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ロックバンドのフォーマットに乗っ取り、ポップ道を究める
UNISON SQUARE GARDENが到達した
3rdアルバム『Populus Populus』の瑞々しい世界

 膨大なライブと類まれなメロディセンスで培われたポップサウンドを常に更新し続ける音楽性、強力なライブパフォーマンスで注目度上昇中の3ピース・ロックバンド、UNISON SQUARE GARDEN。7月6日リリースの3rdアルバム『Populus Populus』を携えた全国ツアーも各地でソールドアウト続出と着実にシーン駆け上がる3人は、9月の関西過去最大キャパのなんばHatchワンマンへと向かい突っ走る。バンドとしてひとつの到達点を見た最新作を世に問う彼らに、現在の率直な想いを訊いたインタビュー。

UNISON SQUARE GARDENの動画コメントはコチラ!

――ニューアルバムの『Populus Populus』は、ポップな楽曲を心掛けてきたユニゾンにとって、目指している地点が見えてきたような作品だと思いました。キャッチーさとメロディの良さという一貫性がある部分と、ライブを積み重ねて変わってきている部分。それぞれがいい意味で相まって、そのポップさに磨きがかかったような。このアルバムをリリースした、率直な感想をまずは教えてください。
 

斎藤(vo&g)「すごく満足していますね。今回は、あくまでライブを大事にしてきたロックバンドとしての肩書きを持ってずっと活動をしてきたうえで、“ポップに振り切る”ということをやりたかったんで。自分たちのやり方を曲げることなく、自分たちのまま世の中の真ん中に持っていって、真っ向勝負出来るような作品になったんじゃないかなと。サウンド的にもピアノやオルガンが入ったりもしていますが、自分たちが今までやってきたことを誤解なく伝わるかたちでレコーディングが出来たと思うので、ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいし、その上で何かしら反応があったら嬉しいなと思いますね」
 

田淵(b)「前作の『JET CO.』は、自分の中でのエゴを飛び越えた、虚勢の意味合いでのJ-POPだったんです。だから本当に音楽が好きな人が聴けば、そこに潜むユニゾンのポップさを分かってくれると思うんですけど…たぶん、虚勢の方が勝っちゃってて、そのポップさが見え辛くなっちゃってたのかなと。それは、自分の頭の中で鳴っていた音が現実では鳴ってないことに出来上がった後に気付いたり、曲の作り方、言葉の使い方にしても、本当に自分が書きたいところまでは到達出来ていない=自分が知らず知らずの内に手を抜いているんじゃないか?という思いが少しあったりして…。そのとき感じた反省じみた気持ちが、今回は全部払拭出来た気がしてるんですよね。相変わらず“これがJ-POPだ馬鹿野郎”という気持ちはあるんですが(笑)、それが限りなく純粋な意味で。変わらずエゴイスティックなんですけど、虚勢なく、包み隠さず、自分たちが“本当にあって欲しい楽しい音楽のかたち”が嘘偽りなく出せたような気がする。僕たちの大好きな曲たちと、言葉たちと、歌で作れたアルバムだと満足していますね」
 

――今作には『kid,I like quartet』『カウンターアイデンティティ』『オリオンをなぞる』と、タイアップ曲が3曲収録されていますが、こういった楽曲はよりポップさを意識したりはするんですか?
 

 「いや~全然ですね。僕たちの楽曲は根っこにあるものがポップだと思っているので。とてつもなく自分たちのやりたいやり方で受け入れてもらえた感じではありますね」
 

――『オリオンをなぞる』をTVで初めて聴いたときは、クレジットを見てなくても“ユニゾンだ”って分かりましたね。歌声が印象的なのはバンドにとっても大きな魅力ですね。
 

斎藤「ありがたいですね。別に好きで人と違う声を出しているわけではないんですけど(笑)、人と違うということは教科書的に言うと、“こうやったら正解の歌い方ですよ”というのが通用しないのもあるので。だから改めて自分だけの武器っていうものを見つめ直さなきゃいけないとか、自分だけの表現方法をもっともっと深めていかなければならないと思っていて。そんな風に臨んだ今回のアルバムなので、より深まったところもあるし、でも揺らがない部分も残っているだろうしと、思ったりはしてますね」
 

――ユニゾンらしさも“ポップ”をテーマにずっと模索し、進化していっていると。
 

斎藤「3人が同じ方向を向いてはいるんですけど、元々最初にこのバンドを組んだときは、4人でも5人でもよかったんですよ。でも、なんで3人にしたかというと、やっていることがダイレクトに出るからなんです。楽器が少ない分ひとりひとりの負担が大きくなるし、やることがそのままバンドに反映されるのが面白いなと思っていて。ひとりひとりが自分自身を極めていけばそのままバンドに返ってくるし、それが3つ重なってちょっとした化学反応が起きるのが“ユニゾンらしさ”だと思うので。そこは相変わらず突き詰めながらやっていますね」
 

