ホーム > インタビュー&レポート > 神木隆之介が芸歴30周年記念イベントを開催 「男子としてチヤホヤされたい」と黄色い歓声を望みつつ これまでの仕事の姿勢について振り返る
――芸歴30周年を迎えられましたが、ある程度の年齢層の映画好きやドラマ好きは、神木さんのそのキャリア...というより、神勢のほとんどを知っているような感覚かもしれませんね。
ありがたいですけど、改めてそう言われると確かに「とんでもないことだな」と思います(笑)。今でもよく「大きくなったね」とおっしゃっていただきます。ずいぶん前のことではあるのですが、街で学生の女性に「いつも見ています」と声をかけてもらったんです。で、「こんなことを言うと失礼なのですが、神木さん、大きくなったなって」と言われて。話を聞いたら僕より2歳くらい年下だったんです。
――なんだかいい話ですね(笑)。
普通だったら僕が誰かにそう言う立場じゃないですか、「大きくなったね」って。まさか年下の方に言われるとは......(笑)。でも、そういう風に感じていただけるのはすごく嬉しいんです。僕の幼少期から知ってくださっている方たちが、今も作品などを見てくださっているというのは、なんだか安心感があります。
――でも神木さんは年々、俳優としてご自身を更新されていらっしゃいますし、観る者としても、良い意味で幼少期の面影に引きずらないというか。
確かに子役出身の俳優は小さいときのイメージがついてきますよね。僕はどちらでもいいんです。日常でも、仕事でも、まったく気にしたことがありません。というのも、僕の場合は演じている役が年相応のものが多いですし、自分の年齢とともに仕事内容も自然とついてきている印象なんです。
――企業のウェブCMの関連インタビューでは、30周年を迎えた自分をたまには褒めてあげたいとコメントしていらっしゃいましたね。
なかなか自分を褒めてあげる機会がないんです。だから今回の『カミキカン』にご来場いただいたみなさんに、イベントで褒めてもらおうかなって。嘘でもいいので「キャーッ!」と言ってほしい(笑)。
――どういうことですか!
学生のときから少女漫画が大好きで読んでいるのですが、登場する男子ってチヤホヤされるじゃないですか。だから、あの......「男子」としてチヤホヤされたいんです! 本当はこういう言い方はしたくないのですが、あえて自分のことを「芸能人」とするなら、芸能人としてではなく、一人の男子として「キャーッ」となってほしいんです。ですので、記事でもここを強調して書いてください。「神木隆之介、男子としてチヤホヤされたい」って。
――見出しができあがりましたね! ただ俳優としては間違いなく長年、ずっと求められている存在です。そのヒット作の多さから、仲野太賀さんが神木さんのことを「興収ハンター」と名付けました(2021年4月20日放送『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)より)。
ただ自分としては「求められている」という自覚を持ってやっているところはありません。たとえば『るろうに剣心』シリーズの殺陣でも、あのときはとにかく佐藤健くんを超えたくてやっていましたし。そういう気持ちはたとえば料理人でも、ピアニストでも変わりません。キャラクターがその道のプロであるなら、演じる上ではそう見えるように技術的な練習をしなければいけませんし、その上でお芝居も必要になります。技術のところでいっぱいいっぱいになるとお芝居どころではなくなってしまいます。監督さんや技術指導の先生から「十分できていますよ」と言ってもらえても、僕のなかでは「まだまだ、もっと追求しなきゃ」となるんです。その結果として「すごかったですね」と褒めていただけることはありますが、そこで自分が「求められている」と考えたことはないんです。
――特に神木さんはなぜか、その道のプロどころか天才的なキャラクターを任せられることが多いですよね。それだけ技術練習も必要になるでしょうし、「これは難しいぞ」と感じたことは?
何度もあります。技術を習得するのは時間との勝負もあって大変ですし、なにより習い事そのものが辛いときもあります。でも、どれだけ頑張っても「これ以上は本当にできない」というものもあります。そういうときは素直な気持ちで、監督さんなど周りのみなさんに相談するようにしています。「この技は熟練すぎてさすがに厳しいので、こういう風にできないですか」と。あとなにより、その道で何十年とやっている人の覚悟を演じるのは簡単なことではありません。きっと苦労を重ねて、失敗と成功を繰り返して"今"がある。それはすべての職業に共通して言えること。役者できるのは、いかにそう見えるように演じること。ですので、習い事のたびに「これをやっている人はすごい」とリスペクトしています。そして自分のなかで腹を括って、できることは全部やるようにしています。
――『カミキカン』ではそんな神木さんの「これまでの仕事のこと」を中心にトークが展開されるそうですね。
たとえば「子役時代のこの作品を覚えていますか?」や、「この役のときはどういう気持ちで、どんな役作りをしたか」など、仕事の思い出を振り返りつつ、いろんな企画も用意して、みなさんと楽しくコミュニケーションをとりながら進めていこうと考えています。
――ちなみに神木さんは自分の出演作を何度も見返すことはあるのでしょうか。
関係者が参加できる試写会などで完成したものは観ますが、基本的には繰り返し見ることはありません。ただ『海に眠るダイヤモンド』(2024年/TBS系)は自分としてかなり挑戦した役でもあり、共演者のみなさんのお芝居もあらためて観たかったので、仕事とは関係なく楽しむ気持ちで作品を見返しました。
――ただ今回の『カミキカン』では、そんな数々の作品の記憶をプレイバックする良い機会になりそうですね。イベントを楽しみにしていらっしゃる方々に最後、メッセージをお願いします。
大阪、東京で全4公演ありますが、それぞれ企画が異なります。出演作にまつわるトークはもちろんのこと、作品に関するゲーム的な企画も考えています。来場されたみなさんが参加できる企画もあるので、一緒に楽しい時間を過ごしましょう!
Text by 田辺ユウキ
(2025年11月26日更新)