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永作博美&井上真央の競演で贈る
母になった女、娘にされた女の葛藤を描いた衝撃作『八日目の蝉』

 直木賞作家・角田光代による同名ベストセラー小説を、『孤高のメス』の成島出監督が映画化した『八日目の蝉』が4月29日(金)より梅田ブルク7ほかにて公開される。愛人の赤ん坊を誘拐し、自分の子として育てた女性・希和子の実像を、成長した“娘”恵理菜が自身の呪われた半生に決着をつけるように見据えていく姿が、じっくりと炙り出される。公開に先立ち、優しさと狂気が同居した、鬼気迫る演技で希和子を演じた永作博美と、複雑な過去ゆえに自らの人生を模索する難役・恵理菜に挑んだ井上真央が来阪し、舞台挨拶を行った。

 永作博美と井上真央という映画界を代表する演技派美人女優ふたりが登場するとあって会場はふたりの登壇前からざわつきを見せていた。しかし、いざふたりが登場すると『綺麗』や『可愛い』という感嘆の声へ変わり、みな想像以上の美しさに圧倒されたようだった。そんな中、まずは誘拐犯と誘拐された娘というそれぞれに難役に挑んだふたりに役柄について聞いてみるとー

井上:今までは、感情をぶつけて演技すればいいと思っていたのですが、今回は恵理菜の気持ちが中々つかめず、難しかったです。でも、作品自体がすごく魅力的で、チャレンジしたいと思って飛び込んだ役だったので、やりがいはありました。終わった瞬間にやり終えたと思いました。

永作:人生の中で体験することのない役だと思ったので、演じてみたいと思いました。不安はありましたが今は達成感を感じています。希和子は、孤独だけど薫(恵理菜が希和子とともに過ごしていた時の名前)とふたりの時は幸せだったと思うんです。私も、すごくやりがいを感じました。
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 そう語る永作は、生後6ヶ月~4歳までの薫に扮した子役との共演シーンがほとんど。中には、延々と泣き続ける赤ちゃんとのシーンもあり、思うように動いてくれない子役との共演は難しかったそうだが、それによって得るものもあったそうだ。

永作:特に、誘拐する前の赤ちゃんとのシーンや逃避行中の赤ちゃんとのシーンは大変でした。赤ちゃんは本能のままに、自分の持っている全ての力で泣いたりするので、それに対応するように演じていたことで、ドキュメンタリーのように、迫力あるものが撮れたのではないかと思います。

 自身も母となった永作が希和子を演じているだけに、劇中で子どもに向ける笑顔はまるで聖母のようで、恵理菜は希和子とともに暮らす方が幸せなのではないかと感じてしまう方もいるだろう。しかし、誘拐している以上、それは列記とした罪だ。“普通”の生活を送れなかった恵理菜にとっての幸せとは、希和子にとっての幸せとは、そんな様々なことを考えさせられる本作。最後にそれぞれの本作への思いを聞いてみるとー

井上:それぞれ思うことやポイントは違うと思いますが、色々な世代の方に観ていただきたい作品です。2時間27分という長い映画ですが、あっという間だと思います。この作品から様々なことを感じていただけると嬉しいです。

永作:あらすじだけを聞くと暗い話に思えるかもしれませんが、作品のタイトルもラストも希望に向かっている作品です。この映画を観て感じたものを大切にしてもらって、それを今の自分に必要なものだと思っていただきたいです。自分の身近な愛する人への気持ちが変化する作品だと思います。

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   サプライズで幼少期の恵理菜を演じた渡邉このみも登壇し、永作とまるで本物の母娘のように手をつなぎ、フォトセッションが行われた。永作も井上もそれぞれに難役を演じきった達成感からか、ふたりとも終始笑みを絶やさず、キュートな笑顔を振りまいてくれていた。観客からも、ふたりの話に熱心に耳を傾け、この後に始まる上映に備えようという意気込みが伝わってきていた。そんな期待に決して背くことのない、演技派女優ふたりの競演による熱演が見られる、GW1番の感動作だ。




(2011年4月26日更新)


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Movie Data


(C)2011映画「八日目の蝉」製作委員会

『八日目の蝉』

4月29日(金)より、梅田ブルク7ほかにて公開

【公式サイト】
http://www.youkame.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/155368/