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感動の名曲『カウボーイ』に涙する人が只今増殖中!?
話題のピアノロックバンド、ズータンズが阿倍野ROCKTOWNへ!

 ハイクオリティなポップソングを世に生み出し続ける、あのSING LIKE TALKINGも絶賛する類まれなメロディセンスを武器に、着実に、そしてマイペースに活動してきた微炭酸系ピアノロックバンド、ズータンズ。ライブ会場で涙する人も多い、彼らの代表曲であり珠玉の名曲『カウボーイ』を収録した同名の最新アルバムが過去最大の反響を巻き起こす中、5月14日(土)には大阪・阿倍野の新たなライブハウスROCKTOWNのこけら落としイベント『ABENO ROCK COMMUNE』にも出演と、彼らへの注目度は高まるばかりだ。ネクストブレイクの呼び声も高い彼らに、最新アルバムにして勝負作となる3rdアルバム『カウボーイ』にまつわるエピソードを訊いた。

ズータンズのほのぼの動画コメントはコチラ

――前作の2ndアルバム『と、思っていた。』が昨年2月にリリースされ今作に至るまでの約1年間…この『カウボーイ』が出来るまで、どういった作品を作ろうという話はメンバー間であったんですか? 3枚目って常々勝負の1枚と言われたり、元々持っているバンドの魅力とかストックをある程度出し切って、バンドにとって1つのターニングポイントが訪れるタイミングが3枚目だと思うんですけど。
 

鈴木(key)「まずはその『カウボーイ』(M-1)がライブではずっと演奏してきた楽曲だったので、それをとにかくCDにしようというところから今回は始まって。僕たちの中でもすごく思い入れの強い曲だったので、『カウボーイ』に流れてるような空気とか匂いとかをアルバム全体でも感じてもらえるような1枚にしたいっていうコンセプトというか…そういう想いはありましたね」
 

――そう考えたらすごい1曲ですね。その1曲がアルバム1枚作らせるパワーを持っているという。逆に今まで入れなかった理由は何かあるんですか?
 

鈴木 「そうですね…逆にやっとCDにする覚悟が自分たちに出来たっていうのが実はすごくあって。自分たちの中でもすごく思い入れの強い1曲っていうのもあるんですけど、やっぱりライブで毎回演奏してきて、お客さんからも“この曲を聴いて前を向こうという気持ちが膨らんでいきました”とか、あたたかい想いをホントにたくさん頂いたんですね。なのであんまり中途半端な気持ちでCDには出来ないなっていうのが自分たちの中でもあって。それをやっと、それこそ今回3枚目というのもあったし、思い切ってCDにしようと決意したというか」
 

――絶対ライブの後に言われますよね? あの曲ってCDに入らないんですか? とか、あの曲が入ってるCDくださいとか。
 

神原(vo)「もう毎回(笑)。まだCDになってないんですよ~って」
 

鈴木 「もうずっと言われ続けてました(笑)」
 

神原「他の曲もいいんですよ~とか薦めながら(笑)」
 

――そう考えると、バンドとしての土台がしっかりしてきて、ちゃんと『カウボーイ』という曲と向き合える状態になったのかもしれませんね。そもそもどれくらい前にあった曲なんですか?
 

神原 「メンバーが4人になった頃に作ったので…5,6年前?ですかね。そこからずっとライブで歌い続けているので」
 

――めっちゃ寝かせましたね(笑)。
 

神原 「ホントに! たぶんお客さんも何人か諦めてたと思うんです…(笑)。“どうせ…次も入んないよね?”って(笑)」
 

――そこまでいくと、いざ入れるとなると気合入りますね。
 

鈴木 「入りましたね~。ホントに“勝負”というか」
 

――それぐらいズータンズにとって大事な曲は、どうやって生まれたんですか?
 

神原 「初めに鈴木からピアノとラララで歌ったメロディをもらったんですけど、すごく優しい音だけど、同時に強さも感じて。それを聴いて自分の中でいろいろ我慢してたものが溶け出た感じがして、泣いてしまったんですよ。なんていい曲なんだと。でも、これはちゃんとした歌にしたいから歌詞を書こうと思ったら、タイトルが先に付いてたんです。そのMDには『カウボーイ』と書かれたシールが貼ってあって……『カウボーイ』!?って(笑)」
 