――他に今作で新たにチャレンジしたことはあるんですか? ジャジーな雰囲気の曲も合ったりと…相変わらず曲の振り幅はすごく広いですね。
 

「他の人たちがどうなのか分からないんですが…やっぱり1枚のアルバムを作るとき、いろんな曲があった方が、買う側も聴く側もワクワクするだろう、楽しいだろうということをやっているだけなんですよね。今回は本当に候補曲がいっぱいあったし、楽曲1曲1曲に関してひらめいたメロディとかひらめいた歌詞に、一番合うようなリズムパターンにするし、一番楽しそうなものを選んで作ってるんです」
 

――このアルバムを聴いたら、生で聴いてみたいなと思わせるアルバムですよね。
 

斎藤「特にライブを意識したわけではないのですが、音楽と関わるスタンスとしてはその曲がどうしたらより良いかたちになるのかという意味では、ライブも音源も同じ。ただアプローチがちょっと違うという感じですね」
 

――先ほど候補曲が楽曲がたくさんあったという発言がありましたけど、楽曲は定期的に作っているのか、それともアルバムに向けて集中的に作るんですか?
 

「留まるところを知らないというか…作った曲は全部好きになっちゃいますし、どうしてもリリースしたいと思っちゃいますね。歌詞から構成から全部作らないと自分たちの中では曲としての完成にはならないので余計ね。今回は数十曲の中から選んだ13曲ですが、もちろん選ばれなかった曲もあるし、それをお蔵入りさせる哀しい葛藤もあるし。それでもまたどんどん新しい楽曲が出来てしまう葛藤もあるんですけど(笑)」
 

――このアルバムでは日の目を見なかった曲もライブで披露されたりもする?
 

「やっぱりね、僕らはCDを出したいがために曲を作っている部分は結構あるので、ライブのために曲を作ろうっていう感覚はあんまりないかな。ライブでやるならCDに入れたくなるし」
 

――ファンとしてはそういった楽曲も聴きたいでしょうけどね~。
 

「聴かせてあげたいですけどね~(笑)」
 

――あと今作は曲の流れもいいですよね。次につながっていくような感じというか…。
 

斎藤「曲順いいですよね」
 

「自分たちがアルバムを作る意味って、実はそこだったりするので。どういうバランスで楽曲を配置して、1曲目からシャッフルせずに順々に聴いたとき、どうやったら一番楽しく聴けるかなって考えるのが、結構楽しかったりしてね。それが聴いた人にも伝わって、この作品はこの曲順じゃないと駄目だって思ってくれたらいいなって、こっそり思ってたりします(笑)。もちろん聴き方は人それぞれなので、シャッフルして聴いてもらってもいいんですよ。でも、CDをわざわざお金を出して買ってくれる人に、曲順という方法でそういう楽しみ方を提供出来るのは、リスナーにとってもワクワクする材料のひとつになるんじゃないかなって」
 

斎藤「曲順も曲間も、僕たちが曲を作るのと同じように、より楽しんでもらうための手段、より作品を良くするための方法として一生懸命考えました。だからアルバムもトータルで楽しんでもらえたら嬉しいですね」
 

――“ポップ”というテーマを軸にこれからもユニゾンらしさを追求していくとは思いますが、もうこれからの構想はあったりするんですか?
 

斎藤「今回のアルバムを作る中で、UNISON SQUARE GARDENというバンドがやりたいこと、進むべき道筋が明確になった気がしていて。だからいかにそこを深めていけるかというか。いろんな曲も作っていくし、僕だったらいろんな表現方法や歌い方を考えていくと思う。でも、目指すところはいろんな角度から攻めていくということだけで、結局はより深める作業をずっと続けていくんじゃないかと今は思いますね。そこをちゃんとバンド自身が楽しんでやるということですね」
 

――田淵さんはどうですか?
 

「メロディが良くて、言葉に独自性があるものを書き続けたいということぐらいですね。今回『Populus Populus』を作って、本当に自分が書きたい曲が何か、書きたい言葉が何かっていうのが、意識的にも出来るようになったので、これを続けることは全然出来るんですよ。ただ、お客さんに飽きられちゃったらイヤだし、飽きられないために面白いことを仕掛けていかないといけないと思うし。きっと1年経ったら自分の中のトレンドも変わってくると思うから、その変化を楽しみながらやり続けたいですね。でも本当に今回の『Populus Populus』のリアクションで、次の身の振り方を考えようと思っていて。自分の中で“もう誤解されてもいい、嫌われてもいい、これで全部です”っていうアルバムが出来ちゃったので(笑)。これがめちゃくちゃ評判になるにせよ、一気にファンが減るにせよ、どういう反響が出るかでやり方を変えても面白いかなとは思ってます。もちろん『Populus Populus』みたいなことを続けることは出来るから、自分の中で書きたい曲を当然やり続けたうえで、何か新しい発見をリスナーにしてもらうために次にやることは、『Populus Populus』のリアクションとか、ツアーの感触でまた決まってくるのかなと思いますね。1年後は自分でもどうなってるか分からない(笑)」
 

