「リスペクトの気持ちを持ちながら座長という意識で臨んだ」
『HiGH&LOW THE WORST』待望の続編がいよいよ公開!
映画『HiGH&LOW THE WORST X』川村壱馬インタビュー
『HiGH&LOW』シリーズと髙橋ヒロシの漫画『クローズ』『WORST』をクロスオーバーさせた『HiGH&LOW THE WORST』の続編『HiGH&LOW THE WORST X』が9月9日(金)より、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開される。頭を張る花岡楓士雄(はなおかふじお)をはじめとする地区最凶の不良高校・鬼邪高校(おやこうこう)の面々が、彼らを潰すために手を組んだ瀬ノ門工業高校らと争う様子を描く。
花岡楓士雄を演じる川村壱馬をはじめ、吉野北人、前田公輝、塩野瑛久など鬼邪高校、鳳仙学園のメインキャストが前作から続投するほか、「NCT 127」の中本悠太、「BE:FIRST」の三山凌輝らが新たに参加し、物語を盛り上げている。そんな本作の公開を前に、天真爛漫で真っすぐな花岡楓士雄を演じた川村壱馬が作品について語った。
──先輩方が続けてこられた『HiGH&LOW』シリーズのスピンオフである前作『HiGH&LOW THE WORST』でメインキャストを演じることにプレッシャーはありましたか?
僕はそういうことに逆に燃えるタイプなので、プレッシャーというよりは「やってやるよ」ぐらいの感じでした。「よっしゃー!」と気合が入りました。ただ、鬼邪高にスポットが当たる作品なのに僕が演じる花岡楓士雄が出てきたことで、「あれ?(山田裕貴さん演じる)村山は?」という声を耳にすることもありました。『HiGH&LOW』シリーズは全員主役と謳っていますが、『HiGH&LOW THE WORST』は『クローズ』と『WORST』のコラボですし、楓士雄は髙橋ヒロシ先生が作ってくれたキャラクターなので、気持ちは燃えていました。
──確かに、山田裕貴さん演じる鬼邪高の定時制の番長・村山の存在は偉大でした。そういう声に対して川村さんはどのように感じられましたか?
でも僕は『HiGH&LOW』プロジェクトが始まる前から出たいと思っていましたし、グループの活動のタイミングや頑張ってきた中で掴んだチャンスだったので。先輩方が歴史を築いた作品であることへのリスペクトの気持ちは持っていましたし、村山はもちろん山田裕貴くんへのリスペクトもあるし、鈴木貴之さんはじめ、皆さんが作ってこられた鬼邪高の歴史や『HiGH&LOW』全体へのリスペクトは忘れていないので、(そういう声は)芝居で黙らせてやろうという思いでした。敢えてプレッシャーと言うなら、そういう声ぐらいだったと思います。
──前作では鬼邪高の天下を取るために戦っていた楓士雄が、本作では頭としての振る舞いを求められます。楓士雄の成長が見られるのも本作の見どころのひとつだと思います。
今回は、真っすぐな楓士雄らしからぬ悩み方をするんですよね。それも続編にぴったりの展開だと思いましたし、面白いと感じました。前作では楓士雄の天真爛漫なところと熱いところが際立っていましたが、今回は楓士雄の影の部分というか心の深いところが垣間見えると思いますし、それを見せることによって楓士雄の人間としての器の大きさを表現できるんじゃないかと思って、僕としてはニヤリとなりました。
──本作で楓士雄を演じる上で特に大事にしていたことはありますか?
山田裕貴くんにも撮影が終わってから直接伝えましたが、裕貴くんが演じた村山良樹という存在をいつも胸に置いて、忘れずに撮影していました。本当に村山良樹という存在を大事にしていました。前作と違って、今回は本当に村山がいないので。鬼邪高を引っ張ってこられたのは間違いなく裕貴くんでしたから。そういうこともあって、今回は座長という意識が強かったです。
──確かに、前作では村山の存在がありましたが、本作では鬼邪高を引っ張るのは楓士雄になっています。
役柄としても個人としても、前作で鬼邪高や鳳仙学園のメンバーとは関係性を築けていました。本来の僕はあまり積極的に誰でも彼でも話しかけていくタイプではないのですが、今回は新しいキャストさんにも自分から話しかけていくようにしましたし、元々作ってきた輪を広げて、皆でいいものを作っていこうという意識をずっと持っていました。もうひとつ意識していたことは、なぜ楓士雄が頭だという設定になっているのかと考えながら演じることでした。
──そう言われてみると、前作のラストで明確に楓士雄が頭にはなっていませんでした。
脚本にはそういう風に書かれていますが、楓士雄は自分では頭だと思っていない前提で振る舞っているつもりです。台詞はさすがに変えることはできませんが。劇中で楓士雄が「俺じゃなかったのかもな、鬼邪高の頭」と言っていますが、楓士雄は自分が頭だと自覚していないんです。
──そう聞くと、楓士雄の戸惑いみたいなものが描かれていたように感じます。
前作のラストで轟から手を差し伸べられた時に「頭は一旦俺が預かる」と言われているので、保留になっているんですよね。前作から本作の間に起こったことは描かれていないので、急に頭と言われても自分も納得できないし。轟との関係はどうなったの? と演じている自分でも思ってしまうので、そこは自分の中で腑に落ちるように演じていました。
──でも、周りは楓士雄が頭だと思っているんですよね。
頭だと思っている人もいる、ですね。そういう解釈で僕は演じていました。だからこそ、楓士雄の言う「隣を見れば戦う仲間がいる。それで十分じゃねぇか」という台詞に繋がっていくと思っていました。そこにも辻褄が合うので結果的に良かったと思っています。
──隣に仲間がいるという意味では、楓士雄の隣にいつも吉野北人さん演じる司がいるというのは心強いのではないでしょうか?
心強いと言うよりは、グループでもそうですが、いろんなことを経験してきて、出会った頃が若かったこともあって、自分たちも未熟だったので、衝突も経験しましたし、家族のような関係になっているので、いて当たり前というか。家族にそういう風に思わないじゃないですか。でも、何も言わなくても信頼していることが伝わる感覚はあります。
──先日、志尊淳さんが出演していることが発表されましたが、川村さんは志尊さん演じる佐智雄の登場シーンはどのように感じられましたか?
あれは本当に嬉しすぎたので、解禁されるまで親にも言わなかったです(笑)。
──出ないと思っていながら映画を観ていたので「出てるやん!」と叫んでしまいそうでした(笑)
解禁されるまで、皆さんのそのリアクションが楽しみすぎました。佐智雄の登場は衝撃でしたね。
撮影/河上 良
取材・文/華崎陽子
(2022年9月 7日更新)
Check