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結成10周年目に突入する新生・MERRYが
バンドの環境を一新して挑んだシングル3部作をリリース
約10ヵ月ぶりの大阪公演を前に、バンドの転換期を語る! (1/2)

 '01年の結成以来、哀愁とヘヴィネスをテーマにした独自のサウンドでヴィジュアル・ロックシーンで注目を集めてきたメリー。今年11月に迎える結成10周年目を前に、事務所とレーベルを移籍。バンド名をメリーからMERRYへと変更するなど、心気一転、新たなスタートを切っている。移籍第1弾シングル『The Cry Against…/モノクローム』を皮切りにした怒涛のリリースラッシュ、そして、12月には約10ヵ月ぶりとなる大阪でのライブが予定されているMERRYに取材を敢行した。

メンバー勢揃い! MERRYの動画コメントはコチラ

――11月に結成10周年目に突入するMERRYですが、今年バンド名の表記をカタカナからローマ字へと変更されましたよね? この意図をまず教えて頂けますか?
 

ガラ(vo)「僕らは元々作品の雰囲気によってロゴを変えていたんですよ。今回、事務所移籍、レーベル移籍っていうのがあって、改めてバンドの土台からしっかり固めようということで、大文字のローマ字表記に変えました。ただ、バンドが変わったというよりは、これからもう1回やっていくぞという気持ちの表れですね」
 

ネロ(ds)「あとは9年も同じメンバーでやってきた中で、ぶっ壊していかなきゃいけないものが結構あったんですね。10周年を前にしてそれが一番大きかったというか、いろんな目標もあったりするので、それに向けた転機という意味もあります」
 

――ぶっ壊していかなきゃいけないものっていうのは?
 

ネロ「例えば“MERRYらしさ”みたいな基準で作品を考えていたんですよね。言わばそれが印籠みたいになっていて、それは良いことでもあるんですけど、甘えてしまう面もあったんです。あとはメンバー同士、いい音楽やライブをやるにあたっては、時には厳しいことも言い合わなきゃいけない。仲は悪くないですし、仲良しでもないですけど、プロとしての関係性をもっと確立していかないと、いいバンドにはならないと思うので。いい意味でのリセットですね」
 

健一(g)「バンドを9年もやっているとそれなりに知名度もありますし、そこからさらに伸びようとすると、同じことをやっても変わらないっていう思いもあったんですね。だから、壊す必要もあるなって」
 

――壊すということに関しては、皆さんの共通認識としてあったようですね。
 

結生(g)「壊すことによって、環境の変化=周りの関わっている人たちも変わってくるので、初心に戻れるというか。周りが一新されることで刺激もありますし、それによって自分たちの気持ちも引き締まってきますし。何もかもが新しい環境の中でプレッシャーもありますけど、さらに大きい何かがそこにはあるなと思うので。楽曲を生む上でも、新しいMERRYを作っていく上でも力になっていると思います。まだ、2枚目のシングルが出たところですけど、それがより強くなっていっていると思います」
 

――バンドとして、より未来に希望が持てる感じになったと?
 

ガラ「不況だとか言われていますけど、そういうときにこそ、でっかいチャンスが転がっているんじゃないかと思ったんです。今までは自分たちで事務所もやっていたんですけど、チャンスが転がっているかどうかは自分から外に出ないと分からない。だから今回の移籍で可能性が広がればと思いましたし、自分たちならもっと面白いことが出来るんじゃないか?って。自分たちに可能性を感じなかったから、事務所やレーベル移籍の選択はなかったと思います」
 

テツ(b)「それなりに知名度も付いたんでそのまま音楽を続けていくことも可能だったんですけど、もっとデカイものを得たい。このままやっていくのか、リスクはあるけど外の世界に飛び込んでいくのか、どっちを選ぶかとなったときに、全員が外の世界に飛び込む決断をして。腰の重いバンドではなかったんですけど、今回のデカイ決断を下すときに、これまでにないくらい本当にみんなで話し合ったんですね。決めたからには一丸となってやろうって」
 

――なるほど。バンドにとって大きな決断を経て、新生・MERRYとしての最初の作品『The Cry Against…/モノクローム』が8月にリリースされました。個人的にはMERRYといえば、歌謡テイストで哀愁漂う“レトロック”のイメージが強かったのですが、この作品は激しさを前面に押し出していますよね? それは、やはりぶっ壊したいという衝動が絡んでのことだったのでしょうか?
 

