって」
岩本「辞めるとき、慶三泣いてたね~。俺がクソ怒ってさ」
潮田「懐かしいな~」
――そうは言っても、いつかは戻ってきて欲しいという想いが、ずっとあったんですね。
岩本「そうですね」
潮田「言葉を交わさないでも、(音楽が)出来ちゃう部分が、なぜかあって。そういう人ってホントにいないので。まぁ辞めてみて分かった面も…そういうところがあるんですけど」
岩本「それは結構デカい」
――いなくなって分かること、離れて分かることがお互いにあったわけですよね。潮田さんは実際に戻ってきて欲しいと言われたときには、どう思ったんですか?
潮田「いや、ビックリしましたね。辞めてから全然連絡も取ってなかったんで」
――ライブ観に行ったり観に来られたりもなく?
潮田「全く。全く別の世界で。頑張ってんな~っていうのは、ちょっと小耳に挟んで、思ったりはしてましたけど」
――岩本さんは何のためらいも脈絡もなく、いきなり誘ったんですか?
岩本「もういきなり。ここしかねぇと(笑)」
――遂に来た復縁を求めるタイミングはここだと(笑)。
岩本「完全に詐欺でしたもんね~。“いやホント、軽い気持ちでいいから!”みたいな(笑)」
(一同笑)
岩本「“まぁ1回ちょっとスタジオ入ってみて”って。そこで潮田が“じゃあやってみよっか”って言ったら、もうこっちは加入の発表しちゃうみたいな(笑)」
――ずる~!(笑)
潮田「そうなんです(笑)。でも、誘ってもらえてよかったです」
――潮田さんが戻って、久々に音を出したときって、やっぱり何か感じました?
岩本「前のアルバムは結構ギターを作り込んだんですけど、それをライブ用に自分なりのアレンジにしてもらって。それがもう普通に想像を超えてくる。何も言わないでも、かゆいところに手が届くことをやってくる。コレはもう上手くいくなって」
――逆に潮田さんは久々にQUATTROに戻って、この数年間バンドが続いてきた重みみたいなものは感じました?
潮田「そうですね。『WHERE IS THE COCONUTS?…HA?』はホントに完成度が高いアルバムだと思ったし。頑張ってきたんだなって。偉いな~って」
岩本「偉いな~(笑)」
潮田「なんかすいませんって」
――でも、あのタイミングでまずバンドに必要な構成要素って、ベースじゃないですか? でもそうじゃなくて、まずは潮田さんだったんですね。
岩本「潮田が入ってしまえば、絶対に上手くいく確信があったので。とにかくこの絶好のチャンスを逃してはいけない(笑)。そこだけでしたね」
――その中で、いよいよ濱田さんも合流してくるわけですけど。まずはサポートとしてってことですよね?
濱田「riddim(saunter)が解散して、これからはいろんな音楽の中でベースやらギターを弾いていこうかなと思っていたとき、QUATTROは一環してずっと誘ってくれて。友達だし全然手伝う、じゃあやろっかっていう流れっすね」
――riddim(saunter)にいたとき、外から見たQUATTROはどういう印象だったんですか?
濱田「ライブがやべぇとかいうより、なんか普通に“カッコいい”。だからそういうイメージでベースを弾こうと思ったんですよ。riddim(saunter)のバーン!ってハジける感じよりは、ちょっとシブさもありながら弾くみたいな、勝手なイメージもありましたね」
――なかなか“カッコいい”って素直に口に出して言えるバンドって、実は少ないですからね。
濱田「何て言うか…ブレないバンドなのかなって。ジャンル云々というよりも、芯があるイメージ」
――メンバーが変わっても核となる音楽性や肌触りは変わらない。だってウィキペディアとかを見ても、何人“元メンバー”がおんねんっていう(笑)。そう考えたらその都度、このバンドは何度も蘇ってるわけじゃないですか? それはやっぱりすごい。
岩本「ドラムが、カディオで4代目か」
濱田「ちょっとした外タレみたい(笑)」
――ホントにディープ・パープルかレインボーかっていう。第何期QUATTROかがもう分かんない。
(一同笑)
――カディオさんにとってリズム隊の相棒が変わるというのは、大きな変化だと思うんですけど。
カディオ「濱田さんが入ってやっと分かったみたいな感じですね。俺にとって本当にちゃんとしたバンドって、QUATTROが初めてで。ベースなんてみんな一緒だろみたいな。濱田さんで3人目ですけど、“こんな違うんだ”っていうことに気付きましたね」
――どういうベーシストだと思いました?
