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「自分の弱い部分をどんどん克服して強くなりたい
という思いがお芝居への挑戦に繋がりました」(松本)

『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』
松本利夫(MATSU from EXILE)、内片輝監督インタビュー

 EXILEの人気パフォーマー、MATSUこと松本利夫が『LONG CARAVAN-ロングキャラバン』以来4年ぶりに主演を務める映画『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』が11月23日(土)より、大阪ステーションシテシネマほかにて公開に。アクションスターを夢見て都会に出た主人公・定虎が、結婚詐欺師にダマされて多額の借金を背負うところから始まり、借金取りに追われ辿り着いた故郷の岡山・牛窓で、幼馴染の妹にひとめ惚れ!? さらに隠し子騒動まで勃発! コミカルながらも、離れていても唯一無二の存在である"親子"の絆や、血は繋がらなくともいつもそばにいてくれる"地域"の絆に溢れた日本人ならではの温かさが描かれる。そこで、主演の松本利夫(MATSU from EXILE)と内片輝(うちかたあきら)監督にインタビューを行った。

――まず、主演に抜擢された時のお気持ちはいかがでしたか?
松本利夫(以下、松本):「よっしゃー!」という気持ちと同時にプレッシャーも感じましたが、とにかく良い作品にしたいなと思いました。脚本を読んだときは、『男はつらいよ』シリーズの寅さんや漫画のキャラクターで言うと「こち亀」の両津勘吉のようなイメージが沸いたので、それらを参考にしながら演じさせていただきました。
 
――確かにこの映画を拝見すると、真っ先に『男はつらいよ』が浮かびました。
内片輝監督(以下、内片監督):リスペクトの意を込めたオマージュ的なことは考えながら撮りました。松本利夫という役者は渥美清とはもちろん違いますから、一緒にはなりません。オリジナルの人情溢れる男になってほしいなと思って撮りました。人に愛されるキャラクターで、尚且つ松本利夫らしいアウトプットの仕方になるよう一生懸命に調節をしながら相談してできたキャラクターなんです。
 
――定虎を演じる上で難しかったところはありましたか?
松本:自分の思っていた定虎像を監督が思い描く定虎像へ撮影に入ってからすり合せていったという感じでしょうか。台詞に普段使わないような言い回しがあったのですが、監督はそこに定虎らしさを込めていて、そういう部分が大事だったり。そこに“らしさ”が詰まっていたんだなというのは、後々感じたのですが、撮影している最中は結構大変でしたね(笑)。あと、実際にキャストの方々と向き合って初めて分かる温度感とか。やっぱりその場で作られていくものというのは現場ですごく感じたので、それも大変でした」
 
――映画のクライマックスに地元の踊り「うらじゃ」を踊るシーンが印象的です。
松本:イタリアンやフレンチのシェフが和食を作れるかというとまた別ものなんですよね(笑)。今までに経験したことのないカウントの取り方や形ということもありましたが、その踊りの根底にあるものが見えないと表現していても味が見えない。だから振り付けを教えてもらって、形は出来てもどこかしっくりこないなと思っていて。そこから「うらじゃ」の歴史を調べました。「うらじゃ」という言葉もそうですし、牛窓、岡山の地にはキーワードとして“鬼”が出てくるんです。だからメイクもそういうメイクだし。そういうものを掘っていって、自分に中に取り入れていったという感じでした。それでやっと自分の表現として「これだ」と思えて自信に繋がるんだと思います。
 
――監督が「うらじゃ」のシーンでこだわったところがあれば教えてください。
内片監督:まず、定虎がみんなを巻き込んで元気にしてほしいという思いがあって、何を持ってそれが実現されるのかと考えたら、やっぱり地元ならではのお祭りや慣わしである「うらじゃ」がぴったりだった。実際に地元の方々が毎年一生懸命、取り組んでらっしゃるものだから、その熱量は絶対に良い方向へ作用するなと思ったんです。撮影に参加してくださったエキストラの方も実際に「うらじゃ」をやられている方ばかりなので、すごく助かりました。
 
――EXILEでの活動と役者としての活動。お名前も変えてらっしゃいますがご自身の中で切り替えているようなところはあるのですか?
松本:EXILEでのライブやテレビ、ひとりでのバラエティ番組、それぞれ切り替えはあります。お芝居でも役柄によってそれぞれスイッチは違いますし。ただ、何に対してもスイッチは変わりますが、そこに対して自分自身が集中するというところは変わらない。今、やるべきことに集中するということ。それに対しての情熱、熱量は変わらないんです。ずっと踊ってきた人間ですが、ダンスと同じくらい情熱を注げるのがお芝居でした。楽しくて時を忘れる。苦労もあるけど苦労とは感じないのです。
 

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――役者をはじめられたきっかけは何だったんですか?
松本:最初は舞台からです。今でもそうなんですが、基本的には表に出るようなタイプじゃないと自分で思っていて。昔からダンスをやっていて、それが仕事になって今こうしてやらせていただいていますが、ものすごく照れ屋だったり人見知りだったりするので、そういう自分の弱い部分をどんどん克服して強くなりたいという思いがお芝居への挑戦に繋がりました。それと僕は持病を抱えていて、一番つらいのは体の痛みよりも心の痛み。何をやっても負けちゃう、やる前に負けちゃう。今までは、やらないで後悔していることがすごく多かったんです。そんな時に独り舞台のお話を頂いて。最初は不可能だろうと思いましが、やらないで後悔するのなら、やって後悔する方がいいかなという挑戦から、独り舞台は始めました。今年で3回目ですけど、いずれ日本武道館で公演するのが夢です(笑)。
 
――3回目にして、大阪では初公演でしたよね。大阪の観客の反応はいかがでしたか?
松本:まさかの単独ツアーですね(笑)。独り舞台なので2分に1回くらい笑いがないと、もたないんですよ。お芝居として取り組んではいますがコメディ色が強いので、その分、大阪の観客の皆さんは厳しいのではと不安もありました。でも、とても反応が良かったというか、みんなすごく楽しんでくれて。むしろ、かなり盛り上がってくれた印象はありましたね。公演後のハイタッチ会で「面白かったで~ええキャラやな~自分~」と声を掛けられました(笑)。
 
――大阪と言えば、この映画のラストには大阪が出てきますよね。
内片監督:地方と都会のギャップが出せたらいいなと思って。あのシーンだけがすごく近代的な背景になるので。そういう意味であの場所はぴったりでしょ? この映画が上映される劇場のすぐ近くなので、そこも大阪の方には楽しんでいただけると思います。よろしくお願いします!



(2013年11月21日更新)


Check
左から、松本利夫(MATSU from EXILE)、内片輝監督

Movie Data




(C)2013「晴れのち晴れ、ときどき晴れ」製作委員会

『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』

●11月23日(土)より、
 大阪ステーションシティシネマ/
 なんばパークスシネマ/MOVIX京都/
 TOHOシネマズ西宮OS/MOVIXあまがさき
 にて公開

監督:内片輝
脚本:八津弘幸(TVドラマ「半沢直樹」)
出演:松本利夫
   宮崎香蓮/白石美帆
   林泰文/さとう珠緒 /大浦龍宇一
   榎木孝明(特別出演)
   多岐川裕美/綿引勝彦

【公式サイト】
http://www.harenochihare.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/163336/