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3年ぶりのビルボードライブ大阪公演を間近に控えた
実力派3人によるスペシャル・ユニット、SALT+TOKU+GEN
中心人物・塩谷哲がメンバー&ユニットの魅力を語る!

 様々なジャンルのアーティストと共演を果たすピアニスト、塩谷哲。メロウかつコンテンポラリーな楽曲が人気のフリューゲルホーン奏者、TOKU。そして、塩谷とはサルサ・バンド、オルケスタ・デ・ラ・ルス時代からの盟友、パーカッショニストの大儀見元によるスペシャル・ユニット、SALT+TOKU+GENが、3年ぶりにビルボードライブ大阪へ! 各々が世界で活躍する実力派だが、実は3人寄ればコーラスお笑いグループに変貌する!? 公演を間近に控えた今、このグループを取り仕切る(!?)塩谷哲に、SALT+TOKU+GENの魅力をたっぷり語ってもらった。

塩谷哲さんの自然体のコメントをどうぞ!

───塩谷さんは、ソロのピアノコンサートはもちろんですが、本当に様々なミュージシャンと共演されていたり、グループを組まれていますね。改めて、これまでの活動をふまえ、SOLT+TOKU+GENの結成の経緯も教えてください。

塩谷「僕はオルケスタ・デ・ラ・ルス(以下デ・ラ・ルス)というバンドでデビューしましたから、イメージとしては“ラテン”が強かったと思いますが、実は音楽的背景としてはラテンは一番最後なんです。まず、ジャズやクラシック、そして洋楽などの音楽を聴いて演奏もしていた。その後、アカデミックな作曲を勉強したくなって、東京芸術大学の作曲科に進んだんです。でもその一方で、ジャズのセッションとかも始めちゃって…つまり色々な音楽を同時期にやっていたんですよね。そんな生活を送っているところに、当時のリーダーでデ・ラ・ルスを作った張本人であり、今度一緒にライブをする大儀見元(GEN)さんにデ・ラ・ルスに誘われて。とにかく「一緒にやりたい」と思いバンドに入ってしまったぐらい、彼とのセッションはインパクトが強かったんですよ」

───まさに、運命の出会いですね。

塩谷「そうですね。そういう意味では、その時々でキーパーソンと呼べる人が必ずいて、「この人と一緒にやりたい」「この人の音楽を知りたい」という純粋な音楽的興味だけで、いい音楽や人と出会ってきて、フラフラと今の僕があるのかも。節操がないとも思われるかもしれませんが、本能を信じてやってきたと言えると思うんです。例えば、ジャズこそが世界中で一番いい音楽であり、それ以外は認めないというぐらいハマれたとしたら、スペシャリストになれたのかもしれないんですけど(笑)。僕の場合は、ラテンもジャズもクラシックも、素晴らしいと思えるタイプだった。だからこそ、どんどんどんどん色々な音楽に触れたり、様々な方と共演するようになりましたね。でも今考えてみれば、その一つ一つの音楽にきちんと関わっていくことで、自分の栄養となりオリジナルな音楽を生み出してきた要素になっている気がするんですよね」

───確かにそうですね。ふり幅も広がるでしょうし。

塩谷「でも、「いったい自分はなんなんだろう」・・・みたいなことを思った時期もありましたよ(笑)。今はね、様々な活動をし多彩な顔ぶれの方たちと共演したり色々なグループを組んできた経験の全てがとても大事に思えるし、自分の要素として生きてる実感があるから楽しく充実していますけどね。僕はピアノとベースとドラムといういわゆる一般的なジャズのトリオも組んでいますが、ピアノとフリューゲルホーンとパーカッションと歌で成り立つSALT+TOKU+GENは、楽器の編成から決めたわけではなく、この3人がひょんな拍子で集まった時にセッションしてみたところ、とてもハモったんですよ。・・・コーラスが(笑)」

