ホーム > インタビュー&レポート > 9/24(土)梅田Shangri-Laワンマンも目前! メンバーの脱退&加入、初の海外レコーディング COMEBACK MY DAUGTHERSの2年9ヵ月ぶりの新作 『Outta Here』にまつわる3年間を紐解くインタビュー
――アルバムとしては2年9ヵ月ぶりということでしたけど、長年いっしょにやってきたメンバーである稗田(b)さんの脱退があったり、この3年間はバンドの歴史の中でもいろんなことがあった時間だった思うんですけど、振り返ってみてどうですか?
「前作『EXPerience』(‘08)を出してツアーを廻って…それが過去最長のツアーだったんですね。結構会場も大きかったですし、作るのにもすごく時間がかかった作品だったんですけど、そのツアーが終わったときに、達成感から来る無気力な感じになってしまって…。そんなときにふと音楽を聴いてたら……音楽って別に疲れたり達成したりウワーって盛り上がってばかりなものじゃないなと思ったんですよ。それよりもうちょっと日常的なもんだよなって思い出して」
――活動の真っ只中にいるとわからなくなるというか、一歩退いてクールダウンすると、楽しくて音楽やり始めたのに、なぜかそれに追い立てられるというか。音楽活動を続けるために、ああしなければ、こうしなければじゃなくて、純粋に音楽をやるために、ただライブをすると。
「今思えば(ライブが)必要だった時期だとは思うんです。純粋に自分たちが1番楽しいのはライブなので。ライブばっかりやってた3年間でしたね」
――長年バンドを続けていくと刺激や新しい風がなかなか起きにくい中で、いよいよ次の音源を作ろうとなったモチベーションはどこからきたんですか?
「ライブをやることと曲を作ることっていうのが、たぶん僕たちがCOMEBACK MY DAUGHTERSっていうバンドを続けてるモチベーションになってる大きな柱なんで。すごくスローペースながら(笑)、曲作りはやってたんですよ。その作業はやっぱり楽しかったですし、何となく次の作品はこういう感じにしたいなっていうのが頭に浮かんできてから、一気に制作しようという話になっていきましたね。そこは単純にホントにいち音楽ファンなので。その意欲だけは続いてますね」
――その浮かんできたものは何だったんですか?
「さっきの話にも通じるんですけど、より人の生活に密着した音楽というか。今まではどうしてもその瞬間のハプニングだったり1日限りとか儚いもの…どこかそういうところへ向かおうとしてたと思うんですけど、それよりももっと日常的な、午前中から夜までのいろんな時間に、人の生活に近い音楽をやりたいと思ったのがきっかけですね」
――メンバーの脱退&加入を経て、曲の作り方とかバンド内で何か趣が変わることはあったんですか?
「まぁ家族みたいな、特に10代の頃からずっと知ってる奴だったんでショックでしたけど、それでもやっぱり結局そいつがいなくなってもバンドは続けたいんだって思ったときに、やっぱりCOMEBACK MY DAUGHTERSが、みんなが集まって楽しい場所じゃなきゃいけないっていうのは考えたんで。曲作りはなんか自由になりましたね。僕は結構ベーシックな曲作りをするんですけど、自分がある程度土台になる曲作りをしたら、あとはメンバーみんなに投げてやりたいようにやってくださいって(笑)。何かちょっと気楽になりました」
――新ベーシストの戸川さんが入ることによって、バンドがフレッシュになった部分はありましたか?
「やっぱり違うタイプのプレイヤーなんで、新しさもあったしそれによって良くなった部分もたくさんあったと思うんですけど、ホントに結成当時から知ってる人で、すべての作品に立ち会ってきた人間なんで、結構あつかましいくらい自然でしたね(笑)」
――穴を埋めるには適任者でしたね(笑)。
「逆に彼にしか声をかけなかったんですよ。入ってくれたのは嬉しかったですね」
――今回は念願の海外レコーディングだったということでしたけど、僕らが若い頃はまだ音楽業界も景気が良くて、“レコーディングでニューヨークに行って…”みたいな話を音楽雑誌でよく読んだりしていて。今は日本でもそこそこの音で録れるのはあるかもしれないですけど、その“海外レコーディング”という響きが、音楽に憧れて必死に聴いていたときのあの感覚がしてすごく新鮮に感じました。
「まさにそれですね。僕たちが結局音楽をやりたい気持ちに嘘があったり、そういう感覚がなくなっていくと、たぶんどれだけいい曲を作っても、バンドとしての魅力は半減していくと思うんですよ。自分たちが満足している状態であれば、やっぱりホントにそのままの表情で楽しく音楽が出来るので。お客さんともそういう付き合いでいたいっていうのもありましたね」
――憧れの海外レコーディングを実現させたきっかけは何だったんですか?
