ホーム > インタビュー&レポート > 全世界待望の大ヒットシリーズ5作目がいよいよ公開! 映画『トイ・ストーリー5』 ウッディ役日本版声優・唐沢寿明インタビュー
──今では当たり前になっていますが、1996年に『トイ・ストーリー』が公開された頃は俳優さんが声優をすることは、あまりなかったと思います。ある意味、画期的なオファーだったと思いますが、オファーを受けた当時、唐沢さんはどのように感じられたのでしょうか。
あの頃は、俳優が声優をするなんて考えたこともなかったですね。今でも覚えてますが、僕がCMの撮影でロサンゼルスにいた時に、当時のマネージャーから電話がかかってきたんです。僕はスターバックスにいて、まだ日本にスターバックスがなかったので、「こんなカフェがあったら日本でもヒットするのに」なんて言ってた時に国際電話がかかってきて。
その頃は僕もスタッフも、吹き替えというものをやったことがないから戸惑っていて。アメリカでは既に『トイ・ストーリー』が上映されていたので、まずは観に行くことにしたんです。いざ観てみたら、吹き替えがどうこうというよりも、画に驚いて。
──世界初のフルCG長編アニメーション映画でした。
フルCGアニメーションは初めて観たので驚きました。結局、今までやったことがないことなので、経験のためにやってみようという話になって。ただ、ひとつだけ、僕の方が声が高いから、USオリジナル版のトム・ハンクスさんと同じように低い声でと言われてもできないので、それでもいいのか確認してもらい、大丈夫だというのでやることになったんです。
──まさかこんなに続くとは...。
ひとつの作品という感覚だったので、こんなに続くとは思ってなかったですね。

──そうなんですね。30年以上ウッディの声を務めてこられましたが、声優を務めることについてはどのように感じてらっしゃるのでしょうか。
やっと最近、USオリジナル版のウッディの声はトム・ハンクスさんがやっているんだから、俳優がやっていいんだと思ったぐらいなので。それまでは、やっぱり吹き替えって難しいなと思いながらやっていましたね。
──俳優さんの場合は、その方ならではの味があると思います。
僕らがやる時は声で勝負できないから、キャラクターが動いているところに気持ちを乗せていくだけなんです。声優さんには、声という武器があって、特徴的な声を持ってる人が多いから、それで勝負できるけど、僕らはそれができないので。僕の声とキャラクターに違和感がないようになっていればいいかなと思いながらやっています。

──アフレコの際に戸惑ったことはあったのでしょうか。
アニメーションの動きに声を合わせることが一番難しいですね。キャラクターの気持ちを色々考えながらやるので、簡単に流せないというか、さらっとできないんです。演じる時と同じ熱量でやっているので。
──30年間ウッディを演じてこられましたが、唐沢さんにとってウッディはどんな存在なのでしょうか。
おもちゃですね。俳優をやっていても、30年間同じ役をやることはないので、特別な存在、作品ではあるかな。しかも、俳優じゃないことをやっているから。例えば「白い巨塔」は放送から20年以上経っていても作品のことを言われることはありますが、『トイ・ストーリー』は現在進行形の作品ですから。経験上ないことですし、ディズニー&ピクサー作品の中でもこれだけ長くヒットしている作品は他にないと思うので。
──長くヒットしている理由のひとつとして、毎回、社会情勢を反映させた脚本にうならされますが、今回は今までで一番今っぽいと感じました。電子機器と子どもの付き合い方が描かれた本作の脚本を読んだ時に、唐沢さんはどのように感じられましたか。
意外とクラシックだと思いました。
──相手が電子機器なだけ、ということでしょうか。それがテレビやゲームだった時代もあったと。
そうです。物語の根底にあるものは普遍的なストーリーだと感じました。

