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「愛菜ちゃんと一緒にいて楽しかったし癒されました」
『うさぎドロップ』松山ケンイチインタビュー

人気同名コミックを松山ケンイチ&芦田愛菜共演で映画化した『うさぎドロップ』が8月20日(土)より大阪ステーションシティシネマほかにて公開される。ひょんなことから共同生活することになった28歳の独身男・ダイキチとその祖父の隠し子である6歳の少女・りんの日常を描く心温まる人間ドラマだ。りんに扮した天才子役・芦田愛菜のキュートな笑顔と松山演じるダイキチの奮闘ぶりに注目にしてほしい本作の公開に先立ち、主人公のダイキチに扮した松山ケンイチが来阪した。

 

 松山ケンイチといえば、『デスノート』シリーズや『デトロイト・メタル・シティ』、『GANTZ』二部作などでのキャラクターになりきった演技で魅了する憑依型俳優として評価が高い。だが、本作『うさぎドロップ』で松山が演じたのは、祖父の隠し子とともに暮らすことになった、いたって普通の28歳の独身サラリーマンという役柄。さらに、今までの出演作で松山が子役とからむ演技を見せたことはほとんどない。まずは、本作のほとんどのシーンで共演している芦田愛菜の印象について聞いてみるとー

 

松山:最初から、愛菜ちゃんが心を開いて現場に来てくれたのでお芝居にも集中できましたし、本当に可愛いので(愛菜ちゃんに)癒されていましたね。撮影が終わるまであっという間でしたし、まだもう少し撮影を続けたいと思うぐらいでした。愛菜ちゃんとは、ゲームをしたり、ご飯も一緒に食べてましたし、常に一緒にいたので、一番楽しかったのもやっぱり愛菜ちゃんとのシーンで、愛菜ちゃんはアドリブもしっかり出来る子なので、その過程で生まれた演技もすごくいいものになったと思います。

 

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 松山がそう語るように、本作で芦田演じるりんを見つめる松山の視線や表情は、すごく自然で柔和。今までの松山とは全く違う面を私たちに見せてくれている。

 

松山:それは、ずっと愛菜ちゃんと現場でコミュニケーションを取っていた結果が出たんじゃないかと思います。本番中に台詞を言う以上に、愛菜ちゃんとガンガンしゃべっていましたし、その時はどっちが現実なのか曖昧になってましたね。出来上がった作品を見ても、自分と愛菜ちゃんの成長記録というか思い出アルバムを見てるような感じで、普段は女優さんや共演者の方とそんなに話をしたりする方ではないので、不思議な感覚になりました。今回の作品では、(ダイキチとりんは)親子ではない関係ですし、微妙な距離感を作るためには本番だけでは表現できないと思ったので、コミュニケーションを取ることをすごく大事にしてたんです。

 

 芦田のことについて話す松山の表情が、撮影が終わった現在でも柔和で優しいものだったのが印象的だった。そんな松山が、親子ではないダイキチとりんの関係を演じるうえで、特に考えさせられたのは“育児について”だったのではないだろうか。

 

松山:現場では、(そういうことは考えてなくて)愛菜ちゃんと一緒にいるのが楽しいというだけでした。撮影が終わった後で、自分もいつかは子どもができるかもしれないし、その時はダイキチみたいにいつもポジティブでいられる父親でありたいなとは思いましたが、今回の映画では、“人と繋がっていくことの良さ”がテーマだったので、そういうところは考えさせられましたし、色んな発見がありました。今は、女性もどんどん自由になっている時代だと思うんです。でもその分、家庭が置き去りにされてしまう危険性もあるんじゃないかと。家庭は生活の根底にあるものだと思うので、そこはどんどんお互いに協力して男女関係なく、家庭をきちんと築いていくことを大事にしていかないといけないと思います。この映画でも、ダイキチはりんと生活していく中で大きく人間として成長していったのは確かだから、仕事だけが全てではなくて、私生活の部分を大事にしたいと僕も思いましたし、特に男性には私生活を見直してもらいたいですね。

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 そう語る松山は、たしかにこの映画に出演したことで自分の考え方を再確認するとともに、自分の考え方が定まったと感じたそうだ。そして、もうひとつ松山にとって嬉しい経験となったに違いないのは、以前から「一緒に仕事がしたい」と語っていたSABU監督の作品に出演できたことだろう。SABU監督といえば、とにかく走るシーンが多いことで知られているが、本作でも松山は問答無用とばかりに走らされ、中には芦田愛菜を抱き抱えて走るシーンもあるほど。そんなSABU監督の演出についてはー

 

松山:SABU監督は走るシーンが好きなんです(笑)。それは、「お芝居をしようとして顔を作ったりできないからそういうところを撮りたい」という理由からなんです。確かに走っている人って疲れてくるとそれどころじゃなくなってきますから。でも、それがキャラクターの根本を映し出すすごく重要なものになっているので、すごくうまい演出だと思いますし、すごく信頼できる監督ですね。

 

 SABU監督の演出も、芦田との共演もひたすらに「いい経験だった」「楽しかった」と嬉しそうに話していた松山。『うさぎドロップ』は、彼の自然な表情=“素”の部分をSABU監督が切り取った、松山の代表作のひとつとなること間違いなしの作品に仕上がっている。 




(2011年8月19日更新)


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Movie Data


(C)2011『うさぎドロップ』製作委員会

『うさぎドロップ』

●8月20日(土)より、大阪ステーションシティシネマほかにて公開

【公式サイト】
http://www.usagi-drop.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/155223/