カディオ「いや~ブリブリだと思いましたよ」
(一同爆笑)
濱田「ブリブリ…(笑)」
カディオ「でも案外落ち着いた人だな~と。すごい冷静な人ですね」
“コイツがメンバーになったら、相当楽しい感じになるな”と
――新体制になって今回のアルバムの制作に向かっていったのは、どのタイミングからだったんですか?
岩本「ハマがサポートで入ったぐらいから、もうアルバムを作る話にはなってて。出来上がっていた曲ももう1回ブラッシュアップして、ハマと一緒にアルバムの曲を1曲1曲作っていった感じですね。去年の9月ぐらいかな」
――曲を煮詰めていく中で、変わったなとか、強くなったなとか、感じることはありました?
岩本「ハマが入る前にもう1人サポートのベーシストがいて、その人とアルバムを作る話もしてたんですけど、いざ一緒に作っていくっていうときに、ちょっとサポート感が強くて。でも、ハマがサポートに入ったときは、アイデアの出方とかも含めて、アルバムに向かう勢いがすごく増した。そのときには完全に“コイツがメンバーになったら、相当楽しくなるな”とは思ってて」
濱田「相当でしゃばってたからね~。ライブに関しても」
岩本「でもアレがよかったよ。松坂はいつも黙ってるからね~」
――今日も序盤あんなに喋ってたのに、今はとんと黙って。
松坂「大丈夫です」
(一同爆笑)
岩本「大丈夫って何?(笑)」
――正式に加入したのは、アルバム作り終わった後ですよね。濱田さんに正式に加入してもらうためには、互いに好き同士だと分かっていても、一応お付き合いしましょうと改めて口に出さなきゃいけないわけじゃないですか(笑)。
岩本「そうっすね~。Shangri-Laの楽屋で…」
潮田「ちょっと扉閉めて」
――大阪でだったんですね! それって何のライブだったんですかね?
濱田「12月の『SECOND Niw! ROYAL in 大阪』じゃない?」
岩本「そうだそうだ!」
――そのときに楽屋で、“正式に入らないか?”みたいな。
濱田「夜中に“バンドに入んない?”みたいなメールが急に来て。もう入ってるようなもんだけど(笑)、“じゃあ明日話そう”って」
――“軽い気持ちでいいから、正式に入らないか…?”っていう、岩本さんお得意のパターンね(笑)。
(一同笑)
――じゃあそのとき、一応みんなで話してみたいな。
岩本「みんなじゃなかったですね。カディオとかいねえよな?」
松坂「俺もいなかったけど…」
(一同爆笑)
――別にいなくてもいいんですね(笑)。
濱田「何か忘れもの取りにいってなかった?」
松坂「そう? “あ、もう決まったんだ”、良かった良かったって」
――それぐらい皆さんの中で既に信頼感があったってことですよね。具体的に制作していく中で、ある種のテーマみたいなものはあったんですか?
岩本「すっごい漠然としたイメージで、トム・ウェイツの格好よさみたいな“ダンディズム”というか。音楽性とかじゃなくてね」
――うんうん。あの特有のニオイというか。
岩本「そういうのがカッコいいんじゃないかって、盛り上がるポイントではありましたね。日本で言うと舘ひろしみたいなね(笑)」
アルバムの制作があまりにも楽しくて、バンドらしくて
――今作は潮田さんが戻ってからも初のフルアルバムになりますよね。ギターも3本になって、役割的にも配分的にも今までとは変わってきますよね。
岩本「カディオ以外、全員我が結構強いんですよ。例えば潮田が戻ってくるまでは、松坂の音の出し方とかも、“他のヤツの音と喧嘩してどっちが勝つか”みたいな感じだったんですけど、今は“俺がここで引くことによって次に出たときカッコいい”みたいな。前作はギターのアンサンブルに時間もかけて何回も何回もやり直して録ったんですけど、今回はホントにスタジオで何回か合わせてる内に、役割分担を意識的に決めずともその押し引きが自然と出来ていって。メンバーのいい部分を知っているからこそ、“お前のそこが好きだから聴きたい!”みたいな」
――それはなぜこのタイミングでは出来るようになったんですかね?