――そこですよね。2011年、今この時代に『カウボーイ』っていうのが…(笑)。
 

鈴木 「アハハハ(笑)」
 

神原 「そうなんですよ! 私のカウボーイに対するイメージは、テンガロンハットをかぶって荒野を駆けて縄とか投げてるような人だったので、自分の中から溶け出た感情とカウボーイをどうやって融合させればいいんだろう!?と思ったんですけど(笑)、そのとき悔しく思ったんです。こんなにいい曲を書いて、こんなヘンなタイトルを付けやがってと(笑)、腹が立ってきて。これは鈴木をまず驚かせるために、絶対に歌詞の中に“カウボーイ”を入れようと。私は結構すぐに歌詞を書けるタイプなんですけど、これにはホントに3ヵ月くらいかかって。そしたら“君は夢に向かうボーイ”っていうダジャレが思い浮かんで(笑)」
 

――韻ね(笑)。
 

神原 「そこからはもうパズルが合わさるようにバーッと書けたんですけど。その間はずっと鈴木さんに“あの曲書けた?”って言われても、“あとちちょっとで。今日は持ってくるの忘れたけど”って、まったく書けてなかったけどずっと嘘ついてました(笑)」
 

――そもそもなんで『カウボーイ』だったんですか?
 

鈴木 「なんでだかはよく覚えてないというか…」
 

――こらこら(笑)。そこに引っ張られてたのに。
 

神原 「ホントですよね!? こっちは必死になって書いてたのにー(笑)。ちょっとぉ~!」
 

鈴木 「アハハ(笑)。たぶん、自分なりに強さみたいなものをそれで表現したかったのかもしれない…ですね(笑)」
 

――めっちゃ後付けっぽい(笑)。
 

(一同爆笑)
 

――仮タイトルくらいの感じだったんちゃーう?(笑)
 

神原 「も~(笑)」
 

鈴木 「曲を作っててタイトルが浮かんだら、それは一応全部伝えることにしてて…その1曲ですね(笑)」
 

神原 「まぁでも結果的にはね、すごくよかったと思います、ハイ(笑)」
 

――鈴木さん自体は、メロディを書いたときに手応えはあったんですか?
 

鈴木 「この曲に限らずですけど、自分で作っててそういうことを感じることがまずなくて。個人的に気に入る曲とかはあるんですけど、これはイケるとかいう感覚になったことは全然ないんです。やっぱり聴いてくれる人の反応を見たり聞いたりして、この曲はこんなに響いてくれたんだって、後から実感として沸いてくるのがほとんどですね」
 

神原 「謙虚だね~」
 

――でも曲をもらう側からしたら、これはいいぞっていう感覚があったんですもんね。
 

神原 「もうホントに自然と涙が出たんで」
 

――『カウボーイ』の歌詞を読んで思ったんですけど、最近って、男の人が“あなたを守る”とか“側にいるよ”とかいうものより、女の人がそういう風に言ってくれることの方が多い気がするんですよね。今の時代なのかもしれないですけど、女性の方が愛する人や大切な人に対して腹括ってるというのか、心意気があるような…そういう女性が持っている愛の強さというか。男性とは違う特有の力があるなと思ったんですけど。
 

神原 「昔から女の人の方が家族とか好きな人が出来ると守ろうとするじゃないですけど、そういう気持ちは強かったと思うんです。昔は男性を立てるために敢えて口に出さなかったのかなと思うんですけど、私は言葉にしないと伝わらないと思うタイプなので、歌詞にしてみました。私の勝手なイメージなんですけど、タイトルが『カウボーイ』だったので戦いに行くイメージがあって。戦いに行く方もつらいけど、その人を見送る方もきっとつらいなと思って。カウボーイの側にいる女の娘をイメージして書きましたね」
 

――それは仕事や夢を追いかけることに置き換えてもいいですしね。ここまで無条件に大きな愛を持っている人が側にいたら、絶対に心強いなと思う。その辺のメロディの良さと歌詞の大きさがお客さんの感動を呼んでるのかもしれませんね。
 

神原 「ありがとうございます!」
 

――今ってアルバムの中から推し曲を決めたり、シングルが=推し曲になったりとかはあると思うんですけど、こういったアルバムの作り方はすごく珍しいですね。
 

鈴木「僕もすごくそれは思うんですけど、自分もアルバムを聴くときって、やっぱり1枚を通して聴くのが楽しいし、そこがアルバムのいいところだと思うので。そういうアルバムを作りたいし、全体に流れている空気みたいなものを楽しんでもらえるような…それは作り手としてはずっと掲げておきたいテーマというか」
 

――『カウボーイ』が自分たちの代表曲であり、それを軸にアルバムまで作ろうと思ったら、全体の質も求められますよね。『カウボーイ』を聴くためだけに買うアルバムなっても仕方がないので。
 

