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『飛べないコトリとメリーゴーランド』
映画の主題歌に加え、演技にも初挑戦した
チャラン・ポ・ランタン インタビュー

毒っ気と茶目っ気たっぷりのショウ仕立てのライブで見る者を虜にする、もも(ヴォーカル/妹)と小春(アコーディオン/姉)による姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタン。この姉妹が劇中歌・主題歌を担当した映画『飛べないコトリとメリーゴーランド』は、若手注目女優の岡野真也を主演に迎え、現実と逃避世界を行ったり来たりする様子をチャラン・ポ・ランタンの音楽に乗せて描いたインディペンデントムービーだ。ぴあフィルムフェスティバル(2013)でグランプリを受賞するなど、期待の新人として注目される市川悠輔監督の長編デビュー作としても注目を集める今作。映画の主題歌に加え、演技にも初挑戦、メインキャストとして映画初出演するなど初づくしとなったチャラン・ポ・ランタンの二人に聞いた。

――主題歌「貴方の国のメリーゴーランド」は、どういった流れで作られましたか?

 

小春:半分くらいできあがった状態のシナリオを読んで作っていきました。現実が嫌だから夢の世界に逃げちゃう主人公、っていうまあ女の子にありがちなものなんですけど。その行き来を何回も繰り返してるっていうのをシナリオで読んで、曲のなかにも二面性があったほうがいいだろうなって。元々、チャラン・ポ・ランタン自体が“悲”“喜”劇を大事にしているのもあって、そこはすんなりいけたというか。

 

もも:監督さんから、「こうしたほうがいいんじゃないか」っていうアドバイスをもらいないがら歌詞の細かい部分を言い回しだったりを変えたりしながら。

 

小春:やはり監督さんのイメージに寄せていきたい気持ちはあったので。

 

――映画の主題歌を手掛ける際に、どんな部分を意識しましたか?

 

小春:映画の最後に主題歌が流れるときに、突然なんか空気の読めない音楽が始まる、みたいなのが嫌で。つながりが全然わからないようなのはあんまり好きじゃないんですよね。言ってみたら、エンドロールって一番余韻に浸ってるときじゃないですか。それを崩すのはちょっとな、と。せっかく主題歌やるんだったら、その映画の世界観に合ったものにしたかった。しかも今回は劇伴もやらせてもらったので、そこで主題歌のメロディーを散りばめたようなものを使うことで、あたかも聴いたことあったかのような感じに仕立ててみたんです。

 

――物語のなかで、現実逃避の夢の世界に導くようにチャラン・ポ・ランタンの音楽が流れてきます。

 

小春:シナリオを読んだときに、状況の説明みたいなところで「不思議なアコーディオンの音色が聞こえてくる」みたいな一節があったんですよ。それを見て、アコーディオンの音って馴染みがないんだなって改めて気づきましたね。

 

もも:「不思議なアコーディオンの音色」っていうのが、私たちにとっておもしろワードだったよね。

 

小春:全然不思議じゃないよ、みたいな(笑)。私が7歳の頃からアコーディオンを弾いているから、アコーディオンは生活のなかに馴染んでいて。私たちにとっては日常の音色なので、“不思議な音色”という感覚がもはやわからないというか。

 

――岡野真也さん演じる主人公のコトリについては、どう感じましたか? 現実が嫌になって夢の世界に逃避していくのですが。

 

小春:この映画って女の子の心の話で、言ってみたら、いい意味で男性の共感が得られないところも描かれている。男性から見たら「こんな女、嫌だな」とか思われてそうだけど、こちらからしたら「わかるわー」っていうシーンがあったり。さすがにあそこまでの子はいないだろうって思われるかもしれないですが、いますからね。

 

もも:普通にいますね。ああいう状況ってよくある。

 

小春:でも、こういう気持ちって、今まで曲にはしてないかもなって。チャラン・ポ・ランタンでは刺激強めのドロドロした恋愛を歌にするほうがしっくりきてたけど、女の子のちょっとした心の移り変わり、みたいなくすぐったい部分を曲にしてみるのもいいのかもなって。

 

――お二人とも、一人二役(逃避世界における役と現実世界のOL役)という形で出演しています。演技はどうでしたか?

