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尾野真千子、古田新太ら豪華俳優陣が浜村節に盛り上がりを見せた
3年ぶりの開催となった《おおさかシネマフェスティバル2022》
イベントレポート

“映画ファンのための映画まつり”《おおさかシネマフェスティバル2022》が、3月6日(日)大阪市北区のエルセラーンホール(ホテル エルセラーン大阪5F)にて開催され、同イベントのメインプログラムであるベストテン&個人賞の表彰式に主演女優賞の尾野真千子や主演男優賞の古田新太ら豪華ゲストが出席した。

《おおさかシネマフェスティバル》は、関西で前年中に上映された作品からベストテンおよび個人賞を選出し、毎年豪華ゲストが来場して表彰式を行う、大阪の春の風物詩として映画ファンに親しまれ、今年で46年目を迎える映画祭だ。今年も早くから券種によっては売り切れが出るなど、観客からの期待の高さがうかがえた。
 
まずは《おおさかシネマフェスティバル》おなじみ、総合司会の浜村淳が登場し、綾野剛がトロフィーを「ちっちゃ」と言った逸話をはじめ、樹木希林や笑福亭鶴瓶、蒼井優や桐谷健太ら今までに来場した豪華俳優陣の思いで話を披露し、表彰式は始まった。
 
監督賞は、役所広司主演作『すばらしき世界』の西川美和が受賞。「この作品は骨の太い映画でした。主人公を演じた役所広司さんもすごかったですね。さすが名優ですね」と浜村が絶賛すると、「ご自身が長崎の方で、主人公は福岡出身で全国を転々としている設定だったので、方言の加減をすごく気にしてらっしゃいました。でも、下積みの経験も長い方なので、クランクインまでの準備をすごく大切にされていて、現場に入ってカメラを回せば、そこに主人公として存在していました」と役所の存在感に圧倒されたと語っていた。
 
助演男優賞は、『孤狼の血 LEVEL2』の鈴木亮平が受賞。こちらは仕事の都合で出席できず、ビデオメッセージで「助演男優賞を頂き、ありがとうございました。会場に駆けつけて喜びをかみしめたかったんですが、残念です。『孤狼の血 LEVEL2』は広島弁で、僕は兵庫県出身なので関西弁と似ているのかと思ったら、全然違っていて、広島弁には苦しめられました。これからも頂いた賞に恥じない俳優になるよう精進してまいります」と観客にコメントを送っていた。
 
助演女優賞は、『浜の朝日の嘘つきどもと』の大久保佳代子が受賞。「場違いなところに出てきてしまって」と恐縮しながら登場した大久保に浜村は「はっと目を引くぐらいの存在感がありました。すごく色っぽかった」と褒め称えると、大久保は「わかります?」と返し、「特にフェロモンを出しているつもりはないんですが、よく言われます」と満更でもない返答で場内を沸かせていた。そして浜村から「また映画で大久保さんが見たい」と言われると、台詞がここまで多い役は初めてだったそうだが、「50歳になったので台詞が覚えられなくて、台詞を入れてしゃべるのが大変で。役者さんの大変さを実感しましたが、女優をやっていきたいな、とは思っています」と抱負を語り、最後に「自分の老化具合と相談します(笑)」と言うと、会場からは笑い声と大きな拍手が起こっていた。
 
主演男優賞は、『空白』の古田新太と松坂桃李が受賞。仕事の都合で出席できなかった松坂は「おおさかシネマフェスティバルは僕にとって思い出深い場所なので行きたかったんですが、残念です。司会の浜村さんの人柄もあるのか他の映画賞の授賞式と比べて、和やかでアットホームな印象です。主演男優賞を頂き、ありがとうございました。これに甘んじることなくひとつひとつの作品に心を込めて、日々精進して参りたいと思います」とビデオメッセージを寄せた。
 
