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シーンを賑わす美メロ・バイオリンロック!
進化の2ndアルバム『Dowsing For The Future』
新進気鋭のロックバンド、BIGMAMAに直撃インタビュー

 今年『SUMMER SONIC』など多くのフェスに参戦、一躍その名と実力を知らしめた新進気鋭のロックバンド、BIGMAMA。バイオリンを擁する美しいメロディと、全作詞を手掛ける金井(vo&g)のユーモラスで独創的な世界観を武器とし、今まさにJ-ROCKシーンで旋風を巻き起こしつつある彼らに直撃インタビュー!  12月3日(水)にリリースされた2ndアルバム『Dowsing For The Future』についてや今後の展望など、彼らの魅力をたっぷりお届けする。

――'01年の結成当初からメンバーにバイオリンがいたんですか?

 
金井(vo&g)「高校生のときに僕とリアドと柿沼(g&vo)+数名でバンド活動をしていて、文化祭で“イエローカード(※)のコピーをやりたい”っていう話になって。一時期バイオリンを弾ける人を呼んで、活動していた時期があったんです。後々バンドで練習する中で、“バイオリンがあったときの方が面白かったね…”って話になって(笑)、それじゃちゃんとやってみようってなったのがキッカケですね」
※イエローカード…フロリダ出身のバイオリンを擁する5人組パンクロックバンド。
 
――イエローカードは皆さん好きなんですか?
 
金井「バンドを始めたての頃、バイオリンが入っていてロックでかっこいいバンドがいるっていうのは、自分たちにとって衝撃的でしたね」
 
リアド(ds)「ライブには3回ぐらい行ってますね。バンドのみんなも好きなんで」
 
――今年一年、バンドにとってどういう年でしたか? 多くのロックフェスにも参戦されましたよね。
 
安井(b)「独特で面白かったですね」
 
金井「面白かったしそれだけじゃなくて、僕らは今後この場所でどうしていきたいか考えるキッカケになりましたね」
 
リアド「いろんなアーティストを見る機会があって、自分たちと同じステージのアーティストもそうだけど、もっと大きなステージを一線でやってる海外の人たちのライブも観られて、いい勉強になりましたね」
 
金井「フェス終わりの次の日に曲出来たよとか言って持って行ったこともありますし、帰って来てものすごく疲れているのに何かギター弾きたいな、曲を作りたいなって思って次の日に2曲ぐらい書いていたのを、今でも覚えてます。ありがちなんですけど、なんかすごくいい刺激になったって思いますね」
 
リアド「ホント飛躍の年でした。今年の頭には一枚目のアルバムのツアーがあったんですが、大掛かりなツアーをしたのが初めてだったのでいろいろな経験も出来ましたし。反省することもあったし、成長したとも思うし。このニューアルバムのレコーディングも経てまた成長したと思いますね」
 
安井「自分自身も、バンドとしてもライブ全般が成長したかなと思います」
 
金井「単純に発見だったかもしれない。今年一年で自分たちの色んなところに気付けましたし、それに対する努力がちょっとずつ実ってきている実感もあったり。アルバム作りも、ライブでも。ちょっとずつ良くなってきてるのが自分たちでも分かるから、その先が楽しみだったりもする。バンドの状況として今すごく昇っている感じがしますね」
 
――2ndアルバム『Dowsing For The Future』では、楽曲によって様々なジャンルの音を感じたんですけど、皆さんの根っこにある音楽を教えてください。
 
リアド「好きな音楽は幅広いんですけど、バンドを始めたときにパンクやメロコアをよく聴いていたので、それが根っこにありますね。最近はあえて言うならエモが好きですね。洋楽でエモ系と呼ばれているバンドとかをよく聴きます」
 
安井「僕は、重たいロックっていうか、テクニカルなバンドが好きで。例えばドリーム・シアター(※)とか、洋楽をよく聴いていましたね。バンドでベースを始めてからジャズなども聴くようになって、今となっては洋楽も邦楽も、ロックもメロコアも聴きますから雑食ですかね。マーカス・ミラー(b)とかも最近聴きますし」
※ドリーム・シアター…アメリカ出身のプログレッシブメタルバンド。
 
