ホーム > インタビュー&レポート > 開館20周年を迎えた兵庫県立芸術文化センターが満を持して 放つワーグナー。佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2025 歌劇『さまよえるオランダ人』
兵庫県立芸術文化センターは7月19日(土)から、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2025としてリヒャルト・ワーグナーの『さまよえるオランダ人』を上演する。2005年の開館以来20年、ヴェルディやプッチーニをはじめブリテンやバーンスタイン、そしてオペレッタの名作など多彩な演目でオペラの魅力を伝えてきた同プロデュースオペラの、20作目にして初めてのワーグナー作品だ。世界の第一線で活躍する歌手、そして日本を代表する歌手たちが揃い、ダブルキャストで全7公演が行われる。
【出演:7月19日(土)、21日(月・祝)、24日(木)、27日(日)】【出演:7月20日(日)、23日(水)、26日(土)】
『さまよえるオランダ人』は1843年、ドレスデンの宮廷歌劇場で初演されたワーグナー初期を代表するオペラ。呪いにより永遠に海をさまよい7年に1度だけ上陸を許されるというオランダ人の船長と、彼と運命的な出会いを果たすヒロイン、ゼンタの物語が彼女の父親である商人のダーラント、婚約者エリックらの葛藤とともに描かれてゆく。荒れ狂う海を思わせる序曲から音楽は怒涛の展開。主人公の苦悩を告げる「オランダ人のモノローグ」、ゼンタが強い思いを歌う「ゼンタのバラード」などのアリアをはじめ、80名に及ぶ重厚な合唱もまじえながら「愛による魂の救済」という主題の成就に向けて突き進んでゆく。今回は演出に2018年の『魔弾の射手』で幻想的なドイツの森を創り上げたミヒャエル・テンメとそのチームを招聘し、海を象徴する壮麗な舞台空間に観客を誘うという。
【装置・衣裳デザイン案:フリードリヒ・デパルム】(C)Friedrich Despalmes
1月15日には制作発表記者会見が行われ、佐渡裕とダーラント役の妻屋秀和、舵手役の清水徹太郎が登壇。さらにゼンタを歌うソプラノの田崎尚美がビデオで加わった。日本屈指のワーグナー歌手である田崎が「ゼンタは夢見る少女といった部分が強く求められる役。演じるに際しては、かつて演出家のカタリーナ・ワーグナー(リヒャルト・ワーグナーの曽孫)さんからいただいたアドバイスが今も私の財産になっています。初めての兵庫の舞台を心に残るものにしたい」とメッセージを届けたのに続き、バスの妻屋もドイツ時代、ワーグナー作品で初めて得た主役級の役がこのダーラントであったことに触れながら「清純なゼンタの父親にして、お金や財宝に目がない世俗的な人物。物語の中でこうしたコントラストをうまく表現できれば」と意欲を滲ませた。
またバリトンの清水徹太郎は「妻屋さんのダーラントのもとで舵手を歌うのは2回目。最初の共演で間近に聴くバスの迫力に打たれ、ぜひもう一度『オランダ人』で共演をと願っていたところに今回のお話をいただきました。運命的なものを感じています」と語り、会見を盛り上げた。こうした中、佐渡裕は「オーケストラや歌手、合唱、演出。そのほか劇場に関わるすべてのことを20年続けてきて、僕らには今、『さまよえるオランダ人』という作品を成功に導ける蓄積があるということ。準備ができたというよりも、これは僕らの新しい挑戦だと思っています」と、芸文センターのこれまでを振り返りながら意気込みを語った。チケットは2月16日(日)一般発売。
取材・文:逢坂聖也(音楽ライター)
(2025年2月12日更新)
全3幕/ドイツ語上演
日本語字幕付き/新制作
【音楽・台本】リヒャルト・ワーグナー
【指揮】佐渡裕
【演出】ミヒャエル・テンメ
【演出補】飯塚励生
【合唱指揮】矢澤定明
【合唱指導】 トーマス・ラング
(ウィーン国立歌劇場合唱団指揮者)
【装置・衣裳】フリードリヒ・デパルム
【照明】 ミヒャエル・グルントナー
[演出助手]森川太郎
[衣裳助手]ドロテー・レデルスタイナー
[言語コーチ]ハイケ・ジルバーマン
[舞台監督]幸泉浩司
[プロデューサー]小栗哲家
【出演/ダブルキャスト】
〔7/19,21,24,27〕
【オランダ人】ヨーゼフ・ワーグナー
【ダーラント】ルニ・ブラッタベルク
【ゼンタ】シネイド・キャンベル=ウォレス
【エリック】ロバート・ワトソン
【マリー】ステファニー・ハウツィール
【舵手】鈴木准
〔7/20,23,26〕
【オランダ人髙田智宏
【ダーラント】妻屋秀和
【ゼンタ】田崎尚美
【エリック】宮里直樹
【マリー】塩崎めぐみ
【舵手】清水徹太郎
【合唱】ひょうごプロデュースオペラ合唱団
【管弦楽】兵庫芸術文化センター管弦楽団
【公演日程】
7月19日(土),20日(日),21日(月・祝),
23日(水),24日(木), 26日(土),
27日(日), 全7回公演
各日14:00開演
A席-15,000円 B席-12,000円 C席-9,000円
D席-6,000円 E席-3,000円(消費税込)
▼チケット:2月16日(日)一般発売
【会場】兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO大ホール
【主催】兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
【制作】兵庫県立芸術文化センター
【問い合わせ】
芸術文化センターチケットオフィス
0798-68-0255