鈴木 「確かに、今回は『カウボーイ』がドンと真ん中にいる親分みたいな存在で(笑)、その曲が他の曲たちを引き上げてくれているようなアルバムが出来たかなって気はします。レコーディングが終わって改めて全部聴いたときにそう思いましたね」
 

――その想いが全体のクオリティを今まで以上に上げてくれている感じはしますね。『カウボーイ』に遜色のない曲、それに通じる世界観を持つ曲というか。トータルの空気感があるから、アルバムのタイトルがまんま『カウボーイ』なのも今の話を聞いていると納得ですね。
 

神原「伝わってくれたら嬉しいなぁ」
 

――あと、今作にはSING LIKE TALKINGの西村智彦さん(g)も参加されていますが、どういったいきさつで?
 

鈴木 「僕がですね、SING LIKE TALKINGに出会ってなかったら音楽やってなかったかもっていうくらいに、自分にとって欠かせない存在で。ホントに嬉しいご縁があって、メンバーの方々とお近づきになれる機会をもらったんです。今回ギターを入れたい曲があって、“じゃあ西村さんにお願いしてみようか?”ってスタッフの方から提案があって、そんな…おこがましいけどお願いします!って頼んだら(笑)、西村さんが快諾してくださって。今回のアルバムの中では全部で3曲弾いて頂いてます」
 

神原 「『カウボーイ』と『ケリー』(M-5)、あと『牛歩ロジー』(M-8)ですね」
 

鈴木 「それぞれ西村さんのギターのいいところというか、らしさがあって。ファンとしてはSING LIKE TALKINGサウンドもちょっと感じられつつで、レコーディング自体もすごく楽しかったですね」
 

――自分たちのレコーディングに昔から憧れていた人が来て、しかもギター弾いてくれるなんて、ホント夢ですね。なかなか実現しないことですよね。
 

鈴木 「ホントに!」
 

神原 「『ケリー』と『牛歩ロジー』は、音源を送って後からギターを録ってもらったんですけど、『ケリー』に関しては仮歌の状態のものを先に渡して、それに西村さんがギターを入れる前に本歌入れを迎えてしまって、お互いにどうくるか分からないまま歌ったんですけど、歌のフェイクの部分とギターのそれとがキレイに混ざり合っていて、鳥肌が立ちましたね。やっぱりすごい方だ!って」
 

――今回はSING LIKE TALKINGは再始動のタイミングとも重なりましたけど、第一線でやっている方とのコラボは、経験としても大きいですよね。
 

鈴木 「逆に自分たちの音も西村さんのギターに負けないよう、レベルを上げていきたいっていうところもあったし。すごく刺激的な経験でしたね」
 

――制作自体に苦労はなかったんですか?
 

神原 「実は『カウボーイ』だけが歌を2回も録り直しになってしまって…自分でもすごく落ち込んだし、レコーディングの期間が年末年始にかけて全部で2週間くらいだったので、ホントならもう全部録り終わってなきゃいけないときに歌だけ終わってなくて、焦りを感じて…。もうこのまま録れないかもしれないけどアルバムのタイトルも『カウボーイ』にしちゃったし(笑)。そのときはすごく迷ったんですけど、『カウボーイ』の詞の中に、“傷ついてきた過去も 君に会えた理由になる♪”っていうフレーズがあって。きっとこの経験も大事な時間になるなと思って頑張って…何かすごくヘンな感じなんですけど、自分の書いた詞を後から自分で実感したというか」
 

――ホントに『カウボーイ』って曲はエピソード満載というか、ズータンズにとって大事な曲でもあるし、すごく多くの経験をもたらしてくれた曲ですね。アルバムがようやく完成したときはどう思いました?
 

鈴木 「僕はアルバム全体で『カウボーイ』の世界を作るのが大きな目標でありテーマだったので。アルバムの最初と最後にインストを入れてみたのも初めての挑戦だったし、『カウボーイ』の空気みたいなものをアルバム全体でも出せているとは思いますね」
 

神原 「私は鈴木さんとは逆で、いざレコーディングが終わったときにはもうこれ以上のものは出来ない、やり尽くしたと思ったけど、同時に大丈夫かな?っていう不安も結構大きくて。でも、“ラジオで聴いて好きになったよ”とかリリース後にもらえた声で、私たちは間違えてなかったんだって安心したというか」
 

