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『R-18文学賞 Vol.1 自縄自縛の私』
主演・平田薫インタビュー&
平田薫&竹中直人監督が登壇した舞台挨拶レポート

『無能の人』『サヨナラCOLOR』などの作品で監督としても高い評価を得ている俳優の竹中直人が、“女による女のためのR-18文学賞”で大賞を受賞した蛭田亜沙子の同名小説を映画化した『R-18文学賞 Vol.1 自縄自縛の私』が梅田ブルク7ほかにて上映中。主人公の立花百合亜は、大学時代にネットで自縛の世界を知り、密かな趣味にしていた。しかしある日、恋人にその趣味がバレてしまい別れを告げられてしまう。そして、この経験がトラウマになり自縛趣味を封印していたが、職場のストレスが重なって再び縄を手にし……。タイトルのインパクトは大きいが、本作はヒミツの趣味を持つ女の子の心象風景を繊細なタッチで描き出す青春映画。現代の働く若い女性の代表ともいうべきヒロインを軽やかに体現してみせる主演の平田薫にインタビューを行った。

 

――最初にこの話がきた時の気持ちはいかがでしたか?
 
「最初は“自縄自縛”という字の読み方も知らないし、自分で自分のことを縛ると言われてもよく分かりませんでした。でも、原作や脚本を読んでみると、百合亜の感情の変化がすごく伝わってきて。“縄”で縛ってみて何か感じるかというとそれは感じませんでした。たぶん女性だったら誰でも百合亜というキャラクターに共感出来ると思うので特に気構えはなかったですね。」
 
――ヒロインの百合亜と平田さんに似ている部分はありますか?
 
「演じる上で自分と似ているところを探したりはしませんでした。ただ、百合亜という女の子の気持ちは女性として理解出来る。百合亜以外もこの映画には変わった人がたくさん出てきますが、普段はどんな人かなんて分からないし、今、仕事してても周りのみなさんが本当はどんな人かなんて分かりませんよね。この映画の世界が意外とリアルなのかもしれない。だから共感したり感情移入できる部分も多いんじゃないかなと思います。働く女性の中には、ストレスを抱えてる方も多いでしょうし、たまたま気持ちのはけ口がそっちにあったというだけで。百合亜の行動が普通に受け止められるというか。百合亜が自分を縛ることが特別なこととは思いませんでした。」
 
――ある意味、はけ口をみつけて百合亜は幸せなんですね。
 
「最初は戸惑いもあるんですけど、百合亜が自分自身を縛ることで気持ちを解放できるというところを、すごくかっこいいなと思いました。」
 
――“縛る”と“解放”って言葉で表すと真逆ですけど、百合亜にとっては同じなんですね。
 
「仕事で周りに振り回される日常から、自分の世界に逃げるという意味での解放感があるんじゃないかなって思います。」
 
――では、平田さん自身は日々どうやってストレス発散していますか?
 
「お仕事の期間や撮影中は控えてるんですが、時間が出来て「今だ」という時に、家でひとりで飲むんです。ひとりだと人に迷惑もかけないし。家だと自由に醜態さらせるのがいいんです(笑)。楽だし(笑)。」
 
――分かります(笑)。
 
「ひとりで焼き鳥屋に行って、カウンターの隅っこで日本酒とか飲みながら周りのおじさんたちの仕事の愚痴を聞いたりとかも楽しいですね。」
 
――渋い(笑)! 基本的にひとり行動派ですか?
 
「寂しい時は寂しいんですけど、自分がやりたいと思った時にすぐやりたいんです。今お腹空いて、ラーメンが食べたいって時に、誰か一緒に食べれる友達を探したりすると、ラーメンがおあずけになっちゃうじゃないですか(笑)。自分の思うがままに自分のタイミングで動けるのが好きだし楽なんですよね。」
 
――性格はどちらかというと男っぽいんですね。この映画って平田さんの清潔感が魅力だと思いましたがエロティックに見せないために気をつけたことはありましたか?
 
「わたし、色っぽい体でもないですし、たぶんそういうところも見て百合亜役に選んでくださったところもあると思うので、気をつけたことは特にないんです。わたしのこの感じでいやらしく見せる方が難しいかもしれない(笑)。ただ、タイトルだけね。タイトルを言っただけで「え~?!」となっちゃう人も多いと思うんですけど、そんなことないですからね。」
 
――とてもよくお似合いなショートカットも清潔感を醸し出していた気がします。以前は、ロングヘアーでしたが、どういうタイミングでショートにされたんですか? 
 
「ボブとかロングの女の子は多いんですけど、今のわたしくらい短くなると、こういう雰囲気じゃないと出来ない役にチャレンジ出来ますよね。そういうのも魅力だったし、単純に切りたかったというのもあります(笑)。百合亜という役も髪が長かったらまた印象が違ったかもしれないですね。」
 
――本当、そうですね。では、次は現場での話を聞かせてください。竹中監督はどんな方なんですか?
 