金井「洋楽が凄く好きで聴いていたときに“バンドをやりたい”って思って。でも自分で曲作りをしていくうちに、なんとなく、小学生や中学生の時に聴いていたJ-POPが滲み出てくるので、影響を受けてたんだなと最近気付きましたね。根っこにはJ-POPのメロディラインが頭の中にあって、それをいかに聴かせていくかってときに、洋楽のエッセンスを加えたりして…。今は曲作りのアイディアのために色んなジャンル聴くようにしています」
 
――小難しくなく、J-POPを主に聴かれてるリスナーにも受け入れやすい作品になってますよね。
 
金井「今回のアルバムの良いところはそこだなって思いますね。楽曲自体も僕が自然体で作れたのもあるんですけど、メンバーも難しくなく、シンプルなかっこよさを自然と意識出来たのか、聴きやすい作品に仕上がった実感があります」
 
――では作品の内容についてお聞きします。オリジナル曲を作り出されてから英語詞ですけど、その理由は?
 
金井「僕が洋楽を好きになった理由が、“よく分からないけどかっこいい”みたいな音感にあって。音楽とメロディと声とその語感が何となくかっこいいっていうのが英語でやりたいキッカケでもあったし、自分がメッセージを伝えるときに日本語だとすごく恥ずかしいというか、後ろめたい気持ちがあったんですよね。それによって音楽自体が違った捉え方をされるのも嫌だった。だからこそ、まずは音のみで伝えたい、かっこいいものを目指そうって。仮に何かを伝えたかったとしたら、CDを買ってくれた人が歌詞カードを開いて、その時に初めてそこで伝わればいいって。それぐらいの距離感が自分にとってはちょうど良かったんです」  
 
――今回は日本語の歌詞もありますよね。
 
金井「少し素直になったのかも。このままずっと英語詞を歌っていくのかと考えたとき、そのうち日本語でも歌っていくんじゃないか?とも思えてきて。今自分が素直に表現したいバランスで作ったら11曲中3曲日本語だったんです」
 
――日本語詞以外にこのアルバムで挑戦したことはありますか?
 
金井「今までバイオリン+ロックサウンドとしてやってきたバンドだからこそ、逆にバイオリンを全く入れない『make a booboo』(M-6)を作ったり、キーボードを入れて『My Greatest Treasure』(M-7)を作ってみたりと試みましたね。リズムに関しても今までやったことのないビートで作った曲も多いです。でもそれはもっと自分達のバンドを面白くしよう、CDを作るのを楽しくしようと思った結果がそうなっているだけなので、自分たちの中では自然なことなんです。それがうまく11曲のバランスのなかで表現が出来たかなって思いますね」
 
――テーマはあったんですか?
 
金井「特別に意図はないですけど、例えばクリスマスソングを作りたいとか、こういうイントロのこういうメロディの曲を作りたいとか、こういう曲順で並べてみたいっていうアイディアをバンドに持ち込んだ結果、そのまま出来上がったんです」
 
リアド「BIGMAMAはたくさん曲を作ってそこから選ぶっていう作業をやったことがなくて。その中でこの11曲が生き残ってそれに肉付けしていくと、メンバー内の作業も自然と流れが出来てきて。1stのときは、前からライブでやっていた曲もあったし、全く新しく作った曲もあったし、一気に作ったのではなくてバラバラだったというか。それが今回は“アルバムを作るぞ”ってほぼまとめて作ったので、イメージがしやすかったのかもしれないですね」
 
安井「この曲がこうあるから次はこういう風に始まる曲を作ってみようかとか、まとめて作ったからこその曲作りができましたし」
 
――作詞は金井さんが担当されてるようですが、楽曲は皆さんで?
 
リアド「最初は金井が曲を持ってきて、それをみんなでアレンジをしていくことが多いですね。あとは、ギターの柿沼が持ってくるパターンですかね。ほとんどがメロディとか簡単なコードとか元ネタを持ってきて、セッションしていく感じです」
 
金井「僕と柿沼が主となるメロディとコード進行を持ってきて、“後はなんとかしてっ!”って(笑)。“そこはそうなるんだ、面白いや”とか、“いや~そこは違うよ”とかあーだこーだ言いつつ(笑)。今回、7月、8月にフェスに出演しながら9曲をガーッと作ったんですけどそれがいい風に働いて、ライブを意識した曲順や、音源に結び付けられたので。一気に作ったのが良い方向に転んだんじゃないかなって思います」
 
――今回のアルバムの中にレゲエ調の曲『make a booboo』もありますが、今までに作られたことは?
 
