ホーム > インタビュー&レポート > 『Best of Tchaikovsky チャイコ名曲決定版!!』 成田達輝(vl)インタビュー
●チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をいつ頃から弾いていましたか?
札幌に住んでいた小学校6年生のときに、澤田まさ子先生の発表会で弾いたのが初めてだったと思います。家族が録ってくれたそのときのビデオを先日見たのですが、キョロキョロして落ち着きがなく、当時は曲についても何も知らなかったとあらためて気づきました。
札幌に住んでいた頃は、小学校3年生からジュニアオーケストラに入っていて、そこでショスタコーヴィチの交響曲第5番、サン=サーンスの交響曲第3番、ベートーヴェンの「第九」、マーラーの交響曲第1番「巨人」などを弾きました。
その発表会から半年後に父の転勤で前橋に引っ越して、毎週末、荻窪の藤原浜雄先生の御宅に往復6時間かけて通うようになりました。そこで急に演奏が大人っぽく変わりましたね。
●チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をオーケストラと最初に共演したのはいつですか?
17歳くらいのとき、西本智実さんの指揮で弾いたのが最初だったと思います。その前にもあったかもしれません。
●チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の魅力はどこにあると思います。
まず、第1楽章のドイツ・ロマン派的な深淵なところでしょうか。チャイコフスキーのより芸術性の深いものにしようという取り組みが尋常ではありません。第1楽章には底知れない深さがあります。そして、第2楽章の歌心、第3楽章のトレパック(注:ロシアの民族的な踊り)の速くて楽しい快活なリズムですね。第2楽章のわかりやすさ、3楽章の楽しさなど、初めて聴くようなお客さんも楽しめるように、バランスをとって書かれているのではないかと思います。
●今回は、飯森範親さん指揮の日本センチュリー交響楽団との共演ですね。
飯森さんとは17、18歳のときから共演しています。コンチェルトのときは、職人的な腕前で、ぴったりとソリストにつけてくださるという印象があります。ソリストにとって演奏しやすいマエストロです。雰囲気ではやらず、緻密に音楽を作られるので、チャイコフスキーの音楽がより説得力を増します。再会が楽しみです。
日本センチュリー交響楽団とは、以前もチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を共演しました(2017年11月)。アラン・ブリバエフさんの指揮でしたが、リハーサルも含めて、すごく面白かったのを覚えています。
●大阪の聴衆についてはどんなイメージをお持ちですか?
以前、大阪府の茨木市での妻の萩原麻未とのリサイタルで、ジョン・ケージの「4分33秒」(注:4分33秒間、1音も音を出さない前衛的な曲)を取り上げた時、一人のお客さんが野次を飛ばして、すぐ後ろのお客さんと言い合いになったことがありましたが、大阪のお客さんは熱く面白く聴いてくださるという印象を持っています。
●今回のコンサートではどういう演奏を目指していますか?
自分が目指しているのは作品自体が目の前に現れてくるような演奏です。チャイコフスキーの書いた本来の音楽が、作品のみがその場所に立ち上ってくるような演奏をしたいですね。
●成田さんは、近年、子どものための演奏会に積極的に取り組んでいますね。それについてお話していただけますか?
自然な形で子どものためのコンサートをさせてもらっています。自分に子どもができて思うのは、自分が小さい頃にできなかった体験をさせることができれば、次世代のためになるということです。
今の子どもたちは、自分が生まれたときから、インターネットなどがありいろいろな音楽に触れることができます。でも、生の音楽を聴いてほしいですよね。私のコンサートではお客さんをステージに上げて、周りを囲んでもらって、聴いてもらったりもしています。
どういう子どものときを過ごせたかで、どんな大人になるかが決まると思います。子どもは一番大切ですが、私は「教育」には洗脳に近いものを感じるので、「教育」ということばがあまり好きではありません。その子にとって必要なタイミングで音楽体験ができれば良いと思っています。
自分自身、子どもと触れ合うのは好きですし、楽しいです。自分の生徒には、自分(師匠)を乗り越えてもらわないと困ると言います。
●ご自身のお子さんの音楽教育についてはいかがですか?
自分の子どもは身近にヴァイオリンやピアノを聞いていますが、本人が音楽をやりたいかどうかは別だと思っています。その子らしくいてほしいですね。もっと言うと、自己肯定感の高い子でいてほしいというしかないですね。教育目標はありません。
●ありがとうございました。
(2023年5月 2日更新)
チケット発売中 Pコード:235-805
▼5月13日(土) 14:00
ザ・シンフォニーホール
S席-7700円 A席-6600円 B席-5500円
[指揮]飯森範親
[出演]成田達輝(vl)/横坂源(vc)
[演奏]日本センチュリー交響楽団
[曲]チャイコフスキー(ロココの主題による変奏曲、他)
※未就学児童は入場不可。やむを得ない事情により、出演者、曲目、曲順が変更になる場合がございます。公演中止・延期の場合を除いて、チケット代金の払い戻しは承りません。予めご了承ください。
[問]ザ・シンフォニー チケットセンター■06-6453-2333