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ミニシアター系映画館が考える
「コミュニケーションが取れる場」のヒントに――
“映画を通じて出逢いの場を作る”婚活映画祭レポート

関西のミニシアター系映画館で働くスタッフらから「お客様同士のコミュニケーションが取れる場を作りたい」という話をよく聞く。それを形にしようと様々なイベント上映を企画している代表が、尼崎の塚口サンサン劇場や神戸の元町映画館だろうか。

そんな中、当サイトでも以前紹介した“映画を通じて出逢いの場を作る”というイベント《婚活映画祭》について、「実際のところ、どうだったの?」という声を多数いただいている。開催前から「それってどういうの?」と、気になっていた方も多いようなので、実際にこのイベントに参加した当サイトスタッフ(女性)が感じた印象を少しご紹介したい。

イベント当日、受付時間の少し前に会場前へ着くと、20代前半から40代後半くらいの様々なタイプの男女がすでにそこに集まっていました。見渡した感じでは、2、3人のグループで来ている人もいましたが、1人で来ている人も多そう。

 

「みんなどんな服装で来るのだろう?」と直前まで気になっていましたが、その懸念は不要だったようで、いい意味でいろんなタイプの方がおられました。古着風なカジュアルスタイルの男性もいれば、サラリーマン風のスーツをパリッと着こなした男性、無地のニットに細身のパンツでシンプルコーデがスタイリッシュな男性もちらほら。女性は、ワンピースや膝丈のスカート+カーディガンにタイツなど、きれいめカジュアルな休日のおでかけコーデといった感じ。

 

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会場はかなり広いホールで、スクリーンに向かって並べられた椅子の左端の空いている席へわたしは座りました。100席以上はあると思われる席がみるみるうまっていき、まもなくして、司会の方から挨拶が。その後、京都出身の女優、海老瀬はなさんによるゲストトークショーからイベントスタート。テーマは「婚活指南」とのことでしたが、そんな堅苦しいものでなく「どこに出会いがあるか分かりませんよ」というお話でした。

 

その後は、映画『フランシス・ハ』の上映(90分)。この映画は、現代ニューヨークを軽やかに描き出し、ウディ・アレンやタランティーノも絶賛した話題作で、実はスクリーンで観るのはこれが3回目。どのシーンも何度観ても新鮮な魅力に溢れていて好きすぎて泣きそうになったりもした。

 

それから少し休憩を挟み、今まで座っていた座席は片付けられカップリングパーティーに突入! まず男性と女性に分かれて二重の円になり、参加者全員と挨拶&握手。最初は「えー!何それ?なんだか恥ずかしい」と思いましたが、お互いが顔を見て何気ない言葉を交わし握手をするだけで、緊張がいつの間にか解きほぐれていたように思う。

 

全員への挨拶が終わるとフリータイムへ。軽食がテーブルに用意され、フリードリンクもスタンバイ。そのテーブル周りのあちらこちらで「映画好き」という共通点があるからこその映画話で盛り上がる人たち。「どういう映画がお好きなんですか?」という一言から始まり、話し出すとどんどん話の内容が深くなっていく感じや、日本未公開の面白い映画など、知らなかった映画情報を聞くのも楽しかった。

 

印象としては、服装の趣味や、年齢が近い者同士が自然と仲良くなっていたような気がする。同姓同士でお友だちになっている人も見かけた。また、フリータイム中に、(もともと受付時に参加者全員に配られた)カードを使いながら、全員参加で遊ぶ簡単なゲームも実施され、シャイで話しかけることが出来ない人でも、そこで性別問わず声をかけるチャンスが生まれていたように思う。

 

男性55人、女性65人の参加者の中から、最終的には17組のカップルが誕生。すごい確立だと思う。ちなみにわたしは同姓の友だちが3人も出来ました!

 

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“婚活”という言葉が少し恥ずかしいので、できれば名前をなんとかしていただきたいと思わなくもないが、映画館が仕掛けようとしている“コミュニケーションの場”のヒントはたくさんあったように思う。参加者の中には映画関係の仕事の方、某映画祭スタッフなど、話せば面白い話が聞けたに違いない人も多数いたのも良かったように思う。「映画好き」という共通の趣味があれば、話し出せば打ち解けるのも早い。会場には、このイベントを何かのヒントにしようと視察に来ていた某映画館の方、某イベントスペースの方もいたので、今後、このイベントを発展させたイベント(?)、スペース(?)の誕生にも期待したい。とても注目を浴び、好評だった《婚活映画祭》は、今後も続く可能性あり。気になった人は是非次回参加してみてほしい。

 

illustration by Eika




(2016年3月 1日更新)


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