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“悪羅悪羅(オラオラ)系”と呼ばれる若者たちの
葛藤と争いをスリリングに描く『アラグレ』で主演デビュー
『桐島、部活やめるってよ』でのバレー部員役でも好演を見せた
注目の俳優、鈴木伸之インタビュー

 大人気ヤンキー映画シリーズ『ガチバン SUPERMAX』の権野元監督が手がけた最新作『アラグレ』が1月12日(土)より、シネマート心斎橋にて公開。六本木を舞台に“悪羅悪羅(オラオラ)系”と呼ばれる若者たちの葛藤と争いをスリリングに描きだす。主人公・氷室星哉(鈴木伸之)は、かつてヤンキーグループ“東京∞”に所属していた。そして、ある日そのグループの初代総長・高倉(高橋努)が出所することを知る。高倉の逮捕の責任の一端が自身にもあると思っていた星哉は、高倉に尽くすために共に行動することを決意するのだが……。昨年はドラマ『GTO』『シュガーレス』や映画『桐島、部活やめるってよ』に出演した劇団EXILEの鈴木伸之が映画初主演を務め、同劇団の秋山真太郎や野替愁平、そして趙民和、高橋努、遠藤雄弥、山口祥行ら勢いのある俳優陣の活躍が光る1作として注目してほしい。そこで、主演の鈴木伸之に話を訊いた。

 

――実際の鈴木さんは、映画の中の星哉と同一人物とは思えませんね! 映画の中ではがっしりした感じに見えましたが役作りのために肉体改造をされたんですか?
 
「一番最初にこのお話をいただいた時に嬉しいのと一生懸命やらなきゃなという気持ちが一気にきて、嬉し過ぎて今すぐ何かやらなきゃ! と思ったんです。一応、日頃から鍛えてはいますが、前の作品の撮影とこの作品の撮影に入るまでの間が1週間弱しかなかったので、トレーナーさんに教えてもらってとにかく大きく見えるように鍛えました。でも、体重自体は1キロ減ったぐらいで。体脂肪率が変わったんだと思います。」
 
――今回演じられた星哉という男に関してどんな印象をもたれましたか?
 
「まっすぐで前向きな奴。思ったことをすぐ口に出したり行動にも移します。この映画を観てくれたお客さんが氷室星哉という役に感情移入して観てもらえたら、スカッとするんじゃないかという印象があります。」
 
――そんな星哉と自分が重なる部分はありましたか?
 
「ストレートというか、僕もいろいろ考えたりするのが苦手なので、単純なところは似てるかもしれないですね。」
 
――単純な内面は理解出来ても、演じる上では難しいところもあったんではないですか?
 
「いやぁ、全部難しかったですけどね。でも、役柄について監督と話し合いも出来ましたし、自由に全力で演じさせてもらったので安心感がありました。」
 
――では、撮影で印象に残っているエピソードがあれば教えてもらえますか?
 
「後半の方で、エレベーターのドアが開いて僕が現れるシーンがあるんですけど、気持ちが上がってしまってどこかに手を掛けていたようで、ドアが少し開いたところでビーッ! と警告音が鳴ってすぐに閉まっちゃったんです。それで、わ!やっちゃったと思って(笑)。しかもそれを3回もやっちゃったんですよ(笑)。3回もしちゃった後は、周りのみんなに本当に申し訳ないと思いました。それで、エレベーターにふざけんな! って怒っちゃいました(笑)。」
 
――(笑)! 気持ちが前へ前へ行ってたんでしょうね。共演者の方々は強面な方が多いですが現場はどんな感じでしたか?
 
「実は共演者の方々と初めて会ったのは撮影初日の前日だったんです。前日にした本読みの時が初対面だったので「明日からお願いします」と挨拶を交わしたその翌日から撮影でした。この作品って仲間意識を描いた作品だけど、それを演技の中に出せるのかなと不安もありましたが、いざ撮影に入ってみたら、高橋努さんにはアクションのことで「もっとこうしたらこう見えるよ」とか色々アドバイスをいただいたりして、みなさん本当に優しい先輩方で引っ張ってくださいました。」
 
――アクションも大変だったと思いますが、参考にした映画などはありますか?
 
「参考にしたらいいよと何作か貸していただいて観たんですが、その中でも『哀しき獣』(ナ・ホンジン監督)は臨場感がすごくて本当に面白くて勉強になりました。でも、自由に僕のいいところが出せたらいいなって感覚でやらせてもらってるところがあったので、すごく楽しく演じられました。」
 
――では、肉体改造以外に役作りのために何かしたことはありますか?
 