――そんな作品を携えたライブが、9月19日(月・祝)に大阪・なんばHatchであります。
 

斎藤「なんばHatchは初なんです。これまで大阪で一番大きいキャパシティは心斎橋BIGCATだったんで…だから倍になりますね。なんばHatchはすごく好きなライブハウスで。デビューする前に一度だけ、なんばHatchで行われたライブのオープニングアクトで出させてもらったことがあったんですね。そのときから密かに、いつかこんなところでワンマンが出来たらいいな~ってみんなで言っていたので(笑)。そういう意味ではロマンのあるライブだし、すごく楽しみですね」
 

――いざステージに立ってから、さらに思うこともあるでしょうね。
 

斎藤「各地でそういうことがあると思うし、同じ曲をやっていても空気感だとか、自分たちの気持ちだとか、コンディションだとかを、ちゃんと表現するのがライブだと思うので。それはすごく大事にしたいし、なんばHatchでする、なんばHatchでしか出来ないステージにしたいですね」
 

「結局、毎日息をするのと同じようにやってきたライブなので、場所によって意気込みが違うというわけではないんです。でも、やっぱり僕らがライブをする心情として心がけているのは、例えば僕だったら“ステージの上の俺が一番楽しい”。お客さんだったら“その音を聴いている自分が一番楽しい、人に左右されない”というか。こっちは何の命令も強制もしないし、むやみにひとつになろうとはしない。ちゃんと“自分だけの音楽をどう楽しむかは、自分で考えろ”っていう景色を、なんばHatchという大きい場所で見せれたらいいなというのがひとつ。あと、前より大きい会場だから初めて見に来られる方が多いと思うので、もちろんいつも来てくれる人も、初めて来てくれる人もそうなんだけど、漠然と“ライブって楽しいんだ”っていうことを伝えられたらいいなと思っていて。そこに向けてステージの上では、いつも通りの“いや~楽しいわ。俺が一番楽しいわ”っていうライブをしようと思います(笑)」
 

――それは楽しみですね(笑)。8月にはフェスや日比谷野音のワンマンもありますし、そう言えば今、ライブに向けて体力作りをされてるとか?
 

斎藤「僕はランニングを(笑)。特に今回のツアーでは、家から出て戻ってくるまでの数日間に何本かライブがあったりするので、コンディションを崩さずに出来るようにせっせと走ってます」
 

――田淵さんは縄跳びらしいですね?
 

田淵「そうなんですけど、思った以上に出来ないもんですね~(笑)。僕は根性がないので、長い距離を走ったりするのが持続出来ないんです。縄跳びに関しては1回やってみて飛べなかったのが悔しくて。その悔しさをバネにやっている感じです(笑)」
 

――なるほど(笑)。それでは、ツアー終盤の9月19日(月・祝)なんばHatchでお待ちしています。ありがとうございました!
 


Text by 小西麻美
 




(2011年7月31日更新)


Check

Release

ロックバンドがポップを究める       ユニゾン節炸裂の3rdアルバム!

Album
『Populus Populus』
発売中 2800円
TOY'S FACTORY
TFCC-86360

<収録曲>
01. 3 minutes replay
02. kid,I like quartet
03. プロトラクト・カウントダウン
04. きみのもとへ
05. 僕らのその先
06. スカースデイル
07. ワールドワイド・スーパーガール
08. CAPACITY超える
09. 場違いハミングバード
10. カウンターアイデンティティ
11. 未完成デイジー
12. オリオンをなぞる
13. シュプレヒコール~世界が終わる前に~

Profile

ユニゾン・スクエア・ガーデン……写真左より田淵智也(b)、斎藤宏介(vo&g)、鈴木貴雄(ds)。'04年7月結成。透明感に溢れながらも個性的なトゲを持つ斎藤宏介のボーカルと、エッジが効いたコンビネーション抜群のバンド・アンサンブルが武器の3ピースロックバンド。’08年7月にシングル『センチメンタルピリオド』でメジャーデビュー。以降、夏フェスやイベントにも多数出演、今夏行われる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブのチケットもソールド・アウト(!)と、確実に動員&知名度とも右肩上りの気鋭のロックバンド。7月リリースの3rdアルバム『Populus Populus』を携え、9月には関西ではバンド史上最キャパのなんばHatchワンマンライブを開催。

UNISON SQUARE GARDEN オフィシャルサイト
http://unison-s-g.com/


Live

過去最大のワンマンライブで       思い出のなんばHatchに登場!

『"Populus Populus"TOUR 2011
~3rd album release tour~』
チケット発売中 Pコード135-971
▼9月19日(月・祝) 18:00
なんばHatch
1Fオールスタンディング3500円
2F指定席3500円
キョードーインフォメーション
■06(7732)8888
※1Fオールスタンディングは未就学児童は入場不可、2F指定席は4歳以上は有料。

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