「楽曲がちょっとずつ出揃ってきたときにメンバー間で次はどうしたい?っていう話をしたんですよ。そしたらみんな“海外に行きたい”って言い出して。全員一致だったんですよ。“海外に行きたい”としか言ってなかったですけど(笑)。そこから実際ホントにどうやったら出来るんだ!?っていうのをメンバー内で分業して調べて。それでいい条件で見つかったのが、今回のニューヨークのスタジオだったんですよ」
――それで言うとみんなのテンションというか、気持ちが同じタイミングで同じ方向に向いていたんですね。
「うちのバンドはよくそういうことがあって。幸せなことですよね」
――今まで日本でレコーディングしていたのとは勝手も違うし、レコーディングに向けての準備もいつも以上に必要だったと思うんですけど、それについてはどうですか?
「もう完璧に準備して行きましたし、ただ、めちゃくちゃハードスケジュールだったんですけど、もう全然大丈夫でした。毎日“あと何日でニューヨーク”って、そればっかり考えて(笑)。日々に辛いことがあっても、“どうせもう少ししたらみんなでニューヨークでレコーディングするんだ。夢が叶うんだ”みたいな感じでいたんで、たぶん過去にないくらい短時間でギュッと詰めて作業したんですけど、全然辛くはなかったですね」
――今までは結構レコーディングに時間をかけていたそうですけど、今回は短期間でしかも海外とまた違った肌触りの作業だったと思うんですけど、それはどうですか?
「とりあえず自分たちの出来ること、自分たちの楽しめることを1つ1つやっていこうと。悲観的な意味じゃなくて、あんまり背伸びをするのはもういいかなと思ったんですよね。それからですからね。今度はどういう風に録ろうかと話をしたときに、“時間もないしバンドだから一発録りでいいんじゃない?”っていう意見が出始めて。“一発録りなんて10年近くやってないけど出来るかな?”みたいな感じで(笑)、それが出来るスタジオを探して」
――なるほど。ブースも分かれずみんな同じ部屋でせーのでって感じですか?
「スタジオの部屋割りの関係で2部屋には分かれたんですけど、ガラス1枚隔てた隣の部屋でせーのでやるっていう。なんかやってみて自分たちのバンドには向いてるなと思いました。楽しかったですよ」
――今までと比べて、一発録りならではのミラクルみたいなものはありました?
「はい。やっぱり空気感は今回が1番パッケージ出来たと思う。結構ニューヨークの空気感とかスタジオの緊張感とか、そのときの僕たちの空気がバンと入れられたと思うので。やってよかったですね」
――エンジニアやスタッフは全員外国人なんですか?
「メインのエンジニアは(現地の)日本人なんですけど、まぁ国籍が日本なだけというか(笑)。外国人のような雑さをちゃんと持ってるし(笑)、でも僕たちの良さを引き出しすのが上手な人でしたね。ブルックリンのヨウヘイくんっていう、もう15年とかそれ以上向こうに住んでる人なんですけど、メインのエンジニアがそういう人なので、コミュニケーション的には困ることも全然なくて」
――もう純粋に、単純明快に楽しいというか、いい経験ですよね。
「ただ、最初は一発録りだし半信半疑なところもあったんですよ。歌も割とノリで歌っていったんで、今まで違った不安もあったんですけど、1日経ったら全然変わってました」
――と、言うのは?
「ちっちゃいことが気にならなくなった(笑)。録り終わったときはまだ神経がピリピリしてるんで、いろんなところが気になってたんですけど、でもそれが1日経って、もらった音源聴いたら全然。アメリカっぽいなって。満足しました(笑)」
――今回の作品を作ることで、バンドをすごく自由にしてくれた感じはありますね。
「ホントにそうだと思います。まだ何かはわからないんですけど、すごくきっかけになったレコーディングだった思いますね」
――逆にレコーディングで苦労した点はあったんですか?