ガラ「移籍1発目という気持ちもありましたし、今までと同じものを作っていたら刺激もなかったと思います。かといってMERRYにまったくなかった部分かというと、そんな風には思ってなくて。今までも“ヘヴィネス”と“哀愁”をテーマにやってきて、その“ヘヴィネス”をちょっと押し出してみようというところで、作り方も今までと変えはしなかったんです。けど、楽器も歌もそうなんですけど、どこを前に押し出すかで曲の聴こえ方がだいぶ違うんだなっていうのを1枚目では知りましたね」
 

結生「アレンジとかミックスの段階でどんどん変わってきた曲ではあるんですけど、タイトル曲の候補が3曲くらいあった中で『The Cry Against…』が一番激しかったんですよ。みんながそれを選んだので攻めの方向で考えがまとまって、そこからドンドン曲も攻めの方向に向かって、出たかたちがアレだったので(笑)。シングルとしては、叫びとか破壊とかいうイメージですね。それがリセットしたイメージにもつながりますし」
 

ガラ「その『The Cry Against…』を作っているときには、今回出た『クライシスモメント』も『Fleeting Prayer』も既にあったんですよ。で、その曲が全部並んだときに、どれにしよう?って」
 

結生「俺らとしては、『クライシスモメント』や『Fleeting Prayer』があったから、1枚目は『The Cry Against…』でいけるっていう確信があったんですけど」
 

ガラ「ファンはそうじゃないからね(苦笑)。“あれ?”っていう」
 

結生「それは賛否両論ありますよ(苦笑)」
 

ネロ「でも、最初に“えっ!?”と思えば根強く残りますよ。ずっと潜伏活動をしてたんですけど、最近、やっとライブが増えてきて、そこでの反応は自分たちの想像以上のノリがありましたね。可能性を秘めていると思います」
 

――ファンの中で賛否両論が起こった曲を移籍第1弾にもってくる怖さみたいなのはなかったですか?
 

テツ「賛否両論は予想の範疇内というか。むしろ、拒否反応も反応の内というか、それによってMERRYに対する興味が深くなるんじゃないかって。2枚目の絵も見えていたし、怖さはなかったですね」
 

健一「結成当初から告知をせずにツアーを回ったりだとか、MDで音源を出してみたりだとか、誰もやっていないことをやって興味を持たせてきたので。まず、こっちに振り向かせることが大事なので、そういう意味では狙い通りだったんじゃないかと」
 

――ある意味、驚かせることが大好きなバンドっていうことですね?
 

ガラ「そうですね。でも、逆にここまで振り切っちゃうと楽だよね? 移籍第1弾シングルで富士山の下から上まで一気にバコーンといっちゃった感じだから、いい意味でMERRYの振り幅を広げてくれたんじゃないですかね。多分、これからちょっと激しい曲を出しても、“『The Cry Against…』の方が激しかったよね”ってなると思うし」
 

――それはあると思います。
 

ガラ「ある意味の問題作って、これから年月を重ねていって、“あのとき、メリーが変わったよね?”って振り返ることになると思うんですよ。そういう作品になるんじゃないかなって」
 

――ターニングポイントになってくると。この激しさは元々バンドが持っていた一面とのことですが、ある意味、やろうと思えばもっと前から出来たということでしょうか?
 