金井「ないですね。ある日突然、僕が持っていった曲がレゲエになって帰ってきちゃいました(笑)」
 
リアド「(笑)。ベースとドラムでノリでやってたら、曲の展開が面白くなってきて、歌詞とか、ストーリー的にもイメージが出来てきたんで採用されました。でもレゲエって言ってもそんな大それたものじゃないと思うんですけど」
 
安井「怒られちゃうよ(笑)」
 
金井「同じメロディラインを違うテンポで3回繰り返すことによって歌詞を書きわけたら面白いかなって思い直して。このアイディアを活かして作ってみようってことで出来ちゃいましたね」
 
――詞もストレートでありながらユニークな世界観ですね。アイデアはどんなところから湧いてくるんですか?
 
金井「元々楽曲が先に出来るタイプのバンドなので、その楽曲を活かしながら、より面白く聴いてもらえる方法ってなんだろう?って考えたとき、今の作詞の方法になりましたね。音源を初めて聴いた時点で、言葉の意味までも伝えることはすごく難しいことだと僕は思うんですよ。だからこそ音でまずカッコイイなって思ってくれた人が、その後、改めて歌詞カードを見たときに、ちゃんと面白いなって思わせたい。それが、ちょっとウィットを利かすことだったり、一歩踏み込んだところにメッセージを用意しておくことだったりするんじゃないかって。僕の理想論ですが、自分の好きなアーティストの歌詞を見たときにそれが面白かったら、もっとバンドを好きになってくれるかなって」
 
――なるほど。
 
金井「それと、アルバムの中で真剣に自分が思っていることをメッセージとして伝えるのは、僕の場合11曲中1曲か2曲でよくて。その1~2曲ほどで自分が体験してきたことの中から嘘にならないメッセージを用意する。全部にそういうメッセージがあると重たくなっちゃうし、そこまで真剣に社会に訴えて生きていないので(笑)。そう考えると残りの9曲ぐらいは必然的に遊ぶ、クスっとさせるみたいな。今僕がまたアルバムを作れって言われても、バランスはそんな感じなんだろうなって思いますね。
 
――私個人的にですが、そのウィットに富んだ詞の中でも5曲目の『“MISSION 481”』の歌詞が気になるんですが(笑)。(歌詞一部♪「完全な変態だ~…新鮮な食感だ~…」など)
 
金井「段々真面目に書くのがつまらなくなってきて、1曲ぐらいいいかな?って書いた日本語詞です(笑)。最初“この曲カッコイイね~”って他のメンバーは気に入ってたんですよ。でも僕が歌詞を書いた途端、雲行きが怪しくなってきて(笑)。無事に収録され、5曲目というアルバムの中盤のちょっと大事なポジションにつき、かつ、この先BIGMAMAにとってライブの中で大切な曲になるか、後世に残る恥になるか…それは分からないですけどね(笑)」
 
――アルバムタイトルは先に決められていたんですか?
 
金井「アイディア自体はありましたね。『Dowsing For The Future』っていう言葉と、ダウジングの二本のロットが、オープン、クロスするのを人の人生に例えて、“その出会いと別れに意味を見つけようよ、そこには何か埋まっているよ”っていう。今回それが僕のなかでウィットを外した、伝えたいメッセージだったんですよ。この言葉を今回のアルバムの中のどこかで使いたいと思ったとき、それにふさわしい楽曲がラストの曲だったんですね」
 
――ニューアルバムが完成しての率直な感想は? どんな方に聴いて欲しいですか?
 
リアド「パンチがあるし、後からジワジワと良さがくる。聴き重ねれば聴き重ねるほど、また味が出てくるアルバムになっていると思います。最初聴いたときは、インパクトが強いなって印象だったんですけど、今になって聴いていてもまた良さが重なっていくというか…良いアルバムになったと思います。あと、若い世代の方に多く聴いて頂いてると思うので、おじさん、おばさんに聴いてもらえるロックってなんだろうなって最近考えたりしますね。そんなのができるようになればそれはそれで面白いなって」
 
金井「僕は単純にこのアルバムが出来上がったことが、すごく嬉しくて。何でかと言うと、今まではシングルやアルバムを作った後に、出来上がったという喜びと、もっとこう出来たなという後悔の念が50/50ぐらいで常にあったんですけど、今回のアルバムは、それが完全に自分の中で許せるというか。これはこれで最高だと思えるものが二枚目にして初めて出来た。だから出来上がったのが単純にすごく嬉しかったし、これはBIGMAMAが好きな人に限らずいろんな人に聴いて欲しいって素直に思えました。僕らから相手を選ぶことをしたくないし、誰に受け入れられても嬉しいです」
 
安井「僕も前回のアルバムでは、もっとこうすれば良かったなっていうのがあったんですが、今年またそれぞれレベルアップをした上で、このアルバムが出来て。率直には、“やってやったぜ”って感じですかね」
 
――満足度は高い!?
 
