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『決定版! 女性画家たちの大阪』開幕記念 
女性噺家による女性ならではの落語会を開催!

2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)の期間、大阪中之島美術館で「決定版! 女性画家たちの大阪」展が開催される。大正から昭和初期にかけて、女性の社会的な活動が制限されていた時代にあって、島成園や生田花朝など絵筆ひとつで個性と才能を発揮した50名を超える女性日本画家たちの活動を、約150点の作品と関連資料で紹介する展覧会となっている。その開幕を記念して、「桂三扇・露の紫 女性噺家の落語会」を開催。

高座で個性と才能を発揮する女性噺家の桂三扇、露の紫だが、近代大阪の女性画家同様、男性中心の落語界において、数々の苦労があったという。そんなお二人に、今回の「落語会」で披露いただく演目と意気込みを聞いた。

■桂三扇(かつら・さんせん)
京都府福知山市出身。1992年9月、六代桂文枝に入門。2013年「第8回繁昌亭創作賞」受賞

womenpainters231206-2.jpg桂三扇は大学時代、落語研究会に入っていたことがきっかけで1992年、六代桂文枝に入門。

――入門当時のお話を聞かせてください。
   
桂三扇「当時は女性の噺家は5人しかおらず、演目を選ぶときに、"女性がやるならこんなんがいいんちゃうか"と言われることが多く、自分がやりたい演目ができないこともありました。特に古典落語は男性が作っているので、男性が主人公のお話が多く、それを女性が演じることでお客さんが違和感を持って面白くないと思われるかもしれません。"芸人に上手い下手もなかりけり、行く先々の水に合わねば"という言葉がありますが、女性でもできるものは何か、自分に合う演目は何かをまず探さないといけませんでした」

――「女性画家たちの大阪」は、約100年前の大阪で活躍した女性画家の展覧会です。

桂三扇「落語界もそうですが、日本の美術界も島成園さんみたいな方が頑張ってくださったおかげで、今も女性画家が活躍できていると思います。それぞれの時代でパイオニア的存在の人がずっと出続けることが大事なのかなと思います」

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――今回披露する演目『相部屋』について教えてください。

桂三扇「師匠の文枝が三枝時代に創作した落語です。師匠は熟年の男性の友情を描いていますが、私は女性の設定でお話させていただきます。同じ会社に勤める二人の女性がいて、一人は結婚して出産もして子育てをしながら働いている、もう一人は結婚せず仕事一筋で働いている、この二人の友情を描いたお話です。女性が仕事で頑張っているお話なので展覧会のテーマにも合うかなと思い、この演目を選びました。師匠が作った現代を舞台にしたお話ですが、女性が主人公で、女性しか出てこないお話って古典落語にはないので、現代落語はこんなお話もあるんだなと知ってもらえたら嬉しいです」

■露の紫(つゆのむらさき)
愛媛県今治市出身。2008年10月、露の都に入門。2019年、第24回新進落語家競演会「審査員特別賞」受賞

womenpainters231206-4.jpg落語家になる前は司会のお仕事をしていたという露の紫さん。ちりとてちん杯全国女性落語大会での優勝をきっかけに2008年10月、露の都に入門。

――入門当時のお話を聞かせてください。

露の紫「入門当時は、まだ女性が古典落語をすることを良く思わないお客さんも多かったかもしれません。古典落語は男性が作りますから。うちの師匠(露の都)は、日本で第一号の女性落語家です。女性がたくさん出てくる演目を選んだりしているのですが、女性の噺家はどうやって生き残っていくのか、個性を見つけるのが大切かと思います」

――島成園も男性ばかりの画壇に切り込んでいきました。

露の紫「うちの師匠が、落語界の島成園的(パイオニア的)な存在なのかなと思います。私自身いつも心掛けているのは、来てくれたお客さんが元気になって帰ってもらえたらということです。以前お客さんから、"落ち込んでいるときに紫さんの舞台を観て元気になった"と言ってもらえたことがあったのですが、自分にまた会いたいと思ってもらうには私自身が芸をきっちりして、これと思うものを突き詰めていく姿を見てもらうしかないかなと思っています」

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――今回披露する演目『転宅』について教えてください。

露の紫「義太夫のお妾さんと、屋敷に侵入した泥棒との駆け引きを描いた演目ですが、女性ならではの機転が巧妙に描かれているネタです。たくましくて強い女性が主人公なので、今回の展覧会のテーマにぴったりではないかと思って選びました。滑稽話ではあるのですが、いきいきと生き抜いた女性を感じ取ってもらえたらなと。大阪らしく笑いも含めて、大阪のノリで、街の片隅でたくましく生きていた女性を感じてもらえたらなと思います」

桂三扇、露の紫による落語会と、「決定版! 女性画家たちの大阪」の観覧券がセットになった、またとない機会! あわせて楽しんでほしい。

「決定版! 女性画家たちの大阪」は、商都に咲いた浪華の女性画家たちの作品を紹介する貴重な機会。約百年前の大阪で活躍した島成園、木谷千種、生田花朝らの代表作をぜひご覧ください。

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島成園 《祭りのよそおい》 大正2年 大阪中之島美術館【通期展示】

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生田花朝 《天神祭》 昭和10年頃 大阪府立中之島図書館【通期展示】




(2023年12月 7日更新)


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Event

■開幕記念「桂三扇・露の紫 女性噺家の落語会」

日時:12月23日(土) 14時開演(13時30分開場)
演目:桂三扇「相部屋」(桂三枝作)/露の紫「転宅」
会場:大阪中之島美術館1階ホール 
協力:公益社団法人 上方落語協会
お問い合わせ:大阪市総合コールセンター■TEL:06-4301-7285(8時~21時・年中無休) 

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■『決定版! 女性画家たちの大阪』

会場:大阪中之島美術館
会期:12月23日(土)~2024年2月25日(日)
※会期中、展示替えがあります。
前期展示:12月23日(土)~2024年1月21日(日)
後期展示:2024年1月23日(火)~2月25日(日)
休館日:月曜日(ただし、2024年1月8日、2月12日は開館)、2023年12月31日、2024年1月1日
開館時間:10:00~17:00
※入場は16:30まで 
※2月10日~25日の期間は10:00~18:00(入場は17:30まで)
主催:大阪中之島美術館、産経新聞社、関西テレビ放送
後援:ラジオ大阪

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