───コーラスグループだというお噂はかねがね(笑)。

塩谷「(笑)。このトリオはね、コーラスお笑いグループと言ってもいいぐらい笑いに包まれるライブをするんです。だからといって、当たり前ですけどクオリティを下げてはいけない (笑)。少し、コーラスのお話をさせてもらうと (笑)、声の質が合っていたということもさることながら、やはり気持ちが一緒の方向を向いてるからハモリが気持ち良いと思うんです。これはすごく大事なポイントで、お互いが聞きあいアンサンブルするという気持ちが最初から3人にあったんじゃないかと思うんです。それぞれ楽器も演奏しますし、メインボーカルを務めたりしますが、とにかく楽器とか編成ではなく人間性が合う3人が、たまたまそういった楽器を弾いてたからこんな編成になりましたというグループなんです。いい出会いをすると、きっと音楽にも表れるではないですかね。小曽根真さんとのピアノデュオもそうですが、僕がコンスタントに共演している方たちは、僕にとってかけがえのないすごく重要な人たちばかりなんです」

───TOKUさんとはどのような出会いをされたんですか?

塩谷「TOKUは、自然と同じフィールドにいたんです。お互いに以前から知っていましたが、ジャズフェスティバルで顔を合わせたのが初めてだったかな。そこからTOKUのレコーディングに僕が参加したりして交友が始まりました。TOKUは、何処にいっても楽器を持って現れるぐらい社交的な人で、「また、TOKU出てるよ」っていうぐらいだから、「飛び入り番長」と呼ばれてますよ(笑)。色々な人のステージを観たり演奏している人なので、僕のライブにも来て、ステージ上で一緒に演奏したりを繰り返しながら今にいたる・・・みたいなね。ただ、なぜこの3人が一緒に演奏するようになったかというのはもう覚えてないですが、「SALT+TOKU+GENって語呂がいいね」みたいな話になったんじゃないかな(笑)」

───確かに。他にも、SALT&SUGAR(塩谷哲&佐藤竹善)や、AGA-SHIO(上妻宏光-塩谷哲)など、塩谷さんがされているユニットやグループは、名前がキャッチーで覚えやすいなと思っていました(笑)。

塩谷「(笑)。たまたま名前が塩だったっていうね(笑)。まあ、塩キャラメルに塩大福・・・などの塩スイーツも流行っていますしね」

───流行をかなり前から先取られていたんですね(笑)。

塩谷「ええ、最先端ですよ。かなり前から塩谷でしたからね(笑)」

───(笑)。続いて楽曲のお話に。SALT+TOKU+GENで演奏されている楽曲には、すごく表情豊かな柔らかさが感じられますね。そんな印象を抱かせてくれるのも、皆さん各々が様々な方と共演されていたり、色々な音楽を吸収された結果なんですよね。しかも10分以上もある楽曲(!)もありますが、すごく耳なじみが良いからか、長さを忘れるぐらい心地よく最後まで聴けました。

塩谷「それは『トイレの神様』以来の褒め言葉ですね」

───ん?

塩谷「植村花菜さんの『トイレの神様』も長い楽曲でしょ(笑)? でも最後まで聴きたくなる。そんな名曲以来の褒め言葉ですよ(笑)。僕たちは、アーティストとして活動している3人なので、アレンジメントや構成面をきちんと考えられる感覚を持ち合わせている集団だと思う。「ここで次の展開がほしいよね」、「パッと終わったほうがカッコイイよ」というアレンジャーやプロデューサー的な感性で演奏ができるからこそ、長さを忘れられる、退屈しないと思って聴いてくださることができるのかも」

───なるほど。それにMCでも時間を忘れさせてくれそうですしね。

塩谷「コーラスグループであると同時にMCグループといっても過言ではないからね(笑)。その合間に演奏する・・・って感じぐらい(笑)。でもそんなステージを僕がちゃんと取り仕切って進行していくという・・・」

スタッフ「TOKUが一番進行気にしてるよ(笑)」

塩谷「そう思うかもしれないけど、実は違うんですよ~。悪いけど、僕が仕切ってるから、ちゃんと観ててよ(笑)」

(一同笑)

