ホーム > インタビュー&レポート > エレキギターに瑞々しい歌声と 胸を締め付ける切ないメロディを乗せて 注目のシンガーソングライター・EGが、配信3部作をリリース!
――昨年は4部作のリリース、バンドスタイルでの初ライブがあったりと、EGの存在を皆に知ってもらった最初の1年だったと思いますが、振り返ってみてどうですか?
「CDは念願だったんで、純粋に嬉しいっていうのがすごくあって。それに付随してバンドのライブがあったり…全然まだまですけど、ライブのやり方もすごく考えるようになったし。気持ちは…変わりましたね。“知って欲しい”というか“聴いて欲しい”というか」
――これまでもその気持ちはきっとあったんだろうけど、その欲求が昂ぶるというか。
「今までは漠然としてたんだけど、今はハッキリと、1曲1曲やってかなきゃいけないなって思いましたね。身が引き締まりますね、リリースするっていうことは」
――大阪も含めていろんなところでライブもして、EGのライブを楽しみにしてくれるお客さんも前よりも増えたと思いますが。
「…大阪が一番デカいですね、ヘビーローテーションもあったし。…でもまぁバンドのライブは難しいです(苦笑)」
――脇を固めるのがMO’SOME TONEBENDERの藤田勇(ds)、セカイイチの泉健太郎(b)、Clingonの木村ひさし(key)という豪華メンバーですからね。
「『MINAMI WHEEL 2010』で、初めて手応えがあったというか…今後バンドもやっていきたいなって、ちょっと見えた気がしました。でも最近は全然やってないから、メンバーの皆が曲覚えてるかわかんないですけど(笑)」
――そう簡単には集まれないメンツですもんね(笑)。でもまた集まってやるときに、EGが同じじゃね。成長しなきゃっていうのはありますね。
「そうですよね~」
――先ほど1曲1曲出すことへの重みを感じる発言もありましたけど、前回の4部作はジャケットワークやコンセプトも含め、持つことに悦びがある作品になっていたと思うんですが、今年は配信3部作という、より聴いてもらい易い形態でのリリースで。
「今となってはよかったなと思いますね。僕もまだパソコンの使い方がよくわからないんですけど(笑)、やっぱり皆が聴きやすくはなったかなと」
――3月リリースの配信第1弾『バイバイ』の資料には、意味深なエピソードが載っていますね。某有名マンガの主人公が作った歌詞に、EGが曲を付けて…と書いてますが、これはいったい?
「ディレクターからコンペがあるからちょっとやってみない?って言われて、俺もそのマンガを見ながら作ってみたんですけど、なんかメロディが乗らないなと思って。じゃあ勝手に主題歌を作ればいいかな?って作ったのがこの曲で(笑)。上手く出来なかったんですけど、ちなみに主題歌は作りましたって(笑)」
――マンガのイメージに合う主題歌を、作詞作曲EGでしかも勝手に作りましたと(笑)。
「そそそそ(笑)。でもこういうテーマがあって曲を作るっていうこと自体初めてでしたね。昔からギターは好きだったんで、家族といっしょにドラマを見てるとき、話の中で別れそうなカップルがいたら、そこで哀しそうな音とかは弾いてたけど(笑)」
――そう考えたら、詞と曲書いて、歌ってこそEGかもしれないね。
「そうですね。このマンガの最後はハッピーエンドではないんですけど、ちょうど俺の近くで亡くなった人がいて…その気持ちもちょっと込めてましたね」
――それはいつ頃ですか?
「仙台から出る頃ですね。その仙台から出るっていう部分も、俺の中ではちょっと気持ちが入ってますね」
――人との別離、場所との別離も含めてと。結局オーダー通りには出来なかったけど、『バイバイ』はそういうトライを経たからこそ出来たEGの新しい一面ですよね。普通に書いていたら…。
「出来てなかったですね。あと、“バイバイ”とは言ってますけど、ちょっとはじまりのような…俺の中では始まる曲なんで。1回バイバイして、もう1回始まるっていう。なので、3部作の1曲目にした部分もありますね」
――EGにとって、詞・曲・歌と共に、ギターも圧倒的に1つの核だと思ってるんですけど、この曲っていい意味で歌に寄ってるというか、ギターで聴かせるとか、リフがスゴいとかっていうことよりは、曲の世界観を引き立たせることに徹したギターという感じがして…それがすごく新鮮でしたね。
「録ってるときもそうでしたね。もう歌に意識がいってました。初めてアコギとかも使って…やっぱりいつも頭の中でアコギは流れてますからね。それを全部ひとりでやろうとするから、エレキではあういう風に忙しくなっちゃったりして…(笑)。いろいろ挑戦してみよかなと」
――そして、次はライブの定番というか代表曲の1曲と言ってもいい、4月リリースの配信第2弾『クライベイベー』ですが、この曲が出来たきっかけは大阪だそうで。
「心斎橋PARCOの石橋楽器です(笑)[※現在はアメリカ村に移転]。エフェクター売り場のガラスケースにあったcrybabyをうわ~いいなぁ~って見てて。これを題材にして曲が作れたらと思いつつ、漠然と過ごしてたんですよ。そしたらふっと曲が出てきた感じですかね。歌詞も最初はcrybabyが好きです♪的な感じで、今とは全然違うんですけど(笑)。でも、最初の1行の“悲しみを喜びに変える努力をする誰もが使うような言葉で世界を変えたいんだ”っていうフレーズはもうあったんです。ただ俺が無理やりcrybabyが好きです♪側に寄せてて(笑)」
――この最初の1行の世界観の方がいいじゃないかと。
「そうなんですけど、でももう一応全部書いてて。それが(頭に)残ってたから…苦労しましたね」
――自分との戦いというか…自分が一度作り上げたものを壊すのって難しいよね。
「1回壊してまたってなると、もう戦うしかないですね」
――でもこれは戦う価値はあったんじゃないですか?