――リリースされて、聴く人のもとに届いて初めて、アルバムは完成するというかね。ジャケットの雰囲気もすごく合ってますよね。
 

神原 「ずっとズータンズのジャケットを描いてくださっているoricoさんというイラストレーターの方なんですけど、今回はレコーディング中でも、例えばピアノを録り終わったらその部分だけでも渡してという感じでホントに同時進行で進めていたら、この絵が返ってきて」
 

――アルバム全体の雰囲気をすごく捉えてくれているイラストですよね。それにしても『カウボーイ』という1曲のもとにみんなが集まって、そういう軸があったからこその11曲を通した統一性もあってと、コンセプトアルバムじゃないですけど、不思議な1枚になりましたね。
 

鈴木 「今回は自分たち的にも作りながら迷いなくいけたというか。『カウボーイ』というテーマが1つあったので、そこに向かっていくだけだったので」
 

――これ出した後、逆にこれからどうしようっていう…(笑)。
 

鈴木 「ですよね?(笑)」
 

神原 「ゆっくり作っていきます(笑)」
 

――5月14日(土)には大阪・阿倍野のROCKTOWNにて、こけら落としイベント『ABENO ROCK COMMUNE』への出演が控えています。会場のイメージとしては小さいZepp、エントランスに入ったらUSJみたいな(笑)。立地も都会のど真ん中のショッピングモールの中にあったり、すごく面白いライブハウスですよ。そのオープニングがこの3日間のイベントですが、この日の共演はオワリカラ、ほたる日和、LOVE LOVE LOVEです。当日に向けてはいかがです?
 

神原 「ホントに嬉しいです。関西の方ってライブを観に行くっていうよりは、いっしょにはしゃぐというか、音楽をホントに楽しんでくださるので、また関西でライブできるのがすごく嬉しい」
 

鈴木  「ライブはリアルタイムですごくいろんなものを感じられるというか…震災があってから特になんですけど、今更ながらに音楽の力ってホントにすごくて、ライブってそれを肌で感じるというか。前回の大阪ライブもやれたことがすごく嬉しかったし楽しかったし、あとやっぱり今回のCDで知ってくれた方がたくさんいらっしゃって。そういう方がいっぱい来てくれて、ライブが終わった後に声をかけてくれたりとか…そういう新しい出会いがあったのもすごく嬉しかったですね。だから、今回もホントに楽しみですね」
 

――5月14日(土)、大阪・阿倍野ROCKTOWNでも、新たな出会いが生まれるといいですよね。それでは当日会場にてお会いしましょう。本日はありがとうございました!
 

Text by 奥“ボウイ”昌史




(2011年5月10日更新)


Check

Release

珠玉のメロディ満載!         甘酸っぱくも優しいポップアルバム

Album
『カウボーイ』
発売中 2300円
MMP / VOLANTE
XQJG-1002

<収録曲>
01.and you? -始まり-
02.カウボーイ
03.青い空と、僕らと、
04.いえす/のー
05.ケリー
06.すみれ(album version)
07.チャプター
08.牛歩ロジー
09.澄んだ夜に
10.me too. -続く-
-bonus track-
11.僕たちの夏 ヒロキユミコとズータンズ

Profile

ズータンズ……写真左より、柚留木基道(ds)、神原真美(vo)=通称:じん、瀬戸圭介(b)、鈴木謙之(key)。’03年結成。印象的なピアノの旋律と、それを支える安定感あるリズムセクション、ボーカル・じんのしなやかで伸びのある歌声に、日常をさりげなく綴る詞の世界。そして、類まれなポップセンスでそれを束ねる高品質のメロディ…。ライブ会場で涙する人も多い彼らの代表曲であり、ファンからも音源化の要望の高かった珠玉の名曲『カウボーイ』を収録した同名の最新アルバムが過去最大の反響を巻き起こす、4ピースのピアノロックバンド。友達のようなぬくもりと、いつも近くにいるような距離感が共感を呼ぶエバーグリーンな楽曲群を武器に、ポップシーンにおけるネクストブレイクを射程距離に置いた今、観ておかなければならない注目のバンドだ。

ズータンズ オフィシャルサイト
http://www.zutans.com/


Live

阿倍野ROCKTOWNのオープンを祝う  こけら落としイベントの2日目に出演!

『ABENO ROCK COMMUNE』
チケット発売中 Pコード138-019
▼5月14日(土) 18:00 ROCKTOWN
[出]オワリカラ/ズータンズ/ほたる日和/
   LOVE LOVE LOVE
前売2500円
ROCKTOWN■06(6632)6900