ガラ「そこが先ほど言われていたような“レトロック”とかに、僕らが縛られすぎていた部分かもしれないです。“レトロックって何?”って言われたら、誰ひとり説明出来なかったんですよ。でも、“僕らがやるとレトロックなんです”みたいなニュアンスだけで続けてきちゃったんで、良くも悪くもそこから出られなくなっちゃったんですよ。そうすると自分らの音楽の幅も広がらない。でも、移籍をして、新しい作品を出して思うのは…すごく大げさかもしれないですけど、“レトロック”って俺の声なのかなって。声の鳴り方とか、よくネロとかにも“声が泣いている”って言われるんですけど。そういうものなのかなってすごく感じます」
 

――確かにガラさんの声は“声が泣いている”という表現がピッタリだと思います。哀愁漂う、とても特徴的な声だと思いますし。
 

ネロ 「ボーカルも泣きますけど、楽器も泣いていますから。それについては、第2弾シングル『クライシスモメント』に話が繋がると思うんですが、如何だったでしょうか?」
 

――まさかの逆質問が(笑)。『クライシスモメント』は、歌を聴かせる哀愁漂うメロディと、『The Cry Against…』に通じる激しさもある曲なので、らしさと新しさがうまく融合した曲だなという印象を受けました。
 

ガラ 「さらに、それをもっと分かりやすくするために、『クライシスモメント-UNPLUGGED-』を作ったんですよ。メロディとかは僕から出てきたりしているので、“レトロック”というか、“哀愁”なわけなんですよ。やっぱり僕のバックボーンがそういうものなので。激しくなると分かりづらくなる部分もあるんですけど、アコギ1本で歌ったときにすごく哀愁のある曲になるので、アンプラグドもやった方がいいって結生くんに作ってもらったんです」
 

――ということは、アンプラグド・バージョンが先に出来たわけじゃなかったんですね?
 

ガラ「そうなんです」
 

結生「『クライシスモメント』が完全に出来上がっていたので、アコースティックver.は考えやすかったですね」
 

ガラ「より味が出るんでね、アコースティックver.になると」
 

――同じ楽曲とは思えないほど、哀愁が滲み出ていますしね。メリーの良さを改めて感じることができるナンバーだと思います。さて、“危機の瞬間、人生の壁”といった意味もある『クライシスモメント』ですが、歌詞の最後1文“もっと強く生きたいと願う”が印象的でした。これは今の心境がそう書かせたのでしょうか?
 

ガラ「そうですね。移籍してからの2枚って、割と自分と向き合う歌詞を書いていて。今までみたいに面白いことも書こうとは思っているんですけど、それは今の自分が書かせないというか。“もっと強く生きたいと願う”に関しては、そう願うだけで、自分でもオチがついてないんですよ(笑)。この先どうなるか分からないし、強く生きたいと願っているだけで、ゴールは約束されてはいないんです。だけど、それが今の自分っぽいというか、MERRYっぽいかなって。いつかいいことあるだろうって、ガムシャラにやっている感じが」
 

――なるほど。そして、2曲目には逆にレクイエム色の強いバラード『Fleeting Prayer』と、また色の違った楽曲が入りましたね。
 

結生「偶然が重なってこの2曲が選ばれて。『Fleeting Prayer』は1枚目の時期からあった曲で、『The Cry Against…』の3曲目のリミックスに使われているんで、実は先に世に出ちゃっていたんですよ(笑)。『クライシスモメント』もその時期に出来ていたんで、そういう意味ではシングルとしてはキレイにまとまったかなと」
 

――リミックスだと全然違う楽曲でしたからね。先に聴いていた人にとっては、まさかこういう楽曲だとは思っていなかったはず。
 

結生 「そうですね(笑)。あと8月のファンクラブ限定ライブでも演奏したんですけど、そのときはまだうっすら“あの曲かな~っ”ていうぐらいの感じだったと思います。この曲はカップリングなんですけど、10月に行った品川のライブでは本編ラストに持ってきたりだとか、今のMERRYにとって大事な曲になっていますね。この曲って、これからのMERRY像を作り上げるミーティングをした後、最初に作った曲なんですよ。だから、そのときの気持ちが素直に出たのかなと。なので、そういう位置付けの曲になったのかなと思いますね」
 

――そうなんですね。それにしても同時期に作ったとは思えないほど、『The Cry Against…』と『Fleeting Prayer』は対照的な楽曲ですよね。
 

結生「こういう作り方もあったのかっていうね。昔作った曲があとから出て。今回は曲を作る期間が長かったので、いろんな曲を煮詰めていましたね」
 

ガラ「9年経って曲を寝かせるということを覚えました(笑)。今までは曲を作るとライブでやりたくなったり、レコーディングをしたくなっていたんですけど、ある程度寝かせておいて思い出したときに聴いて、“コレ、いいんじゃない?”って。『クライシスモメント』がまさにそうですから。タイミングが重なった気がしますね」
 

