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ホーム > インタビュー&レポート > 来年はメジャー大作への出演が目白押しの真田広之が、 『上海の伯爵夫人』に続いての出演を果たした 名匠ジェームズ・アイヴォリー監督による文芸ドラマ 『最終目的地』真田広之インタビュー

来年はメジャー大作への出演が目白押しの真田広之が、
『上海の伯爵夫人』に続いての出演を果たした
名匠ジェームズ・アイヴォリー監督による文芸ドラマ
『最終目的地』真田広之インタビュー

 『眺めのいい部屋』や『ハワーズ・エンド』など数々の名作を撮ってきた名匠ジェームズ・アイヴォリー監督による文芸ドラマ『最終目的地』が、10月20日(土)よりシネマート心斎橋にて、12月15日(土)よりシネ・リーブル神戸にて、その後京都シネマでも公開される。自殺した作家の遺族と作家の伝記を執筆しようとする青年の姿を通して、人生の本質にまで迫っていく意欲作だ。ジェームズ・アイヴォリー監督作の常連であるアンソニー・ホプキンスや、シャルロット・ゲンズブール、ローラ・リニーとともに、いまや国際的に活躍する俳優となった真田広之が見事な演技をみせている。本作の公開にあたり、真田広之がインタビューに応えた。

 

 本作は、南米ウルグアイの人里離れた邸宅に住む、自殺した作家の妻、そして愛人とその娘、兄とそのパートナーの元を訪れた、作家の伝記を執筆したいという青年オマーによる物語。真田は、アンソニー・ホプキンス演じる作家の兄のパートナー・ピートに扮している。真田は、ジェームズ・アイヴォリー監督作品には『上海の伯爵夫人』に続いての出演となるが、ジェームズ・アイヴォリー監督とはどのような人物なのだろうか。

 

真田広之(以下、真田):決して大仰ではない抑えた表現の中で、それぞれのキャラクターやストーリーに深みを与えつつ、品格を保ちながらエンタテインメント性を兼ね備えたアートフィルムを紡ぎ出すことのできる稀有な監督です。また、スタジオの権威に左右される事のないインディペンデント界の巨匠だと感じています。

 

 そんな監督から真田にオファーが来たピートというキャラクターは、登場人物たちの間を取り持つ映画の中でのキーパーソンのような役柄。真田自身は、ピートという役柄をどのように理解し、役作りをしたのだろうか。

 

真田:ピートは、様々な背景を持つ登場人物たちのジョイント役でもあり、観客の方にとっては冷静な案内役でもあったと思います。彼自身の性格としては、停滞した空気を前向きに掻き回す、情熱を持った現実主義者だと僕は捉えていました。

 

 そのような難しいキャラクターに加え、本作ではゲイのパートナーという役柄で、アンソニー・ホプキンスとの初めての共演を果たした真田。アンソニー・ホプキンスにはどのような印象を持ったのだろうか。

 

真田:彼は、やはり懐が深い方でした。アイヴォリー作品の常連であり、いつかご一緒に仕事をしたいと願っていた方なので、その想いや尊敬の念を、そのままピートの愛情にすり替えて演じさせて頂きました。毎テイク、新鮮に真実を追求する彼のスタンスに刺激を受けました。

 

 名優アンソニー・ホプキンスに加えて本作には、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブールというふたりの演技派女優が出演している。ふたりとの共演についてはどのような印象を受けたのだろうか。

 

真田:それぞれに独特なオーラがあり、共にプロフェッショナル且つ素敵な女性でした。ブエノスアイレス郊外での合宿生活での撮影だったので、日常と撮影の切り替えやバランス、取り組み方なども垣間見られて、おふたりの活躍ぶりのワケが少し解った気がしました。

 

 そのような名優たちとの共演によって、真田が大いに刺激を受けたことは間違いなさそう。そして、登場人物それぞれが“最終目的地”へと向かって進んでいくラストシーンとなっている本作だが、真田にとっての“最終目的地”について聞いてみるとー

 

真田:毎作品、撮り終えるごとに新たな課題や次なる目標が見えて来るので、それを追求すべく居場所を求め続けて、力尽きたところが最終地点、目的地なのだと思います…。

 

 最後に、日本のファンが気になる今後の活動について聞いてみるとー。

 

真田:公開中の映画『天地明察』(大阪ステーションシティシネマほかにて上映中)でナレーターとして、久々の滝田組に参加しました。来年はヒュー・ジャックマンと共演する『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年秋、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開予定)、 コリン・ファース、ニコール・キッドマンと共演の『The Railway Man』、キアヌ・リーブスらと共演の『47Ronin』が公開予定です。

 

 今後も海外を中心に活躍する姿を見ることになりそうな真田広之。本作は、ジェームズ・アイヴォリー監督が『上海の伯爵夫人』の撮影中に真田に出演をオファーし、真田が快諾した作品で、しかも登場人物たちを繋ぐキーパーソンという役柄で真田は出演している。来年は、アクション大作などメジャー系の作品への出演が目白押しな真田の、また別の魅力を感じることのできる本作で、真田の演技の奥深さに触れてほしい。

 

(取材・文:華崎陽子)




(2012年10月19日更新)


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真田広之

Profile

さなだ・ひろゆき●1960年、東京都生まれ。子役を経て、1978年に深作欣二監督の『柳生一族の陰謀』で本格的映画デビューを果たす。その後、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に招かれた篠田正浩監督作『写楽』(1995)や、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた山田洋次監督作『たそがれ清兵衛』(2002)で国際的に名が知られる俳優となる。そして2003年に、トム・クルーズ、渡辺謙らと共演した『ラストサムライ』で一躍世界のトップスターへと躍り出た。以降、『上海の伯爵夫人』(2005)や、チェン・カイコー監督作『PROMISE プロミス』(2005)、『ラッシュアワー3』(2007)、『スピード・レーサー』(2008)など、国際的に活躍する日本人俳優として高く評価されている。来年は、ヒュー・ジャックマンと共演する『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年秋、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開予定)、 コリン・ファース、ニコール・キッドマンと共演の『The Railway Man』、キアヌ・リーブスらと共演の『47Ronin』が公開予定。

Movie Data


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『最終目的地』

●10月20日(土)より、
シネマート心斎橋にて公開
●12月15日(土)より、
シネ・リーブル神戸にて公開
●順次、
京都シネマにて公開

【公式サイト】
http://www.u-picc.com/saishu/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/159934/