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メジャー初のフルアルバム『ニニニニ』を携えクアトロへ登場!
嘘つきバービーのフロントマン・岩下が語る音楽観・ライブ観とは?

 メジャーとしては、初のフルアルバム『ニニニニ』を4月に発表した嘘つきバービー。具体的な感情や思いでなく、空想が描かれたような不思議な詞世界。その不思議な言葉たちが、不思議なリズムで強く鳴らされるという、若手のロックバンドでも一線を画した存在である彼ら。全曲の歌詞を手がけるボーカルの岩下優介に、新作の独特な世界観について、またライブ観も踏まえて語ってもらった。

――まずは、今作に至るまでの流れを教えてもらえますか?
 

「去年の春、体調を崩して休まなくちゃいけなくなったんですが、それがアルバムのレコーディングの3日前とかで。それまでに練ってた新作のアイデアとか、もともとは結構がっちりしたコンセプトがあったんです。でも、休みから戻った時はその案はなしにしました。飽きちゃったのもあったけど、(休んだことで)変なリセット感があったんですよね」
 

――その最初のアイデアとは?
 

「1分ほどの楽曲を20曲くらいバ~ッと収録して、それが全部『ふんじゃらげ』みたいに適当なタイトルで。そのタイトルの意味を歌詞で説明するという“国語辞典”みたいなことをやりたくて。でもそれに飽きちゃって、何か曲を作ろうとした時に『イワとイイ関係』っていう曲ができたんです。今までの僕の歌詞の登場人物がいっぱい出てくるんですけど。それって、手法としては当初の20曲で説明するアイデアと一緒のことなんですよね。『イワとイイ関係』でそれができたので、後は好きにやろうと」
 

――フルアルバムかけてやろうとした事が1曲でできたんですね。後の好きにやろうというのは、どんな感じでしたか?
 

「僕が音のイメージをなんとなくの言葉で伝えて、千布(g)がギターを鳴らしていくという感じですね。コンセプトみたいなものがない、こういうのもいいかなと。今回はゆるゆるです。コンセプト決めることすらも、最近は欠陥に見えてきちゃうというか」
 

―― タイトルもすごくおもしろくて、『ニニニニ』というのも深読みしたら2枚目の“ニ”かなとか思えるんですけど、普通に字面を見ていて、「きれいだな~」と思ってしまって(笑)。
 

「1曲1曲の世界観が違ったので、総称する言葉を付けなくていいなと。だから一番意味のない、棒の羅列というか。単純に『1』や『2』とかをアルバムに付けてる人は羨ましいなって思いますね。次は『ミミミミ』とかにしようかな」
 

――いいですね。話は変わりますが、岩下さんはお笑いや演劇、日本舞踊や小説にも興味があるそうで。音楽が絶対的に好きで、絶対的にやりたいというわけじゃないのに、今やっていることは音楽というのはおもしろいなと思っていて。
 

「そうですね。音楽に対する意地みたいなとこですかね。音楽で何かひとつ掴んだら、すぐ辞めますけど。まだ掴めてない感じがするので。掴んだら、すぐ辞めます! 僕、本当はダウンタウンみたいな事をしたいんですよ、多分。あの人たちは、お笑い芸人なんで“笑わせる”という決まりがあるじゃないですか。僕は、それはほしくない。音楽って、それがないじゃないですか。心を動かしたら、それでいいというか。音楽を好きなところって、そういうところかもですね」
 

――ダウンタウンの笑いって、例えば松本さんの『VISUALBUM』とかもそうですが、面白かったり笑うだけでなく、切なかったりしますもんね。
 

「そうですよね、ああいうことを僕もやりたいんですよ」
 

――なるほど。では、続いてライブの話もお伺いします。去年6月の野外イベントで、久しぶりにライブをされましたよね。あの時は、吹っ切れた感があってすごくよかったです。
 

「あの時はクソ酔っ払ってました。でも、めちゃくちゃ楽しかった。僕的には休んだ事をきっかけに(ライブに対する姿勢が)変わったってことはないですけど、ただ暴れまくっていたのをきれいに見せたいという思いはあるかもですね。酔っ払ってやるのも、150点の時もあれば0点の時もあるわけで。それを150点続けられるライブにしたいなと。もっと早く気付かないといけなかったんですけど。日本舞踊的な“ふぉわ~”としたライブをやりたいなと。音楽やってると、音楽の悪いところが見えてくるんです。よく思うのが、例えばライブ中に水を飲む光景が好きじゃなくて。他のジャンルの方々って、ステージ上で水なんて飲んでないじゃないですか。僕はお笑いや演劇も好きで、そういう他のジャンルのよさを音楽に取り入れていきたいなと。まぁ、ライブ前にお酒を飲んだ僕が言うのもアレですが…」
 

――ライブ中の水ではなく、ライブ前の酒なのでよしとしますか(笑)。確かに考えた事ないですけど、言われてみればそうですよね。
 

「お笑いだと、水飲みながら“なんでやねん!”とは言わないじゃないですか。日本舞踊は澄ましてる感じ、血管が浮き出てこないでやっている感じがいいなって。凛としている人を演じたいです。でも、他の人から“実は、あいつ必死にやってるよ!”と言われる存在というか。別に血管浮き出てて一生懸命やってる人が嫌いとかでもないんですが。KING BROTHERSやワッツーシゾンビとか一緒にやると、やっぱりすごくかっこいいですから」
 

――最近のライブでは、その凛とした感じは実現できていますか?
 

「いや、やっぱ(必死さが)出ちゃいますね。こないだ違うユニットで一歩も動かずにライブをやろうとしたんですけど、最後はどうしても動いちゃいました。お客さんもボーっと観てるけど、心の中のちっちゃい自分は暴れてるというか。一見、誰も何も動かないライブとかもしてみたいですね」
 

――なるほど。6月の心斎橋クラブクアトロのライブは、何よりも楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました!

 

 Text by 鈴木淳史
 




(2011年5月20日更新)


Check

Release

お値段も2222(ニニニニ)円!(笑)    メジャー進出アルバムリリース

Album
『ニニニニ』
発売中 2222円
Epic Records
ESCL-3667

<収録曲>
01. 魅惑のマジカルチョコレーツ
02. バビブベ以外人間
03. 音楽ずるり
04. イワとイイ関係
05. 新しい化学
06. ねこ子
07. ペテン師は空気男
08. ファンタ
09. ひざにペット

Profile

うそつきばーびー…'02年に長崎県は佐世保で結成された、岩下優介(vo&b)、千布寿也(g)、豊田茂(ds)からなるスリーピース・バンド。'07年にデビュー作となるミニアルバム『子供の含みぐせ』をタワーレコード限定でリリース。その後全国でライブ活動を展開し、そのインパクト大なバンド名、奇想天外な歌詞とクセになるメロディ、破天荒なライブパフォーマンスに、アディクト患者が急増中。これを受けて、'08年には2ndミニアルバム『増えた1もグル』をリリース。現在も精力的にライブ活動を展開中。子供の頃に描いた空想の世界、今思うと奇妙な世界を描いた、懐かしくも不思議なバンド。

嘘つきバービー オフィシャルサイト
http://www.usotsukibarbie.com/


Live

リリースツアーで全国を行脚       ファイナルは大阪・心斎橋クアトロで!

『不定期大発表会(ワンマン)』
チケット発売中 Pコード133-704
▼6月17日(金) 19:30
心斎橋クラブクアトロ
スタンディング3000円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。