岩本「俺個人としては、バンドをやってきて初めてメンバーをリスペクト出来る体制になったというか。まぁカディオは除いて(笑)」
濱田「カディオは調子に乗るからな~」
松坂「今日着てるセーターもピンクだし(笑)」
(一同笑)
――新しいメンバーに対してのそれは、リスペクトするからこそバンドに招き入れるのもあると思うんですけど、元々いたメンバーに対してもそう思えるようになれたと。
岩本「潮田に関しては俺、ギタリストとしてもソングライターとしても、出会ってから今までず~っと尊敬してるんですよ。松坂に関してはリスペクトという感じではなくて、仲間みたいな感じで。でも、潮田が戻ってきてから、この子がどんどんいいギタリストになっていって」
濱田「(松坂を見て)目で…目で喋ってるぞなんか(笑)」
――目で喋っても文字にならないから!(笑)
岩本「潮田がホントにいいギタリストなんですよ。この人の存在がすごいデカいと思うんですけど、潮田が入ったことによって松坂が自分でいろいろ考えることも多くなったと思うし」
――松坂さんは優秀なギタリストが入ってくることで、このまんまのプレイやテンションじゃなく、自分も変わらなければという意識があったんですか?
松坂「元々俺自身も、“自分のギター、全然ダメだコレ”と思ってたんで(笑)。『WHERE IS THE COCONUTS?…HA?』の頃から、丁寧にフレーズを組み込んでいくことをやった上で、ちょうどウッシーが入ってきて。その流れで成長は出来てるとは思います」
――じゃあもう作ってる最中から、今回はいいモノが出来るぞっていう予感はあったんじゃないですか?
岩本「もうアルバムの制作があまりにも楽しくて、バンドらしくて。こんなに楽しくレコーディング出来たことないなって。以前はレコーディング前にガッチリ固めてきたものを形にして完成!みたいな…ホントに“作業”っていう感じだったので」
――ちゃんとした設計図があって、それをキッチリ組み立てるみたいな。
岩本「なんかそっちの方が分かりやすかったんですよ。でも今回は結構目に見えない部分、自分の想像していたのと違う部分もすごく多くて。ほぼ白紙の設計図の状態でレコーディングに入ってる曲も結構あって」
――このメンバーなら出来るだろうみたいな?
岩本「すっげえ不安でしたけどね。“いついつまでに、このギターある程度作ってきて聴かしてくんない?”って言っても、“あ~出来てるよ~すげえいいの出来てるよ~”みたいに言われて全然聴かしてくんない(笑)。でもホントに、レコーディングで煮詰まることがなかった。各自が家で考えてきたフレーズの欠片がもう間違ってないので、ちょっとした校正をみんなでし合うだけ。だから真っ白な状態でも、普通にレコーディングをする速度感で進められましたね」
――うんうん。それがまさに、“バンド”ですよね。
自分たちの中で今まで蓄えてきた音楽、今すごく好きな音楽が
ちょうどいい地点で交わった
――今作では初の日本語詞の楽曲もあって。これには何かきっかけがあるんですか?
岩本「これは、潮田が戻る前からこっそり、Myspaceとかでヤツのソロの曲を家で1人で聴いてたんですけど…」
――どんだけ好きなん?(笑)
(一同爆笑)
岩本「アハハハハ(笑)。もし戻ってきたら、日本語の曲…やりたいなって、そのときからすごく思ってた。何曲やるかは決めてなかったんですけど、形になった一番いいモノを出した感じです」
――聴いててホントに違和感がなかったですね。驚くほどにフィットしてる。
岩本「そこは自分らが日本語詞を初めてやる上で、一番注意しなきゃいけないなと思った点で。例えば“日本語だから歌詞を聴かせた方がいい”とか、“日本のリスナーに届きやすいようにちょっと歌を大きく”とか、そういうことは絶対しないでおこうと。他の曲と同じテンションで、自分たちが今までやってきた作り方、こねくり回し方で、ちゃんと音を作る。それが上手くいったのかな」
――ヘンな言い方ですけど、聴いていて日本語であることすら意識しないというか。あと今作のパイロット曲『Last Dance』(M-2)も、QUATTROの新しい世界観だと思うんですけど。
岩本「自分たちの中で今まで蓄えてきた音楽、今すごく好きな音楽が、ちょうどいい地点で交わって出来た曲だとは思いますね。それがスマートな形で出たのがよかった」
――なんてシャレオツな曲を作るんだと思いました(笑)。
岩本「アハハハハ(笑)」
――今までがそうじゃないのではなくて、QUATTROの持ってるいい意味での泥臭さ、オーガニックでアーシーな部分とは違うベクトルでの洗練のされ方みたいな。カントリーテイストでのどかな『opennig』(M-1)から、エレクトロでダンサブルな『Last Dance』への流れはすげぇなって(笑)。
岩本「『openning』なんて、もうギリギリで録って。突発的に“こういう曲があったら面白ぇんじゃね?”みたいな」
濱田「気付いたら作ってたね。もうトイレに行って帰ってきたら出来てたぐらいの(笑)」
(一同笑)
――ガチガチに設計図を描いてたらやっぱりそれはないわけで。やっぱり、今の体制がそれを形に出来る、面白いものになる確信があるってことですよね。
今回はちゃんと全員で鳴らしてて、全員が外を向いている感じが
アルバムに出来たかなって
――今回はマスタリングを初の海外:イギリスでやったというトピックもありましたね。
岩本「俺って結構ミックスを詰めたり、マスタリングでいろいろ言ったりするタイプで。今回はいろんな個性が重なり合ってああいう形になったんで、敢えて自分が口を出せない状況に、海外に送ってしまって第三者的な目で見てもらおうと」
――出来上がってきた今回のアルバムを聴いたとき、皆さんどう思いました?
