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「山田監督も鉄道がお好きで…」
巨匠、山田洋次監督の最新作『家族はつらいよ』に出演!
大阪出身の演歌歌手、徳永ゆうきインタビュー

日本映画界を代表する山田洋次監督の最新作で、20年ぶりの喜劇作品となる『家族はつらいよ』が大阪ステーションシティシネマほかにて大ヒット公開中。『東京家族』の主要キャスト8人が再結集し、家族を演じていることでも話題だが、今回は“調子のいい鰻屋”役で劇中に登場し、現在“日本の孫”というキャッチコピーで人気上昇中の演歌歌手・徳永ゆうきに映画の見どころや裏話、そして発売間近の新曲について話を聞いた。TSUTAYA EBISUBASHIで行われた映画&新曲PRイベントの様子もお届け!

――まずは、徳永さんが歌手を志されてからデビューされるまでの道のりをお聞きしたいと思います。

 

僕の両親、祖父母が奄美大島の出身なんですけど、奄美は歌が盛んな土地で、みんなで集まれば、すぐに歌ったり踊ったりすることが当たり前な地域性なんですね。僕の親族も例外ではなく、特に演歌・歌謡曲が大好き。その影響で自分でも小学4年生の頃から演歌を歌い始めました。でも、その頃は歌手よりも、もともと好きだった鉄道方面の仕事に就きたいと思っていました。

 

――真剣に歌手への道を考えるようになったのは、いつ頃から?

 

高校2年生の時にNHK『のど自慢』の大阪大会に出場したんですけど、2000人のお客さんの前で生バンドの演奏で歌って、すごく気持ち良かったんですね。それで改めて歌っていいな、これが職業になったら素敵だなと思うようになりました。その後、グランドチャンピオン大会で優勝してレコード会社の方から声をかけていただき、高校卒業と同時に上京。2013年11月にBEGINの比嘉栄昇さんに作曲していただいた「さよならは涙に」でデビューしました。

 

――歌手デビューに際して、ご家族の反応などは?

 

とくに反対もなくて、やりたい道に進めばいいよと。ただ、僕としては鉄道関係の仕事への思いもあったので、すごく悩みましたね。いろいろ考えた末、せっかくチャンスをいただけたということで歌手の道を頑張ってみようと決心しました。

 

――大好きなもの2つの間で悩まれて。

 

そうですね~。でも歌手デビューしてから鉄道好きがみなさんに知れ渡り、鉄道関連のテレビ番組にも出させていただけるようになったので、本当に良かったです。

 

――今年、デビュー3年目ですが、これまでの活動を振り返っての印象は?

 

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このたび出演させていただいた『家族はつらいよ』など映画やバラエティー番組といった歌以外のお仕事も経験させていただき、あっという間に今日まで来たような気がします。名前を知っていただく機会に多く恵まれたのが本当にありがたく、今後もチャンスがあれば、さまざまなお仕事に挑戦したいですね。

 

――その『家族はつらいよ』ですが、徳永さんから作品についてご紹介いただけますか。

 

2013年の『東京家族』で家族を演じられていた豪華キャスト8人が再び結集し、結婚50年を迎えた夫婦の熟年離婚や家族崩壊の危機など、さまざまな問題と向かい合うホームコメディーになっています。山田洋次監督にとっては『男はつらいよ』の最終作以来、20年ぶりの喜劇作品ということで、ぜひ、その点にも注目していただきたいです。

 

――徳永さんにとっては3作目の映画出演作となりましたが、今回、出演されることになったいきさつは?

 

山田組のみなさんは毎年夏になると奄美大島を訪れるんですけど、前回の旅ではご縁があり、僕もご一緒させていただいたんです。ただ、その時は島に台風が直撃していたこともあり、結局、宿から一歩も外に出ることが出来なくて。それならということで滞在中は毎晩宴会が開かれ、そこでみなさんとの距離がぐっと縮まりました。その宴会の中で小芝居をして遊ぶことになり、山田監督が僕を呼んで、その場でセリフや演出を付けてくださったんです。僕は西郷隆盛の役柄で犬を連れてという内容で(笑)、そんな出会いがきっかけで、気に入ってくださったのかもしれませんね。

 

――完成した映画をご覧になられての印象は?

 

映画の中心になっている平田家の状況と自分の家族を重ねあわせて、「ウチのオカンもオトンに対してめっちゃ不満あるんやろな~」と思いながら観ました(笑)。橋爪功さん演じる周造さんの人柄が僕のオトンと本当にそっくりなんですよ。ガンコで、たまにオカンにキツい物言いをしてて。

 

――徳永さんのご実家も映画で描かれているような賑やかな感じで?