「『無能の人』も面白かったですし『サヨナラCOLOR』も可愛らしくって、お会いするまでピュアで繊細な作品とイメージが結び付かなかったんですけど、実際お会いして一緒に現場にいると本当に繊細でピュアで優しい方でした。この作品も、竹中監督だったからこそ可愛らしい作品になったんだと思います。」
 
――竹中監督の演出は?
 
「ずっと何をやっても「役者のことを守るのが僕たちの仕事だから何やってもいいよ。」「いつも見てるから心配しなくていいよ。」「大丈夫だよ。」と声を掛けてくださるし「百合亜ってこうだから絶対こうして!」ではなく「百合亜ってきっとこうだよね。」と感覚的に教えてくださる感じで、迷ったり悩んだりしないまま撮影を終えることが出来ました。本当に演者を一番に考えてくださっていて、演じやすい環境でした。」
 
――この作品に出たことで女優としての心境の変化はありましたか?
 
「本当にすごくリラックス出来る居心地のいい大好きな現場だったんですけど、ずっと居心地のいい場所に居続けずに、また新しいことにチャレンジ出来るきっかけが来たら、いつでも挑戦していけるくらいの心構えを常に持っていられるような進み方をしていたい。と、この作品を撮り終えて思うようになりました。」
 
 



★『R-18文学賞 Vol.1自縄自縛の私』舞台挨拶レポート★

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主演の平田薫&竹中直人監督が登壇した
『R-18文学賞 Vol.1 自縄自縛の私』舞台挨拶レポート
ふたりが秘密にしているストレス発散法とは?
 
 一般公開に先がけ行われた試写会は、映画はもちろん当日のゲストの登場に、今か今かと期待に胸を膨らませた観客で満席に。そんな中、花柄の派手なスーツの竹中直人監督と、レトロな赤と白のストライプのワンピース姿の主演・平田薫が登場。大きな拍手が巻き起こった。
 
 まず、最初の挨拶を済ませた後、今回の撮影に挑んだ時の気持ちを平田は「知らないことに挑戦できるという好奇心でいっぱいでした。」と爽やかにコメント。また、竹中監督は「まさか自分がこういう世界を映画にするとは思っていなかった。でも、いざ撮ってみると結局、自分の世界観に繋がっていったと思う。」と、小指をピンと立てながら語った。そして、今回色々な意味で体当たりの演技を見せる平田の抜擢について、竹中監督は「あまり肉感的な女優さんは考えてなかった。平田さんに初めてお会いした時に「彼女しかいない」と思った。」と運命的な出会いだったことを明かした。そして、俳優でもある竹中監督の演出について、平田は「実際に見本として演技を見せてくれた時は、あまりにもお上手で焦りました。」と、笑顔で告白。それはこの映画の中で、最も重要とも言える“縄”を愛でるシーンだったとのことで、舞台上で再現する竹中に会場を大きな笑いが包んだ。また、この映画の内容に因んで、周りの人が知らない“秘密”、自分だけのストレス発散法を聞かれて、平田は「お酒飲むのが大好きで、500ミリリットルの缶ビール6本セットとワインをひとりで全部あけます。それで、テレビに向かってひとりで話しかけたり、べろべろになります。結構、醜態さらしてますが、ひとりですっきりしてます。」とコメント。見た目の知的で清楚なイメージとはかけ離れたエピソードに場内にはどよめきが。そして、竹中監督は「僕はフィギュアのマニアで『ダークナイト・ライジング』のアン・ハサウェイのキャットウーマンのフィギュアが出ないかなと思って楽しみにしてる! ヒース・レジャーのジョーカーも何体も持ってます! 昔からずっと集めていて、フランケンシュタインとかユニバーサルの昔のホラーのモンスターも大好きで。それを愛でるのが大好きなんです! ブルース・リーもいっぱい持ってます! 旅公演とか地方ロケにはブルース・リーのフィギュアだけは持っていく。それで自分の部屋に置いて写真を撮るんです(笑)!」と少年のように目をキラキラさせて語り、会場の笑いを誘った。
 
 また、舞台挨拶の終盤には“秘密”というキーワードに関連付けて、サプライズで平田から竹中監督に「感謝の言葉といつか共演したい」という思いを綴った手紙のプレゼントが。竹中監督は「こんなことは初めて!」と感激した様子だった。そして最後に竹中監督は「平田薫さんがとても魅力的で、タイトルの割にに美しい青春映画になってるんじゃないかと思います。今回はわたくしが出てないんですっきり観れると思います。」と締めくくった。

(2013年2月 5日更新)


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平田 薫…1989年生まれ、宮城県出身。中学2年より「CANDy」の専属モデルを経て、ANB「魔法戦隊マジレンジャー」のヒロイン役で女優デビュー。2004年度ヤングジャンプ“制コレ”準グランプリ。主な映画出演作は、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07/中村義洋監督)、『るろうに剣心』(12/大友啓史監督)など。TVドラマでは「深夜食堂2」(11)、「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」などに出演。その透明感と屈託のない笑顔で注目を集めている。

Movie Data





(C)吉本興業

『R-18文学賞 Vol.1自縄自縛の私』

●2月2日(土)より、梅田ブルク7ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.r18-jijojibaku.com/

【ぴあ映画生活】
http://cinema.pia.co.jp/title/160514/