壇上に上がった古田は「映画の主演男優賞は初めて」と言い、浜村が「僕は『サイドカーに犬』で賞を獲ると思った」と言うと、古田も「僕も思いました」と乗っかり、会場を沸かせていた。また、映画の魅力を問われた古田は「映画は撮影後に監督が編集するので、どんな映画が出来上がってくるのかというワクワク感がすごい」と映画にも舞台にも出演する古田ならではのコメントを披露。「幸せな人がひとりも出てこない映画」と自虐的に作品を紹介し、場内を沸かせていた。さらに、松坂桃李との名コンビぶりを浜村が褒めると「桃李くんとは『パディントン』という映画でも熊とお父さんという役柄で名コンビぶりを発揮しています」と笑わせた。
 
主演女優賞は、『茜色に焼かれる』の尾野真千子が受賞。15歳で主演を務めたデビュー作の『萌の朱雀』から尾野の活躍を見続ける浜村は「日本映画になくてはならない女優になりましたね」と絶賛。続けて、本作について「『茜色に焼かれる』はすごい映画でしたけど、台本をもらった時はえらい役やと思いませんでしたか?」と尋ねると、尾野は「台本に血が通っている、この台本は生きていると感じました。これは今の世の中に伝えなければいけない物語だし、心にぐさっと刺さりました」と振り返っていた。
 
作品の名前を忘れたり、言い間違えたり、ご愛嬌のような間違いもあり、話に熱中するあまり、表彰者との間の仕切りを超えて話しにいこうとして制止されるなど、独特の浜村節に常に笑いが絶えない表彰式だった。
 
取材・文/華崎陽子



2021年度個人賞
 
【日本映画 個人賞】
主演男優賞 古田新太・松坂桃李(『空白』)
主演女優賞 尾野真千子(『茜色に焼かれる』)
助演男優賞 鈴木亮平(『孤狼の血 LEVEL2』)
助演女優賞 大久保佳代子(『浜の朝日の嘘つきどもと』)
新人男優賞 倉 悠貴(『夏、至るころ』)
新人女優賞 駒井 蓮(『いとみち』)
      片山友希(『茜色に焼かれる』)
      津田晴香(『まっぱだか』)
監督賞   西川美和(『すばらしき世界』)
脚本賞   濱口竜介・大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』)
撮影賞   四宮秀俊(『ドライブ・マイ・カー』)
音楽賞   石橋英子(『ドライブ・マイ・カー』)
新人監督賞 春本雄二郎(『由宇子の天秤』)
                  上西雄大(『ねばぎば新世界』)
ワイルドバンチ賞『COME & GO カム・アンド・ゴー』
 
【外国映画 個人賞】
監督賞   クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
主演男優賞 ジョニー・デップ(『MINAMATA-ミナマタ-』)
主演女優賞 キャリー・マリガン(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)
助演男優賞 アダム・ドライバー(『最後の決闘裁判』)
助演女優賞 ユン・ヨジョン(『ミナリ』)
 
2021年度ベストテン
 
作品賞(日本映画)『ドライブ・マイ・カー』 
 
作品賞(外国映画)『ノマドランド』
 
日本映画
①ドライブ・マイ・カー
②すばらしき世界
③空白
④孤狼の血 LEVEL2
⑤由宇子の天秤
⑤茜色に焼かれる
⑦ヤクザと家族 The Family
⑧あのこは貴族
⑧護られなかった者たちへ
⑩いとみち
 
外国映画
①ノマドランド
②ファーザー
③ミナリ
④プロミシング・ヤング・ウーマン
⑤アメリカン・ユートピア
⑤最後の決闘裁判
⑦聖なる犯罪者
⑧ラストナイト・イン・ソーホー
⑨春江水暖~しゅんこうすいだん
⑩リスペクト

(2022年3月 7日更新)


Check
監督賞を受賞した西川美和
助演女優賞を受賞した大久保佳代子
主演男優賞を受賞した古田新太
主演女優賞を受賞した尾野真千子

Event Data

《おおさかシネマフェスティバル2022》

日時:3月6日(日) 開場9:30/開演10:30
会場:ホテル エルセラーン大阪5F エルセラーンホール

【公式サイト】
https://www.oocf.net/