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小栗旬、山田孝之ら豪華キャスト陣の
強烈なビジュアルも話題の人気コミック実写化作品
『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』
林遣都&駿河太郎インタビュー

 『聖おにいさん』で手塚治虫文化賞短篇賞を受賞した中村光原作の人気コミックを実写化した『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』が、2月4日(土)より大阪ステーションシティシネマほかにて公開される。荒川河川敷に住むことになった林遣都演じる御曹司のリクが、そこで出会った自称金星人の美少女“ニノ”(桐谷美玲)や河童の着ぐるみを着た“村長”(小栗旬)、星型のマスクをかぶったロックミュージシャン“星”(山田孝之)など、個性豊かな住人たちと共に成長していく姿が描かれる。本作の公開にあたり、主演を務めた林遣都と、カリスマ美容師だったという“ラストサムライ”に扮した駿河太郎が来阪した。

 

 父親から「他人に借りを作るな」と言われて育ったリクは、ある日謎の美少女ニノに助けられる。借りを返すために荒川で共同生活をはじめることになったが、そこには河童の着ぐるみを着た男や星型のマスクをしたロックミュージシャンなど、奇抜な住人たちがいて…という物語が、ドラマと映画で展開される本作。ドラマはひとりひとりのキャラクターに寄ったエピソードが紡がれ、映画ではリクとニノの物語を中心に描かれているのだが、なんとドラマと映画は同時進行で撮影していたとのこと。では、どのように撮影は行われていたのだろうか。

 

駿河:同じシーンでもドラマと映画では違う台詞で撮ったりしていました。立ち位置やそのシーンにいる人は同じでも、言う台詞が違ったりして。すごく斬新な撮影でした。

 

:ドラマと映画を同時に撮ることなんて、まず経験がないことなのでスタッフさんたちも試行錯誤していましたね。基本的には映画でもドラマでも、みんなが生活している荒川河川敷の村にリクがやって来て、そこで何かが起こることは変わりはなかったんですけどね。

 

 そのように、イレギュラーな撮影方法には問題なく入っていけたようだが、本作には河童の着ぐるみを着た男や星型のマスクをしたロックミュージシャンなど、奇抜な住人が多数登場する。日本なのにどこかファンタジックな原作や脚本の世界観に入っていくのはどんな感覚だったのだろうか。

 

:お話をいただいてから原作を読んだんですが、ずっと人を笑わせる、コメディ要素を含む作品に出たかったので、原作を読んだ時はすごくワクワクしてました。それに、出演者もスタッフさんもこれは今まで誰も見たことがないようなテイストの作品になるんじゃないかと感じていたので、撮影中はみんながニヤニヤしていました。

 

駿河:僕もお話をいただいてから原作を読んだんですが、すごく奥が深いことを言っていたりするのに、ふざけてるんですよね。それをどういう風に映像化するんだろうと思っていました。僕自身は、こういう風に映画にどっぷりつかるのが初めてだったし、元カリスマイケメン美容師の役という無理難題を押し付けられたので、プレッシャーはありました。だって、ものすごくかっこよくて、イケメンと呼ばれているであろう人がやる役が自分にきたわけですから。これは賛否両論出るんじゃないかとか思いましたけど、実際この作品に参加させてもらって、現場に行って共演者の人と話したり、同じ時間を共有していくうちに、100人が納得できるラストサムライは無理だと思って、じゃあ僕にできることはなんだろうと考えだしてから、すごく楽になりました。

 

荒川_photo.jpg

 ふたりとも本作の世界観には違和感なく入っていけたようだが、林が演じたリクは観客の目線に近く、冷静な目で“村”の住人たちを見、ひたすら突っ込むという役柄で、駿河演じるラストサムライは他の住人たちと一緒に楽しくボケて過ごすという、ふたりはそれぞれ巻き込まれる側と巻き込もうとする側で演技をしていたわけだが、そういう感覚はあったのだろうか。

 

:僕は、自分で言うのもなんなんですが、よくやったなと(笑)。今にして思えば、すごい人たちを相手にしていたと思いますね。特にドラマの時は掛け合いがすごくて、台詞も多かったですし。例えば、リクのテントの中で雨宿りするシーンがあったんですが、あの狭いテントの中でぎゅうぎゅう詰めになってる中で、みんながボケまくって、それに対して僕はひたすら突っ込むわけですよ。だから、集中しっぱなしじゃないと乗り切れないし、ボケまくるみんなが羨ましかったです。それに、何度も何度も笑いそうになりました(笑)。

 

 と林が語るように、特にドラマの時はよくよく見ると林が素で笑っているシーンがたくさんあったそうだが、たしかに、林が思わず笑ってしまうぐらいの、現場でのキャストたちの親密さがスクリーンをとおして伝わってくる。それは、見事に原作の“村”を再現してみせた“村”のセットも影響しているようだ。

 

:映画の中で、みんなで洗濯をするシーンがあるんですが、その時が一番、僕がこのメンバーでやってて良かったと思ったシーンなんです。みんなで泡をかけあってるんですが、その時のみんなの顔が本気の笑顔なんですよね。現場もあのシーンに近い感じで、撮影じゃない時もああいう雰囲気で接していました。みんなで“村”に一緒に住んでいるような感覚だったので、すごく楽しかったです。