松坂「もう、間違いないなと」
――おぉ! 今のセリフはちょっと太字=見出しっぽいですね~(笑)。
岩本「急に喋ったと思ったら(笑)」
――潮田さんはどうですか?
潮田「そうですね~、“ありがとう”っていう…感じですかね。ちょっとカディオにも聞いてみて」
――カディオさんはどうでした?
カディオ「こりゃ、いくなって思いましたね」
――それ完全に太字狙いよね?(笑)
(一同爆笑)
――僕は今作を聴いたとき、今までで一番“開けている”感じがしたんですよ。QUATTROは自分たちの世界観がしっかりあって、ブレないものがあるバンドで。でも知ってもらうべき人がまだまだいる中で、このアルバムは今までで一番…“鳴っている”というよりは、“鳴らしている”というか。外に向かって自分たちの音を発してる感じがすごくあるなと思いましたね。
岩本「何となくそれは…分かる。今回は、本当に“バンド”で作れたのが、多分そこにつながったんだと思う。前作の『WHERE IS THE COCONUTS?…HA?』もすげぇ好きだし、いまだに聴くアルバムなんですけど、俺の設計図を元に作ると、バンドで鳴らしていてもどうしても“密室性”みたいなものが強くなる傾向がある。そこが、内側に向く1つの要因かなとは思うんですけど、今回はちゃんと全員で鳴らしてて、全員が外を向いている感じが、アルバムに出来たかなって」
――今作のタイトルが『4』ですが、4枚目のアルバムでもあるし、“QUATTRO”には数字の4という意味もありますけど、このタイトルはどこから?
岩本「まさにその通りで、今のバンドの形がホントに、今までバンドをやってきた中で一番バンドらしくて、一番いいメンバーだと思うんで。コレがQUATTROなんだっていうことで、QUATTRO=4って付けたんですよね」
1本1本のライブが、生きている感じがすごくある
――今のメンバーでやってて、ライブ自体はどうですか?
岩本「すっげぇ楽しいっす!」
潮田「楽しいっすね~」
岩本「お客さんにもすごい言われるんですけど、ライブしてるときの顔が全然違うって。今までは、“俺が盛り上げなきゃ”みたいな部分もあったんですけど、そういうのが全くない。自分のやることに集中出来るし、みんなでやってる感じもちゃんとある。1本1本のライブが、“LIVE”と言う通り、生きている感じがすごくある。毎回違うし、違う良さがあるし。すごくいいですね」
――これから関西でも『SWEET LOVE SHOWER 2012 SPRING』とか『ROKKO SUN MUSIC 2012』とか、多くの人の前で観てもらえる機会がいっぱいあります。
カディオ「もう目立っていくしかないっすね~」
――アハハハハ!(笑) まぁでもアルバムの楽曲を人前でキッチリ鳴らしたときにまた、何か自分たちで感じるものがあるでしょうね。今年のQUATTROの行く末を…途中でまた第何期とかにならないでくださいよ~(笑)。
岩本「まぁなるとしたら、ピンクのセーターが…(笑)」
(一同爆笑)
岩本「(カディオを見て)本気で苦笑いすんなよ(笑)」
――まだまだこのバンドは大丈夫そうですね(笑)。本日はありがとうございました!
メンバー「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2012年5月11日更新)
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