ホーム > インタビュー&レポート > 人気アニメのタイアップ曲で注目度上昇中! 2人だけど3人(!?)グループ、ワカバの軌跡&新作に迫る
――ワカバは今年でなんと結成11年ということですが、改めてそのスタート地点の話を聞いておきたいのですが。
亀田「専門学校でメンバー3人が同じクラスだったんですけど、そこで共通の趣味を見つけようっていう話になって。僕はアコースティックギターを弾いてたんですけど、亀田くんとギターを弾きたいなと内心思ってたんです。そしたら亀田くんもちょうど最近ギターを買ったということで、いっしょに始めたんですよ。最初に自分たちが分かるコード進行で曲を作っていったんですけど、詞を書くのはちょっと難しい。でも書かなきゃ歌にならないし…という話を同じクラスの塚本にしてみたら、塚本が高校のときから歌詞を書くのが趣味で、ノートに書き溜めてたりしたんですよ! そこで塚本に詞を書いてきてよとお願いして、それにメロディを当てはめていったら1曲出来たんです。じゃあこれで歌ってみようということにはなったんですけど、ライブハウスに行ったこともなかったですし、全然縁もなかったので、どこで披露しようということで、最初にライブをしたのが路上だったんです。それが音楽を始めるきっかけというか、3人でやるきっかけでしたね」
松井「学生で土日が休みだったんで、週末を利用してやってましたね。プロになろうとかじゃなくて、趣味で楽しくやってました」
――そこからお客さんが徐々に増えていって…という?
亀田「いやーそんなことないっす。まったくですね。本当に楽しいからやってただけなんで、お客さんが増えるとかはまったくなかったですね~最初のうちは」
松井「コソコソやってたね(笑)」
亀田「でも曲数が増えていくたびに、やっぱりだんだんと聴いてもらいたい、路上にお客さんがいっぱい集まって欲しいと思うようになってきて…でもどうしていいか分からなかった。そんなとき、僕のお姉ちゃんが友達と聴きに来てくれて。僕らが座って譜面を見ながら歌っていたのを観て、「座って譜面見てたら何も伝わってこないよ」ってズバッて言われたんです。「立って、人の顔を見て歌いなさい」って。そう言ってくれたお姉ちゃんの言葉で、なんか気持ちが変わったんですよね。そこから徐々にですけどお客さんも増えてきて、ライブハウスからのお誘いも頂くようになって。徐々にいろんな経験を積んでいきましたね」
――ワカバにはそんなはじまりがあったんですね。あと、メンバーの構成なんですけど、作詞の塚本さんは表舞台に立たないという構成も、すごく珍しいと思うんですけど。
松井「専門学校に行ってるときから、塚本は働きながら詞を書きたいというスタンスへの強い気持ちを持っていて。ステージに立ちたい欲とかではなく、ワカバとして詞を担当したいという想いがあったんですよね」
――5月25日にリリースされたニューアルバム『Atlas』も、日常の風景を切り取ったような、1曲1曲が際立った楽曲が詰まったアルバムですね。
亀田「そうですね。言葉がリアルで。本当に言葉重視で作っていったのはありますね。そこからメロディを考えたというか」
松井「自分たちは詞を提供して頂いていた時期もあって、そのときはすごく勉強になったんですけど、11年やってきて、自分たちで言葉を残せなかった時代があるのも、正直すごく悔しかった部分もあったりして。だからこそ、昨年『あかり』(M-8)という曲が出来たのは大きかったですね。『あかり』は3人でテーマを持ち寄って、本当に自分たちが何を伝えられるのかを話し合って作れた曲なんですね。そこから今回のアルバムにつながっていったと思うし。言葉をまず大事にしようというのは、今回のアルバムで重視した部分ですね」
――『あかり』は内閣府『いのち支える(自殺対策)プロジェクト』キャンペーンソングにもなっていますが、この楽曲が出来たいきさつを詳しく教えてもらえますか?