 

駿河:初めて村の教会のセットを見た時は、僕もテンションが上がりましたね。3ヶ月間ずっと建てっぱなしだったので、スタッフさんが泊り込みで見張ってくれていて。なんというか、あの河川敷の“村”に自分のキャラクターの服装で入るだけで、役になっているような感覚でした。ああいう環境を作ってもらえたのは、本当にありがたかったです。

 

:この前、違うお仕事の時にたまたま近くを通りかかったので、撮影していた河川敷に行ってみたんです。そうしたら、当たり前なんですけど全部なくなっていて。ほんとに夢のような世界というか、一生戻ることはできない不思議なところにいたんだと痛感しました。映画の中に小麦畑が出てきたと思うんですが、撮影が終わった時に黄金色になってたんですよ。実際に映画の中のワンシーンで使われているんですが、その黄金色がすごく素敵で、みんなで「ひとつ季節を越したね」って言っていたのが、すごく感慨深かったですね。

 

駿河:クランクインした時は背丈も低くて、普通に歩けるぐらいだったんです。それが腰ぐらいまでの高さに成長しましたから。

 

 特に、林はこの作品が自分の俳優人生において大きな意味を持つと感じるほど、本作から受けた影響は大きかったよう。今までも『風が強く吹いている』(2009)や『DIVE!!』(2008)など、主演を務めたことはあったが、本作は今までとは全く違う経験となったそうだ。

 

:最初は、これだけ大きな規模の作品で、しかもこのメンバーの中で主演を務めることなんて無理だと思いました。撮影に入る前までは監督と色んな話をして、すごく楽しい作品になるだろうなと思ってワクワクしていたんですが、いざ現場に入って、みんながそれぞれの衣装で現場に来た時に、すごく自由に見えて、羨ましいと思ったと同時にむかついてきて(笑)。なんで自分が全部受け止めなきゃいけないのかっていう、背負わなくてもいい責任感みたいなものを背負ってしまっていたし、この人たちを長期間リクという立場で受け止めるのは無理だと、初日に不安になりました。でも、出演者の人たちと飲みに行ったり、コミュニケーションを取っていくうちにだんだん不安が消えていったので、早い段階で楽しく撮影に入ることができました。それなのに、みんなが「座長、座長」ってプレッシャーをかけてくるんですよ。

 

駿河:たしかに、座長って呼ばれてましたね(笑)。

 

:最初、監督が僕のモチベーションを感じられなかったからか、「主演は座長だから。ただ撮影に行って演技するだけじゃないから」って言われたんです。そうしたら、それを聞きつけた小栗旬くんが「お前、座長なんだってな(笑)」って言ったんです。それを聞いたみんなが「座長、座長」って呼び出して。くそぉ~って思っていましたね。相当プレッシャーでした。最初は旬くんとか顔が見えない、コスチュームを着ている人たちとは接しにくかったんですが、撮影が終わって、ご飯を食べて帰ったりしていくうちに、中の顔や表情が見えるようになっていったんですよ。

 

 そのように、映画の中の“村”の雰囲気と同様に和やかな雰囲気の中で撮影も進んでいたようだが、まるで共同生活を送っているかのような3ヶ月間の撮影を経て完成した映画やドラマを観た時はどのような感覚だったのだろうか。

 

:この映画を初めて観た時は、ほっとしたというか、色んな気持ちがあふれてきましたね。ここまで密度の濃い撮影期間を過ごしたのは初めてでしたし、僕は20歳になりたてで、お酒も飲めるようになって、撮影だけじゃない思い出もたくさんあるので、ほんとにこの作品に参加できてよかったと思いました。

 

駿河:遣都が言っていたように、スタッフさんも出演者もみんなが、この作品をいいものにしようという思いを持っていて、そういう空気感を全員が感じていたと思うんです。中々そういうことはないので、僕にとっても思い出深い作品になりました。それに、現場の空気感がちゃんと映像から伝わってくるように、監督がうまくまとめてくださっていましたし。後は、観てくださる方に委ねるしかないので、皆さんに伝わることを祈るしかないですね。

 

 ふたりが心の底から楽しそうに、撮影現場でのエピソードを話してくれる表情が特に印象的だった。取材日の夜に、舞台挨拶が予定されていたのだが林は、「今日が初めての舞台挨拶なので、立つのが楽しみですね。胸を張って舞台に立ちたいです」と自信を口にしていた。また駿河が、「みんな忙しいから難しいと思うんですが、“2”をやりたいですね。それぐらい名残惜しい作品です」と言うと林も「ほんとにそうですね」と心の底から同調、どういう物語になるのかふたりで熱いトークを繰り広げていた。ふたりが語る“2”にも期待が高まる本作は、いよいよ2月4日(土)に公開。まずは、映画を観て“2”に思いを馳せてみては?




(2012年2月 2日更新)


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Movie Data



(C)中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ

『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』

●2月4日(土)より、
大阪ステーションシティシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://autb.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/157694/