「これだけ戦ったのは初めてだったですね」
――『クライベイベー』の意味がね、元ネタはエフェクターからきてたのが…。
「すごくいい方向に転がったなと」
――そして、6月1日リリースの配信第3弾が『青』で。
「『青』はですね~曲の欠片で“アオゥッ”っていうフレーズだけがまずあって、それをちゃんと曲にしてみようって。レコーディングの日程は決まってたんですけど、歌詞が出来てない。で、いろいろ考えてるときにあの震災が起きて…。こんなこと歌ってる場合じゃないっていうか、わかんなくなって、すごく悩んで。自分の、菅原達哉として、いろいろ思ったことをそのまま…曲調も語り口調というか、そういう今の気持ちをそのまま出しちゃいました」
――それこそ、2011年の3月11日以降じゃないと生まれなかった曲というか。あの地震があって、あの前後でやっぱりいろいろと変わってしまったし、すべてを忘れることは出来ないし。震災の後『君が笑ってくれるから 僕はまだまだがんばれる』が急遽オフィシャルサイトにアップされましたよね。
「これは前からあった曲だったんですけど、もう今すぐ聴いて欲しかったというか…。自己満足じゃなくて、なんだこの歌とか思われてもいい、ひとりだけにでもわかってもらえればそれでよかった。あのタイミングで、なんとか気持ちだけも元気になってくれるんであればと思って」
――震災直後は何が良くて何が不謹慎かの線引きもスゴく難しかったけど、さっきEGが言っていたように、たったひとりでもこの曲で元気付けられた人がいたならもう、この曲が果たした役割っていうのは…。
「もう全然あるんで」
――さっきの配信の話にも通じるんですけど、よしこれを届けたい、出そうぜって思い立って、曲を聴いてもらえる状態にすぐに持っていけたのは意義があることだなぁと。このスピード感は配信しかないと思うし、そう考えたらこういう時代だからこそ届けられた曲というか。EGにとって仙台は故郷だから、歌うときも曲を書くときも絶対何かしら片隅にはあると思いますけど、今回の3部作も計らずしもなのか敢えてなのか、すごく希望の力がある曲で。
「結局最後には、やっぱり自分のことを入れたいというか…そうなっちゃいますよね。最初はうつむいて書いてたけど、やっぱり見直して…今回は歌詞をスゴく考えて。飾ればいいとか、こういうこと言えばいいんだろ?みたいに履き違えてた時期もあったけど…そこを乗り越えて、結局自分の言葉で言えることを言うことが一番響くというか」
――本当に思ってることだから、そこに迷いがないですもんね。そういう言葉にやっぱり人は心を動かされるのかなって。理屈じゃないなと思うよね。
「それぐらい(自分を)出した方がいいんだなって思いましたね。人によっちゃ何とも思わなかったりするし、なんか間を取ったりとかそういうことよりも、この人に、この人にって、しっかり伝える気になりましたね」
――今回は一気に4曲も世に出ましたけど、配信だと本当に今書いたものがすぐ出せますね。
「震災後に書いた曲が6月に出るんですからね。CDはその1枚で世界観を作るというか。今度はまた、新曲としてCDは出したいですね」
――それは今年の楽しみにしたいところですね。
「でもまぁ今回のことがあってから…やっぱり作っていくしかないなと思いましたね」
――それで誰かひとりでも元気になったり、人生にハリができるなら、それはもう音楽やる意味ありますよね。
「そういう曲を、何曲も何曲も作れるように。がんばります」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2011年6月 3日更新)
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イージー……’86年大晦日、仙台生まれ。24歳。’09年に上京。’10年6月にそれぞれ3曲入の弾き語り盤『EG/1』、バンド盤『EG/2』を2枚同時発売、初めての作品を世に贈る。続いて8月にも同形態で『EG/3』『EG/4』を2枚同時リリース。バンド盤『EG/4』収録の『60歳になっても一緒にいたいんだ』が、大阪FM802と仙台DATE FMでヘビーローテーションを獲得。テレキャスターを踊るように弾き語る、唯一無比のシンガーソングライター。
EG オフィシャルサイト
http://www.parco-play.com/eg/