ホーム > インタビュー&レポート > 世界遺産・元離宮二条城で開催される 「二条城 2026 SAKURA NIGHTS Immersive Theatre & Projection Mapping」 「城劇〜陰陽師 瑞希の時空戦記 寛永行幸を救え!〜」 山戸穂乃葉&安田淳一監督インタビュー
──まずは、監督にどのようなオファーがあって、このプロジェクトは始まったのでしょうか。
安田監督:最初は、プロジェクションマッピングの映像の演出をしてほしいというお話でした。僕は、プロジェクションマッピングの映像は誰がやってもそんなに変わりませんよ、と。生成AIで簡単に動画が作れる時代に、人間が目の前でやってくれる方が、人は感動すると思うから、映像の力を借りながらも大人から子どもまで世界中の人に楽しんでもらえるエンタメ系の演劇をやった方が面白いし、僕自身のやりがいもあると思ったんです。そう伝えたら、まんまと二条城さんが乗ってくれはりました(笑)。
──(笑)。今や、お城でのプロジェクションマッピングと言えば二条城、という存在になっていると思いますが、二条城を舞台にすることにプレッシャーはありましたか?
安田監督:二条城は大政奉還の意思が表明された、歴史的に有名な場所なので、そういう場所で演劇の演出ができるのは、貴重な体験だと思いました。この「城劇」が普通の演劇と決定的に違うのは、春の「SAKURA NIGHTS」の期間中の二条城で行われることです。

──二条城で演劇をすることは、この先あるかどうかわからない貴重な経験になると思いますが、山戸さんはどのように感じられましたか。
山戸穂乃葉(以下、山戸):どうやってするんやろ?と思いながらも、すごく楽しみにしています。先日、二条城に行った時に、「城劇」をやる場所を教えてもらったんですが、すごいなと思いました。歴史がある場所でやらせていただくので、失敗はできないなと思っています。
安田監督:二条城の歴史に汚点を残すと、日本史に残ってしまうので(笑)。
──(笑)。
安田監督:二条城の屋外に特設ステージを作って、ステージを立てて、椅子を並べて。俳優たちは、後ろに高さ5メートル、幅25メートルくらいのLEDパネルを背負ってお芝居するんです。だから、1番後ろの席のお客さんでも、すぐそこでやってるように感じる距離感だと思います。これが、イマーシブシアターの一番の肝になるので、お客さんは没入感に圧倒されると思います。
──映像と一緒にお芝居の練習を進めてらっしゃるのでしょうか。
安田監督:今は演技を固めて、それを動画で撮って、それに合わせて映像を作ってる段階です。それが出来上がったら、フィードバックされてきた映像と役者たちが合わせます。意外と手間がかかるんです。
──映像と合わせないといけない難しさもありますよね。
安田監督:ありますね。プロジェクションマッピングと演技を合わせてやられてるところもありますが、俳優のすぐ後ろにスクリーンがあって、壁にくっついてやることが多いんです。今回は壁から3、4m離れて役者が立つことで、例えば手からかめはめ波みたいなものを出す時に、ちょっと離れてると手から出ているように見えないので、そういうところは調整しています。
山戸:映像が全く想像できないので、どんな感じなのか、めっちゃ楽しみにしてます。かめはめ波みたいに「ハ!」ってやるんですが、何が出るのか楽しみです。
──なるほど。山戸さんにとっては演技だけではない難しさが生まれてくるかもしれないということでしょうか。
安田監督:でも、僕にとってそれは枝葉の話であって。人が人を感動させるという意味では、バックパネルはあくまでもアシストしてくれる存在です。
──あくまでも、人がメインだと。
安田監督:役者たちは非常に熱いお芝居をしてくれていますし、簡潔でわかりやすいストーリーラインなので、ちょっとくらい映像からはみ出ることがあっても、きっと、お客さんが心の中で補正してくださると思います。
──35分という短い演目ですが、脚本を書くときにはどのようなことに気をつけられたのでしょうか。
安田監督:難しかったですね。最初は、ノンバーバル(非言語)、台詞なしで最後までやるという話だったんです。二条城には世界中からお客さんが来られます。それでも、寛永行幸400年という歴史の出来事を説明しないといけないから、思いきりしゃべってます。英語のほか、外国語の訳がスクリーンに出るようにしたいと思っています。
──確かに、歴史的な出来事を台詞なしで説明するのは難しいですよね。