 

もも:なにもかも新鮮でしたね。私も普段ステージで歌ってるときに、その曲のストーリーに入り込んで、その人に成りきってるけど、それとまた全然感覚が違った。カメラが回っている中で、なるべく自然に、というのが難しくて。

 

小春:普段から我々がオーバーリアクションすぎるのもあるんだろうけど。

 

もも:普通にしてても、「演技してるっぽい」って監督さんに言われたり。いつも歌ってるときって、歌詞が届くように、なるべくはっきりと歌うように意識してるので、自然と普段からハキハキ言葉を発してるみたいで。声が通り過ぎて不自然って言われましたね。もっと現実のOLさんみたいに自然なトーンで喋ったほうが、って。

 

――逃避した夢の世界で、主人公とチャラン・ポ・ランタンの三人で交わされる会話の掛け合いが素のテンションに近いなと感じましたが、あそこはどういった演出だったんですか?

 

小春:あそこはシナリオがほぼなかった。流れが書かれているくらいで。

 

もも:監督さんが三人に任せてくれて。

 

小春:「わかるー」みたいな女子の会話してましたからね。その場で出てきた言葉。心境の根底の部分って、やっぱりそのほうが素のまま出るんでしょうね。

 

――個人的に印象的だったシーンはどこですか?

 

小春:劇伴も担当するってなったときに、ある程度の場所は指定されつつ、「ここにも曲入れとこうかな」って自分で判断して増やしたりしてたんですね。そのなかのひとつで、職場でユカさん(もも演じるOL)がホラー映画の話をしてるときの、あのユカさんの感じが腹立ってね。

 

もも:私はあのシーン、楽しんでやってましたね。

 

小春:同じ会社にこんな人がいたらほんと嫌だなと思いながら、曲をかきました。「このマヌケ!」みたいなメロディーで(笑)。最後の編集段階で、一回なくなりかけたんですけど、監督さんが「そこは絶対残そう」って。

 

もも:私は、(岡野)真也さんと二人だけのシーンかな。「コトリさんって、そういう人なんですね。サイッテー」って私が言うんですけど、まだ撮影が始まったばかりのタイミングで、(撮影以外のオフ時間も含めて)真也さんと初めて言葉交わしたのがその場面だった。カメラトラブルもあって何十回とやり直したんですけど、初めての人にずーっと「サイッテー」って言わなくちゃいけなくて、(それを言われてる)真也さんにも申し訳ないし、言ってるこっちも気が滅入りましたね(笑)。

 

――主人公のコトリは、本のなかからいろんなことを学んだ、という設定なのですが、チャラン・ポ・ランタンのお二人にとって、大切な本を教えてください。

 

小春:母が絵本の絵描きなので、絵本が小さい頃からいっぱいあったんです。そのなかでも特に「おおきな木」っていう絵本かな。これは読んでほしいですね。いろんな捉え方がある。村上春樹さんが翻訳をしてから有名になっちゃったけど、私はその前の訳のほうが好きだったな。

 

もも:私は、ミヒャエル・エンデの「モモ」ですね。「もも」って本名なんですけど、その本から取っていて。「主人公のモモのようになってほしい」ってつけてくれたんです。

 

――11月11日にはニューシングル「メビウスの行き止まり」をリリース、12月からは「チャラン・ポ・ランタンと崩壊バンド ツアー2015 “Shiwasu de Gowasu”」も始まります。

 

小春:ツアーはもちろんなんですが、まずは「メビウスの行き止まり」を広めたいですね。とにかくブチあげることだけを考えて作った曲です。20曲ボツになって、ようやく決まったので、バッチリ仕上げていきたいと思っています!

 

 

取材・文/中谷琢弥




(2015年9月25日更新)


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Movie Data



©2015 Sony Music Artists Inc.

『飛べないコトリと
 メリーゴーランド』

●9月26日(土)〜10月9日(金)、
 [大阪]第七藝術劇場
 [京都]立誠シネマ
 10月10日(土)~23日(金)、
 [兵庫]元町映画館
 ほか全国にて公開

監督:市川悠輔
脚本:市川悠輔/内田わか
主題歌・音楽:チャラン・ポ・ランタン
出演:岡野真也/成田凌/渡辺佑太朗
   チャラン・ポ・ランタン/ほか

【映画公式サイト】
http://www.kotori-merry-go.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/167555/


Live

Pick Up!!

チャラン・ポ・ランタンと崩壊バンド
ツアー2015
“Shiwasu de Gowasu”

【大阪公演】
Pコード276-553
9月30日(水)昼12:00より先行発売
10月3日(土)10:00より一般発売

▼12月18日(金)19:00
梅田クラブクアトロ
全自由 3600円
※整理番号付、ドリンク代別途要
※3歳以上は有料。

【公演に関するお問合せ】
キョードーインフォメーション
[℡]0570-200-888

【公式サイト】
http://charanporantan.net/

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