ホーム > インタビュー&レポート > 4年の歳月を経てたどり着いた夢の夜 Superfly初のアリーナツアーファイナルを飾った 12/21(水)大阪城ホール公演をレポート!
立見客も含めて約1万人が詰めかけた大阪城ホールは、開演前から独特の雰囲気で満ちていた。それもそのはず、この日はさいたまスーパーアリーナから始まったSuperflyにとって(意外にも!?)初のアリーナツアー、全6公演のファイナル! 即完売となったプレミアムチケットを手に会場に詰めかけたファン層は実に幅広く、会場外の冷気とは裏腹に、ドキドキとワクワクではちきれんばかりの熱気が充満している。
そんな中、静かに佇むオレンジと白を基調にしたサイケデリックなデザインが施されたステージ、アリーナ中央に伸びた花道と、その先に設けられた円形のセンターステージに、ライブの開始を告げるアフリカンビートのイントロが流れるや否や、早くも1万人のオーディエンスは総立ちに! 『タマシイレボリューション』の演奏が始まると、そのビートに合わせて円形センターステージが幻想的なスモークに包まれる中、せり上がったステージ中央に、満を持してSuperfly・志帆が登場! きらめくスパンコールをあしらった黒い衣装(イメージはゴージャスなヒッピー!?)を身に纏い姿を現した彼女を、大きな歓声と拍手が迎える。コンサートのまだ導入部と言える瞬間だが、すでに温まっているオーディエンスのテンションを遥かに越えるパワフルなボーカルで、会場は一気にフルスロットルだ。
初っ端から、このアリーナツアーがスペシャルなものであることを随所に知らしめる趣向がたっぷり。まず目に飛び込んでくるのが、ステージに立つミュージシャンたちの数だ。総勢実に17名! 10月まで行われていたホールツアーでサポートしたSuperflyバンド(ギター×2、ベース、ドラム、キーボード)をはじめ、Superflyホーンズと名付けられたブラス隊(トランペット×2、トロンボーン、サックス)、さらにはSuperflyニジノクワイアと呼ばれる男女8人によるコーラス隊と、最近のライブシーンでは非常に珍しいほどの大所帯で、がっちりコンサートを支えるというスペシャルな構図。その音の広がりは、大きな大阪城ホールをライブハウスに変えるほどのスケール感がある。とは言え、その音圧にまったく負けず、バラードからシャウト系まで一貫してエネルギッシュで表情豊かなボーカルを聴かせ続ける志帆の歌力もまた凄まじい。
ホーンセクションで始まる『Fly To The Moon』、センチメンタルなグルーヴが印象的な『Wildflower』、ルーズなロックナンバー『Ain't No Crybaby』と一気に披露し、最初のMCタイムでは、「今日は全力で力のある限り歌を届けるのでよろしくね!」と宣言。そして、大阪城ホールのステージに立つ思いも吐露。デビュー1ヵ月でFM802のライブイベントのオープニングアクトとして出演したのが、初の大阪城ホール体験だったという彼女。「いつかワンマンでこの会場に戻って来たいと思ってました!」との言葉には、思わず客席からも「おかえり~!!」の声が。
また、かつてのホールツアーの時に終演後のステージの解体をこっそり見ていた際、ほんの数時間前まで熱気に包まれていた会場がまったく同じ場所と思えない姿になっていることに、改めて「ライブの時間って一瞬なんだ。その瞬間をみんなともっともっと強く楽しみたい」と感じたという彼女。そしてそこから「ライブはフッと浮かんでフッと消える虹みたい」と思ったことが、ツアータイトルの『Shout In The Rainbow!!』につながっていると説明。はかない存在だからこそ、もう戻らない瞬間だからこそ、その瞬間を大事にしたい、楽しみたいという思いに、全身全霊を傾けるようなライブ。もちろんこの日のステージもその言葉を証明するかのように、10月にリリースした最新シングル曲でもあり、ラウドなギターフレーズとの絡みが迫力満点の『愛をくらえ』、ミディアムなドライブ感で押す『春のまぼろし』、柔らかいボーカル表現も見事なバラードナンバー『Only You』、前奏が流れた瞬間に歓声が沸いたおなじみの『愛をこめて花束を』と、渾身のパフォーマンスが繰り広げられていく。
「ツアーで大きな会場に立つのが夢だった」と語ったSupeflyにとって、今回ようやく実現したアリーナツアー。その中でもひとつのこだわりだったのが、「花道とセンターステージを作ること」。再びセンターステージに移動し、ピアノを挟んでSuperflyニジノクワイアと共に披露したのが『Hail Holy Queen』。映画『天使にラブソングを』の劇中歌である同曲は、彼女が中学時代に全校生徒の前で披露したという思い出の曲。当時、ものすごくドキドキしながらも、歌い終わった後の温かい拍手の感動、幸福感が、歌を歌うキッカケになったという。
