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冷牟田竜之率いるクール&ストロングなロック集団・DAD MOM GODが
2ndアルバムに込めた想いとは!? 熱き言霊に触れるインタビュー

 ‘08年に東京スカパラダイスオーケストラを脱退した冷牟田竜之が、彼にしか実現不可能な豪腕プレイヤーたちを一同に集結させて始動したソロ・プロジェクト=DAD MOM GOD。現the HIATUSのウエノコウジ(b)、EGO-WRAPPIN'の森雅樹(g)、元ルースターズの池畑潤二(ds)、SOIL&“PIMP”SESSIONSのタブゾンビ(tp)、数々のセッションで活躍する田中邦和(ts)に大阪のTRIBECKERの青木ケイタ(bs)と、ロックを起点にあらゆる音を柔軟にこなすスキルを持った個性派たちが、前作同様に生々しく緊張感に満ちた一発録りで放った4月20日発売の2ndアルバム『ISN'T IT DMG?』は、改めてこの“スーパーバンド”の尽きないポテンシャルの高さを示す快作となっている。昨年のデビュー作発表~ツアーを経て、さらに一体感と求心力を増したDMGの充実ぶりと新作を得ての今後の展開などについて、冷牟田と青木に語ってもらった。

DAD MOM GODのクールな動画コメントはこちら!

――昨年にリリースされた1枚目としっかり地続きのアルバムでありながらも、また違ったタッチの作品に仕上がりましたね。
 

冷牟田(vo&g&A-sax)「そうですね。去年の朝霧ジャムが終わった後に今回の新しいアルバムを作ることになって、曲を作り始めたのは11月くらいからだったんですよ。基本的に最初から2ndアルバムも前作と同様に一発録りで作ろうと思っていたし、1stを出してツアーを回ったときに決定的に曲が足りなくて、ライブがうまく構成できないなという想いがあったんですね。だから、今回のアルバムでは1stの曲と合わせてライブで完全なセットが組めるように、もっとこういう要素が欲しいとか足りないと思うような部分を足していった感じですね」
 

――確かに。前作にはなかったような曲調のものがいくつも入っています。
 

冷牟田 「うん。例えば、2曲目の『Latin Madness』はこれまでに自分でもやったことがなかったような曲だし、ラストの『Close To You』(カーペンターズで広く知られるバカラックの名曲カバー)も、ラヴァーズ・ロックな感じでダブワイズというのをやりたかったし。あとは、9曲目の『Jump'n' Shout』もライブの中でこういう曲があればいいなというところから出てきた曲ですね」
 

――そうですね。単純に前作と比較すると、メロウな曲に耳を惹かれます。
 

冷牟田「ただ、決して勢いがなくなったとかではないんですけど、前作と違うのは、テンションは変わらずいい意味で少し力が抜けて、楽しんでレコーディングできた。そういう気はします」
 

――青木さんはどうですか?
 

青木(Br-sax)「1stのときはいきなり初めましてと顔を合わせて、そのまま2日間リハーサルしてその後にすぐ録音という4日間くらいの日程で、まさに演奏しながら作っていくところはありましたね。僕は大阪からひとりで参加して、周りはすごいプレイヤーばかりで緊張してどうしよう!?という感じでしたけど(笑)。でも、その後にツアーもこなしてフェスにも出て、今回はデモを聴いた段階で次に何をやりたいのかが分かったし、メンバー間のコミュニケーションも取れた上でレコーディングに臨めたので、前作よりもバンド感が増したアルバムになったと思います」
 

――そうですね。バンド感が増したというのを音から強く感じるし、もともとキャラの立ったメンバー個々の持ち味も、より自然体で表れている感じがします。
 

冷牟田「DMGの大きな魅力のひとつが各メンバーのソロだと思うので、そこはこれからも変わらないと思います。でも、それは自然となっていることで、こちらから事前に細かく指定を出したりまとめようとしたりということはあまりしてないですね。みんなそれなりのスキルを持っているメンバーばかりなので、言うまでもないというか。僕が大枠で投げかければ、あとはみんながやってくれる。だからホントに“バンド”ですよね」
 

――今回は、ギターの森くんのスケジュールの都合で、曲によっては會田茂一さんとヒラマミキオさんがギターを弾いている曲もありますけど…。
 

冷牟田「(事情を)よく知っていますね(笑)」


――あ、プレス用の資料に書いてありました(笑)。
 

冷牟田「あ、そうでしたか(笑)」
 

――でも、バンドの音に揺らぎはないし、少しずつ個性の違う3タイプのギターが入っていることで、それぞれの個性も際立って面白いことになっているのも聴きどころになっています。
 

冷牟田 「うん。そこは対比でプラスになっていると思います、森くんにとっても」
 

――ちなみに、前作のレコーディング時に森くんが冷牟田さんのことを「(あの人は)ロック虎の穴や」と言ったというエピソードは、DMGの音を象徴していてとても興味深かったのですが(笑)。
 