「苦労っていうのはそんなになかったですけど、やっぱりアメリカの人との性格の違いというか人間性の違いはあるので。僕たちは今まで時間にケツをあまり作らずに作業するというか、エンジニアさんも職人気質の人が多いので、結構遅くまで付き合ってくれたりしてたんですけど、やっぱり向こうの人はホントに時間で切ってくるんで。どれだけこっちのキリが悪くても終わってくるんで(笑)。こっちもモチベーションを保つのが結構大変でしたね。“ここで今日終わりか~”みたいなところもあったんで」
――ここまでは進めときたいのに!みたいなね(笑)。
「そういうところはやっぱりありますね~。それとか、お昼を食べる休憩とかはちゃんとしてるんですけど、他は何か雑なんですよ(笑)。朝の開始時間は逆にルーズなんです。全然始まんない(笑)」
――でもケツはきっちり終わる(笑)。ズルいなぁ~それ。
「ズルいんですよ!(笑)」
――メシもちゃんと食うと(笑)。
「ホントに(笑)。でも音楽にまつわる人たちが、自信もってやってる人が多いなっていう気はすごくしました」
――音楽の本場と言うか、音楽を大きな懐で受け止めている国で創作活動が出来るのはいいですよね。
「なんかちょっと、自分たちがどういう立ち位置なのかを見てもらってる感じもしましたね、やっぱり」
――向こうの人から見たときに、実際どういう風にバンドが写るのかっていうね。
「“全然日本人じゃないみたいじゃーん”って言われました(笑)」
(一同爆笑)
――じゃあ感覚は結構いっしょかもしれないですね(笑)。それだったら自信も持って帰れましたね。
「そうですね。メンバー各々あると思うんですけど、自分たちがこのレコーディングをしたことで、次からはこういう風にしようと確信的にわかったところも幾つもあって。ホントに次へのきっかけにもなったし、すごくいい経験でしたね」
――今回のタイトル『Outta Here』はどこからきてるんですか?
「“いってきます”的な意味なんですよ。これが4枚目なんで、僕たちがどういうバンドかっていうのはもうある程度固まってきていて。だから覚悟してこのバンドを楽しく続けていくためには、余計な邪念とおさらばしていかなきゃいけないなっていうので、そういう意味も込めて」
――海外レコーディングという夢が1つ叶って、これからバンドとして活動していくうえで、次に何か叶えたい夢はありますか?
「海外レコーディングはホントにすごくよかったんで、またいつかやってみたいのはありますし、逆に一発録りで国内で録音してみたい気持ちも出てきましたね。とりあえず今はまた新しいベーシストに代わってがむしゃらにやり始めてるとこなので。とりあえず今の自分たちのバンドのグルーヴ感みたいなものを、もう1回くらいなるべく早くパッケージしたいなとは思ってます」
――この作品を経て、次にどんな作品が出来て、ライブがどう変わっていくのか。まずは9月24日(土)梅田Shangri-Laでのリリースツアーですね。本日はありがとうございました!
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2011年9月20日更新)
Album
『Outta Here』
発売中 2300円
PIZZA OF DEATH RECORDS
PZCA-50
<収録曲>
01.Secret Castle
02.Why
03.Yours Truly
04.Mona Lisa
05.Slow Down
06.Henji ha iranai
07.Lavender
08.Carpenteria
09.Strange Boy
10.Always on your side
11.See you later alligator
カムバック・マイ・ドーターズ…'98年、高本和英(vo&g)、稗田淳(b)、中津川五郎(ds)にて結成。'02年にCHUN2(g)、小坂祐亮(key)が加入。'04年に1stフルアルバム『Spitting Kisses』をPIZZA OF DEATH RECORDSよりリリース以来、USインディーを昇華した豊潤なサウンドで着実にその知名度を増し、今までにスーパーチャンクとの共演や、ゲット・アップ・キッズなど数えきれない程の海外アーティストのサポートアクトもこなしている。'09年には稗田が脱退。新メンバーに戸川琢磨(b)が加入。日々グッドヴァイブなライブを繰り広げる、生粋の音楽ファンでありライブバンドだ。
COMEBACK MY DAUGHTERS
オフィシャルサイト
http://www.comebackmydaughters.com/
『Outta Here』スペシャルサイト
http://cbmd-outtahere.com/
【大阪公演】
チケット発売中 Pコード141-008
▼9月24日(土) 20:00
梅田Shangri-La
スタンディング3000円
SMASH WEST■06(6535)5569