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『《ゲキ×シネ》蒼の乱』5都市で行った舞台挨拶行脚の最終日
主演を務めた天海祐希が登壇した舞台挨拶レポート

 劇団☆新感線の舞台を何台ものカメラで捉え、臨場感たっぷりな映像と音響で大スクリーンに映し出す《ゲキ×シネ》シリーズの最新作『《ゲキ×シネ》蒼の乱』が、全国で大ヒット上映中。5月9日の公開初日から始まった5都市での舞台挨拶行脚の最終日にあたる12日(火)には、梅田ブルク7に本作で主演を務めた天海祐希が鮮やかな赤いワンピース姿で登場。通常の舞台挨拶より長めの時間を使って、作品のことはもちろん、応援してくれるファンへ感謝の言葉を贈った。

――まず、ご挨拶からお願いできますでしょうか。
 
天海:みなさんに『蒼の乱』を観ていただくことができて本当に幸せでございます。生の舞台を劇場で観てくださった方、なかなか都合がつかず劇場でご覧いただけなかった方、両方の方に楽しんでいただける《ゲキ×シネ》となって返ってまいりました。どうぞ楽しんでください。よろしくお願いいたします。
 
――(客席に向かって)生の舞台を観た方は今日どれぐらいいらっしゃいますか?
 
会場:(8割~9割が挙手)
 
天海:(客席を見渡して)おー8割くらいですかね。
 
――天海さんは、この公演で印象的だった思い出はありますか?
 
天海:舞台のことは…うーん(少し考えて)、一生懸命だった! 思い出が何もないわけではないんですよ。ありすぎるのと、初めて観る人もおられるから何を話せばいいのか分からなくて。とにかく頑張りました。あとは…いか焼きをどうしても食べたくて、2、3回終演後に食べました。外に出る時間があまりなかったから1枚から届けてくれるってのが嬉しくて(笑)。
 
――天海さんにとって劇団☆新感線の魅力ってどういうところにありますか?
 
天海:ちょっと離れて見るともの凄い技術とチームワークを持ったプロ集団、ちょっと近寄ると世話好きで愛すべきおせっかいな人たちです。自分が客席から新感線を観ると「なんでこんな上手いんだろう、すごいんだろう」って悔しくなりますけど、共演するとこんなに心強い人たちはいない。今回ね、古チン先輩(古田新太)がいないのはちょっと残念でしたけどね。古チン先輩から「(新感線を)よろしく頼むね」なんて言われちゃって。
 
会場:(天海が何度も言う「古チン先輩」に笑いが)
 
――古田新太さんは『蒼の乱』を観て何かおっしゃっていましたか?
 
天海:早い段階で観て下さって、「良かったよ~」と言ってくださいました。ああ見えて、とてもシャイな方なんですよ(笑)。
 
――劇団☆新感線のメンバーとの共演は4年ぶりだったとうかがっていますが、すぐに呼吸などは合いましたか?
 
天海:いえいえ。みなさんが合わせてくださるんですよ。新感線のメンバーからしたらそんなのお茶の子さいさいなんですよ。
 
――その他、将門役の松山ケンイチさんは新感線初参加だったんですね。
 
天海:堂々としていて、いい意味での田舎っぽさがね~。
 
会場:(笑)
 
天海:なんで笑うの? 冗談で言ってるんじゃなくて本気ですよ。都会の人間には真似できない、牧歌的な大きさを感じさせてくれる、風や草の匂いを表現できる役者さんは他にいないと思う。彼が見上げればそこに青空が広がっているのが見えるような。あと、心を締め付けられる笑顔をする。わたしは割りと複雑な役どころだったんですが、彼のおかげで自然に演じられた気がします。出演者のみなさん、スタッフのみなさん、おひとりおひとりのおかげでわたしは演じられたと思っています。
 
――今回演じられた蒼真という役と天海さん自身に共通点はありましたか?
 
天海:そんなこと考えませんよ。反乱おこしたこともないし(笑)。
 
会場:(笑)
 
――共演者の方々とは普段どんなお話をされたんですか?
 
天海:高田聖子ちゃんと森奈みはるちゃんとわたしは同い年なので、その世代の話ですよ。「最近さぁ肌の調子がさぁ」とか。
 
会場:(笑)
 
天海:「何食べてる?」とか情報交換したり。あと、舞台が終わった後に3人で人間ドックに入りました。
 
会場:(笑)
 
天海:あと、橋本じゅんさんからは笑いの場面で「こうしたらええで!」とかアドバイスをもらったり。橋本じゅんさんが演じられる役がですね、とある装置を身に付けてるんですが、毎日ずっと鏡の前で練習していらっしゃいました。汗ダラダラかきながら。人間こんなこともできるんだって思いましたね。何の役を演じているかは観ていただけたらと思います(笑)。
 
――天海さんが別のキャラクターを演じるならどの役がいいですか?
 
天海:インディ(高橋)さんの役がいいです。パンチパーマがいいでしょ! パンチパーマのかつらに普通のサイズの烏帽子をもともとかぶってらっしゃったんですがわたしがどうしても「小さい烏帽子にしてほしい」ってお願いして。それで小さい烏帽子をちょこんと乗せてるんですよ(笑)。インディさんのシーンはずっと舞台袖から見てました。そしたらたまにこっちに向かって歩いてきてくれたりしたんですよ(笑)。烏帽子の小ささ見どころです(笑)!
 
――烏帽子の小ささが見どころとのことですが、それ以外の見どころもたくさんありますよね(笑)?
 