安田監督:台詞を使っても、35分の中で寛永行幸の細かいことまで説明できませんから。山戸さん演じる安倍瑞希もタイムスリップしますが、タイムスリップした時に「ここどこ?」とか、いちいちやってられないので(笑)。そこは「仮面ライダー」の「仮面ライダー本郷猛はショッカーに改造された改造人間である」のような1分ぐらいのナレーションをこしらえて、先に提示してから話を進めていく予定です。それでも、主人公が成長する、変化することが物語にとって重要なので、そういう要素はちゃんと盛り込んでいます。
──山戸さんは、脚本を読んでどのように感じられましたか。
山戸:最初は、術を使う場面がすごく難しそうだなと思ったんですが、物語はわかりやすくて難しくないので、楽しく読むことができました。最後に面白いことも待っているので、35分なんですが、いろいろなものがぎゅっと詰まっていて、すごく面白い作品だと感じました。
安田監督:あまり細かいことはやらずに、バトルシーンをどれだけ魅力的にできるかという少年ジャンプ方式で(笑)。女子高生、アイドル、陰陽師、侍、忍者の要素を盛り込んで、ダンスあり、日舞あり、歌あり、チャンバラあり、タイムスリップあり、と。エンタメとして全方位に漏らさない作りになっています。
──本当に盛りだくさんですね。
安田監督:楽曲も非常に素晴らしくて。彼女も毎回、フィナーレに生歌を披露します。東宝シンデレラのミュージカル部門グランプリの人の歌声を聞くことができます。今話している声とは違って、舞台では女子高生っぽく、もう少しハイトーンで。お稽古してもひとりだけ声の響きが違って、気持ちいい響きに酔いしれてます。
山戸:褒められてるのかけなされてるのか、どっちかわからないんです(苦笑)。
安田監督:たぶん、「声しか褒めへんな、もっと芝居を褒めて」と思ってるかもしれないけど(笑)。芝居もしっかりやってくれてます。
──歌以外の山戸さんの見どころはどこになりますでしょうか。
安田監督:彼女はヒップホップをちょっとやってくれます。
山戸:ダンスを舞台で披露することが初めてなので嬉しいです。入れてくれてありがとうございます。
──元々、ダンスはお好きだったんですか?
山戸:ダンスを習っていました。
安田監督:ただ、20秒です(笑)。35分なので、やることがいっぱいあるんですよ。でも最後にはアイドルダンスが待ってますから。
──35分とはいえ、1日2回公演があります。山戸さんはどのように感じてらっしゃいますか。
山戸:物語的にも、気を張ってやらないといけないシーンがあるので、頑張ろうと思ってます。
安田監督:若い人たちが多いので、すごくエネルギッシュな舞台になっています。アクションの指導も、平成仮面ライダー20作品中18作品で主人公ライダーを務めた、アクション界のレジェンドである高岩成二さんがつけてくれてますし、プロダクションチームの皆さんも非常にスキルが高くて。日舞の方も、宮川町 京おどりを長年にわたって演出していらっしゃる北林佐和子先生が、とても早い音楽にちゃんと日舞をつけてくださりました。
──監督は、映画や映像の経験はおありですが、舞台の演出のご経験はおありだったのでしょうか。
安田監督:大学生の頃に、子ども向けのミュージカルを演出したことがありました。お芝居をやったことがない子たちに、どうやって舞台を広く使ってお芝居を作っていくか教えていたんですが、その時に方法論を発見したんです。今回、久しぶりの演劇なので、その時の方法論が使えるかなと思ってやってみたら、めちゃめちゃ使えました(笑)。僕の演出方法は非常に正確で論理的ですから。
──山戸さんは監督の演出についてどのように感じてらっしゃいますか。
山戸:正確ですし、演出をつけてくださる時も遠回しにおっしゃるのではなく、的確に言ってくださるので、わかりやすいです。
安田監督:僕は、演劇とはこういうものであるというルールをきちんと説明した上で、「このルールに外れてるから、こういう風にしてください」と演出するので、行き当たりばったりで感覚的に言ってることはひとつもないんです。お客さんに顔が見えないから、前向きにしてください、とか、芝居が段取りに見えてしまうから、お芝居は今考えて今走ってるように見えないとダメですよ、など、わかりやすく説明してるつもりです。
──なるほど。監督は、山戸さんと初めて会った時に、どのような印象を受けられたのでしょうか。
安田監督:オーディションで初めてお会いしました。会う前に、東宝シンデレラに選ばれた人が来てくれるらしいと聞いて、「見てみないとわからない」と言ってたんですが、見てみたらぐうの音も出ませんでした(笑)。さすがだなと思いました。