亀田「去年の春、あるファンの娘の自殺という、悲しい出来事があって・・・。本当は、こういう取材でも、すごく話づらいことなのですが、すごくいろんな感情が複雑にまじって、この歌詞を書くのに、3ヵ月以上かかりました。」
松井「正直、その子の本当の気持ちも分からないし、その子のために歌うっていうのも、嘘になるんじゃないかって話してて」
亀田「だから僕たちは今、歌う立場で生きている人たちに向けて歌って、胸にかかえている何かを少しでも取り除いてあげることが出来たらいいなと。いつも言ってるんですけど、少しでも生きていく力になればいいなと思っていて、言葉を持ち寄って作っていくようにしたんですよ。そこが3人で書いた根っこの部分でもあるんですよ」
松井「『あかり』をリリースした全然後なんですけど、内閣府で自殺対策をやっておられる方がワカバの曲をたまたま聴いてくれて、詞も曲も気に入ってくれて、すごく共感して頂いたんですね。それがきっかけで、今キャンペーンソングとしてやらせてもらってます」
――ありがちなタイアップありきの曲作りではなく、作られたときに思われてた気持ちが、自然と第三者に伝わった結果ということなんですね。
亀田「自殺対策って正直そこまで考えて曲を作っていたわけではなくて、本当に目の前の1人の人に生きて欲しい、そういう思いを込めて作ったので、共感して頂いたときはすごく嬉しかったですね」
――『あかり』もそうなんですけど、アルバムに収録されたすべての楽曲に、前向きになれる気持ちが詰まっている気がしましたね。押し付けがましくなく、どんなことでも受け入れてくれる、そんな勇気を与えてくれるような楽曲だなと。もちろん、メロディも良いんですけど、詞にすごく力があるなと。
松井&亀田「いやいや嬉しいですね」
――人気TVアニメ『世界一初恋』エンディング主題歌となったシングル『明日、僕は君に会いに行く。』(M-2)も収録されていますが、こちらもやわらかいメロディで、詞もかわいらしいですね。
松井「これは初恋をイメージしたんですよね。なのでやわらかさがすごく出たんじゃないでしょうか」
亀田「あまり言葉もひねりたくなかったし、ピュアな思いを出しましたね」
――言葉遣いも“ゆらり”“ふわり”とやわらかくて聴きやすいメロディで。ただ、アニメのテーマが“ボーイズラブ”という衝撃の…(笑)。
松井「僕らも初めてコミックを読んだときは、すごいなーっていう衝撃でしたね(笑)。あーこういう恋愛があるんだって。でも、作らせてもらうからには、とことん読み込んで、精一杯作りたいなって。そしたらちょっとハマッちゃって(笑)」
――(笑)。
松井「読み出すとハマッちゃうもので(笑)。でも、すごく純粋な恋愛が描かれているんですよ。キュンとするところがちゃんとあるし、恋模様がきちんと描かれているので。だから自分たちが経験してきた恋愛とそこと照らし合わせて…だからやわらかい美しさがあるのかな」
亀田「男同士でも女同士でも男女でも、恋愛する気持ちは変わらないんだなって思うんで。まずは自分たちの恋の話をまず出そうっていう流れで出来あがった曲ですね」
――私も自分の気持ちと重ね合わせて聴きましたね~(笑)。あと口ずさみやすいんですよね。ポップな楽曲を作っていくには、それって大事なことですもんね。
松井「自分たちもポップな楽曲がすごく好きなんでね」
――詞に気持ちを込めるのはもちろんのこと、楽曲を作り続けてきた中で、一貫して貫いてきたものはありますか?
亀田「正直、今まではそれぞれが好きなように、その時々に自分たちが書きたいことを書いてきたっていうのはあるんですけど、それこそさっきの『あかり』ぐらいから、3人で同じテーマに徹した方が、絶対的に伝わるんじゃないかとは思いましたね。あとは、言葉を大事にするということと、メロディもそれぞれが得意の部分もあったりするんで、その辺も大事にして楽曲制作は続けていきたいなと思いますね」
――今回のアルバムは曲調もバラエティに富んでますよね。『カレン』(M-5)の出だしの“あ~いたい”っていう部分はインパクトありますね。
亀田「最初は“歯~痛い”だったんですけどね(笑)」
――えっ!?
亀田「本当はもっとふざけてる部分もあったんですけど、やり過ぎだって止められました(笑)」
――(笑)。一貫したキャッチーさはありながら、出だしでグッと掴む楽曲もり、『ラストワルツ』(M-10)のようにメロウですっと心に染みる楽曲があり、本当にバラエティに富んでますね。
松井「今回は本当に1曲ずつ作っていったんでね」
亀田「アルバムを全部作るっていうんじゃなくてね」
――11年積み重ねてきたものが、そういったところにも出てるかもしれませんね。
松井「やっぱりもっといい曲を作りたい欲は出てくるので。そういうことの積み重ねでいろんな勉強をさせてもらいましたし、3人の個性が最大限に活かせる年齢になってきたというか。冒頭で話したように音楽を始めたスタートが遅いので、その分時間がかかってしまった部分はあるんですけど、今やっとワカバとしての方向性が見えてきた年齢になってきたんで。いいきっかけで今回は曲作りが出来たんじゃないかなって思いますね」
――続けることだけでもかなり大変なことですしね。
亀田「本当に。自分たちだけでも出来ないし、ずっと応援してくれたファンの方やスタッフの方とかも含めて、いろんな人が支えてくれたおかげで自分たちが続けて来れたんだと思うんですよ。もちろん、メンバーに恵まれたっていうのもあるんですけどね。だから本当に感謝してます」
――お2人は声質は違うんですけど、似てますよね。
松井「ハモったときによく言われますね」
亀田「似るようになったんですかね。十何年もいっしょにいると(笑)」
松井「長年いっしょにやっていると、感覚というか譜割とか節とかがね」
亀田「逆に合わせようと意識することもあるんですけどね。亮太の歌い方に、雰囲気に合わせて、こういう曲だからっていう風に」
――最近のインストアライブでもアルバムからの楽曲を披露されてると思いますけど、お客さんの反応も踏まえて思うところはありますか?