「映画の中にいくつか実在のラーメン屋など店の名前が出てくるんですけど、そこを役作りの一環で秋山さん(劇団EXILE)と一緒に回らせてもらったり、その店周辺にはどんな人がいるんだろうと見回しながら歩いたりしました。六本木ってあまり行ったことがなかったんですけど、行ってみるとにぎやかで新宿や渋谷とはまた違ったネオンの街といった雰囲気がしました。」
 
――この映画の面白いポイントはどういうところにあると思いますか?
 
「現場で一回もモニターを観ていなかったんですけど、初号試写を観させてもらったら、すごいスピード感があってドラマ性も笑える部分もありますし、最初から最後まであっという間に観れるところが面白いんじゃないかなと思います。自分自身は課題だらけですけど。」
 
――ちょっとした恋の予感もありますが、結局、男同士の話というのが面白いですね。
 
「そうですね。撮影時は凛という女の子と一緒にいるシーンはちょっと肩の力が抜けるような感じになってるのかなと思っていたんですが、想像とは違ってそういったシーンもひとつの流れになってる感じが面白いと思います。」
 
――どこを特に観てほしいなどありますか?
 
「いやぁ、映画館に行ってもらえるだけで本望です。スクリーンで是非観てほしいです。」
 
――もともと役者希望だったんでしょうか?
 
「最初は、歌を歌いたくて歌のオーディションを受けさせてもらったんですが、歌は下手くそで落ちたんです(笑)。でも、そこで声をかけられたのが最初のきっかけで養成学校のようなところに半年ほど通わせてもらいました。その最初のオーディションに落ちたのが悔しくて、それで歌とか役者とか関係なく何でも挑戦してやろうという感覚で受けた劇団EXILEオーディションで選んでもらってお芝居を始めさせてもらいました。今は本当に感謝してます。しっかり勉強していい俳優さんになれるように頑張りたいです。」
 
――ミュージシャンの役やミュージカルへの出演もいいですね。これから特に演じてみたい役柄はありますか?
 
「戦争モノに出演したいです。映画も色々観てますが、テレビだと『15歳の志願兵』(NHKドラマ)とか。観ていて、この人この時どんな気持ちだったんだろうとか考えさせられるんですよね。実際に戦争に行った人が存在して、それで多くの人が亡くなってるわけじゃないですか。今では考えられないなと思います。ただ、それをお芝居ででも触れられる機会がもしあれば今の自分にとってプラスになることが多いような気がしています。あと命が関係する作品って重いかもしれないけど、お客さんに命の大切さが伝わりやすい。泥まみれで突っ込んで行くような役を演じてみたいです。」
 
――では、プライベートでもいいんですが、何か挑戦したいと思っていることはありますか?
 
「車の免許を取りたいと思っています。」
 
――色々と勉強熱心ですね。2012年はたくさんの話題作に出演されましたが、どんな1年だったと思いますか?
 
「作品や周りの人に恵まれたというのがすごくあって、その恵まれた中でも、また悔しい思いもたくさんあったのでもっと頑張らなきゃと思いました。本当に最高の環境で勉強させてもらった1年という感じですね。」
 
――では、2013年はどんな1年にしたいですか?
 
「去年勉強したことを活かして、また去年出来なかったことにも挑戦して、ちょっとづつ前へ進んで行きたいと思います。」
 
 
 爽やかで好青年、勉強熱心でまっすぐといった印象の彼。『桐島、部活やめるってよ』でのバレー部員も素晴らしかったが、映画『アラグレ』の中では、完璧に悪羅悪羅(オラオラ)系を演じきっている。肉体改造したとは言え、骨格からまるで別人のような印象を受けるからすごい。そんな彼の姿を是非、劇場で確認してほしい。
 



(2013年1月11日更新)


Check
■鈴木 伸之……2010年8月、第3回劇団EXILEオーディションにて応募総数約2000人から選ばれた若き俳優。主な出演作品は、舞台『ろくでなしBLUES』(2010年)、『もしもキミが。』(2011年/堤幸彦演出)、『シダの群れ 純情巡礼編』(2012年/岩松了演出)、TV『ろくでなしBLUES』(2011年)、『GTO』(2012)、『シュガーレス』(2012年)、映画『桐島、部活やめるってよ』など。

Movie Data

(C)2013「アラグレ」製作委員会

『アラグレ』

●1月12日(土)より、シネマート心斎橋にて公開

【公式サイト】
http://aragure.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/161483/