──(笑)。
安田監督:云わば、大病院で診察を受けた人を、町医者がもう1回見てるようなものなのですから。大病院の見立て通りですよね(笑)。お芝居がいいのはもちろんですが、山戸さんひとりだけ声が響くというか、独特な反響の仕方をするので。ただ、ほっておくと、どすの効いた低めの声になってしまうから「女子高生の役なので、もうちょっとキャピキャピしてください」と言うことはありますが、ちゃんとやってくれてます。
──普段の声と、舞台の声が違うんですよね。
安田監督:でも、この声は武器だと思います。高い声が出せなかったら困りますが、彼女は出せるので。18歳でこの声は、魅力的な個性だと思ってます。
──アイドルもやって、女子高生もやって、アクションもあって、日舞もあってと聞くと、本当に盛りだくさんですよね。字幕が出ると先ほどおっしゃってましたが、外国人の方にも伝わるようにどのような工夫をされたのでしょうか。
安田監督:なんとかわかるようにしたつもりです。悪い人は悪いように。僕が昔から言ってることですが、悪い人は怖くやるんじゃない、憎たらしくやる。それが悪役の肝なので、めちゃくちゃ憎たらしくやってます(笑)。だから、少々台詞がわからなくても、伝わると思います。
──歴史のあるお城の屋外で、ここまでのイベントを約1ヶ月に渡って開催することはなかったと思います。
安田監督:僕は、ここから面白いことが起こるんじゃないかと思ってます。二条城から始まったプロジェクションマッピングが評判を呼んで、今や京都中の寺社仏閣がプロジェクションマッピングだらけになりましたよね。その新機軸として「城劇」をやって、これがもしもうまくいって、京都中の寺院でこういったことをやり始めたら面白いことになると思うので、その先駆けに僕らがなれればいいなと思っています。
実は、初めにギャラはいただかず、うまくいったらインセンティブでもらうことになっているので、なんとか成功してもらわないと、僕もギャラがありません。一蓮托生ですから必死です(笑)。何より、山戸さんたちがもっともっと世に出ていく手助けになったらいいなと思っています。
山戸:私の地元である関西で、歴史のある二条城が舞台なので、皆さんに楽しんでもらえるように頑張りたいと思っています。完璧な自分を皆さんに見てもらえるように頑張ります。
取材・文/華崎陽子
(2026年3月 6日更新)
▼3月19日(木)〜4月19日(日)
※城劇の公演日はHPをご確認ください。
※城劇は小雨開催。
公式サイト
https://www.symunity.co.jp/nijojo_sakura_nights2026/shirogeki/
▼3月19日(木)〜4月19日(日)
【時間】18:00~22:00(最終入城 21:00)
※雨天開催、荒天の場合は中止する場合がございます。
【公式サイト】
https://www.symunity.co.jp/nijojo_sakura_nights2026
やまと・ほのは●2008年1月21日、大阪府生まれ。2022年、第9回「東宝シンデレラ」オーディション、ミュージカル賞受賞。2024年〜2025年にかけて、ミュージカル『魔女の宅急便』主演・キキ役として、全国主要劇場での上演/海外(マカオ)を含むロングランを経験。2024年から、千寿製薬「マイティア」ひろがれ、瞳のチカラ「私の涙」編のCMに出演中。現在、POPTEENのレギュラーモデルを務める。
やすだ・じゅんいち●1967年、京都府生まれ。大学卒業後、映像の世界へ。ブライダルや企業ビデオ、イベントの撮影・演出などを手掛け、多岐にわたる制作経験を積む。業務用カメラからシネカメラ、クレーン、照明機材まで自ら所有し、その技術力には定評がある。2014年、初の長編自主映画『拳銃と目玉焼』を制作。全国6都市のシネコンやミニシアターで上映されたほか、Huluでも高評価を獲得した。 2017年には、自身の米農家の経験を基に『ごはん』を制作。日本の米作りの現状をリアルに描き、多くの共感を呼んだ。シネコンでの全国公開後も、自主上映イベントが38ヶ月にもわたる異例のロングランを記録し、最終的な動員数は12,000人を達成した。そして2023年、自費2,600万円を投じて制作した『侍タイムスリッパー』が、わずか一館の上映からスタートし、興行収入10億円を超える大ヒットを記録。日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめとする数々の映画賞を受賞し、一躍その名を全国に知らしめた。