松井「自分たちの歌う中での気持ちの面で、今までと違う想いの込め方も出てきているし、シングルの『あかり』や『明日、僕は君に会いに行く。』もそうですけど、今までよりもいい反響を頂いているので、伝わっているんじゃないかなと思えてますね。今まで以上にリアルに反響が返ってきているので」
亀田「ランキングの結果も今までで一番良くて、ファンの人たちもいっしょに喜んでくれたりして…自分たちにとっても、少しずつでも曲が届いていったら嬉しいなと思います」
――ちなみに関西のお客さんってどんな印象ですか?
松井「熱いというかノリが良いというか…」
亀田「気持ちを表現するのが上手ですよね。泣いたり笑ったりもハッキリしていて上手い」
松井「だからライブもいい意味でやりやすいですね。やっぱりダイレクトな反応を頂けるのでね、分かりやすい」
亀田「俺、MCが苦手なので関西は絶対緊張しますね(笑)」
松井「そこに変にプレッシャーは感じないようにはしてますね。お笑い芸人ではないので(笑)。ノレる曲は思いっきりノッてくれるし、聴かせる曲はきちんと聴いてくれるし。そこがすごくハッキリしていて、流れが作りやすいですね。だから僕たちも大阪行くときは楽しみですよ~!」
――嬉しいですね。全国ツアーの初日となる7月9日(土)OSAKA MUSEでのワンマンでは、バンドスタイルで楽曲もたっぷり聴けますしね。今までずっと見続けてこられたファンの方たちにとっても新鮮なライブになりそうですね。
松井「絶対にそう思いますね。曲が変わってきた部分がいい意味であるので、そういったところで新鮮に感じてもらえると思うし、ニューアルバムを中心にやるので本当に聴き込んできて頂けたらなと思いますね」
――最後にぴあ関西版WEBの読者に向けてコメントを!
亀田「今回ツアーを5ヵ所でやれることになって、まず初日にOSAKA MUSEでやります。ずっと応援してくださった方も、このインタビューを読んで初めてワカバを知ってくださった方も、本当に楽しめるライブになると思いますので、ぜひ遊びに来てください!」
松井「やっぱり歌うことが僕らの1番の表現方法なので、ぜひライブを見に来て頂きたいなと思います。そして今回はバンドスタイルということで、パワフルさもあり、じっくり聴かせるところもありと幅広く魅せたいと思いますので、ぜひアルバムを聴き込んで遊びに来て頂きたいなと思います!」
Text by 小西麻美
(2011年7月 8日更新)
ALBUM
『Atlas』
発売中 2500円(CD+DVD)
WTCS-1030
<収録曲>
01.HONKY TONKY BOY
02.明日、僕は君に会いに行く。
03.いちばん好きな人
04.無人島
05.カレン
06.1CW3
07.君の歌
08.あかり
09.口笛
10.ラストワルツ
11.踊れ Atlas
【特典BONUS DVD収録】
●レコーディングドキュメント:今日も元気に。~ある日の "Atlas"制作風景~
●あかり donation music ver. FILM
ワカバ……亀田大(vo&g/写真左)、松井亮太(vo&g/同右)、塚本伸男(words)の3人によるグループ。‘00年、介護福祉の専門学校で出会い在学中に結成。亀田と松井が楽曲制作とライブパフォーマンスを行い、現在介護福祉士として働く塚本は作詞のみを担当している。‘10年11月にリリースしたシングル『あかり』が、内閣府『いのち支える(自殺対策)プロジェクト』キャンペーンソングに、今年5月にはTVアニメ『世界一初恋』エンディング主題歌『明日、僕は君に会いに行く。』を発売。同曲が収録されたアルバムを5月25日にリリース、7月9日(金)からワンマンツアーを開催。
ワカバ オフィシャルサイト
http://www.wakaba515.com/
『ワカバ LIVE TOUR 2011 “Atlas”』
▼7月9日(土) 18:00
OSAKA MUSE
キョードーインフォメーション
■06(7732)8888
※5歳以上は有料。
※前売券は終了。当日券はお問合せ先まで。
▼7月10日(日) 17:00
ハートランドスタジオ
全自由4000円
サンデーフォークプロモーション
■052(320)9100
※5歳以上有料。
※前売券は終了。当日券はお問合せ先まで。
チケット発売中 Pコード:133-056
▼7月15日(金)
山形テルサ アプローズ
全席指定4000円
キョードー東北■022(217)7788
※5歳以上はチケット必要。
インターネットでの購入はなし。
チケット発売中 Pコード:133-400
▼7月16日(土) 18:00
HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
スタンディング4000円
フリップサイド宇都宮
■028(633)1009
※5歳以上はチケット必要。
チケット発売中 Pコード:133-100
▼7月18日(月・祝) 17:00
赤坂BLITZ
1F全自由-4000円 2F指定-4000円
ちけっとぽーと■03(5561)9001
※5歳以上はチケット必要。