春の訪れを告げるように、オペラの名作から選りすぐりのアリアを
気鋭のソプラノが歌う。ザ・シンフォニーホールで
リサイタル・デビューを果たす伊藤晴にインタビュー。
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今回はいろいろなオペラの場面を演じながら歌おうと思っています。
■伊藤さんが将来歌ってみたい役は何ですか?
伊藤:マスネの『マノン』ですね。あと、グノーの『ファウスト』のマルグリット。今回のリサイタルでは『ファウスト』からのアリア「宝石の歌」を歌います。マノンにしてもマルグリットにしても軽快なアリアから始まって、次第にすごくドラマチックになって行くという役柄です。フランス語のオペラは上演される機会が少ないので、実現するのはかなり難しいことだと思うんですが、私自身がフランスで勉強したということもあるのでぜひ取り組んでみたい。イタリアのものとはまた違ったオーケストレーションや色彩感の中でドラマ性を表現できる役ですから、いつか実現したいというのが夢です。
■リサイタルでレイナルド・アーンの歌曲なども選ばれているのは、やはりフランスで勉強されたということからでしょうか。
伊藤:まさにそういうことです。アーンはプログラムの最初に持ってきます。導入にふさわしい、聴きやすくて暖かい曲です。ドビュッシーやプーランクも歌いたいと思うんですが、いきなりそこに行くと難しく思われるお客さまもいるかも知れないので。私にとって最初のリサイタルですから、まずは美しくて親しみやすい曲を選びました。
■関西のオペラファンにとっても待望のソロ・リサイタル。プログラムも多彩です。
伊藤:私がどういう曲を歌うかということをご存じないお客さまもたくさんいらっしゃると思うので、名刺がわりのような感じで、これも、これも歌いますよ、みたいな玉手箱のようなプログラムにさせていただきました。曲のキャラクターがひとつずつ違うので、歌うにつれて色が変わっていくような感じ。きっと楽しんでいただけると思います。日本の歌曲もイタリアの歌曲もフランスの歌曲も歌いますが、バラバラに選んだわけではなくて3月という季節なので、春に向けて明るい気持ちになれるような曲を集めています。
■ピアノは仲田淳也さん。オペラの指揮などでもご活躍中ですね。
伊藤:リサイタルは貴重な経験なので、ぜひピアノをということでお願いしました。ピアノでの共演は初めてですが指揮者としてご一緒したことがあって、音楽的に非常に信頼のおけるかたです。今回もご一緒できることを楽しみにしています。
■3月21日を楽しみにしています。関西のお客さまにメッセージをいただけますか。

伊藤:春が感じられる歌曲やオペラのアリアなど、今回のリサイタルでは人間のエネルギーや情熱をお伝えできる作品をたくさん選曲しています。いろいろなオペラの場面をその役柄として演じて歌おうと考えているので、すごく聴き応えのあるコンサートになると思います。この季節にふさわしい、色とりどりの色彩に溢れた歌の数々をお楽しみください。
■2022年2月14日 Zoomにてインタビュー。
(C)Katsuhiko-Kimura
(2022年3月14日更新)
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