金井「そうですね。もうしばらく作りたくない感じですかね(笑)」
 
――リリース後にはツアーも控えていますが、関西のお客さんってどんな感じですか?
 
金井「ホントに売れてるものにとらわれてないというか、ストイックな感じだよね」
 
リアド「いいものはいいって、正直ですよね。自分で判断するっていうか」
 
スタッフ「この前ちょっと心開いてくれたよね(笑)」
 
リアド「やっとなんか少しずつ(笑)。今まで正直言うと大阪はなかなか難しかった」
 
――お客さんの反応で感じるんですか?
 
リアド「そうですね。だから俺らも成長したなあ~って(笑)」
 
(一同笑)
 
リアド「逆に言うと、大阪で認められたら強いってね! 勝手なイメージですけどね(笑)」
 
――梅田Shangri-Laでの関西初ワンマンに向けては?
 
金井「この先、遅かれ早かれすることだと思ってたので大丈夫です(笑)」
 
――最後に、今後BIGMAMAで開拓していきたいこととか、展望などはありますか?
 
金井「もっと特別なバンドになりたいです。バンドが解散したり活動休止したときに、他のバンドで代えがきくバンドになりたくないっていうか。例えば同じ日に、BIGMAMAと違うバンドのライブがあった時、天秤にかけられるようじゃ駄目かなと。無条件にBIGMAMAのライブに来てくれる、CDの発売にお金の持ち合わせがあまりなくてもBIGMAMAのCDは買う!っていうように(笑)、いろんな人にとって特別バンドになりたいって最近ふと思うようになったんです。いろんなところで並べられる音楽はあると思うけど、その中で人にキッカケを与える特別な存在になりたいっていうか」
 
――そうなれば素晴らしいですよね。
 
金井「音楽だけじゃなくって、聴いてくれる人が頑張れる一つの要素になれても嬉しいしね。いい影響を与えられるバンドでありたいし、その人にとって特別であったら嬉しいなって思う」
 
安井「特別なバンドで最強なバンドになりたいし、音楽の素晴しさを伝えられるようになったら本物だと思いますね。フェスのときに、他のバンドの実力や凄さ感じながら、改めて“音楽って凄いな”って正直にそう思った。そう思わせるようなバンドになりたいですね」
 
リアド「特別なバンドになりたいっていうのはあるんですけど、まだ模索中で…。今はライブをしっかりやって、その中で見付けていけたらいいなって思いますね」


Text by 小西麻美



(2008年12月 8日更新)


Check

Release

Album
『Dowsing For The Future』
発売中 2310円 
RX-Records
RX-024

<収録曲>
01. Paper-craft
02. Gum Eraser
03. 『それはきっと天使が長く勤まらない理由』
04. The Game is Over
05. "MISSION 481"
06. make a booboo
07. My Greatest Treasure
08. Sleeping Beauty
  ~二度寝する眠れる森の美女~
09. just a tool
10. Cinderella ~計算高いシンデレラ~
11. Dowsing For The Future

Profile

ビッグママ…'01年東京にて結成。バイオリンを擁した5人編成のロックバンド。'07年に発売した1stフルアルバム『Love and Leave』を携えての初の全国ツアーもソールドアウト続出。今年多数のフェスに参戦し、9月にリリースした3rdシングル『Weekly Fairy Tale』は、オリコンインディーズチャート1位を獲得。注目度・期待度ともに上昇中の気鋭バンドである。

BIGMAMA オフィシャルサイト
http://bigmama-web.com/


LIve

共演者あり!

『ここ掘れワンワンツアー2009』
一般発売12月21日(日)
Pコード310-665
▼2月21日(土)18:00
神戸URBAN SQUARE
▼2月22日(日)18:00
KYOTO MUSE
スタンディング2500円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。


初の関西ワンマンライブ!

一般発売2月21日(土)
Pコード310-667
▼3月22日(日)18:00
梅田Shangri-La
スタンディング2500円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。