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日常のささやかな出来事を愛おしく感じる感動作
『阪急電車 片道15分の奇跡』

 阪急西宮北口駅から宝塚駅までを結ぶ、阪急今津線を舞台にした有川浩の同名ベストセラー小説を映画化した『阪急電車 片道15分の奇跡』が4月23日(土)よりTOHOシネマズ梅田ほかで関西先行公開される。片道15分の電車の車内で巻き起こる、奇跡のような7つのエピソ-ドが紡がれる。公開に先立ち、心温まる本作のエピソードを抜群の演技力で盛り上げた、中谷美紀、宮本信子、南果歩、谷村美月ら主要キャストと三宅喜重監督が宝塚大劇場で、会見と舞台挨拶を行った。

 

 阪急今津線の終点であり始発駅である宝塚駅に位置する宝塚大劇場の舞台へと登る階段の踊り場で会見は行われ、階段を颯爽と降りてくるキャストたちは一様に照れたような笑みをこぼしていた。そんな中で始まった会見は、まずは登壇者からの挨拶で始まった。

 

監督:まず、この宝塚大劇場で会見ができることを感激しています。そして、この映画に協力していただいた、たくさんの人に感謝しています。この映画を観ていただいた人を勇気づけることができれば、と思います。

 

中谷:心あたたまる、ささやかなエピソードの数々に私自身も癒された作品です。この作品のキャッチコピーである“終着駅はきっと笑顔”というフレーズのように、ささやかだけれども温かいこの作品が日本中の方たちに届くように願っています。

 

宮本:4年ぶりの映画出演で、この宝塚大劇場に立たせていただいて感謝しています。この映画は、たくさんのエキストラの方や阪急電鉄の方、関西のみなさんに支えていただきました。人と人とが触れ合う、人間ってそんなに悪いものじゃないと思わせてくれる映画だと思います。この映画で、西から東北へとエールを送ってください。

 

:宝塚ファンの聖地、宝塚大劇場で映画『阪急電車 片道15分の奇跡』の完成披露試写会ができることは、私は関西出身なので喜びもひとしおです。それにも増して、15年前の阪神淡路大震災でこの劇場も大きな被害を受けて、その後立て直され、また人が集う場所になっている、この場で上映ができるということが、東日本で被災された方への大きなエールになるんじゃないかと思っています。

 

谷村:そっと背中を優しく押してくれる、すごく優しい映画です。私は、宮本信子さんが演じられた時枝さんの台詞にすごく感動しました。私たちが普段生活していて忘れてしまいがちなことがすごく丁寧に映し出された作品だと思います。この映画を観ている時は、ハッピーな気持ちになってください。

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 南果歩が話すように、宝塚ファンの聖地である宝塚大劇場。この場所で完成披露試写会が行われるのは史上初のことだ。それぞれに感激もひとしおのようだが、10年ほど前に宝塚歌劇団を題材にしたドラマに出演したことのある中谷は特に感激した様子。

 

中谷:10年ぐらい前のスペシャルドラマで、宝塚を描いたものに参加させていただいて、大階段を華やかな衣装を着て降りました。大階段は、22cmほどの幅しかないので、24cmの靴の先が出てしまうぐらいなんです。撮影で何度も上ったり降りたりしていたのですが、慣れた頃に気を抜いて転倒してしまって(笑)。この劇場は、地域の方々の夢であり希望を与える場所ですので、そういう場所で皆さんの生活に密着した阪急電車の映画を届けられるということが本当に嬉しいですし、少し緊張しています(笑)。

 

 この映画のタイトルでもある“阪急電車”と言えば、関西在住の人には馴染み深い交通手段であるとともに、独特のマルーンカラーの車体やレトロな内装など、愛着を持っている方も多いはず。しかも、今回はその阪急沿線でロケを行っているのだ。そんな撮影現場でのエピソードについてはー

 

宮本:今回は白髪のかつらでおばあさんの役だったので、どなたも気付いてくださらなくて、これはしめしめと思っていたら、撮影に入る時にロープをくぐろうとしたら「お客様、お客様」と係の方に止められて、監督が「この方は違います」とおっしゃってくれて入れたんですが(笑)。楽しい思い出として残っています(笑)。

 

中谷:私が演じた翔子が、再生の一歩を踏み出す駅が小林駅なので、私自身も小林駅には思い入れがあります。阪急電車のマルーンカラーと言われているそうですが、小豆色の上品な色も大好きですし、車窓から見えるほのぼのとした風景も好きです。関西に住むことができるなら、阪急沿線に住みたいと思います(笑)。

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 “阪急電車”や撮影風景について話す時も、みな愛おしそうに顔がほころんでいるのが印象的だった。舞台挨拶に登場した原作者の有川浩も「とても原作を大事にして作っていただいた作品」「原作にあっても違和感のないエピソードが入っている」など、賛辞を述べていた。最後に、この作品についての思いを聞くとー

 

監督:悩みを持っている人が観終わった後に笑顔になるような映画だと思います。皆さんもここを出た後に笑顔で帰ってください。

 

谷村:普段は気付かないような小さなことに気付かせてくれる映画だと思います。皆さん、楽しんでください。

 

:人と人がちゃんと繋がっているということを感じられる映画です。映画を大いに楽しんでください。

 

宮本:この映画を口コミで広げてもらって、経済を元気に、日本を元気にしていきましょう。

 

中谷:エキストラの方々に感謝の気持ちを伝えたいです。沿線に住んでいる方や皆さまのご協力で完成した映画です。本当に感謝しています。日々のささやかな出来事を愛おしく感じる、触れ合いや優しさが伝わる映画です。今だからこそ、必ず心に響く作品だと思います。

 

 出演者の作品への愛をひしひしと感じる記者会見と舞台挨拶だった。舞台挨拶では、観客から笑い声や大きな拍手が続き、盛り上がりをみせていた。映画館を出た後に、何でもない日常の風景がいつもと違ってみえるような、優しい気持ちや温かい気持ちになる感動作だ。




(2011年4月21日更新)


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Movie Data

(C)2011「阪急電車」製作委員会

『阪急電車 片道15分の奇跡』

●4月23日(土)より、TOHOシネマズ梅田ほかにて関西先行公開

【公式サイト】
http://hankyudensha-movie.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/154895/