───そのあたりも見所ですね(笑)。

塩谷「ぜひ。大儀見さんとTOKUだけだと永遠に続いちゃうから」

───毎回楽しかったとお客さんが思えるライブが出来ているんでしょうね。

塩谷「あんまり作り込もうとせず、3人が集まって感じたままを演奏するということだけで、僕たち面白くなっちゃうんですよ(笑)。もちろん、新しい楽曲やハモリにチャレンジしていますが、単純に3人で演奏できるだけで幸せなんですね。ライブだし、楽曲のアレンジとして個性を作ったりすることはありますが、例えばそれがズレてしまってもそれはそれでリアルな音だし、それすら楽しめる関係なんです。ただ3人のミュージシャンが楽しんでる様を感じてほしいですね。たぶんお客さんもそれを理解してライブに来てくださってるんだろうなという実感もありますよ」

───そこまで思えるほど、本当に波長が合う3人なんですね。

塩谷「TOKUもそうだけど、本当に大儀見元という人は僕の音楽人生の中での最重要人物なんですよね。この人に出会っていなかったら今どうなっていたか想像がつかないぐらいの衝撃なんです。何年も共演していない時期などこれまでにも色々とありましたが、やっぱりこの人の音楽にすごく惹かれている自分がいる。今では仕事とは全然関係ないところで、僕の家族とも付き合いが深いですから(笑)。もう家族ですね」

───では最後に、まもなく開催されるビルボードライブ大阪での公演はどのような感じになりそうですか?

塩谷「ビルボードライブ大阪は、僕にとってとても演奏しやすい空間です。お客さんも近いですし、お店全体の雰囲気や響きがとても良いんですよね。これまで色々なユニットで出演させて頂いていますから、ホームグラウンドであり様々な思い出がある場所なんです。例えば1週間公演をやってみたりとか、色々な試みをしたことも。そういった意味で、修行の場でもあり至福の空間でもあるというか、この会場に鍛えられて育てられたところはありますね。内容としては・・・前回の公演が3年前なので、お互いその間にやってきたことはあるし、ミュージシャンとしてのボキャブラリーも増えているはずですので、この会場ならではのアットホーム感に見守られながら、「こんな曲もやっちゃうの!?」という楽曲を演奏する予定ですよ。例えば、○○○の楽曲とかね・・・(笑)」

───えっ!?  それは意外です。楽しみにしてます!




(2011年11月18日更新)


Check

Prolile

塩谷哲(しおのや さとる)

1966年6月8日生まれ、東京都出身。1986年~96年まで、オルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとして活動。93年よりソロ活動を始め、現在まで10枚のオリジナルアルバムをリリース。他、SING LIKE TALKINGの佐藤竹善とのデュオ・ユニット『SALT&SUGAR』、小曽根真とのピアノ・デュオ・・・etcなど様々なユニットを結成、活動を続けている。また、吉田美奈子、露崎春女、岩崎宏美、Misia、平井堅などに作・編曲、演奏を提供。


TOKU(トク)

1973年生まれ、新潟出身。2001年、アルバム『エヴリシング・シー・セッド』でデビュー。ボーカルとフリューゲルホーンというスタイルが、日本のジャズ・シーンにかつてないタイプのアーティストとして注目を集める。幅広い音楽性から平井堅、m-floなどのアルバムにプレーヤーまたは作曲者としても参加。


大儀見元(おぎみ げん)

1963年12月3日生まれ、神奈川県出身。84年にオルケスタ・デ・ラ・ルスを結成し、91年まで活動。ティト・ニエベス・オーケストラ、熱帯ジャズ楽団、イサック・デルガド、佐藤竹善、角松敏生、綾戸智絵、Dreams Come Trueなど、国内外を問わず様々なジャンルのアーティストのツアー、レコーディングに参加。


Live

『SALT+TOKU+GEN』
チケット発売中 Pコード151-879
▼11月25日(金) 18:30/21:30
▼11月26日(土) 18:00/21:00
ビルボードライブ大阪
自由席-6900円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※カジュアル エリアはぴあでの取り扱いはなし。未就学児童は入場不可。ビルボードライブ大阪の整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。ビルボードライブ大阪の整理番号をご希望の場合はお問い合わせ先まで。
※当日券は要問合せ。

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