ホーム > インタビュー&レポート > 日本における影絵作家の第一人者・藤城清治 101歳の現役アーティストが創り出す 唯一無二の世界観をぜひ体感して
現在、グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボで『藤城清治101展 生きている喜びをともに』が開催中だ。(2025年10月22日(水)~2026年1月4日(日))。

昭和を代表する芸術の一つである「影絵」―。
日本における影絵作家の第一人者・藤城清治は、1924年東京に生まれ、慶応義塾大学在学中に児童文化研究会で人形劇に出逢った。終戦後、復学した藤城氏は影絵人形の存在を知り、影絵なら物のない中でも、焼け残った廃材でも幅広い表現ができると気づく。そうして生まれたのが藤城清治の影絵だった。

日の出の踊り ©Fujishiro Seiji Museum 1953
戦後で傷ついた人々の支えになればと生み出されたメルヘンの世界、日本各地を巡る中で、その土地に暮らす人びとの息遣いが聞こえるような後年の代表作品群、いずれも彼の作品には花や草木、動物など地球に暮らすあらゆる生き物の生命がその中心にある。

©Fujishiro Seiji Museum

©Fujishiro Seiji Museum
今年、満101歳を迎えた今もなお、藤城氏は現役のアーティストとして活躍している。日々、精力的に新作の創作にも取り組み、昔から愛用している片刃のカミソリで次々と輪郭線が切り出されていく。
そんな藤城作品の特徴は何といっても「カミソリの刃」のエッジの表現力。独特な手法により、切り出される影絵からはエネルギーが溢れ出し、絵がまさに動き出すような躍動感さえ感じさせる。

©Fujishiro Seiji Museum

©Fujishiro Seiji Museum
影絵の元になる灯りは(基本的に)蛍光灯の灯りを使用。作品の中で表現される様々な色は、カラーフィルムを藤城氏の巧みな技法によりカミソリでカッティングし、レイアウトされ、何枚も重ねることで複雑な色を創出する。またトレーシングペーパーなどのデフューザーを使うことで、カミソリでカッティングされたエッジに実にデリケートな柔らかみを生み出し、遠近感さえも優しく表現される。
そこに蛍光灯のバックライトが灯った瞬間、作品に命が吹き込まれるように作られている、それが藤城清治の影絵である。

©Fujishiro Seiji Museum

©Fujishiro Seiji Museum
また、作品の制作だけでなく、これまでの展覧会における作品のラインナップやレイアウトは、藤城氏自身が細部までこだわり展覧会全体をプロデュースしている。
藤城氏は言う。「僕にはゴールはない。生きている限り描き続ける」「今日よりも明日、もっといい絵を描きたい」、そして観る人に「生きることがどんなに楽しいか、嬉しいかを感じてほしい」と。

©Fujishiro Seiji Museum
本展は、藤城清治自身の頭の中で生み出された世界と、藤城氏の"生きた線"に対面いただく貴重な機会となっている。大阪での大規模展覧会は8年ぶり。地球上に存在するありとあらゆる生物への愛で溢れた、ここでしか感じられない、そして彼にしか生み出せない唯一無二の世界観にぜひ酔いしれてほしい!

©Fujishiro Seiji Museum
(2025年11月21日更新)
会期/2025年10月22日(水)~2026年1月4日(日)
休館日/12月31日(水)・1月1日(木・祝)
開館時間/10時~17時(16時30分最終入場)
会場/グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
[〒530-0011 大阪市北区大深町3-1]
観覧料/大人2000円(1800円)、高大生1500円(1300円)、小中生700円(500円)※
税込
※未就学児は無料
※( )は前売および20名以上の団体料金
※障がい者手帳等をお持ちの方(介助者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)
主催/関西テレビ放送
協力/ナレッジキャピタル
お問合せ/06-4862-5877
(受付時間:平日10時~17時 ※開催期間中は開催時間に準ずる)