 

僕のところは兄たちも結婚して家を出ているので、今はもうオトンとオカンの二人暮らしなんですよ。だからよけいに気になって。今までは子どもたちもいたから、ご飯時でもわいわい話していたけど、2人だとどんな会話してるんだろう?って(笑)。

 

――徳永さんの役柄は「調子のいい鰻屋」ですが、こちらはどのようなキャラクターなのでしょうか?

 

平田家が離婚騒動でシリアスな空気になっている中で配達に来て、力が抜けるような笑いを一つ、二つ繰り出します。わずかな出演シーンですが、ご覧になった方からは印象に残ったと言っていただけて嬉しかったです。

 

――撮影に関して苦労したことは?

 

映画の中で原付きバイクを運転するシーンがあって、そのために免許を取りに行きまして。試験は一発で合格したけど、撮影で乗ったのが教習用の二輪車とは違う配達用の三輪タイプで、その違いに慣れるのが大変でした。さらに現場で山田監督から「寅さん、歌えるかい?」と聞かれて「歌えます」とお応えしたら、急遽、運転しながら「男はつらいよ」の主題歌を歌うことになったんです。初心者運転に歌も加わって、これも難しかったですね~。バイクのスピード感も「もうちょっと落とせる?」と聞かれて減速したら遅すぎると言われ、角を曲がるシーンでウインカーを出し忘れてNGになってしまったり(笑)。演技も初心者なので緊張しましたが、それ以外のことでも結構いっぱいいっぱいになってましたね。

 

――現場での山田監督の印象はいかがでしたか?

 

本当に優しく温かい方で、演技もまだまだな僕に身振り手振りで丁寧に指導してくださいました。時折見せられる笑顔も印象に残っています。ちなみに監督も鉄道がお好きで、僕が撮影した列車の写真を見ていただきながら、そっち方面の話でも盛り上がりました。

 

――山田監督の作品は以前に観られていましたか?

 

『男はつらいよ』の最終作は舞台が奄美大島ということもあって観ていました。劇中の奄美の風景を通して、「ここが両親の故郷なんだな」と思いを馳せていたんですけど、それから後に山田監督の作品に呼んでいただけたというのは、すごく不思議な感じがしますね。

 

――これから映画を見る方への見どころをお願いします。

 

どんな家庭にも起こりえるような問題が面白おかしく描かれていて、特に橋爪さんと吉行和子さんが演じられている夫婦の姿は、多くの方が共感できるかと思います。ぜひ、ご自分の家族と照らしあわせて楽しんでください。

 

――3月23日には本業である演歌歌手としての新曲「函館慕情」が発売されますね。

 

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これまでの曲は歌謡曲寄りのものが多かったのですが、今回は作詞を麻こよみ先生、作曲を水森英夫先生が手がけてくださり、初の本格演歌の楽曲となりました。ちなみに女性の気持ちを歌った女歌というのも初めての挑戦です。3月26日に開業する「道南いさりび鉄道」の応援ソングでもあります。

 

――徳永さんがみなさんに聴いていただきたいポイントなどは?

 

1番から3番まで通して出てくる「はっきりして さっぱりして下さいね」というフレーズがコミカルで耳にも残るし、カラオケで歌う際は、ぜひここを力強く歌って盛り上げていただきたいですね。明るい曲調で、演歌好き、カラオケ好きの方には存分に楽しんでいただけると思います。

 

――歌唱にあたって水森先生からのレッスンなどはありましたか?

 

機会があり2回ほど受けさせていただきました。水森先生からは「コブシは決めどころだけ入れて、後は取り除こう」と言われたのですが、これが苦戦しましたね。僕の歌い方には奄美独特のコブシがあったのと、今までレッスンを受けず我流の歌い方が染み付いていたことで、自分の歌唱スタイルが凝り固まっていたんだなと痛感しました。

 

――水森先生のレッスンは発声を重視されると聞きましたが、徳永さんの場合も?

