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世界の歌劇場で愛される情熱と宿命のオペラ
ジョルジュ・ビゼーの傑作に新たな1ページを刻む
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2026 歌劇『カルメン』

兵庫県立芸術文化センターの夏を彩る佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。2026年はフランス・オペラの傑作、ジョルジュ・ビゼーの『カルメン』を7月17日より上演する。昨年10月、開館20周年を迎えた同センター。21作を数えるプロデュースオペラの中で『カルメン』は2009年以来2度目の登場だが、今回は欧州で活躍する舞台チームが結集しての新制作となる。2005年から13年までイタリア、パレルモ・マッシモ劇場の芸術監督を務めた演出家 ロレンツォ・マリアーニを中心に、かつてない大胆な試みに溢れた『カルメン』の世界を創り上げるという。世界の第一線で活躍する歌手、そして日本を代表する歌手たちが揃うダブルキャストで、全8公演が行われる。

軍人ドン・ホセを魅了し、破滅へと誘い、やがて彼の手で死に至るカルメン。そして彼らの運命を彩る音楽の数々。1月22日に同センター内で行われた記者会見には、指揮を務める佐渡裕のほか、カルメン役の高野百合絵、ドン・ホセ役のマリオ・ロハスが登壇。『カルメン』という作品の魅力や上演への抱負を語った。

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「世界の歌劇場で最も上演回数が多いと言われるのが『カルメン』」と、この作品の変わらぬ魅力を語りつつ、新制作への意欲を見せるのが佐渡裕。今回の舞台が、これまでの『カルメン』のイメージを良い意味で裏切るものになるだろうと力を込めた。

佐渡裕:魅力的な物語があり、素晴らしいアリアや合唱もある。「ハバネラ」などのメロディをご存知の人も多いでしょう。そしてなんといってもカルメンという女性の存在です。魔性の女性なのか、自由なのか。それがこのオペラの人気の秘密であり、そうした部分は変わらないと思います。ですが、今回ロレンツォさんと話をしているのは、これまでとは大きく違った舞台を創ろうということなんです。まだ稽古も始まっていないので今、お話しできることが少ないんですが、とにかく新鮮なものになるということは言えるでしょう。現在、世界で上演されている『カルメン』とはかなり違った、創造的な舞台になると思います。

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佐渡裕プロデュースオペラには4回目の登場となるのが高野百合絵だ。『メリー・ウィドウ』のハンナ、『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナ、そして『蝶々夫人』の題名役と、それぞれに鮮烈な印象を残している。今回は『蝶々夫人』でダブルキャストを担った迫田美帆がミカエラを歌う。2人の火花を散らす歌唱も見どころのひとつと言えるかも知れない。

高野百合絵:カルメンという女性は私にとって、答えのない存在です。演じる人や演出、時代背景や共演者によって、魔性の女なのか情熱的なのか、自由なのか残酷なのか、もしかしたら良い人かも知れないとさえ思えるような性格を持った女性だと考えています。ただ1つ言えるのは彼女は、今、自分がどう感じているかということにいつも向き合っていて、ごまかさない人であるということです。たとえ、その結果が死に向かっていたとしても、そこから逃げない。その強さ、覚悟に私は惹かれています。オペラ『カルメン』は私にとって、歌を志すきっかけとなった本当に特別な作品。お客さまの心を動かせる、強いメッセージ性を持ったカルメンを演じられたら、と思っています。

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ドン・ホセを演じるのは、メキシコ出身のテノール、マリオ・ロハス。佐渡裕プロデュースオペラには『蝶々夫人』のピンカートン役で初来日を果たし、甘く張りのある歌声で観客を魅了した。祖父母がスペインからの移民というルーツを持ち、自分の中に流れるスペインの血を意識しながら、ドン・ホセというキャラクターを歌いたいと語る。