天海:キャストもスタッフも誇りを持って完璧だと思って頑張ってますから、もちろん全部見どころなんですけれど。個人的には『蒼の乱』というタイトルがバンッと出てくるところですかね。後ろにいくつもの流れ星が流れてテーマソングがかかるんです、あの場面は何度やっても泣きそうでした。ふたり(天海と松山ケンイチ)がステージのセンターで空を見上げるんですけど、それが清々しければ清々しいほど、希望に満ち溢れていれば希望に満ち溢れているほど、これからのふたりを考えると切なくなるんですよ。その場面ね、ステージが動くのでケンちゃんはセンターが分からず、後から「いちかばちかで行ってた」と言ってました。わたしは切なくなってるのに「どういうことや」ですよね(笑)。でもそういうところも将門っぽくていいですけどね。
 
――《ゲキ×シネ》となった『蒼の乱』は観られていかがでしたか? 客観的に楽しめるものですか?
 
天海:楽しめないです。自分の事に関しては反省点ばかり見えて。でも、1年前のわたしにはこれが精いっぱいでこれが限界だったと思うんですよ。でも1年経って、今のわたしが観て「まだまだ行ける」と思うということは成長してるということだと思う。その悔しさがなかったら成長はしないと思っています。過去の自分にがっかりすることが自分にとってのバロメーターだと思っています。これが「わたしすごい、完璧」と思ったらもうお仕事しないと思います。みなさんどんなお仕事でもそうですよね。どうですか? マスコミのみなさん?(取材陣に声をかける)
 
取材陣:(急に声をかけられて驚きながらも頷く)
 
――まさかね、投げかけられるとは思いませんでしたね(笑)。
 
会場:(笑)
 
天海:私たちの仕事が、みなさんの潤いになると嬉しいですね。泣いたり、笑ったりがストレス発散になると言いますし。この(今日集まった)みなさんと同じ場所で同じ作品を観ることなんてもうないんですからね。楽しんでいただけたらと思います。歌あり、踊りあり、笑いあり、涙あり、“怒り”もあります。
 
――《ゲキ×シネ》を天海さんは客観視できなくて楽しめないとのことですが、みなさんにはどういうところを楽しんでいただきたいですか?
 
天海:《ゲキ×シネ》の良さね。それは分かりますよ。生の舞台ではご贔屓の役者さんばかりを目で追ってるとついつい見逃すところとかあるでしょ? こうやって(オペラグラスで観る手振りをして)一人を観てるでしょ? あれ、舞台側から見て分かるんですよ。あ、端見てるなとか。
 
会場:(笑)
 
天海:台詞がなくて後ろに立ってるときとかみんな客席を見てますよ。気をつけてください、みなさん(笑)。そうやってね、一人を追うとストーリーが入ってこなかったり、ここポイントですよってところに気づかないまま過ぎてしまうこともあると思うんです。でも《ゲキ×シネ》の場合はですね、「こちらを見てください」というガイドさんがいるようなもの。ゆったりしたお席で流れに身をまかせて観るだけで、自然と笑い、泣き、自然と拍手を贈ってしまうような体験が出来ます。笑いながらとか拍手しながら観てほしいですね。
 
――自然と笑ってしまうところが多々ありますよね(笑)。
 
天海:あります、あります。橋本じゅんさんの登場は演劇史に残ると思います(笑)。
 
――ここでお客様からの質問をひとつご紹介したいと思います。「舞台に立つ直前にするジンクスみたいなものはありますか?」
 
天海:直前ではないですが楽屋入りしたときに「お客様ひとりひとりに心が届きますように」とか「楽しんでいただけますように」と舞台の神様に毎日お願いはしますね。
 
――では終演後にすることとかありますか?
 
天海:終演後は、お化粧落としてとっとと帰ります。舞台で全力出し切っちゃうから、放っておくと何時間でもボーッとしちゃうんです。終わったときの勢いに乗ってバーッと帰らないとそのまま動けなくなるんです。毎日お酒を飲んでリセットするようなタイプではないので家に帰ります。でも、これから観るのにどんだけ疲れてるかは気にしなくていいですよ(笑)! 「全力だな」と思って観てもらいたいけど「疲れてるんだろうな」とは思ってほしくないですから(笑)。
 
――最後にメッセージをお願いします。
 
天海:『《ゲキ×シネ》蒼の乱』が公開になってから、会場をいろいろと周らせていただきました。各地のみなさまにお会いできて本当に嬉しかったです。こんなにたくさんの方に応援していただいているのだなと感じて心から感謝しています。反対にね、「わたしは元気ですよ!」ということをみなさまにお知らせしたくて今回いろいろと周りました。本当に元気ですので大丈夫です。
 
会場:(拍手)
 
天海:みなさんの応援が何よりの支えです。本当にありがとうございます。初日が明けたら千秋楽まで必ず立てるというわけではないことを経験してしまったので、初日のご挨拶も千秋楽のご挨拶もやるということをモットーに頑張った公演です。夢がかなって本当に幸せです。これからも元気で、また新感線と一緒に仕事出来るよう頑張っていきたいと思います。『蒼の乱』楽しんでください。DVDも良かったら買ってください(笑)。また舞台で大阪に来れるように頑張りますので楽しみにしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。



(2015年5月14日更新)


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天海祐希
 

Movie Data


©2015 ゲキ×シネ『蒼の乱』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線

『《ゲキ×シネ》蒼の乱』

●梅田ブルク7ほかにて上映中


【公式サイト】
http://www.aonoran.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/167013/