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『リトルプリンス 星の王子さまと私』(2015年11月公開)
マーク・オズボーン監督&日本人クリエイター四角英孝が出席した
プレゼンテーションレポート

1943年の出版以来、全世界270以上の言語・方言で翻訳され、日本でも多くの読者に愛されているサン=テグジュベリによる不朽の名著『星の王子さま』。その、飛行士と王子の出会いと別れを描く物語と、“その後”を並行して描き出す注目のアニメーション映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』が、2015年11月に日本でも公開される。そこで先日、マーク・オズボーン監督とCGキャラクター監修を務めた日本人クリエイター四角英孝が来日し、大阪ステーションシティシネマにてプレゼンテーションを行った。
 
監督と『星の王子さま』の出会いは24年前。監督がアニメーターとしての夢を追う学生だった時代に、遠距離恋愛になった妻(当時は彼女)からプレゼントされたのがきっかけだった。たくさんの名言が詰まった『星の王子さま』の中でも、とくにふたりを支えたのが、“It is only with the heart that one can see rightly; what is essential is invisible to the eye.(本当に大切なものは目に見えない、大事なことは目に見えないところにある)”という文章。監督は「この本のおかげで僕らは、離れていても心で繋がりあう関係が築けたのです」と振り返った。
 
『星の王子さま』は監督にとってのみならず、世界中の人に大きな影響を与えている名著。監督は、映画化の話が舞い込んできたとき、すぐさま「映画化なんて無理だ」と断ったという。しかしまた、“It is only with the heart that one can see rightly; what is essential is invisible to the eye.(本当に大切なものは目に見えない。大事なことは目に見えないところにある)”この文章が頭に浮かんだ監督は、もしかしたら本を傷つけずに映画化する方法があるのではないか、と考えた。そこで、本の内容をそのまま映画にするのではなく、年老いた飛行士から星の王子さまの話を聞いた女の子を主人公に描く物語が生まれたのだ。
 
主人公が見る“星の王子さまの世界”はストップモーションアニメーションで、“現実世界”は最新のCGアニメーションで描かれるのが大きな特徴となっている本作。監督は「宮崎駿さんの大ファンで、ファンタジーとリアリティーがミックスされている『となりのトトロ』が持つトーン、スタイルにインスピレーションを受けました。宮崎さんが好んでくれるような映画を目指し、時間をかけて慎重に企画を練りました」と話した。
 
CGキャラクター監修を務める日本人クリエイター四角は「CGアニメは無機質で人のぬくもりが伝わらない。冷たい感じがする。キャラクターに感情移入できない。そういう印象があるのではないでしょうか? 6年間ディズニーの現場でいろいろと学びましたが、キャラクターを作る人たちはとても愛情を込めて作っています。ラフスケッチから始まり、特殊な粘土で3Gクレイモデルを作り、ただ歩いているだけでも性格や特徴を歩き方に表現。声を担当したキャストがどういう風に声を出すか、息使いなどをアニメーターは研究してそのキャラクターに反映します。また、実写映画と同じように衣装やヘアスタイル、画角や照明の調整も行います。ほんの数10秒のシーンでもいろんな作業工程があって、各パートの担当アーティストが3年ほど時間をかけて魂を込めて作りました。作り手の愛情が映画から伝われば嬉しいです」と本作にかける思いを語った。
 
最後に監督は「『星の王子さま』は70年前に書かれた本ですが、現代の人でも共感できる、時代を超えて人に訴えるメッセージとものすごい魔法のような力がある本です。映画も、“本当に大切なものは目に見えない、大事なことは目に見えないところにある”この言葉の持つ意味を大きなテーマに描いています。もし本をまだ読んでいなくても、この映画を通じて、この魔法の力に触れていただきたいです」とメッセージを送り締めくくった。
 
本作は、フランスで現在開催中の《カンヌ国際映画祭》にてワールドプレミア上映されることが決定し、英語版をはじめ、イタリア、中国など世界中のキャストが集結する予定。日本からも主人公の女の子を演じる鈴木梨央(10)、母親役の瀬戸朝香(38)、飛行士役の津川雅彦(75)の参加が発表されている。カンヌでも話題を集めるに違いない『リトルプリンス 星の王子さまと私』の公開は2015年11月。まだ少し先だが、どんな作品になっているのか。楽しみに待ちたい。



(2015年5月22日更新)


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左から、マーク・オズボーン監督、四角英孝(キャラクター監修)

Movie Data


©2014 LPPTV - Little Princess - ON Entertainment - Orange Studio - M6 Films

『リトルプリンス 星の王子さまと私』

●2015年11月公開

監督:マーク・オズボーン
キャラクター・デザイン:ピーター・デ・セヴ
CGキャラクター監修:四角英孝

【公式サイト】
http://wwws.warnerbros.co.jp/littleprince

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/166027/