冷牟田 「そう言われれば、前作のときは森くんにいろいろと言ってましたね(笑)。今はもう何も言う必要はなくなりましたけど。たぶん、今までに彼がやったことのなかったようなアプローチを求めていたりしたので」
 

――ですね。今回はDMGらしいロック感や重厚さを踏まえつつも、彼ならではのコード感などがより強く出ている気がしました。
 

冷牟田「うん」
 

――そして、2曲のボーカル曲もインパクトが強いですが、冒頭のロックな『Dynamite』でささくれ立った歌を聴かせているのがTICAの武田カオリ(vo)さんというのは、クレジットを確認して少し驚きました。
 

冷牟田 「女性ボーカルで歌詞は男言葉で、というのは最初から決めていたんですけど、さあ誰にしようと思っていたときに、カオリちゃんがホンダのCMで『ロックンロール・ウィドウ』(山口百恵)を歌っていたんですよ。僕もそれを聴いて“彼女はこんな曲調も歌えるんだ”と思ったし、それが自分のイメージにも近かったので彼女に決めました」
 

――もうひとつの4曲目の『ドク』は冷牟田さんがボーカルを取っている曲ですが、こちらはスカ以前にパンク~東京ロッカーズ以後の時代から音楽活動を続けてこられた冷牟田さんの、一貫したロック性が濃密に表れている曲だと思いました。
 

冷牟田 「この曲の歌詞は僕らより下の世代の、ハイティーンから20代くらいの子たちに向けて書いたんですけど。なんか心の中に深い闇があるんだけど、それを解消するための手段をみんな知らないのかなという気が、今はすごくしていて。例えば音楽とかで思い切りうさ晴らしをすればいいのにと思うけど、それに気付いていないから無差別殺人とか、かなり追いつめられてそういうことをしてしまうというか…。僕らくらいの世代だと思い切り喧嘩をしたりとか、まだ人と人の距離が近かったと思うんですね。でも、今はその距離が遠くなっている感じがして…そういうことを考えながら書いた歌詞ですね」
 

――なるほど。拡大解釈ですが、ドク=毒というのは3・11の大震災以後に違う意味も帯びてきているように感じました。


冷牟田「うん、そうですね。原発とも被りますね。これまでは何も考えないでただ好きな曲を作って演奏してという感じだったんですけど、年を重ねるにつれて演奏する意味とかを考えるようになってきましたね。それがないと軸がなくなってしまうというか、何のために音楽活動をやっているのか?ということになってきたりするので。今はとにかくライブに来てもらってみんなに発散してもらうという…そればかり考えていますね。求心力のあるアルバムを作って、ライブに来れば思い切り発散できるという。そういう場を提供していきたい」
 

――ワンマンライブとしては、5月12日(木)に東京の渋谷duo MUSIC EXCHANGEが決まっています。
 

冷牟田「ライブは今のところ東京だけであとはフジロックが決まっていますけど、大阪もメンバーのスケジュールが合い次第にやりたいと思っています。5月12日(木)の渋谷duoに関しては、カオリちゃんも含めてメンバーが勢ぞろいするので、大阪から来てくれと言うのはなんなんですけど、ホントに見逃さないで欲しい。ホントにメンバー間のスケジュールを合わせるのが大変なので…。大阪から来てもらってもガッカリはさせないと思いますよ」

 

Text by 吉本秀純




(2011年5月 2日更新)


Check

Release

キレキレのテンションとメロウさが共存  熱い音魂が込められた2ndアルバム

Album
『ISN’T IT DMG?』
発売中 3150円
Ariola Japan
BVCL-201

<収録曲>
01. Dynamite
02. Latin Madness
03. Down'n' Dirty
04. ドク
05. Last Dance
06. Open all night
07. Raw Cuts
08. Blue mood SKA
09. Jump'n' Shout
10. Dance Crusher
11. Close to you

Profile

ダッド・マム・ゴッド……’08年、東京スカパラダイスオーケストラを脱退した冷牟田竜之が、以前事故によってズタズタになっていた左足首を手術しリハビリを続ける過酷な状況の中、新しいバンドの構想を練る。’09年末、メンバー1人1人に会い、そこでDAD MOM GODが誕生。ドラムにルースターズ時代から敬愛する池畑潤二(ROCK'N'ROLL GYPSIES)。ギターに森雅樹(EGO-WRAPPIN’)、ベースはウエノコウジ(the HIATUS)、そしてホーンセクションには、トランペットにタブゾンビ(SOIL &“PIMP”SESSIONS)、サックスに田中邦和、青木ケイタと強力な布陣。テンション高くステージに立つクールな男達による、触ると血が出てきそうな生々しい音、極限の集中力、炸裂するエナジーにノックアウトされるオーディエンスが続出中だ。

DAD MOM GOD オフィシャルサイト
http://www.2010taboo.com/


Live

豪華メンバーが一同に揃う           リリース記念の貴重なワンマンライブ!

チケット発売中 Pコード135-137
▼5月12日(木) 19:30
duo MUSIC EXCHANGE
オールスタンディング5000円
ホットスタッフ・プロモーション
■03(5720)9999