 

変に強弱をつけたり上手く聴かせようとせず、芯を食った歌い方で21歳ならではの若さをアピールしようと言われました。このレッスンでさまざまなことを教えていただき、自分の歌を見つめなおすことが出来ました。

 

――最後に、ぴあ関西版WEB読者へのメッセージをお願いいたします。

 

演歌というとご年配の方だけのものと思われているかもしれません。でも今は僕のような若い歌手もたくさんいるし、比嘉栄昇さんや宮沢和史さんなどポップス系の方々も曲を書いてくださって、若い方の興味を引く要素もたくさんあると思います。機会があれば、ぜひ聴いていただきたいし、僕自身は若い方と演歌を繋ぐ架け橋として今後も活動したいと思います。そして、新曲「函館慕情」にも、ぜひ耳を傾けてください!

 

 

構成・取材・文/伊東孝晃(クエストルーム)




映画「家族はつらいよ」公開記念
徳永ゆうきリサイタル@TSUTAYA EBISUBASHI

 

徳永ゆうきが自身の出演する映画『家族はつらいよ』のPRと新曲発表を兼ねたイベントを地元大阪のTSUTAYA EBISUBASHIで開催した。

 

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「徳永のイメージキャラクター・カピやんも登場」

 

店舗1階正面に設けられたステージに寅さんスタイルで登場した徳永は、まず山田洋次監督の代表作『男はつらいよ』の主題歌を熱唱。映画の見どころや撮影の裏話を語り、2曲目には道頓堀というロケーションにふさわしく、「大阪ラプソディー」「月の法善寺横丁」や「かに道楽」のCMソングなどを含む大阪メドレーで地元愛を届けた。得意の車掌モノマネで観客を沸かせた後は新曲「函館慕情」を歌い上げてステージは終了。また、同店の5階では現在、「徳永ゆうき博覧会」が開催されており、『家族はつらいよ』の資料パネルの他、徳永の人生を振り返る年表、NHK「のど自慢」で獲得したトロフィーなどを見ることが出来る。徳永も「僕の初恋や子供の頃のアダ名など、誰が興味あるのかということまで年表に書かれていますが(笑)、ぜひ、遊びに来てください!」と、来店を呼びかけた。

 


【徳永ゆうき博覧会】

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会場:TSUTAYA EBISUBASHI 5Fレンタルフロアー

開催期間:3月31日(木)まで(予定)

(2016年3月14日更新)


Check

Movie Data


©2016「家族はつらいよ」製作委員会

『家族はつらいよ』

●大阪ステーションシティシネマほかにて上映中

出演:橋爪功/吉行和子/西村雅彦/夏川結衣/中嶋朋子/林家正蔵/妻夫木聡/蒼井優/徳永ゆうき/ほか
監督:山田洋次
脚本:山田洋次・平松恵美子
音楽:久石譲
撮影:近森眞史
美術:倉田智子
照明:渡邊孝一
編集:石井巌
録音:岸田和美
プロデューサー:深澤宏

【ぴあ映画生活】
http://cinema.pia.co.jp/title/166267/


Release

Single
『函館慕情』
3月23日(水)発売
1300円
ユニバーサル
【CD MAXI】UPCY-5018
【カセットテープ】UPSY-5018
※各オリジナル・カラオケ/楽譜付

<収録曲>
01. 函館慕情
02. 北の終列車
03. 函館慕情(オリジナル・カラオケ)
04. 北の終列車(オリジナル・カラオケ)


Live

演歌男子。
3月26日(土)10:00~一般発売

Pコード:291-132
▼5月28日(土) 13:00/18:30
日本橋三井ホール
全席指定-5800円
[出演]ジェロ/純烈/徳永ゆうき/花見桜幸樹/最上川司
※未就学児童は入場不可。
[問]ホットスタッフ・プロモーション
[TEL]03-5720-9999

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Profile

徳永ゆうき
とくながゆうき●平成7(1995)年2月20日生まれ。大阪府出身。奄美大島出身の祖父と両親の影響で幼いころから演歌・歌謡曲に親しみ、小学4年生の頃から人前で歌い出す。平成24(2012)年、「NHKのど自慢」の大阪大会出場を機に歌手を志すようになり、その後、チャンピオン大会でグランプリを受賞したことでユニバーサルミュージックからスカウトを受ける。平成25(2013)年にBEGINの比嘉栄昇氏が作曲を担当した「さよならは涙に」でデビュー。歌手以外に俳優としても活動し、山田洋次監督の最新作「家族はつらいよ」では“調子のいい鰻屋”を好演。また、無類の鉄道好きとしても知られ、鉄道関連のテレビ番組にもたびたび出演している。キャッチコピーは“日本の孫”

徳永ゆうき オフィシャルサイト
http://www.itoh-c.com/tokunaga/