健一 「作る側って客観的に聴けなくなってしまうことがあるんですよね。細かいところが気になって判断が出来なくなってしまうんですけど、寝かせることによって客観的に聴けるようになるというか」
 

結生 「ちょっと忘れかけた頃が、一番客観的に聴ける。自分の曲であれ、人の曲であれ」
 

――そのことに9年経ってようやく気が付いたと(笑)。
 

(一同笑)
 

ネロ「今まではレコーディング中に歌メロを考えたりしていましたからね」
 

ガラ「そういうレコーディング・マジックっていうのを楽しんでいた…っていうのもおかしいですけど(笑)、本当にある程度の構成とコードを持ってスタジオでみんなで作るみたいな。“おい、この曲こんな風になったよ!”っていうミラクルの繰り返しのバンドだったんで」
 

健一「実際、そっちの方が感動があったんですよ。感動があった分、いい曲に聴こえるというか。でも、客観的に聴いてみたら実は違ったりっていうのもありましたし」
 

――今までは瞬間をパッケージしてどんどん曲を出していたんですね。
 

ネロ「それぞれの良さはあると思いますけどね。ただ、完成度は違うと思います。今は発信する側が納得していないものは出せないですね。それだけ充実した中でやっているので。やっぱりみんなお金を払って聴いてくれているわけですし。こういうCDには難ありな時代だからこそ、こだわりたいですね」
 




(2010年11月 9日更新)


Check

Release

バンドの環境を一新して贈る          激しくも哀愁漂うシングル3部作!

Single
『The Cry Against…/モノクローム』
発売中 1260円
FIREWALL DIV.
SFCF-0074

<収録曲>
01. The Cry Against…
02. モノクローム
03. The Cry Against…/
  Fleeting Prayer -ambivalence mix-

Single
『クライシスモメント』
発売中 1260円
FIREWALL DIV.
SFCD-0074

<収録曲>
01. クライシスモメント
02. Fleeting Prayer
03. クライシスモメント -UNPLUGGED-

Single
『夜光』
12月1日発売
FIREWALL DIV.

【初回限定盤(CD+DVD)】1890円
SFCD-0075~76
※10月2日に行われた品川ステラボールでの舞台裏密着映像と当日のライブ映像を収録。

<収録曲>
01. 夜光
02. ロストジェネレーション -replay-

【通常盤】1260円
SFCD-0077

<収録曲>
01. 夜光
02. ロストジェネレーション -replay-
03. 夜光-TAIHAI mix-

Profile

メリー…写真左より、健一(g)、テツ(b)、結生(g)、ネロ(ds)、ガラ(vo)によって、'01年10月に結成された5人組ヴィジュアル系ロックバンド。ヘヴィ・ロックから歌謡曲まで、様々な要素を独自のサウンドに昇華した音楽性で注目を集め、'05年にメジャーデビューを果たす。47都道府県ツアーや欧州遠征など、精力的な活動を展開。結成10周年目を前にした今年、バンド名の表記をメリーからMERRYへと変更。DIR EN GREYが籍を置くサンクレイド/FIREWALL DIV.へ移籍し、心気一転、新生・MERRYとして新たな歴史を刻み始めた。

MERRY オフィシャルサイト
http://merryweb.jp/


Live

10周年のオープニングイベント&     昼/夜のコンセプトライブが開催

『10th オープニングセレモニー
~Smell of Decadence』
チケット発売中 Pコード120-474
▼12月5日(日)18:00
心斎橋CLUB QUATTRO
スタンディング4200円
大阪ウドー音楽事務所■06(6341)4506

『MERRY SONIC 10 WINTER
~Special 2night[白い羊][黒い羊]~』
チケット発売中 Pコード119-427
▼12月29日(水)15:30[白い羊]/
       19:00[黒い羊]
SHIBUYA-AX
前売4500
フリップサイド■03(3466)1100