続く『あぁ』は、「声と心はすごく近くて直結している」と実感したという、感傷的なメロディが際立つハートフルなナンバー。また、1stアルバム収録曲で、ライブで最後に歌われることも多い『I Remember』のアカペラバージョンでの披露も、「今日限りのスペシャルな内容」と言えるだろう。
一旦ステージから去った志帆が、今度は虹色を配したキラキラの衣装で登場すると、ここからはライブも後半戦。『Roll Over The Rainbow』のアッパーなビートに合わせて掲げた両手を左右に振り、ボルテージがさらに上がっていくオーディエンス。ご機嫌なロックチューンの『Rollin' Days』では、メインのステージからセンターステージへと精力的に動きながら、ブレないボーカルを放つ志帆。疾走感に溢れたハードロックナンバー『Free Planet』、ダンサブルなナンバーにモンキーダンスを踊りまくるオーディエンスの姿も印象的な『Beep!!』、ハッピーかつユーモラスな振付けで盛り上がった『Dancing On The Fire』。そして本編最後を飾ったのが、「昔から大事に歌っている」と語り、間奏時にはブルースハープも披露した『マニフェスト』。間にコール&レスポンスも挟みながら、興奮のままステージは終了した。
もちろん、熱狂のオーディエンスはそのまま終わりを認める訳もなく、アンコールに応えピンクのTシャツ姿で再登場した志帆らに、場内は大歓声。珠玉のバラード『My Best Of My Life』を感情豊かに歌い切る。
「今回のツアーは6本だけであっという間。でも1公演がすごく濃くて、みんなに楽しんで欲しいと思いながら歌っていて。みんなの笑顔を見ることで私もパワーが湧いて、すごくいいムードでライブが出来ました。今日も気持ちを込めて歌ったけど…届いた!?」の問いには、会場から温かい拍手が巻き起こる。
「熱いお客さんとここにいられるのが幸せ。ありがとう! 初めてのアリーナツアーは緊張したけど、うれしくて、楽しくて、喜びで笑顔が止まらないツアーでした。またパワーアップして帰ってくるので、絶対会いに来てね! 集合かけるよ!(笑)」
ハートウォーミングな『愛と感謝』では、サビを会場全員で大合唱し、「私、今日のことを忘れないよ!」と、最後の最後は開放的なナンバー『Hi-Five』 でプログラムは終了。メンバーがステージから退いた後も、ゆっくり、そして長くお辞儀をする志帆。名残惜しそうなそのシーンに、会場の温かい拍手はしばらく鳴り止まない。彼女同様に名残惜しいと感じていたのは、笑顔でライブを楽しんでいた1万人のオーディエンスも同じだろう。Superflyがくれた渾身の音楽のパワー。アリーナを震わせる圧倒的な歌唱力、ライブハウス同様の距離感を保ち続けるパーソナリティはやはりホンモノ。それをまざまざと実感する、スペシャルなアリーナライブだった。
Text by 金本真一
Photo by 渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
(2011年12月28日更新)
『Arena Tour 2011
“Shout In The Rainbow!!”』
12月21日(水) at 大阪城ホール
01.タマシイレボリューション
02.Fly To The Moon
03.Wildflower
04.Ain't No Crybaby
05.愛をくらえ
06.春のまぼろし
07.Only You
08.愛をこめて花束を
09.Hail Holy Queen
10.あぁ
11.I Remember
12.Roll Over The Rainbow
13.Rollin' Days
14.Alright!!
15.Free Planet
16.Beep!!
17.Dancing On The Fire
18.マニフェスト
~ENCORE~
01.My Best Of My Life
02.愛と感謝
03.Hi-Five
スーパーフライ…’07年にシングル『ハロー・ハロー』でデビュー。’08年には1stアルバム『Superfly』をリリース、オリコン2週連続1位を記録。翌’09年には 2ndアルバム『Box Emotions』をリリースし、同チャートで2作連続の1位を記録、70万枚を突破する大ヒットに。その後、初の武道館公演も開催。’10年には『FUJI ROCK FESTIVAL』のGREEN STAGEに出演し、そのパフォーマンスが話題に。’11年6月には約1年9ヵ月ぶりの3rdアルバム『Mind Travel』をリリースし、デビューから4作品連続でチャート1位を記録した。J-POPシーンに独自のバンドサウンドで挑戦し続けるSuperfly・越智志帆の圧倒的なボーカル、ライブパフォーマンス、そしてオリジナリティ溢れる音楽性で、確固たる支持を集めるアーティストである。
Superfly オフィシャルサイト
http://www.superfly-web.com/