──あまり驚くことなく受け入れられたのでしょうか。
こういう電子デバイスが生活に入ってくるのは、今の時代は仕方がないことだと思うので、それとアナログのおもちゃの対決は面白いと思いました。今の時代だったら、子どもはどうしてもタブレットを取っちゃうもんね。大人だってそうなんですから。
──そうですね。
でも、つくづく思うけど、『トイ・ストーリー』は1作目のキャラクター設定が秀逸ですよね。あれで全てが決まったぐらいの印象があって。捨てるキャラクターが1個もない。ミスター・ポテトヘッドなんて未だにバラバラになってるからね(笑)。だから、最初にキャラクターを考えた人はすごいと思うし、よくできてるなと思います。
──それぞれが活躍する場面が毎回ありますもんね。スリンキー・ドッグも。
よく働くんだよね、伸びるから。よく戻るなと思いますよね(笑)。すごくよくできてると思うから、新しく出てくるおもちゃが出づらいんじゃないかと思って。この先シリーズが続いても、最初のメンバーは出続けると思う。ものすごくアナログだから。
──おもちゃが主人公ですが、そのおもちゃで遊ぶ子どもの存在も『トイ・ストーリー』にとっては大事なんですよね。
子どもとおもちゃの関係が繋がってないと『トイ・ストーリー』じゃないんですよね。おもちゃだけの話だったら何でもできちゃうじゃないですか。でも、人間の子どもが絡むと、どこかに限界があるから、そこを超える面白さが生まれるんだけど、おもちゃだけだと何をやってもいいことになって、物語が崩壊してしまうので。
──人間がいたらおもちゃは動けないという前提が大事なんですよね。30年前に『トイ・ストーリー』を観た子どもが親になって、子どもと一緒に観るというように世代を超えて愛される作品になっているのは、そういうところが理由のひとつかもしれないですね。
再放送も定期的にやっていますからね。僕も、金曜ロードショーで『トイ・ストーリー』の再放送をやってて、久々にテレビで見たら、やっぱり面白いもんね。
──面白いです。
あの隣の家のシドが、本当にムカつくんだよね。
──おもちゃに爆弾をつけて遊ぶ子どもですよね。
でも、ロケットみたいのをバズにつけたことによって救われるんだよね。本当によくできてるよね。

──「トイ・ストーリー」シリーズの中で唐沢さんが一番魅力を感じてらっしゃるのは、どういうところでしょうか?
先ほども言った、あらゆるキャラクターの完成度の高さですね。ヒットするべくして、ヒットしてると思います。このシリーズの代わりは作れないと思う。
──何かがヒットしたからと言って、それと似たようなものは簡単に作れないということでしょうか。
そうです。例えば、「白い巨塔」がヒットした後に、同じような社会派の医療ものを作ろうとした人もいたと思うけど、その後に成功した作品はないですよね。「白い巨塔」は原作のすごさもあるけど、似たようなキャラクターを入れたとしても、出来上がったものは全然違うものになってしまうと思うんです。
──どこかが破綻してしまうんですね。
そうだと思います。大ヒットするものというのは、狙ってなくても、偶然の積み重ねがあったはずなんです。だから、それを真似しようとしてもダメなんじゃないかな。
──『トイ・ストーリー』は、おもちゃを主人公にしたことが画期的でしたから。
子どもが寝た後に、おもちゃが動き出すというアイデアを最初に考えた人は天才だと思う。当然、当てようとして作ったんだと思いますが、それ以上の何かが重なったんですよ、きっと。
取材・文/華崎陽子
スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)
ヘアメイク:野中真紀子
(2026年7月 2日更新)
▼7月3日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか全国の劇場にて公開
日本版声優:唐沢寿明(ウッディ) 所ジョージ(バズ) 日下由美(ジェシー) 広瀬アリス(リリーパッド) 佐野勇斗(スマーティー・パンツ) 竜星涼(フォーキー)ほか
監督:アンドリュー・スタントン
共同監督:ケナ・ハリス
【公式サイト】
https://www.disney.co.jp/movie/toy5
【ぴあアプリ】
https://lp.p.pia.jp/event/movie/439759/index.html
からさわ・としあき●1963年6月3日生まれ、東京都出身。1987年に舞台「ボーイズレビュー・ステイゴールド」でデビューし、1991年に『おいしい結婚』で映画デビュー。NHK大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」(02)や「マクベス」(01・02)など数々のドラマや舞台などで活躍。主なTVドラマの出演作に「白い巨塔」(03)、「ルーズヴェルト・ゲーム」(14)、「THE LAST COP/ラストコップ」(16)、「ボイス 110緊急指令室」(19・21)、NHK連続テレビ小説「エール」(20)、「24JAPAN」(20)、連続ドラマW 「フィクサー」(23)、「プライベートバンカー」(25)、「コーチ」(25)など。主な映画出演作に『ラヂオの時間』(97)、『嗤う伊右衛門』(04)、『20世紀少年』シリーズ(08・09)、『イン・ザ・ヒーロー』(14)、『杉原千畝 スギハラチウネ』(15)、『九十歳。何がめでたい』(24)、『ミステリー・アリーナ』(25)など。