ホーム > インタビュー&レポート > 本当とウソが二転三転する、予測不可能な密室サスペンス 『シャッフル』鎌苅健太インタビュー
本当とウソが二転三転する、予測不可能な密室サスペンス『シャッフル』がシネマート心斎橋にて公開中だ。銀行から金を強奪した5人の男たちの中のひとりである、金の在りかを知るメンバーが記憶喪失になったことから、他のメンバーはモニター調査を装った実験を行い、記憶を引き出そうとするプロジェクト“シャッフル”を開始する。金子ノブアキ、賀来賢人、鎌苅健太、ムロツヨシ、市川亀治郎ら個性派キャストを得て描くジェットコースター型のサスペンスだ。本作の公開にあたり、早口でしゃべるお調子者の関西人・堺シンゴに扮した、大阪出身で、バンド「ココア男。」のボーカル&リーダーとしても活躍する俳優・鎌苅健太が来阪した。
鎌苅健太と言えば、『テニスの王子様』のミュージカルで人気を博し、その後も音楽活動に舞台、映画にドラマと幅広く活躍の場を広げてきた人気者。しかし、本作『シャッフル』は、ほぼ全編にわたって男5人だけで展開する密室劇で、しかも共演者は金子ノブアキを筆頭に、演技においてはこだわりの多そうなクセモノ揃い。そして何といっても、何が本当で何がウソなのか、二重三重にウソが重なる無限ループに陥らせるような複雑なストーリーの作品だけに、演じている間の鎌苅の感覚はどのようなものだったのだろうか。
鎌苅 :実は、自分で演じながらも、よくわかってなかったんです(笑)。こういう作品って、今お客さんはどこまでわかってて、今自分はどういう面持ちで演じなきゃいけないんだろうとか、色々考えないといけないんですが、クランクインする前に台本を読んで、台詞が多いことが嫌になっちゃって(笑)。でも、ここまで会話劇が中心の映画に出演するのはは初めてだったのでウキウキしてましたし、現場に行ったら、共演した方がみんな台詞を覚えてなかったのでほっとしました(笑)。撮影中は、1週間ずっと寝ずに密室の中にいて撮影していたような感覚でした。
鎌苅が、「今お客さんはどこまでわかってて、今自分はどういう面持ちで演じなきゃいけないんだろうと、色々考えないといけなかった」と語るように、本作はまるでジェットコースターに乗せられたような感覚で、私たち観客は、あっという間にスリル満点の物語の世界へと連れ去られてしまう。そんな複雑な物語を演じるにあたってはー
鎌苅 :監督と相談しながらはもちろんですが、役者同士でも相談しながら演じていました。順撮りでの撮影だったので、映画と同じで最初はお互いのことがよくわからなかったのが、撮影を重ねていくうちに仲良くなっていったのは良かったです。共演者の方も先輩ばかりだったんですが、めちゃくちゃ仲が良くて、チームワークは抜群でしたね。あっくん(金子ノブアキ)は、主役だけど、物腰はめちゃくちゃ柔らかくて、でも熱いところもある人で、現場を引っ張っていってくれてました。亀兄(市川亀治郎)は、すごい人です。台本も現場に持ってこないし、誰よりも台詞を覚えてなかったのに、本番に入った時の集中力は人間だと思えないほどで、化け物だと思いました(笑)。普段は誰よりも子どもなのに、(撮影に入った時の)変わり様には本当にびっくりしました。この人と一緒に仕事ができて良かったと思いましたし、役者人生の中でこの4人と出会えて良かったです。スタッフさんも共演したメンバーも仲が良かったので、テンションが落ちずに撮影できました。
映画の中と同じようにハイテンションで過ごした撮影現場の様子を語ってくれた鎌苅だが、鎌苅演じる堺シンゴは、関西弁の早口でしゃべるお調子者で、映画の中ではずっとしゃべっている印象を与えるほど出演者の中で一番台詞が多く、思ったことをすぐに口に出してしまう素直なキャラクター。しかし、個性的な役者ばかりが揃ったうえにストーリーも複雑な本作で、キャラクターを確立することは非常に難しかったのではないだろうか。
鎌苅 :この作品は、お客さんをどうだますかという映画なので、何回も脚本を読み返しました。でも、全然わかんなかったんです(笑)。だから、作品の内容を把握することに一番時間を割きました。台本がめちゃくちゃ分厚かったので、途中からは字を見るのも嫌になってましたね。僕の役は台詞もめちゃくちゃ多いですし。それと、この5人の中で誰よりもピュアだし、一番子どもだし、一番打算がないし、一番まともなんじゃないかと思ったので、一番可愛いキャラクターでいようと心がけてました。だから、ストレートに感情を表現しようとしてました。でも、観客の方の立場に立って考えてみると、もっとミステリアスな雰囲気にしても良かったんじゃないかと、終わってから思いましたね(笑)。
やはり、鎌苅自身もキャラクター作りには苦労がつきなかったようだが、最後にこの映画を観られる観客の方へのメッセージを聞いてみるとー
鎌苅:登場人物それぞれのキャラクターを愛して、考えすぎずに楽しんでほしいです。そして、いつの間にか勝手に映画の展開に入り込んで、びっくりして騙されてほしいですね(笑)。その方が絶対、気持ちいいと思います!
と、鎌苅が演じた堺シンゴのキャラクター同様、“素直”に映画を観ることを勧めていた。特に、後半30分は怒涛の展開が待ち受けているので、気を抜かずに、素直に映画を楽しんでみてください!
(2011年10月25日更新)
●シネマート心斎橋にて上映中
【公式サイト】
http://bitters.co.jp/shuffle/
【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/156388/