マリオ・ロハス:世界の歌劇場で人気の『カルメン』ですが、実際には私は非常に難しいオペラではないかと思っています。なぜなら血も流れますし、人間がどこまで行きつくことができるのかということを描いたオペラだからです。私もドン・ホセを通して、スペインという自分のルーツを見つめながら表現の極限に迫ってみたいと思います。2年前の『蝶々夫人』は私にとって夢のような体験でした。お客さまも街の人も、そしてスタッフも、こんなにリスペクトと愛情をもって私たちに接してくれる場所はほかにありません。特に兵庫芸文センターのリハーサル環境はあらゆる意味で、世界最高だと言えるでしょう。再びこのホールのステージに立てることを光栄に思っています。

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ダブルキャストのもう一組にはカルメンに、マリインスキーオペラ、パリ・オペラ座、メトロポリタン歌劇場など名だたるオペラハウスに出演するエカテリーナ・セメンチュク、ドン・ホセに同じく世界の歌劇場で活躍するロベルト・アローニカを迎えるほか、国内、海外第1級の歌手たちが顔を揃える。兵庫県立芸術文化センター、21年目の挑戦となるオペラ『カルメン』。チケットはいよいよ3月1日(日)10:00より一般発売開始だ。

                          取材・文:逢坂聖也(音楽ライター)




(2026年2月17日更新)


佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2026
歌劇『カルメン』

全4幕/フランス語上演
日本語字幕付き/新制作

【音楽】ジョルジュ・ビゼー
【台本】H.メイヤック、L.アレヴィ 
【指揮】佐渡裕
【演出】ロレンツォ・マリアーニ
【装置】アレッサンドロ・カーメラ
【衣裳】シルヴィア・アイモニーノ
【照明】マルコ・フィリベック
【振付】チェスク・ジェラベルト
    リディア・アッツォパルディ
【言語指導】大庭パスカル
【演出助手】フランチェスコ・ボナーティ
      飯塚励生
【装置助手】アンドレア・グレゴーリ
【衣裳助手】小栗菜代子
【合唱指揮】矢澤定明
【舞台監督】 寺泉浩司
【プロデューサー】小栗哲家

【出演/ダブルキャスト】

[7/17・19・22・25]
【カルメン】エカテリーナ・セメンチュク
【ドン・ホセ】ロベルト・アローニカ
【エスカミーリョ】マハラム・フセイノフ
【ミカエラ】ヴァレンティーナ・
           マストランジェロ
【フラスキータ】梨谷桃子
【メルセデス】山際きみ佳
【レメンダード】水口健次
【ダンカイロ】ロベルト・アックールソ
【スニガ】伊藤貴之
【モラレス】的場正剛
【パスティア】相良アレキサンダー

[7/18・20・23・26]
【カルメン】高野百合絵
【ドン・ホセ】マリオ・ロハス
【エスカミーリョ】髙田智宏
【ミカエラ】迫田美帆
【フラスキータ】冨平安希子
【メルセデス】林眞暎
【レメンダード】所谷直生
【ダンカイロ】町英和
【スニガ】湯浅貴斗
【モラレス】仲田尋一
【パスティア】相良アレキサンダー

【合唱】ひょうごプロデュースオペラ合唱団
    ひょうご「カルメン」合唱団
    ひょうごプロデュースオペラ
            児童合唱団
【管弦楽】兵庫芸術文化センター管弦楽団

【公演日程】
・7月17日(金)・7月18日(土)
・7月19日(日)・7月20日(月・祝)
・7月22日(水)・7月23日(木)
・7月25日(土)・7月26日(日)
 全8回公演 各日14:00開演

A席-15,000円 B席-12,000円
C席-9,000円 D席-6,000円
E席-3,000円(消費税込)

▼チケット:3月1日(日)一般発売
【会場】兵庫県立芸術文化センター
    KOBELCO大ホール
【主催】兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
【制作】兵庫県立芸術文化センター

【問い合わせ】
芸術文化センターチケットオフィス 
0798-68-0255 

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